活動報告

2017-05-05
ガーナ共和国への出張

 5月2日から5日まで、ゴールデンウィークを利用して、アフリカのガーナ共和国を訪問しました。1927年、ちょうど90年前、野口英世博士が黄熱病の研究に渡航され、7ヶ月後にその黄熱病で亡くなられた場所です。
 
 今次出張の目的は、TICADⅥの成果を踏まえ、我が国が提唱する「質の高いインフラ投資」への理解を促進するとともに、本邦インフラ関連企業の現地進出を支援することです。また、本年はガーナ独立及び日ガーナ外交関係樹立60周年にあたる年です。
 
 3日、ガーナの首都アクラに到着してすぐに、アモアコ・アタ道路高速道大臣、アドゥオミ同副大臣、グローバー運輸副大臣と会談いたしました。私からは、ボルタ川橋梁建設事業やテマ交差点立体化事業等における日本企業の貢献に向けた働きかけを行うとともに、同行していただいた日本企業をご紹介申し上げました。先方からは、日本の訪問団を歓迎するとともに、日本への高い期待が表明され、「質の高いインフラ」投資に向けた協力関係の強化で一致いたしました。
 
アモアコ・アタ道路高速道大臣らとの会談の様子
 
アタ大臣、アドゥオミ副大臣、グローバー運輸副大臣と
 
 続きまして、ガーナ大学内にある野口記念医学研究所を訪問し、同研究所先端感染症研究センターの起工式に出席いたしました。ヤンカ大学教育大臣、メーヌ保健大臣、アジェイ・メンサ・ガーナ大学副総長、アロテ在京ガーナ大使から歓迎と感謝のお言葉をいただきました。
 
野口記念医学研究所の入り口にて

 その後、施行予定地にて起工式のテープカットと記念植樹をいたしました。
 
記念植樹の様子
 
施行予定地で関係者の皆さんと記念撮影
 
 同センターの設計は日本設計が、施工は清水建設が行っています。現場の工事現場事務所では、23歳と26歳の若手が日本からこのガーナの地に来て一生懸命働いていました。フィリピン、ネパール、トルコの若者、ガーナの若きエンジニア達も一緒に働いていました。
 
 質の高いインフラの目的には、「技術移転、人材育成」があります。それが実践されているのを見て、たいへん感激致しました。
 
 翌4日、「日・ガーナ官民インフラ会議」をガーナ政府と共催いたしました。会議には、日本側はアフリカ・インフラ協議会(JAIDA)の会員企業25社など約80名、両国で合計約350名の方々にご参加いただきました。
 
 会議の冒頭、私からも国土交通副大臣として日本政府を代表して、オープニングスピーチをさせていただきました。
 
「日・ガーナ官民インフラ会議」でのオープニングスピーチ
 
 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の中で地理的にも経済的にも中心に位置し、高い経済発展が見込まれるガーナは、道路・橋梁や港湾などのインフラ整備が急務であります。
 
 都市化の進展に対応し、渋滞対策や生活環境の整備も重要であります。インフラ需要への対応にあたり大切な視点が「インフラの質」であります。会議にご出席いただいた日本企業25社は、塗装の必要がない橋梁鋼材、迅速かつ効率的な道路舗装技術などの先端技術や工法のみならず、施工時の環境配慮や安全管理、工期遵守など我が国の誇りとする取組や経験をガーナと共有する意向を持っています。
 
 友好的な二国間関係を維持してきた両国民、両国がインフラ分野で更なる協力関係を構築・発展していくことを祈念しております。
 
 続きまして、アモアコ・アタ道路高速道大臣とグローバー運輸副大臣との間で「質の高いインフラ投資」推進及び協力関係の継続に関する覚書に署名、採択いたしました。覚書においては、「質の高いインフラ投資」の推進に向けて、「日・ガーナ官民インフラ会議」の後も対話を継続するため、定期的に意見交換する枠組み(「質の高いインフラ対話(Quality Infrastructure Dialogue)」)を立ち上げ、対話の継続に合意しました。
 
「質の高いインフラ投資」覚書の署名
 
 また、本邦インフラ関連企業2社も、ガーナ建設業協会(ABCECG)やガーナ道路建設業協会(ASROC)との間で、協力の覚書に署名いたしました。
 
 その後、JAIDA会員企業による企業紹介、ワークショップ、ビジネスマッチングも成功裡に行われました。
 
日本・ガーナ両国の代表と記念撮影
 
 慌ただしく昼食をいただいた後、野口博士博物館を訪問いたしました。野口博士の功績を称え、当時の研究室がほぼそのまま残されておりました。顕微鏡は盗難予防のためレプリカとのことでしたが、日本の学校の理科室を彷彿させる研究室、野口英世博士による「忍耐」の書が飾られている小さな執務室が印象的でした。

野口英世博士の執務室にて
 
 また、研究室の外には日本庭園が造られており、ガーナ在住の日本人の方々が定期的に清掃してくださっているとのことでした。たいへんありがたいことであります。日程の都合上、短時間しか視察できなかったのは残念ですが、良い経験をさせていただきました。

野口英世博士の胸像の前で吉村馨・駐ガーナ日本国大使と
 
 最後に、大統領官邸にてバウミア副大統領を表敬訪問いたしました。私からは今回のガーナ訪問の成果をご報告するとともに、2025年国際博覧会の大阪誘致に向けた支持要請を行いました。また、同行いただいた日本企業の皆様をご紹介させていただきました。
 
バウミア副大統領と
 
 昨年12月の大統領選挙で政権交代となり、バウミア副大統領も今年1月に就任したばかりとのことでした。血色良く精力的な外見と、穏やかで丁寧な応答が印象的でした。
 
大統領官邸前にて副大統領、アフリカ・インフラ協議会会員の皆さんと
 
 今回の出張は、1泊4日、現地滞在時間30時間に対して往復の移動時間が43時間と慌ただしかったものの、たいへん充実したものになりました。
 
 引き続き、インフラ輸出のトップセールスなどを通じてアフリカなど諸外国と我が国の持続的な経済成長に貢献してまいりたいと思います。