○末松信介君 おはようございます。自由民主党の末松信介でございます。
まず、社会保障と地方創生をテーマに政府に質問をいたします。
今日はエープリルフールです。うそをついても許される日でありますけれども、総理はそのような方でないことは私はよく知っておりますので、安心して質問をいたします。
二〇二〇年、東京オリンピックが開催されることが決定をいたしました。改めて、安倍総理を始め関係の皆様に心から敬意と感謝を申し上げます。
前回、我が国でオリンピックが開催されましたのは一九六四年、昭和三十九年、五十一年前でございます。総理は小学校四年生、私は小学校三年生でした。麻生大臣は大学生であったと思います。
しっかり記憶に残っている場面がございます。マラソンでエチオピアのアベベ選手が優勝しました。そして、陸上競技場で円谷幸吉さんが第二位で入ってきたんですけれども、結局、イギリスのヒートリー選手に追い抜かれて三位になりました。それでも堂々の第三位、銅メダルであったと思います。日本女子バレーがソビエトとの決勝戦で、最後、相手のオーバーネットで優勝を決めた瞬間とか、それと、初めて柔道が正式種目になったんですけれども、柔道無差別級で神永選手があの大男のアントン・ヘーシンクに押さえ込みで敗れるという、あの瞬間を忘れることができません。しっかりと今記憶に残っているわけであります。
振り返って、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックですが、これもまた、今の子供や若者たちにとって、将来、思い起こしても、思い返しても本当に良かったと、心に残るものにしてほしいと思うわけです。地方創生の大きな起爆剤、地方再生の大きな核の一つとしてお考えをいただきたいわけです。
自治体も今、合宿所の誘致であるとか、あるいは競技場への名のりとか、外国人観光客の集客のためのPRをしております。一部の都市では、ミニ博覧会を行おうという計画もあります。私どもの兵庫県でも、二〇二一年、一年後ですけれども、関西マスターズゲームという中高年オリンピックが開かれるわけなんですけれども、これと併せて今PR活動をいたしているところであります。
五十年前のオリンピックというのは、あの総理がお好きな「三丁目の夕日」のように躍動感があったと思うんですね、名神高速道路もできて新幹線も登場したということで。ですから、これを是非、日本人の心に残る地方創生の大きな目玉として位置付けていただきたいと思いますが、総理のお考えをお伺いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、東京のみならず、日本全体の祭典として、日本が活力を取り戻す弾みとしていきたいと思っています。
政府としては、全国の自治体とオリンピック参加国との交流を図るホストシティ・タウン構想を推進をしていきます。
また、日本各地の豊かな地域資源を積極的に活用して、事前キャンプの誘致や、あるいはスポーツ・文化イベントを開催するなど、大会の効果が全国、日本全体に波及するよう取り組んでいきたいと思います。その上においては、各地域が地域の良さを生かしていきたい、あるいは、おもてなしの心をどのように示していこうかと、そういうことも各地域の皆さんに考えていただき、いい案をどんどん出していただきたいと思っています。
また、東日本大震災の被災地については、復興五輪として、大会が復興の後押しとなり、見事に復興を成し遂げた姿を世界に向けて発信をしていきたいと思います。
東京大会の開催まで残りはあと僅か五年であります。全国津々浦々にまで大会の効果を実感できるように、地方公共団体の声も十分に伺いながら、引き続きオールジャパンでしっかりと準備に取り組んでいきたいと思います。
○末松信介君 どうもありがとうございます。
東京だけのものではなくて、日本全国のこと、とりわけ地方にとって大きな喜びとなるもの、活性化していく大きな起爆剤にしていただきたいと思います。
さて、その当時、五十一年前ですけれども、我が国の人口というのは九千七百万人でございました。国家予算は三兆円、GDPは三十兆円です。五十年間でGDPは十六倍、国家予算は三十倍強となりました。驚くべき伸びであります。しかし、もっと驚かなければならないのは、社会保障費が七十倍になったということでございます。当時のGDPをもう超えております。現在三十一・五兆円です。百歳以上のお年寄りの方々が、昭和三十八年百五十三人が翌年昭和三十九年には百九十一人になっておりまして、昨年の九月では五万八千八百二十人となりました。三百八倍となったわけであります。
我が国をめぐる一番の問題は社会保障費の増大でありまして、我が国の存亡の危機と言っても差し支えない大きな課題であると認識をいたしております。やはり、社会保障制度を確立をしなければならないと。後ほど福岡議員も質問されます。やはり、長生きして良かったと実感できる日本、社会を築かなければならないと思います。
そこで、まず最初に、年々増大をします医療費の関係から、さきの三月の十二日の規制改革会議で、公開ディスカッションでテーマとして取り上げられました、今世間で話題となっております医薬分業につきまして最初にお伺いしたいと思います。
医療機関が患者に直接薬を交付せず、患者さんに医療機関の外にある調剤薬局で薬を受け取ってもらう仕組みを医薬分業と申します。平成二十五年版の厚生労働白書にはこう書いています。医薬分業の利点として、薬の効果、副作用、用法などについて、薬剤師が処方した医師、歯科医師と連携して患者に説明、つまり服薬指導であります、することにより、患者の薬に対する理解が深まり、調剤された薬を用法どおり服用することが期待でき、薬物療法の有効性、安全性が向上すると記載されているわけであります。
医薬分業は、まさに厚生労働省が進めてきた国是であります。二〇一三年現在で六七%まで拡大をいたしております、分業率です。一九九五年度には一兆三千億円程度でありました調剤医療費が、現在約七兆円まで膨れ上がっているわけです。
また、病院で院内処方してもらう場合と病院の外の薬局で院外処方してもらう場合との価格比較で、規制改革会議の委員の翁百合さんがインターネット上で提示した例が話題になっております。内服薬を七日分処方、お薬手帳を使用した場合、一つの計算例として掲げられた図は下記のとおりでございます。

これでございますが、同じ処方で、院内処方では七百二十円、院外処方では千八百五十円。この資料の反響は大変大きくて、コストの割には院外処方のメリットが感じられない、差額がこれだけあることは驚きです等のコメントが多数寄せられたわけであります。
こうした世論の流れを受けまして、規制改革会議では公開ディスカッション等で議論が開始され、院外処方として薬局で受け取る方が患者の負担が大きくなるが、負担の増加に見合うサービスの向上とか分業の効果などは実感できないという厳しい意見が出されたところでございます。
この問題は、医師会と薬剤師会との間で意見が割れております。賛否両論、大きな議論となっているわけでありますけれども、医薬分業論につきまして、改めてその必要性をどのように認識をされまして、そして見直すならばどういう見直しを行っていくのかということを、できましたら総理から御答弁をいただけたらと思います。よろしくお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 医療の分業は、薬局の薬剤師が薬の重複や飲み合わせなど、医師の処方内容をチェックした上で患者への服薬指導を行うことを通じて医療の質を高めていくという取組であります。また、薬局における後発医薬品への切替えなどを通じて医療保険財政の効率化に寄与することも期待されています。
一方で、医療機関の近隣にいわゆる門前薬局が乱立するなど、薬の一元的、継続的な管理といった医薬分業本来のメリットが感じられにくいとの指摘があるのも事実でございます。
今後、薬局が地域の方にとって薬や健康について気軽に相談できるかかりつけ薬局となり、患者が服用する薬を一元的に管理したり薬剤師が在宅医療の中で積極的な役割を果たしていくよう、環境整備を行っていく考えでございます。
○末松信介君 私がなぜこの質問を申し上げたかと申しますと、翁氏のこのディスカッションに際して行われましたアンケートでは、医薬分業の下に進められている院外処方のメリットは感じられないという意見が実は八割を占めたそうでございます。
しかし、薬剤師さんにも言い分がございます。私の大変親しい知り合いの薬剤師がおります。よく意見交換をするわけなんです。ちょうどその方は医薬分業が始まった頃に大学を卒業しました。最初は病院に勤めました。その後、調剤薬局で勤めました。その後、親族の経営する医院で勤務をしたわけでございます。
患者さんに安心して納得のいく服薬指導ができたのはどこかと言ったら、カルテを見ながら調剤し投薬していた医院での業務であったと言うんです。それはどうしてかといいますと、同じ薬であっても、医師によって、主作用を目的として処方されたものなのか、副作用を目的として処方されたものなのか、処方箋を見ただけでは分からないというわけです。やはりカルテを見ながら検査結果であったり血圧の結果から判断して、丁寧なコミュニケーションを図りながら服薬指導をしていくということがこれ理想であるという話でございました。十分な情報がない中での服薬指導というのは難しい点がたくさん出てくるようであります。医師と薬剤師とのスムーズな情報の共有を確立する手だてがあるかどうか、その対策をお聞きをしたいわけです。
それと、二〇一〇年の末からであります、香川大学病院と香川県内の三十一の薬局との間で電子処方箋の実証実験がスタートをいたしました。検査値や病名など医師のカルテの一部も閲覧、参照することが可能でございます。医師へのフィードバックもできる体制でございます。
しかし、現時点ではこの処方箋は、e―文書法、英語のeですけれども、e―文書法厚生労働省令によりまして電子化は認められておりません。個人情報の保護、当然のことであろうかと思うんです。しかし、現時点でこの点についてどういった検討がなされているのか、併せてお答えをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先生御指摘のように、医師とそれから薬剤師が患者情報を共有しながら適切な医療を提供するということは極めて重要でございまして、去年の日本再興戦略改訂二〇一四でも、今年度、今日から始まる今年度、これまでに電子処方箋の導入を図るべく検討を進めるというのは、まさに先生の御指摘のことを踏まえてのことだと私は思っております。
この電子処方箋の実現については、処方箋の重複使用とか、それから情報漏えいの防止、あるいは患者による薬局の自由な選択の確保といった点に留意をする必要が当然ありますけれども、電子処方箋を活用する中で、先生今御指摘になった薬局と医療機関との間で電子的に処方、調剤情報の共有が進めば、患者の状況に応じた、基づいた的確な服薬指導というのが可能になるというふうに期待をしておりまして、こういった取組が進むように環境整備に厚生労働省としても努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○末松信介君 御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
今の状況というのは、もう大臣もよく御存じだと思うんですが、自分のかかった病院、医院と同じ数だけの調剤薬局に実はかかります。当然ですね。処方箋もらったら、前の薬局に行ったりすることが多いわけですから。いろんな病院に行ったら、科目ごとに違いますから、かかりつけの薬局が増えるわけなんですね。
それを、自分の住まいを拠点とした地域での薬局で、自分の、今言った、かかった複数の医療機関の病院の投薬を一元化してもらうということが私はいいことだと思うんです、大事だと思うんです。そのことによって、薬の重複とかあるいは禁忌の飲み合わせというのを、これ防ぐことができるはずなんです。
調剤報酬とか薬価差益など医療機関や薬局の経済的要因で進んだ分業というのは、政府の方針転換によってこれはもうすぐに後退して衰退してしまいます。ですから、私はやはり、医師は患者に薬の飲み方やいろんな注意事項を説明します。しかし、理解されないまま患者さんが診療室を出てしまった場合には、最後のとりでになるのはやはりこれ薬剤師さんですよ。だから私は、薬剤師さんの役割というのは大きいと言っているんです。
しかも、これからの薬剤師というのは外に出る薬剤師を目指していかなきゃならないと。独り暮らしのお年寄りの方が増えてきました。処方箋をもらいに行って、そして帰って薬を届けてやって、そして服薬指導してやるという、私はこれからの薬剤師というのはそういう意味で形態が大きく変わっていくんだろうと思うんです。まあ、門前薬局よりも私はある面でこれは本来の、多分薬剤師の方々もそれを目指しているわけじゃないと思うんですけれども、地域のかかりつけ薬局を目指すというのが筋だと思うんですけれども、大臣の最終のお考え、重ねての質問になるかもしれませんが、御答弁いただけたらと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 何にしても、企画をしたことがなかなかうまくいかなくなったときはやっぱり原点に立ち返れということで、今先生が御指摘になったような諸点がまさにこの医薬分業の原点、目指さなきゃいけないところだったと思うわけで、例えば飲み合わせの問題を回避する、あるいは重複服用をしないとか、そういうようなこと、そして、今お話がありましたように、やっぱり個人個人の体の状況に応じた適切な服用というのを薬についてやるということが大事であって、そういう意味では、今先生が御指摘になった薬局とそれから医師、あるいは薬剤師と医師との間の情報共有と指導の言ってみれば一貫性を保つということがとても大事になってくるというふうに思っています。
そういうことでございますので、私としては、これから地域包括ケアシステムを構築していく中にあって、地域で暮らす方々にどういう指導ができるのかということであれば、薬剤師さんにもきちっとそういうところに出向いていってもらってやっていただくことが大事で、先生のおっしゃるとおりだと思いますし、病院にあってもベッドサイドにもう既に薬剤師さんは行くことになっていますが、そういうような形で、チームでもって一人一人の健康とそして地域の暮らしを守っていくことは大変大事だと思いますので、先生の御指摘のとおり、今そのようなことで、厚生労働省としても、原点に立ち返った医薬分業のあるべき姿をもう一回整理し直してやっていこうということで頑張っていきたいというふうに思っております。
○末松信介君 大臣のお言葉、しっかり受け止めまして、その対応を期待いたしたいと存じます。
次に、医療費と同時に重要なのは介護保険給付費の問題でございます。これについてお尋ねをしたいと思うんです。
介護保険制度が導入されましたのが二〇〇〇年であります。二〇〇〇年当時、介護給付費は三・二兆円でした。現在これ約十兆円、今給付費が掛かっていると思います。二〇二五年問題がよく言われますけれども、このときには二十一兆円介護給付費が必要になるであろうということが予測されているわけです。
それで、これはもう大変な問題でありますから、政府も自治体も利用者の方も、また事業者も懸命な調整をしなければならないわけなんですけれども、私、この介護保険制度発足以来、改正に改正を重ねてきたんですけれども、気が付きますとサービスのメニューとか単価を細かく示しましたサービスコードというのがもう異常に増えているわけなんですね。創設時に比べると十倍以上に膨れ上がっております。今や二万項目に達すると言われているわけです。その結果、介護保険制度の中身が複雑になり過ぎて全体像が把握できにくいという、そういうような意見もございます。
例えば、加算項目の一つにこういうものがあります。介護福祉士の有資格者は何割以上配置すれば何%加算すると。人員や施設の面積等の基準がリンクされた加算項目が存在しているわけなんです。二〇一二年で改定されましたコードの一覧表は何と四百十四ページにも上ると言われております。利用者にとっても大変なんですね。例えば、ホームヘルプの活動について、前回の介護保険制度改正によりまして、ここまでは三十分単位で切られていたわけなんですけれども、身体介護は二十分以上三十分未満、生活援助は二十分以上四十分未満といった具合に細かく細かく設定が実はされたわけであります。
加算を評価は大いにできると思うんですけれども、加算の要件が複雑になりますと、これ事業者も大変困ってしまうことも事実であります。第一、サービスコードで悩むのは利用者でございます。
そこで、このサービス体制加算に係る加算項目で問題になってくるのは、一つは、介護福祉士をそれだけの比率を取ろうとしましても、これ、田舎の方に行きましても有資格者がいないわけなんですね。だから、地方と都市部との地域間格差、加算項目を増やせば増やすほどこれは出てくるという、そういう課題もあろうかと思うんです。
もう少しこの加算項目、これは事業者にとっても有り難いことなんですけれども、サービスコードというのを少し単純化して、簡素化して分かりやすいものにする、重要なものについてきっちり点数を付けていくという、こういう方向に変えてはどうかと思うんですけれども、御意見をいただきたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 介護保険制度については、累次にわたって改定を行って、改正を、改良を施してまいったわけでございますけれども、今御指摘のように、多様なニーズにきめ細かく対応するということは誰しもが望むことなので、どちらかというとそちらの方向で、例えばこれ、平成十八年の改正のときには、小規模多機能型居住介護などの地域密着型サービスということで、今出てきている言葉はみんな多分ポジティブに評価をされる言葉だと思います。その一方で、今回の改定でも、中重度の要介護者に重点化をしよう、あるいは認知症に対しても重点化をしようというようなことで、こういうことで今先生御指摘の新たな加算ができているわけであります。
しかし、一方で、御案内のように、今御指摘のように、事務負担も増し、そして、なかなか地域によってはそれが実現しづらいところがあるにもかかわらずそういうことになっているというような、更にまた配慮しなければいけない項目も出てきているということで、実は社会保障審議会の介護給付費分科会においても、この事務負担や煩雑さについての問題点の指摘も先生から今ございましたとおりありまして、報酬体系の簡素化ということについても検討を行うように指摘もされているところでございます。
したがって、先生からの御指摘のように、利用者のニーズに応えながら、しかし可能な限り取りやすい加算であり、あるいはまた事務的にも簡素化をできて余計な事務負担が掛からないようにするというような、こういった意見にも十分耳を傾けて改善を重ねてまいりたいというふうに思います。
○末松信介君 大臣、そのように進めていただきたいと思うんです。
日常生活継続支援加算なんかは六四・九五%、これは使っておられますけれども、使用してはいない加算、〇%というのは、小規模拠点集合型施設加算とか認知症行動・心理症状緊急対応加算、これは二十六年四月〇%なんですよ。もう少し整理をしていただきたいと、そのことを強く思います。一覧表はここに出ております。
次に、この会計制度の見直しについて御質問をさせていただきます。
今回の介護報酬の引下げの出発点は、昨年十月に開かれました財務省の財政制度審議会財政制度分科会で、主な介護関係サービスの利益率について、特別養護老人ホームが八・七%、訪問介護が七・四%、通所介護が一〇・六%などという数字が示されたところから来ております。しかし、この数値の基となりました介護事業経営実態調査につきましては、そもそも一か月分のキャッシュのサイクルから利益率を推定したものでありまして、年間を通じた本当の損益実態を示してはおりません。
更に言えば、社会福祉法人の内部留保につきましても、一施設当たりの内部留保の額は平均約三億円だと言われたんですけれども、全体では二兆円だと言われたんですけれども、この数字自体は、実は社会福祉法人会計独自の処理によります国庫補助金等特別積立金取崩し額、余りこの言葉は聞き慣れない言葉なんですけれども、これによるものなんです。要するに、施設を建設するに際して、国から補助金をもらいます、市からも補助金をもらったりしますけれども、独自の会計処理によって毎期の利益として計上され、内部留保として蓄積され続けているだけなんです。実際にキャッシュとしては残っていないと。補助金もらって建物を建てて、もうこれは資産になっているわけなんですけれども、その補助金が利益として残ってしまっておるというだけのことなんですよね。それはキャッシュじゃないわけなんですね。
このキャッシュの部分というのは、将来の施設の修繕に用いられるべき積立金の性格を持っております。一般企業では資本に組み入れられてしまうようなものまで含まれてしまっております。いわゆる企業の内部留保とは全く次元の異なるものでございます。今後のことを考えますと、しっかり社会福祉法人の会計制度の見直しについて考えていかなければならないわけなんです。
山口那津男公明党代表も、二月十八日の参議院本会議でこのことを厳しく御指摘をいたしました。厚生労働大臣の見解を伺います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 社会福祉法人につきましては、いわゆるこの内部留保に関する問題が昨年からずっと議論をされてまいりまして、指摘をされてきているわけでありますけれども、こういう問題がなぜ出てきたのかというと、内部留保について確立した定義が今までなかった、そして、余裕財産の明確化とか、あるいはその原因の解明というのが十分行われないままにここまで来て、いろいろな問題点を指摘をされてきたということがまずあると思います。
そのため、今回、今国会に社会福祉法人改革についての法律を出させていただくことになっておりますが、そこにおいては、余裕財産を明確化する観点から、いわゆる内部留保の額から社会福祉法人が現在の事業を継続するために必要な財産額というのを控除をし、なお再投下可能な財産額がある場合には計画的に社会福祉事業等の拡充を実施するということを義務付けることによって、地域社会に貢献する法人の在り方をこれまで以上に徹底をしていくということとしているところでございます。
こうした制度改革によりまして、社会福祉法人が国民に対し自ら説明責任を果たせる仕組みを構築をしていかなければならないというふうに考えておりまして、今回お出しをいたします社会福祉法人改革に関する法律についてしっかりと御審議を賜れれば有り難いなというふうに思っているところでございます。
○末松信介君 自民党の厚労部会あるいは介護委員会でもいろいろと議論がされました。間違った前提、間違った資料によって議論をしていったんだったら大変心配なことでありますので、是非大臣、よくその辺を御認識をいただきたいと思っています。自民党もそれを認識をしています。大変激しい議論が行われたことをお伝えしたいと思います。
それと、特別養護老人ホーム、措置制度の時代に造られた建物と介護保険制度が入ってから建てられた建物とでは補助金も違います。場合によっては、市によっては用地取得費まで利子の補給をした例もございます。それと、内部留保と言われましても、実際災害なんかがあって一時閉鎖をしなきゃならないといったときにもこれ当然人件費掛かってまいりますので、介護報酬入ってきませんから、こういったイベントリスクも考えなきゃならないという、ありとあらゆる点から是非お考えをいただきたいということ、このことをお願いしたいと思います。
時間が大分迫ってまいりました。次の質問に移ります。
言葉は良くありませんけれども、死に場所難民についてお聞きをしたいと思います。

二〇一二年の年間死亡者数は約百二十五万人であります。死亡者は、病院・診療所が七八・六%です。自宅が一二・八%となっております。そして、内閣府が行った意識調査によりますと、最期を迎えたい場所の希望が一番多いのは、自宅が五四・六%です。病院・診療所が最期の場所として望まれる方は僅かに二七・七%であります。実態と三倍近い乖離があることが明らかになりました。
各国と比較しますと、日本では病院で亡くなる方が突出して多いことが分かります。欧米諸国では、病院で亡くなられる方は四〇%前後であります。自宅が二五%前後。アメリカでも、病院が五六%、自宅と施設がそれぞれ二〇%程度と言われております。日本の病院死、医療機関での死亡というのは、八〇%というのは、これは大きな、この実態との大きな格差があるわけなんです。

また、かつて厚労省が使用していた資料によりますと、二〇三〇年時点で医療機関の病床数に大きな変化がなく、自宅でのみとりを一・五倍にします。それと、介護施設のキャパシティーを二倍にしたとします。その他の死亡というのが四十七万人に上るとされているんです。これ、石田昌宏先生の介護小委員会でも議論されましたですね、死に場所難民の問題。介護施設において今後約九万人が亡くなる、医療機関で亡くなる方が八十九万人、自宅において約二十万人ということは、四十七万人、それ以外、その他になっているんですけど、これ、四十七万人は一体どこで亡くなったらいいのかということが分からないんです。
これ、言葉は本当に冷たい言葉ですけれども、死に場所難民、みとり難民と言われているんですけれども、当然、有料老人ホームを考えているとかサービス付き高齢者住宅なんかを考えていると思うんですけれども、厚労省の考え方をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 昭和二十年代は、亡くなる場所というのが自宅というのが八割を優に超えておりました。今はそれが一三%ぐらいになってきているわけでありまして、本当に随分形が変わったということは先生今御指摘のとおりであります。
国民が可能な限り住み慣れた生活の場において必要な医療・介護サービスを受けながら、みとりに対応した在宅医療とかあるいは地域包括ケアを推進するということが重要だというふうに我々は考えておりまして、厚生労働省としては、まず、医療計画作成指針というのがありますが、都道府県が作りますけれども、これに基づいて都道府県が策定する医療計画にみとりも含めた在宅医療の提供体制に係る事項を盛り込んでいただく、それから、診療報酬においても、在宅医療におけるみとりについて重点的に点数の評価をするということを行うなどの取組をこれまで進めてまいりました。
さらに、今回の介護報酬改定でも、特別養護老人ホームでのみとりの質を高めるために、先ほどいろいろ人材配置の問題で地域間格差の話がありましたけれども、医療職と介護職が連携をして御本人や御家族へのみとり介護の情報提供とかあるいは相談に丁寧に応対をしていかなければならないということで、その丁寧に実施した場合におけるみとり介護加算というのを充実をしたところでございます。
これらの取組を通じて、医療と介護が連携しながら、最期までできる限り自然な形で穏やかに暮らせる包括的な体系というものを構築をしなければならないなということで、これからまた更に努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○末松信介君 よろしく対応方お願いします。
大変時間が迫ってまいりました。元の質問に戻ります。処遇改善加算の課題につきまして質問をいたします。
今回、厳しい介護報酬の削減が行われます。マイナス二・二七です。しかしながら、大変努力をいただいたものとは思います。十分配慮をいただいたものと私は思っています。この介護職の方の処遇改善加算一万二千円、プラス一・六五%になるんですけれども、実はこれ介護職の方だけでして、看護師さんとか、あるいはケアマネジャーさんとか、相談員さんとか栄養士さんとか調理師さんとか事務職員の方には全く回らないわけなんです。でも、介護の施設というのは介護職の方だけで成り立つわけじゃないんですよね。
しかも、現場ではこういうことが多いんです。介護職の方だけに一万二千円を渡そうとした場合でも、その職場でチームリーダーのような方がおられて、結局、自分だけもらうわけにはいかないと、そのことをリーダーの方に伝えて、リーダーの方は、施設長さんや理事長さんに、やっぱり何とかみんな平等にできないでしょうかという話をすると。結局、一万二千円を一人にあげたとしましても、介護職の方にあげたとしても、全体の人件費を引き上げてしまうという、そういうことを招いてしまうんです。
ですから、私は、介護職の方だけに加算をするということについてはもう一度再検討してはどうかなということを、このことを考えるんですけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) この点につきましては随所で御指摘を賜っているところでございますが、ヘルパーなどの介護職員をなぜ優先的にこういう扱いをするのかということでありますけれども、それはやはり、離職率が高くて求人してもなかなか人材が確保できないということで、かなり御不満というか御懸念をいただいてきているということ、それから、賃金は、相対的に見ますと、やはり看護師さんやケアマネさんと比べますと相対的にやっぱり低いといった状況がまだ続いている。例えば、これ調査をいたしたところでは、やはり例えば看護師さんと介護職員との間には九万円ぐらいの差があったりするということでございました。
もちろん、先生御指摘のように、介護の職員だけで成り立っているわけではないので、今回の改定におきましても、二十四年度改定で創設いたしましたこの介護職員処遇改善加算の仕組みを維持をしながら拡充をしたところでありまして、まずは介護職員を加算の対象とするという取扱いにいたしたところでございまして、今回の改定では、効率化を各サービスについて行うということでございますが、改定後においても全体として必要な収支差は残るようにサービスの報酬を設定をしているというふうな姿勢で我々はやってきているところでございまして、他の職種の方々の処遇に対しても、事業運営全体の見直しを図りながら、できる限り維持改善を図っていただきたいなというようなことで、先ほど来のいろいろな加算とかいろいろなことで事業全体を支えていただくように配慮をしているつもりでございますけれども、なおよく注意をしてフォローアップをしてまいりたいというふうに思います。
○末松信介君 この前、自民党本部に栃木県看護連盟の方が来られましたけれども、民間の介護福祉施設で働いておられる看護師さんは介護職の方とほとんど給料が変わらないという、そういう御指摘もございました。今の大臣のお話、私なりに理解はしておりますけれども、検討を重ねていただきたいと思います。
最後に、早口で質問をさせていただきます、時間が参ります。技能実習のことについて。
二〇二五年に二百五十万人規模の介護従事者を確保するに当たり、国内人材確保の対策はもとより、あらゆる手段と可能性を排除しない姿勢が必要であると。外国人の技能実習生の受入れについても、これ一つの重要な選択肢になろうかと思うんです。
今般の介護の職種追加に当たりまして、一年で帰国しなければならない技能実習生一号から三年間滞在が許される同二号に移行するためには、技能検定に関する公的評価システムが必要とされています。介護領域につきましては、元々技能検定の仕組みがないために、これまで導入ができなかったと伺っております。
対人サービスであるこの重要性から、民間任せにしないで国としてリーダーシップを取るべきと考えますが、適正な公的評価機関の設置について大臣の見解を伺って、質問を終えたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) ただいま御指摘のありました公的評価システムの要となります試験実施機関、これにつきましては、制度上、営利を目的としないことや安定的に業務遂行ができる体制を整えていることなどが求められておりまして、介護分野については、対人サービスという更に特性を踏まえた丁寧な検討が必要だというふうに考えているところでございます。
このため、厚労省としても、設置をいたしました検討会のまとめにおいては、適切な評価システムの構築について、実習生の技能評価の際、サービス利用者とのコミュニケーション能力や人間の尊厳について理解ができるかどうかというチェック、この必要性、それから実習開始後の各年ごとに到達すべき技能のレベルや試験実施機関の適格性等について基本的な考え方をお示しをいただいております。
この検討会のまとめを踏まえて、今後、具体的な制度設計等を進めるに当たっては、介護サービス事業等に任せることなく、先生御指摘のように、厚労省としても、介護サービス事業者等と十分に連携しながらしっかりと検討を進めてまいりたいと思います。
○末松信介君 時間が若干オーバーしました。石破大臣、質問ができませんで大変御無礼をいたしました。ありがとうございました。
終わります。