活動報告

2015-08-24
千年に一度の大震災に備えて

 本日、兵庫県市議会議長会の津田加寿男・尼崎市議会議長、安田朗・加東市議会議長、今川明・たつの市議会議長、大石伸雄・西宮市議会副議長の皆さんと共に、総務省、財務省、国土交通省、そして内閣府の4府省に対して、南海トラフ大地震対策を中心とする要望活動をさせていただきました。
 
 日本は「地震国家」と言っても良いほど、頻繁に地震が起こる国です。その中でも近年に起こるかもしれないと言われているもののひとつに、「南海トラフ巨大地震」があります。
 
 南海トラフというのは、駿河湾から九州沖にかけて存在する海溝で、南海トラフ地震とはこの南海トラフの震動により、太平洋側の静岡から高知県にかけての地域で起こりうる3つの地震が連動して起こる大地震のことです。
 
 この南海トラフ地震はおよそ200年に1回程度発生してきており、おおむねマグニチュード8程度であると言われています。
 
 特に、1000年に1度の規模であるかもしれないほどの巨大地震で、「南海トラフ巨大地震」というものもあります。その被害は阪神大震災や東日本大震災とも比較にならないほどになると予想されており、東日本大震災クラスの地震が日本の中枢部分が集まる太平洋側の広域にわたって起こるということだと思えば、その被害のイメージがしやすいと思います。
 
 この、近い将来の発生が予想される南海トラフ地震による津波に対応するため、兵庫県では「津波防災インフラ整備計画」を策定し、防潮堤の洗掘対策・沈下対策等を進めています。
 
 この計画による津波対策事業が全て完了すると、防潮門扉の閉鎖などを前提に、阪神地域の津波浸水面積が約80%縮減されると想定されており、津波に対する防災性が大きく向上します。
 
 しかし、この計画を実効性あるものとするためには、地震津波対策に必要となる予算確保が必要です。全体事業費約620億円の内、発生頻度が概ね100年に1回のレベル1津波への対策が260億円、発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす津波への対策が360億円と考えられています。
 
 こうした必要な予算の総額確保と、地震津波対策の着実な推進に向け、今回各省への要望を行なうこととなった次第です。
 
 最初に二之湯智・総務副大臣のところに要望をさせていただきました。
 

二之湯智・総務副大臣と
 
 二之湯副大臣も京都の市議会議長をお務めになり、全国の市議会議長会の会長も経験されたことがあるなど、地方のことを熟知されておられ、地方自治の権威でもあります。
 
 副大臣がたしなまれる書道のことも交え、長い時間とっていただきまして、意見交換と懇談をさせていただきました。お忙しい中、丁寧に対応していただいたことに、感謝申し上げます。
 
 その後、黒田武一郎・総務省官房長にも、お忙しい中お話を聞いていただきました。
 
黒田武一郎・総務省官房長と
 
 黒田官房長も、広島市の財政課長や、熊本県の総務部長、副知事を歴任されておられるなど、地方の実情についてはエキスパートとしてよくご案内で、しっかりと耳を傾けていただきました。
 
 その後、舞台を財務省に移し、菅原一秀・財務副大臣を訪ねさせていただきました。財務省に対する要望では、南海トラフ地震対策のみならず、公共施設等の老朽化対策に対する財政支援についても、要望項目として加えさせていただきました。
 
 地方公共団体においては、苦しい財政状況を踏まえ、今ある公共施設等を長持ちさせるために、計画的に大規模な施設改修・設備の更新を実施しています。
 
 しかし施設改修における国の財政支援は、「既存の施設に新しい機能を大幅に追加する、構造を変えるような大規模改築・改修工事」のみに限定されるため、老朽化した既存設備を維持更新するための改築・改修工事については、その費用が地方自治体の重荷となっています。
 
 こうした、更新や長寿命化等対策の費用についても、国の財政措置の対象としていただくように、助成範囲の拡大を要望させていただきました。
 
菅原一秀・財務副大臣と
 
 菅原副大臣も都内各所でご公務ご多忙の中、わざわざこの要望をお聞きいただくために財務省にご登庁いただき、お時間を割いていただきました。恐縮いたしまして、心より御礼申し上げます。
 
 その後、国土交通省に移りまして、北川イッセイ・国土交通副大臣に要望をさせていただきました。
 
 国土交通省に対する要望では、皮革排水処理経費に対する財政支援についてもお訴えさせていただきました。
 
 皮革排水については、現在関係市町が運営する下水道処理施設で処理し、水質浄化に努めていますが、クロム等の重金属や獣毛等が多く含まれ、汚濁度が高く、前処理場の皮革排水処理には多額の経費を要しています。
 
 また、皮革排水処理経費については、原因者負担が原則ですが、皮革関連事業者は大部分が零細事業者であり、業界を取り巻く経営環境が非常に厳しい中で、事業者に処理経費の全額負担を求めることは困難です。一方関係市町にとってもこれらの処理経費は大きな財政負担となっており、行政運営に多大な影響を及ぼしています。
 
 こうした背景を踏まえ、前処理場運営経費に対する助成制度の創設等、皮革排水対策の補助拡大について、ご要望させていただきました。
 
北川イッセイ・国土交通副大臣と
 
 北川副大臣のお時間頂戴した後、公明党の赤羽一嘉・衆議院議員の取り計らいで、太田昭宏・国土交通大臣にもご要望をさせていただきました。
 
 太田大臣は予算委員会が参議院で開かれている大変お忙しい中、貴重なお時間を裂いて、真摯にご要望をお聞きいただきました。
 
 南海トラフ大地震対策については、国土交通省としてもしっかり取り組むと仰っていただいたとともに、皮革排水処理経費に対する財政支援についても、ランニングコストを支援するスキームが現在なく難しいが、何か困った零細地場産業を支えるためにできることはないか、知恵を絞ってみたいとおっしゃっていただけました。
 
太田大臣への要望説明
 
 また、国土交通省では、南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策本部を所管する水管理・国土保全局の山本景一・官房審議官にもお話を聞いていただきました。
 
 山本審議官は皮革排水事業にも造詣がおありで、問題の本質をよくご理解いただけたように思います。
 
山本景一・官房審議官と
 
 最後に内閣府に移りまして、山谷えり子・防災担当大臣へ要望をさせていただきました。


山谷えり子・防災担当大臣と
 

 山谷えり子大臣とは、南海トラフ大震災への取り組みについて要望をさせていただいた他にも、防災士の資格のあり方や、防災大臣として24時間体制でご公務に取り組んでおられる実情等についても、意見交換をさせていただきました。大臣にはご公務ご多忙の折、丁寧に対応いただいたこと、心より御礼申し上げます。
 
 今回ご要望させていただいた3件は、いずれもわが県の発展と、県民生活の安全・安心にとって、いずれも欠かせない重要なものです。私も引き続き国政の場で、国の責任による対策の重要性について、お訴えをさせていただきたいと思います。