活動報告

2013-06-08
参議院災害対策特別委員会 質問議事録

○末松信介 自民党の末松信介です。
 今日は、四人の先生方には大変貴重なお話を頂戴をいたしまして、本当にありがとうございます。
 
 最初に、室崎先生にお聞きをします。私、先生のお話を伺うんですけれども、先生は私のことを余り御存じないと思うんですが、よろしくお願いします。

 災害対策基本法の一部を改正する法律案を読んだんですけれども、木を見て森を見ずと、細かくいいこと書いているんですけれども、なかなか全体像がつかめないので、ようやくこの一枚紙の最初の法律、第一弾、第二弾の改正を見比べて分かりました。それで、今回、コミュニティーレベルの計画として地区防災計画が市町村の地域防災計画の中に定められることになったわけなんですけれども、私は、自助の精神というのを、つまり住民参加型の自発的な行動計画として位置付けられることというのは意義があると思うんですけれども、自助を強調し過ぎますと、自助の限界というのは大変早い段階で限界を露呈してしまうというんでしょうか、災害弱者、やっぱりしっかり見守ってやらなきゃならないということ、このことを感じるんです。

 ただ、私、先生にお聞きしたいのは、その災害対応について、その時代のその時点の公助の限界というのはやはり国民に知らしめる必要があるのかどうかということを、このことを先生にお聞きしたいんです。高知県の黒潮町に三十四メートルの津波が来るかもしれないという想定がありますけれども、三十四メートルの堤防は造ることはできないと思うんです。やっぱり逃げる道を探すしかないと思うんですけれども、この点を一点お聞きをしたいんです。
 

 それと──先生、続けてもよろしいですか。林先生もちょっと触れられましたが、私、緊急避難場所についてですけれども、一時的に難を逃れるのが緊急避難場所に対して、中長期的にわたって被災者が生活する場所が避難所とされているわけですけれども、ハザードマップ等を通じて周知徹底することがほぼ義務付けられているというように解釈しています。住民にその相違点を分かりやすく示す必要があろうかと思うんです。第一、この指定緊急避難場所と指定避難所は相互に兼ねてもいいということになっておりますので、余計混乱するおそれもあるわけなんですけれども。それと、この今のお話にあった避難行動支援名簿の作成ですけれども、大変な作業が要ると思うんです、地道にやらなきゃならないという先生のお話があったんですけれども。どこかの新聞は、災害弱者名簿、形だけと書いているんですよね。大阪府〇・四、千葉県四%という、そういう記事もあったんですけれども。

 私は、やはりこの法律案というのは、仏を作ってどう魂を入れていくかということになってくると。だから、いかに人材を育成するか、していく必要があるかということに懸かってくると思うんです。これはもう政治家もそうですし、行政もそうでしょうし、民間もNPOも通じてなんですけれども、うまく運用できるポイント、先ほどお述べになっていただいたんですけれども、更に追加して、これだというようなことがありましたら、先生、御指摘いただけませんでしょうか。


○参考人(室崎益輝君) とても難しい質問なんですけれども。
 まず一点目は、自助、公助、共助の関係をちょっと私の御意見を申し上げたいと思うんですけれども、僕は自助と公助はフィフティー・フィフティーだと思うんです。自助は自己責任、公助は社会責任でこれは責任と義務を伴います。だから、ただ、どちらが重要かとかどちらが余り大切でないということではなくて、僕はフィフティー・フィフティーでどちらもそれぞれが自分の持てる力を全て発揮して責任を果たすという。
 なお、その上で、これは限界があるのは当然です。自助も公助も限界のないパーフェクトなものはなくて、大規模な災害になればなるほどちっぽけな人間の力って限られているわけですから、それは果たすことはできないわけです。その自助と公助の足りないところを共助とか互助とかそういうボランティアケアだとかコミュニティーケアで補っていく、あるいは、これは非常に人間としての助け合いみたいなもの、それがうまく組み合わせるということだと思うんですね。

 そういう意味で、公助の限界を知らせるかどうかということにつきましては、これは二番目の御質問とも関係するんですけれども、一人一人の国民の意識、考え方をやはりこれは、どういったらいいんですかね、啓発をしていくというか、正しい考え方、正しい理解、正しい知識を持っていただくようにやっぱり教育、研修をしっかりしていく。
 ただ、それをするのは公の役割なんです。だから、学校の先生と生徒のような関係で、生徒自身は勉強する気がないといけないわけですけど、学校の先生が生徒の宿題をしてしまってはいけないわけです。ちゃんと力を付くように、地域のコミュニティーなり一人一人の国民が、しっかり災害の危険性なり、そういう例えば避難場所と避難所の区別がちゃんとできるように、それはやっぱり繰り返し教育と、それから実際の訓練、コミュニティーレベルの訓練の中でそれは身に付けていく問題だろうというふうに思いますので、僕は、ハードウエア、ソフトウエア、そこにヒューマンウエアという、やっぱりそこの部分を忘れずにしっかり心掛けていかないといけない。
 ただ、それは個人の問題にしてしまってはいけない。その、意識が低い、あなたは意識が低いから死ぬんだとかということではなくて、そういう意識の高い国民をどう育てるかということを公がやる、これについては公の限界は僕はないと思うし、しっかりサポートして国民を応援すればいいんではないかというふうに思っています。
 以上でございます。


○末松信介 ありがとうございます。
 次に、石巻の市長さん、亀山市長さんにお聞きをしたいと思います。
 私、兵庫県選出の神戸市出身の議員なんですよ。阪神・淡路大震災のときは県会議員をずっとやっておりました。
 だから、復旧復興途上は見てきたわけなんですけれども、大変な御苦労をされておられますことに本当に感謝と敬意を表したいと思います。
 私は、阪神・淡路大震災のときの焼け跡とかビルの倒壊跡を見て恐怖感を感じたんですけれども、石巻のあの状況を見て、瓦れきの荒野を見たら力がなくなると、虚脱感、脱力感を感じた、そういう大きな違いがございました。

 三月の二十三日に石巻の市役所に行きました。待合室は避難者の方がもうおられまして、そこで一生懸命職員の方が仕事をされていたんですけれども、兵庫県の応援職員に会うことができたんですけれども、その方々といろんな意見交換を最近もずっとやっているんですが。

 
 そこで、今日のお話はちょっと懸け離れるんですけれども、実は宮城県から兵庫県へ百三十人の職員が応援に行っておられます。兵庫県警の二十一名も合わせて、含んでおりますね。技術屋さんが不足しているとか、事務の方も不足しているという話も聞くんですけれども、自主的に兵庫県が応援に出しているというんでしょうか、行っている職員、つまり県が元々派遣している職員ですね、この方が一つ。もう一つは、被災地からの要望を取りまとめて総務省からの要請を受けて派遣している職員がおられるんです。市長御存じのとおり、任期付きでOBなど雇用をしております。兵庫県は三十名なんですけれども、県も行革を進めていますから、やりくり大変なわけなんですよね。
 こうした大災害が起きた場合は、任期付職員の採用などはもう国が統一的に行って、そして割り当てていった方が効率的で効果的じゃないかということを、そういうことを言っているんですけれども、私は現場のことがよく分かりませんので、市長の御見解を伺いたいということ。これは、大規模災害の復興に関する法律の五十三条、五十四条の職員の派遣の要請に関係してくる話でもあるわけなんですけれども、お教えをいただきたいと思います。
 それと、相変わらず国への調整のための書類提出が多いという御意見もあるんですけれども、これは事実か否か、教えていただきたいということ。
 それと最後に、市長が今、いろんな悩みがあるんでしょうけれども、一番悩んでいること、苦しみは何かということ、差し支えなければお話しください。三つです。

○参考人(亀山紘君) 発災から、たしか三月十一日から二週間後だったんですけれども、二十三日に関西連合の兵庫県それから徳島県、鳥取県の皆さんが石巻に入っていただきました。

 そういった現在、もう本当に混乱している中で、避難所の運営とかあるいは罹災証明の発行とか、いろんな事業にお手伝いいただきまして、本当にありがとうございました。多くの職員の方々が震災に駆け付けていただきまして、いろいろと、今時点でも約百六十数名の方が、圏域外の職員の方々が復旧復興にお手伝いをいただいております。本当にありがとうございます。
 そういった中で、やはり今後の大規模災害になった場合に、こちらから要請したわけではなくて、本当に、プッシュ型で入っていただいた職員の方々も大勢おりますけれども、これは、私、被災地からすると、やはりいち早くそういう任期付職員とかあるいは技術者を持った方々の雇用を進めていただいて、そして被災地に送り込んでいただくということが一番被災地にとっては有り難いと思っておりますし、効率よくできるんではないかというふうに考えております。
 一点目はそれだったですね。二点目については……


○末松信介 二点目の質問は、まず、国への書類提出が多いかということと、お悩み、一番悩んでいる点、教えてください。


○参考人(亀山紘君) 二点目は、国との調整については、今、かなり国から担当の方が頻繁に入っていただいておりますので、そういう意味では、今は復興事業については非常にスムーズにいっております。そういう意味では、本当に、地元に入って、そして支え合っていただいているということで、大変有り難く思っております。
 それから、今一番やっぱり私どもが苦労しているといいますか、住宅の再建を今進めているわけですけれども、やはり土地の買上げ、これがまだ石巻の場合遅れておりまして、どうしても、国土調査が終わった地域は間もなく買取りを始めるんですけれども、まだ国土調査が済んでいない地域が特に被災した南浜町とか中心部に多いものですから、そこのこれからの測量が入ってくるということで、買上げするまでにこれから一年近く更に掛かってしまうというようなことで、それが買上げが進まないとなかなか住宅の自立再建もままならないというところもありますので、何とかその辺の進め方については、これまでも御指導いただいておりますけれども、自治体としてもとにかく加速していきたいというふうに、それが一番今課題として残っております。
 以上です。


○末松信介 磯辺参考人にお聞きをします。
 東京におられて東日本大震災の災害取材もされましたし、阪神・淡路大震災からずっと災害の取材、報道を続けてこられたと。関西の新聞業界では大変著名であるということをお聞きをしております。
 それで、私、お聞きしたいのは、非常に災害弱者の方に視点を置かれているということを感じるんですけれども、私が思うのは、どう言うんでしょうかね、磯辺参考人が書いておられることで、特に日本の災害法制というのを、あるいは災害対策基本法、災害救助法、災害弔慰金法などパッチワークだとして、しかも防災対策や短期的な救援しか考えていないと、中長期的な法制度が必要だということを述べておられるんですけれども、これはある面で一つのパッケージとして、災害に遭って、そして自立していくまでの法律をパッケージにしていった方がいいのかどうかとか、どういうようにしていくことが一番正しい方向性なのかということをお考えかということをお聞きをしたいと思うんです。
 
 それと、復興は十年、二十年で終わらないということをおっしゃっておられます。正しいと思うんです。私の事務所に勤めている常勤職員も、長田区でケミカルシューズの経営をされていたんですけれども、工場が焼けて借金をして事業を再開したんですけれども、結局十年後に閉じてしまったと、自主廃業してしまったんですよね。
 非常にそういった方々がおられるんですけれども、やはり災害に対して被害に遭ったときの年齢、資産、被害の大きさによってこれ異なってきます。被害に遭っている場所によっても異なってくるわけなんですけれども、いろんな意味でのそういった災害の弱者という方がおられると思うんですけれども、どういう視点が今後起きてくる災害において考えなきゃならぬ視点になってくるかという点、高齢化はよく言われるんですけれども、この点、もし先生の方で考えられるものがありましたらお話をしていただきたいと思います。

 

○委員長(牧野たかお君) 磯辺参考人、大変恐縮ですけれども、末松委員の質問時間超えていますので、簡潔に御答弁をお願いします。


○末松信介 斎藤さん、済みません。


○参考人(磯辺康子君) ありがとうございます。
 一つの法、災害関連法制を一つのパッケージにしていくというのはとても大事なことだと思います。室崎先生も指摘されておられましたけれども、やはり災害法制を全体を体系化していくという視点が今後求められるんじゃないかなと思います。その形はどういうふうになるのかというのは、私はちょっと法律の専門家ではないので分からないんですが、やはり全体を見通した視点というのはとても必要だと思っています。災
害弱者のことについて言うと、やはり高齢者、障害者についてはかなり対策が進んできているようにも思うんですけれども、例えば首都圏などで大災害が起こった場合には外国人の多さというのは大きな問題になるのではないかというふうに思います。阪神・淡路でもそうでしたけれども、やはり言葉の分からない方、なかなかコミュニティーに溶け込みづらい外国人の方々が支援の網の目からこぼれていったということがございます。そういう方々がたくさんおられるという、言葉が分からない方がたくさんおられるというようなことも考えていただいて対策をしていただくというのが必要じゃないかなと一点思います。
 以上です。

○末松信介 斎藤先生、済みませんでした。時間なくなりました。