活動報告

2012-12-23
宮城県女川漁港、石巻漁港を視察しました

2012.12.22 宮城県女川漁港と石巻漁港の復旧状況を視察してきました
 
全国漁業協同組合連合会(全漁連)の長屋常務理事に同行をお願いし、現地では、宮城県漁業協同組合の麿指導部部長にご案内をいただきました。
石巻の町を通過する時、仮設住宅に隣接する一部の土地で、住宅建設が進んでいるのを見て少し明るい気持ちになりました。
10時頃女川漁港に到着しましたが、かっては町の中心だった漁協の周辺は今は全く建物が見当たらず、復旧工事もほとんど手がつけられていない状態でした。私
たちは宮城県漁協の仮事務所で、女川町の漁業関係者からご意見をいただきました。
地元の熊谷大(くまがいゆたか)参議院議員も話に加わられました。なお地元漁業関係者は、宮城県漁協船渡専務理事、女川魚市場加藤専務、女川魚市場買受人共同組合高橋理事長らの皆さんでした。
伺った主な話や意見は
  • 港湾の中は一応ガレキの処理は終わったことになっている。ただ、それ以外の、自動車の残骸や、その中の遺体など、まだまだ撤去すべき物が沢山残っている。
  • 船を沢山提供していただいたが、獲る魚の種類によってそれぞれ適応した艤装が必要であり、すぐに使えるわけではない。
  • 5t未満の船はかなり確保できたが、5t以上の船の確保はこれからだ。ドックの整備の問題などもある。
  • 県内の漁港については、3種(県事業)、2種、1種とあるが、3種は復旧が進んでいるが、1種は全く進んでいない。全てが同じスピードで進んでほしい。
  • どこが岸壁かも分からなくなった漁港もある。
  • 復旧の契約率が低い。人件費、資財の高騰が入札不調の原因だ、対策が要るのではないか。
  • 復旧では先ず地盤のかさ上げが急務だ。それができないと、流通加工場の復旧は成り立たない。
  • 行政が主体になって共同加工場を立ち上げて、その中に加工業者が入るというテナント方式が望ましい。それなら20社くらいの希望業者があるはずだ。
  • 棚から商品が消えて3年も経ってしまうと商売が成り立たなくなり、事業が継続できない。それが大きな心配だ。
  • 復興より復旧を優先してほしい。
  • 復旧については、現場が使いやすい基金のようなものを創設してほしい。
  • 政治判断、決断でできることが多いはずだ。
  • 繰り越し(特に事故繰り越し)の際、求められる書類が膨大で複雑だ。コンサルタントを雇っているくらいだ。これも復旧の足かせになっている。
その後、石巻港に移動しましたが、途中の桃浦漁港で、県のリードで水産復興のモデルとして民間水産会社と地元漁業者が合同で進めている「桃浦かき生産合同会社」の建設現場も見ました。
石巻港はかなりの復旧が進んでおり、水産加工の工場もいくつか工事が行われていました。(背後の沈下した住宅地域などのかさ上げはほとんど未着手でした)
石巻魚市場株式会社須能社長(水産業ではかなり有名な方とのこと)に、主に以下のような話や意見を伺いました。
 
  • 港にも色んな形態がある。女川や気仙沼港は、地元関係者が集団として港を運営してきたと言えるが、石巻港の場合は、企業や漁業者が個人個人の立場で考えて、港を運営してきた。
  • 石巻港ではすでに6次産業化ができていた。ここでは漁業と水産業は分けて考えなければならない。同じ扱いにすると復旧が遅れる。(漁業と魚肉ソーセージを生産することは明確に異なる)
  • 水産加工業は、団体で戦っているようなものだ。鮮魚を加工し、冷凍する。そして保存し、また解凍して売る。そういった機能が揃わないと石巻が復活したということにならない。
  • 石巻全体としては3割程、水揚げが戻ってきている。
  • 復興基金にはあまり制約をつけないでほしい。
  • 行政・民間とも批判を恐れて大胆な取り組みをしない。これが復旧、復興の阻害要因になっている。
  • 組合をできている業種は水産庁の補助が受けられるが、組合のないところは中小企業庁に頼ることになり、十分な支援が受けられない。
 
お聞きした話は以上のような内容でしたがどれも考えさせられる内容でした。
この後、市場内の事務所で放射線の計測装置も見せていただきました。
なお、石巻市では海岸部では壊れた防波堤がまだ塊のまま放置されており、漁港の復旧とは別に、住宅地のかさ上げも含め、町全体の災害復旧がまだまだ大変だということを実感させられました。

下記は現地で撮影をしてきた写真です。
女川町の中心部(建物が倒しになったまま)



やや活気を取り戻してきた女川漁港
向こうに壊滅した町の中心部がみえる



女川漁港の加工場用地



女川町漁協事務所にて
(写真中央右:参議院議員 熊谷 大先生)



女川漁港でお話を伺いました
(写真右から3番目:参議院議員 熊谷 大先生)



石巻市内の仮設住宅



石巻市内の仮設住宅



石巻漁港 魚の水揚げ風景



石巻漁港にて水揚げされた魚
(写真左:参議院議員 熊谷 大先生)



石巻漁港魚市場前にて
(写真右:参議院議員 熊谷 大先生)



石巻魚市場事務所にて
(写真右:参議院議員 熊谷 大先生)



石巻魚市場事務所内には、放射線の測定装置が置いてあります