活動報告

2012-08-30
参議院消費者に関する特別委員会 質問議事録

 去る8月28日、参議院消費者問題に関する特別委員会において、「消費者安全法」に関し、質問を致しました。
 
 以下、私の質疑の全文を掲載致します。

○末松信介君 自民党の末松信介です。
 岐阜県の渡辺猛之先生が是非この法案は末松さんが質問したらいいというアドバイスをいただきましたので、質問をさせていただきます。
 この法律案について私が感じたことを率直に申し上げます。

 第二十三条の事故等原因調査のところでございます。調査委員会は、生命身体事故等が発生した場合において、生命身体被害の発生又は拡大の防止を図るためとございます。ここで、消費者庁の業務というのは、事故発生主義を基本とするのか、あるいはまた事故予防主義を基本とするのかということをお尋ねをしていきたいわけなんですけれども、私は、願わくば、国民の利益を考えれば予防主義を積極的に採用していただきたいと思うんです。
 もちろん、対象物になります事故の予見可能性が厳しく問われる問題も出てまいります。さらに、消費者の事故の中には消費者の誤使用によるものがたくさんございます。例えば、製造者が想定していなかったような使い方を多くの消費者がしてしまった場合であるとか、あるいは一般的に製造業者が責められないような使い方を消費者がしてしまった場合とか、こうしたケースでございます。
 メーカーの事故の予見義務を課しましても、そこにはおのずと限界が出てまいります。電子レンジを使ってゆで卵を作ろうとした場合には当然破裂してしまいます。質問が始まる前に二之湯先生に聞きましたら、二之湯先生もかつて電子レンジを使って目玉焼きを作ろうとして破裂させたと。基本的なミスがやっぱり多いわけなんですね。
 


配布資料①

 今日、ここに資料をお配りさせていただいておりますけれども、私の地元の兵庫県の消費者生活センターからもこういう話がございました。グミなどのパッケージはよく角がとがっております。スタンディングパウチというように呼ばれているらしいんですが、ある主婦からセンターに相談が寄せられたわけでございます。電話をいただいた主婦の子供が目が痛いと、グミが痛いと泣き出したそうなんです。診断の結果、角膜が傷ついているということが分かったわけでございます。恐らく、プラスチックの多層フィルムで袋がとがっておりますので、それでけがをしたんじゃないかということが言われているんですが。
 行き過ぎた指導というのはメーカーにとっても苦しむ結果になるわけなんですけれども、このスタンディングパウチの場合はパッケージの角を丸くするような改善が求められてしかるべきかもしれないんですけれども、消費者安全基本法というのは、事故発生主義を基本とするのか、事故予防主義を基本とするのか、基本的なところを大臣から御答弁を願いたいと思います。

○国務大臣(松原仁君) 消費者安全調査委員会の調査対象となる生命身体分野における消費者事故等には、実際に消費者の生命身体に被害が発生した事故だけではなく、安全基準の不適合、物品等の破損、故障など、事故が発生するおそれのある事態が含まれております。
 したがって、消費者安全調査委員会は、現に被害が生じた事故だけではなく、被害が発生するおそれがある事態も調査することができ、この場合、事故の未然防止、すなわち予防につなげられるものというように認識をいたしております。
 また、先ほど誤使用のお話がありましたが、事故が発生していたとしても、それが消費者の誤使用によるものであって、それに関係した製品等が消費安全性を欠いていたために被害が発生したものでないことが明らかな場合には、消費者安全法第二条第五項の消費者事故には当たらず、消費者安全調査委員会の調査対象とはなりません。
 一方、いわゆる誤使用による同種の事故が頻発している場合には、そのような誤使用を誘発する要因が製品等にある可能性もあり、消費者事故等に該当し得るわけであります。そのような事案については、いわゆる誤使用を誘発する要因を究明するため、消費者安全調査委員会が事故等原因調査等の対象にすることはあり得ると、このように考えております。

○末松信介君 大臣から積極的な御答弁をいただいたと思います。基本的には、やはり誤使用を誘発するようなことがないようにということですから、事故予防主義に立っておると、そういう認識を持ってこれからも大臣には消費者行政を積極的に進めていただきたいと思うんです。
 


配布資料②

 今日お配りしたこの二枚目の資料、これをちょっと御覧をいただきたいわけでございます。
 実は、私、十年以上前、このベビーリヤカーをデンマークで初めて見たんです。バスの中から見付けまして、同乗者の誰もが面白いな、効果的だな、効率的だなという、そういう話をしたのを覚えております。多分、この委員会の委員の先生方も、何人かの方々は外国で御覧になった方もおられるかと思うんです。
 私はこれを購入しまして、通訳の方に頼んで船便で送っていただいたわけなんですよ。そして、この商品を使おうとしたとき、ふと不安になったんです。それは、便利なものだったら誰だって使うはずだと。ところが、日本で一台も走っていないこと、見たことがなかったことに気付いたんです。当時、私、県会議員をいたしておりましたので、かつて警察委員長もやったことがありますので、兵庫県警にお尋ねをしました。担当者は即答できませんで、後日調べてお答えをしますということをおっしゃったんです。そして、答えを後日持ってこられました。道路交通法上の施行細則に抵触する問題もあって、使用はやめてほしいということを実は言われたわけであります。
 この商品は、恐らく今倉庫の中に眠ったままなんですけれども、やはり今でも使用は認められないものなのかどうか、この商品の危険性と取扱いにつきまして御説明をいただきたいと存じます。

○政府参考人(石井隆之君) 道路交通法第六十条におきまして、都道府県公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、自転車等による牽引の制限について定めることができるとされております。
 御指摘のような子供を乗せるためのリヤカーについても、自転車によって牽引されるものであることから、当該規定に基づき、各都道府県公安委員会がそれぞれの公安委員会規則により道路交通事情等を勘案して牽引の制限等について定めているところでございます。
 大半の道府県公安委員会におきましては、牽引するための装置を有していれば、特段の条件や制限を付すことなく、御指摘のような子供を乗せるためのリヤカーを含む軽車両を自転車によって牽引することが認められているものと承知をいたしております。

○末松信介君 ありがとうございます。
 ただ、局長、私これ買ったのは、子供を乗せようと思うんじゃなくて荷物を載せようと思って実は買ったんですよね。それで、今もう結局このベビーリヤカーはごみになってしまったと。今、できたら、使用できる県もあるわけですね、これ条例上は、何県ぐらいあるか、ちょっと教えていただけませんですか、もし分かりましたら。

○政府参考人(石井隆之君) これ、例えば、先ほどお話ございました子供さんを乗せるという条件で考えてみますと、三十四道府県ができることになっております。

○末松信介君 ありがとうございます。
 兵庫県警はかなり厳しい規制をしておるということがよく分かりました。今となってはごみになってしまいましたので、交通局長の石井さんか大臣にもし倉庫にあったら差し上げたいと思っています。
 ところで、この消費者庁は、この商品そのものは危険でないとおっしゃるかもしれません。どこで走らせるかによって危険になるかどうかという問題が生じてくると。それは承知しておりますんですけれども、消費者庁は、消費者が購入するあらゆるものに対して私は積極的に関心を示さなきゃならないということを思っているんです。二重行政、三重行政、いろんな問題を乗り越えてこの消費者庁は創設されましたので、だからこそ私は目いっぱいいろんなものに関心を示していただきたいと、このことをお願い申し上げたいと思うんです。
 そこで、お尋ねを申し上げます。
 輸入品でもし事故があった場合、その安全性に問題があればどのような手続で改善をされるのか。商社も入っていることもあるでしょうし、いろんなケースがあろうと思うんです。このことを御説明をいただきたいのが一点。
 そして、もう一つ、今TPP交渉参加に関しまして、国家として情報収集に当たっていろんな議論がなされているわけでございます。関税撤廃ともう一つは非関税障壁の問題が議論の対象になっていると思うんですね。予算委員会でもしばしば議論されたんですけれども、TPPは条約、通商協定でありますから、国内法よりも優先をされるということは大体定まった見解となっております。今、日本国内のこの安全基準が障壁となって、外国から見て自国の商品が日本市場へ参入できない、売ることができないというようなことになってきた場合には、いろんな問題が出てくると思うんです。このTPPについて大臣はどういう見解を持っておられるのか、お尋ねをします。

○国務大臣(松原仁君) 消費者庁は、輸入商品に限らず、消費者の安全、安心を確保するため、寄せられた消費者事故等情報について毎週定期公表を行うほか、各事案の内容に応じ、消費者への注意喚起、事業者、事業者団体への働きかけ、関係省庁への具体的な対応要請を行ってまいりました。
 消費者安全調査委員会においても、被害の発生、拡大を防止するための事故原因等を究明する必要性が高いと判断した場合には、事故等原因調査等を行い、提言を行います。これによって、消費者庁として事故等原因調査等によって得られた科学的で専門的な知見を生かして、より効果的な事故の再発、拡大防止策を取ることが可能となるところであります。
 なお、TPP交渉についてでありますが、このTPPの交渉において国益を最大限追求することは当然のことであると、このように考えております。
 消費者担当大臣としては、TPP交渉に限らず、あらゆる局面において消費者の安全が確保され、商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保される等の消費者の利益が確保されるべきと考えており、全力を尽くして取り組んでいくということであります。

○末松信介君 全力を尽くして取り組んでいくというお話をいただきましたんですけれども、大臣、もう一度確認をしますけれども、外国の輸入品でもってけがをした場合に、この場合にどういう手続を取るか、分かりやすく、もう平たく説明をいただけませんですか。

○国務大臣(松原仁君) 具体的には、首掛け式の乳幼児用浮き輪を使用する際の注意喚起をしたりいたしております。これは先般の衆議院のこの委員会で同じように質問が、御自身が、自分の子供がこうやって危なくなったという委員の御指摘もありました。また、これは中国産が多いわけでありますが、日食観察用グラスの使用についての注意喚起をしたり、若しくは、例えばアイパッド・ナノの過熱事故についてアップル社に対して働きかけをするとか、要するに、それぞれの、場合によったらそういった国の、相手の製造元に対してこういった消費者の問題があるということも含め、様々な手法を使って全力を尽くしてまいりたいと考えております。

○末松信介君 分かりました。
 とにかく、松原大臣が今決意を述べられました。安全を確保するという点においては、TPPもそれも関係なく、積極的にとにかく国民の安全を確保するという決意表明だったと思いますので、その言葉を信じてTPPの交渉も見守ってまいりたいと思います。
 それでは、質問に移ります。あともう質問時間六分ぐらいしかありませんので。
 第三十七条の不利益取扱いの禁止についてでありますけれども、何人も規定による処分に応ずる行為をしたことを理由として解雇その他不利益な取扱いを受けないと書かれておりますが、このプライバシーの規定は実際機能するんでしょうか。

○国務大臣(松原仁君) 本規定は、消費者安全調査委員会による調査のための処分若しくは内閣総理大臣の援助の規定に基づく同様の処分に応ずる行為として、生命身体事故等に関する報告や質問に応じる等したものや、衆議院における修正案において、事故等原因調査等の申出をした者が、解雇その他の不利益な取扱いを禁止するものであります。
 事故等原因調査等は、更なる生命身体事故の発生、拡大を防止するという国民の利益のために実施されるものであることから、調査に協力した者や申出者が社会的な不利益を受けることがないよう、事業者等に対し本制度の趣旨を周知するということを努めてまいります。
 また、このような趣旨を踏まえて、運用においても、事故等原因調査で得られた情報や申出に関する情報は慎重に取り扱うこととし、当該協力者や申出者が不利益な取扱いを受けることがないよう注意してまいります。

○末松信介君 これまで雪印乳業とか船場吉兆とか、様々な不祥事が内部告発や匿名通報によって明らかになってきたと思うんです。
 それで、二〇〇六年から公益通報者保護法が施行されました。この法律の目的は、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を守り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することとなっておりますけれども、実際に消費者庁がこの内部告発者の生命、身体、財産を守ることが可能かどうかということを私は知りたいんですね。
 法律、法文が、私は、通報者を守るわけじゃないんです。それは根拠ですよね。問題は、やはり周囲の人間あるいは職場が守ってやらなきゃいけない、そういうことになってくると思うんですけれども、もう一度、大臣の答弁お願いします。

○国務大臣(松原仁君) 公益通報者保護法は、事業者による法令遵守を確保し、国民生活の安全や安心に資する観点から、国民の生命、身体、財産等にかかわる法令違反について公益通報を行った労働者に対する解雇等の不利益な取扱いを制限することを内容としております。
 解雇等の不利益な取扱いは、労働関係に関する個々の労働者と事業主との間の民事紛争であるため、最終的には民事裁判等を通じて解決が図られるべきものであります。したがって、本法は、内部告発者自身の生命や財産を直接的に保護するような制度になってはおりません。
 なお、実効性のある公益通報者保護制度の在り方について消費者委員会等においても審議され、委員会からは、法の見直しのための詳細な実態調査や積極的な周知啓発等を行うように求められており、消費者庁においてこれらの要請に順次対応し頑張っているところであります。

○末松信介君 例えば、何かあって差別をされた場合には民事裁判でやってほしい、職場の中できちっと話し合ってほしいということになってくるんですけど、何度も言うように法律が守ってくれるわけじゃないんですよ、これは。守るのはやはり職場の方や周囲の方になってくるんですけれども。
 例えば、特筆すべきような問題が通報によって分かって改善できたと、そういった場合、これはやはり消費者庁としてピックアップしてでもその方が一体どういう取扱いをされているかということを、半年なり、一回きちっと職場に問いかけて報告を受けるような、そういう仕組みというのは考えたらどうかと思うんですけれども、大臣の答弁を伺います。

○国務大臣(松原仁君) 内部告発者の追跡調査等ということだろうと思いますが、本法が保護の対象としている解雇等の不利益な取扱いは民事裁判等を通じて解決が図られるものであるため、個々の公益通報者について消費者庁はその詳細を把握できるような制度とは現在なっておりません。
 これまで消費者庁では、公益通報者保護制度の更なる運用の充実や効果的な周知啓発の参考とするため、民間事業者及び労働者を対象とした公益通報に関する意識調査や行政機関に対する公益通報者保護法の施行状況調査等を定期的に実施してきており、公益通報制度に対する労働者の意識や事業所等における通報処理体制に対する実態把握に努めてまいりました。これらに加えて、更に今年度は、消費者委員会の御意見等を踏まえ、制度の運用状況等の詳細な実態把握のための調査を行うことといたしております。
 今後とも、公益通報者保護制度の更なる運用の充実等を図るため、公益通報者保護制度の実態の把握に努めてまいります。

○末松信介君 仏を作って魂入れずということだと思うんです。それではとても公益通報してくれる方は増えないと思うんですよ。私はそう思いますよ。そんなことをしてまで、民事裁判まで持ち込まなきゃならぬということでもって、そんな親切心を働かせてくれる人は少ないと思うんで、私は、この点については是非大臣が中心になって、どうすれば社会の問題がもっと浮き彫りになるかということは考えられるべきだと思うんです。
 そのことを強く要望して、質問を終わります。