活動報告

2012-08-30
参議院経済産業委員会 質問議事録

 去る8月28日、参議院経済産業委員会において、災害時における石油の供給不足への対処等のための石油の備蓄の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案」に関して、質問を致しました。 

 質問の議題は主に、エネルギー問題についてです。
 
 以下、私の質疑の全文を掲載いたします。


○末松信介君 おはようございます。自由民主党の末松信介でございます。
 私は、石油備蓄の確保に関する法律改正案についてまず最初に質問をさせていただきたいと存じます。

 昨年三月十一日に東日本大震災が起こりました。三月二十三日に初めて被災地に入ったわけでございます。御案内いただきましたのは、落選中の前衆議院議員の西村明宏先生でございます。名取市、岩沼市、亘理町、山元町といろいろと一緒に連れて回っていただきました。仙台南ジャンクションのところで路肩に車を寄せて最初眺めたとき、海岸線に目をやったとき感じたことは、瓦れきの平野というんでしょうか、あれを見たとき力が抜ける感じがしたんです。脱力感を感じました。私、兵庫県ですから、阪神・淡路大震災も経験したんですけれども、あのときは倒壊したビルの跡を見て感じたことは、実は恐怖感です。恐怖感と脱力感、その感じの差があったなということを、そういうことを実は思っております。
 
 西村さんに、何か不足しているものあるんですかと聞きましたら、衣類とか食べ物は足りていると、困っているのはガソリンだったんですよ。ガソリンスタンドに行ったら、ロープが引かれて、店の前に、結局入れないようになっていたわけなんです。後で理由を聞きましたら、仙台の油槽所あるいは製油所が被災しておると、サービスステーションの従業員が被災をしておられると、道路、港湾、鉄道が寸断されていると、そういったことで原因が分かったんですけれども、十二日たってもガソリンが全く届いていなかったということが、自分が行ってみて分かったことでございます。
 
 そこで、まず最初に、災害対応型中核給油所整備についてお伺いをします。
 本案の衆議院での議事録も実は拝見をいたしました。石油精製品を備蓄できるのは、これ製油所と油槽所がまず一つ挙げられます。もう一つは、地域のSS、サービスステーションが備蓄場所となるわけです。経産省の資料で、製油所、油槽所に四日分備蓄して既存の民間タンクを活用した場合、維持費用が約三十五億円掛かると書かれております。十日分備蓄した場合には、新設タンクと維持費用に三千三百億円掛かるとなっています。そして、最後のこの案二でございますけれども、製油所、油槽所に更にSSが加えられて十日分備蓄した場合には、一兆五千七百三十五億円が掛かることになります。
 先日の衆議院での委員の質問に対して、消費者に最も近いところのSSに新たに中核給油所を設けるという御答弁をされました。箇所数は二千から二千五百か所というように御答弁をされておられます。これは間違いないんでしょうか。その根拠を教えていただきたいのと、それと、ここはちょっと通告部分に入っていないかもしれませんけれども、今回、新たな整備を行うとして地方自治体との協議を求められたわけだと思うんですけれども、その辺りどのようになされたのか、御答弁いただきたいと思います。自治体関係もちょっと入ったら、北神政務官、よろしくお願いします。

○大臣政務官(北神圭朗君) 中核SS事業は二千から二千五百全国であるという御認識は、そのとおりでございます。これ、各都道府県に四十から五十ぐらい置くということで、全国的には二千から二千五百と……

○末松信介君 四十から五十ですか。

○大臣政務官(北神圭朗君) そうですね。ということになっています。
 それで、もう一つの御質問の選定の話です。根拠というか、二千—二千五百の根拠ということにつきましては、厳しい予算の状況の中でできるだけ災害対応能力の強化が必要なところを選ぶと。具体的に言えば、大きく言えば二つ選定の条件がありまして、一つは地理的な要件でありまして、地理的な要件と設備要件ですね。一定のタンク以上を備えているSSだと、これは供給能力に関係してきます。もう一つは緊急対応ということで、消防署とか警察署の近くの立地要件ということも、これも重要です。二つ目は、おっしゃる自治体の考え方ということも十分踏まえないといけないと、自治体とそれが代表する地域の実情というものも十分に踏まえると、こういう二つの要件で中核のSSを選定をしていきたいというふうに思っております。

○末松信介君 どうもありがとうございます。
 法令の根拠も分かりましたし、議事録も拝見しました。北神政務官の答弁も実は拝見したんです。
 それで、問題は、二千五百か所で何ができるかということを尋ねたいんですよ。
 民主党政権は、この、私、調査室からもらった資料には、この三万九千か所のSSに新設タンクを整備した場合こうなるという案が実は一応案として示されておられる、考え方を示しておられると。長期的な需要減を踏まえれば、こういう新設タンクを造った場合には無用の長物になるともいうことも書かれているわけなんですよね。
 しかし、冷静に考えていただきたいんですよ。この度の東日本大震災でガソリンが供給不足状態になって、被災者の方々は長蛇の列をつくられたわけなんです。ガソリンが一番困ったわけなんですよね。じゃ、この被災者の方々のガソリン不足をどう解決するか、この問題を解決するかということ、そのことが私は一番の問題ではなかったかなと、実はそう思っているんですよ。
 これでは、県の中で四十から五十ですね、五十か所とお答えになっておられるんですけれども、これだったら緊急車両と行政目的車以外は給油はされず、きめ細かな対応はできないことになるんじゃないかということを思うんですけれども、北神政務官の御答弁をいただきたいと思います。

○大臣政務官(北神圭朗君) これは委員御案内のとおり、そもそもこの中核SSの趣旨というか考え方は、大規模な災害時のときに、冒頭おっしゃったような混乱状態の中で負傷者とかそういった方が出てくると、そして、そういう救命作業とか、こういったところにできるだけ効果的かつ間断なく石油の供給をして対応するというのがそもそもの趣旨でありまして、ただ、その中で、おっしゃるようなことも、できるだけ可能な範囲で一般車両にも供給することをしたいと、こういう考え方でございます。
 本当はできるならばもう全て対応したいところでございますが、先ほど申し上げたとおり、厳しい予算の中で、当面はちょっとこの東日本大震災の教訓を踏まえてこの緊急車両あるいは行政車両というものを中心に考えていきたいという考え方でございます。

○末松信介君 苦しい財政事情はよく分かります。一応、三万九千か所の中から二千から二千五百か所を絞られたということだと思うんです。全体の、三万九千か所として、六・四%でございます。つまり、一兆五千七百三十億円ということは、全て整備した場合にはこれ一千七億円、約一千億円が新設費用が掛かるという、そういう計算になってくると思うんですよね。
 事業者負担を考えれば、これはもっと少なくなると私は思うんです。石油製品の供給不足といいながら、何かサービスステーションの整備というんでしょうか、それだけに特化してしまった安易な何か私は解決の仕方をしているんじゃないかという実は不安を覚えている。いろいろと、自治体からいろんな書類を上げてもらったりとか、石商からいろいろと計画を出してもらったりとかいう、そういう工夫はなさっておられること分かるんですけれども、何かこの石油供給不足の問題についてはSSの整備事業だけで終わっているような、もうそういう感じをしておりますんですけれども、改めて、もし御見解あれば述べていただきたい。大臣でも政務官でも結構です。

○国務大臣(枝野幸男君) 御指摘のとおり、この中核SSの話だけを取り上げますとそういった印象をお与えをするのかなというふうに思いますが、今般の東日本大震災の反省、教訓においても、実はガソリンスタンドそのものは、例えば被災されているけれども施設ちゃんとあって、実は地域の皆さんにガソリン供給したいというスタンドたくさんあったけれども、そこにガソリンが届かないという、その流通の方が何と言っても一番大きなネックであったというふうに受け止めております。
 これについては、石油関連事業者の皆さんに共同で、そして地域ごとに災害時の石油の供給に関する計画をあらかじめ作成をさせ、災害時にその実施を勧告できるということに決めました。
 今回の大震災の折は、要するに、それぞれふだんは別々に流通させている石油会社の皆さん、だから、タンクローリーがどこにどうあって、じゃ、災害だからこういうふうに届ければ各社共同でここ届けられるとかといったことなどについての、なかなかロジがうまく進まないことが対応が遅れた一つの要因になっております。
 こうしたことについてはしっかりと石油会社にあらかじめの準備をさせて、いざというときに、ガソリンスタンド、動けるところについてはちゃんとお届けできると、この体制の強化は今回の法律でもしっかりと組み込んでおりますので、その中でも特に中核SSについては最優先のお届けをすることで、特に立ち上がりの段階の緊急車両等にガソリンが足りない等のないようにすると、こういう組合せであるということで御理解いただければと思います。

○末松信介君 大臣のお考え、御趣旨、よく分かりました。
 ただ、このSSで備蓄タンクを設置する場合、一か所四千万円と言われているわけなんですけれども、実際掛かった費用というのは平均三千万円であったと。それで、国が三分の二を補助してくれます。事業者負担は残り三分の一で一千万円ということになってくるわけなんですけれども、二十三年度補正で青森、岩手、宮城、福島、茨城県で二百か所で新設タンクが整備をされました。今年は五十六・七億円予算計上されております。秋田、山形、新潟、群馬、栃木、山梨、静岡県で設置される予定ですけれども、それにしましても二千五百か所から更に増強していこうという計画というのは考えを、大臣、政務官、お持ちですか、御答弁をいただきたいと思います。どちらでも結構です。

○大臣政務官(北神圭朗君) 先ほど答弁申し上げたように、今のところはこの東日本大震災の経験を踏まえて災害対応能力の強化が必要なところに限定してこの中核SSというものをやっていきたいと。あと、大臣がおっしゃったように、その全体の供給の連携の計画みたいなものももちろん作って、その全体像でやっていきたいというふうに思っています。ですから、今の時点では二千から二千五百ということでやっていきたいというふうに思います。
 ただ、これは後で質問されるかもしれませんが、もちろん、今、中央防災会議とかでいろんなほかの、首都直下型の地震とか、こういったことも想定をされておりますので、こういったことは、今後、そういった中央防災会議の議論なんかを踏まえてこれもちゃんと検討していきたいということでございます。

○末松信介君 分かりました。
 それでは、ちょっと素朴にお尋ねをしたいんですけれども、そのSS、ガソリンスタンドの地下に埋設されているタンクを、ある面、備蓄に充てられないかという実は考え方なんです。
 ガソリンスタンドというのは、満タン状態のときから、ある一定のタンクから石油製品がなくなれば、POSシステムで常時販売状況が把握されることによって、その油槽所の貯蔵タンクからSSからの依頼なくとも配達がされるという仕組みになっておると。コンビニエンスストアで商品にバーコードを打って、品物がなくなったら配送センターから送られてくると同じ状態なんですよね。
 じゃ、仮に五割なくなってPOSシステムによって貯蔵タンクから、石油元売から運ばれてくるのを、この五割を八割に上げることによって、二割なくなったら配送されてくるという状態にすれば、私は、SSに常に八割状態で石油が備蓄されるということですから、私はある面で新設タンクを設置するよりも有効じゃないかと、コスト面からも有効じゃないかと思うんです。
 それと同時に、やっぱり油槽所とか製油所からガソリンを持ってくるというのは、これはタンクローリー車があって、なおかつ道路も通っているという前提ですよ、これ。このことが前提なんで、私はこういうやり方が正しいと思うんですけれども、いかがなものか。
 そのPOSシステムが、実際今のガソリンスタンドではそういうシステムになっておるんですけれども、もしお分かりでしたら是非お答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(枝野幸男君) 御趣旨のようなことをやっていただければより安全度というか安定度は高まるかなと思いますが、当然、例えば五割減ったときに新たな石油を運んでいく場合と二割減ったところで運んでいく場合とではまさに、何というか、送っていく日常的な輸送のコスト、頻度が高まりますので、そのコストは、じゃ、それを国が持つのかとかということで、なかなか難しい側面はあるのかなというふうに思っております。
 先ほどの話ともつながりますが、今回ももちろん、スタンドにあるガソリンがすぐなくなってしまって供給ができなかったということ以上に、やはり、仮に満タンだったとしても、タンクが満杯だったとしても、恐らく数日で空っぽになってしまうと。ましてや震災直後だとガソリンが足りなくなると今回の大震災で日本中の皆さんが知っていますから、すぐに皆さん駆け込んでガソリン入れられるでしょうから、すぐになくなってしまう。
 いずれにしろ、いかに次を届けていくのかというやっぱり流通のところを、もちろんタンクローリーが災害自体で減ったりとか道路が寸断されたりということの中で、でもいかに届けるかと。この届けるかということについては、例えば食料などについても全て同じ状況があるわけですから、タンクローリーをいかに集約して活用するかというような点さえしっかりと準備ができていれば、逆に道路を、最低限の寸断を解消させるということは、ガソリンの安定供給にとどまらず食べ物などの点まで含めてもやらなければならないことだと思っていますので、そうした総合的な防災対策の中でガソリンスタンドもちゃんと動くということをつくっていくということが、全体としては最も効果的なのではないかなというふうに思っております。

○末松信介君 枝野大臣はなかなか頭の回転が速くて、答弁もなかなかお上手でありまして、それに対して特に反論を加えようという考え方はありませんで、是非、今おっしゃったように、私も、そうなれば、常にタンクローリー車を増やさなきゃいかぬ、人手も増やさなきゃいかぬと、コストも掛かるわけですよ。でもどちらがいいのかということについては、素人考えですよ、一度検討していってもいいのかなということを実は考えております。三万九千か所全部に新設しようというのは、これは一兆五千七百三十五億円掛かりますから、いずれ人口減社会に入っていきましたらこれは無用の長物になりますので、よく理解しております。
 それと、石油商品の備蓄の上積みを四日間をベースケースとしておりますけれども、少し甘いのではないかということを思うんですね。それで、特に首都直下型地震が起きることが予想される東京とか、あるいは首都代替機能を有する関西地方、とりわけ大阪など、より十分な補強をする必要はあるのではないかということを思いますし、東南海・南海地震が予想される地域についても同じことが言えると思うんですが、この辺りについて、どういう形でカバーしていくのかということをお話し願います。

○大臣政務官(北神圭朗君) これも先ほど申し上げましたが、今回の法案というのは東日本大震災の教訓を得たもので、その前提として、全国的な石油供給能力というものが損壊していないということを前提にしているんですね。
 おっしゃる首都直下型とか南海トラフ巨大地震の場合は、これは調べたら、その影響力というのは、燃料供給能力について言えば製油所の石油精製能力の約七九%が影響を受けると、製油所、油槽所内のタンク容量の約六〇%が影響を受けるということで、これは東日本大震災どころではない、非常に供給能力にダメージを与えることになりますので、正直言って、今回の措置というのはそういう応急的なものであって、おっしゃるような首都直下型あるいは南海トラフ巨大地震にはこれでは対応できないというふうに率直に思っております。
 ですから、先ほども申し上げたように、今はこの応急措置をやって、石油元売、自治体とか関連のところの供給の連携強化をするとともに、中核SSの整備をすると。そして同時に、中央防災会議で今まさに首都直下型、南海トラフの関係の被災想定というものをしておりますので、これを踏まえて、今後どうしていくかということは我々としても喫緊の課題だというふうに思っておりますので、これは御指摘も踏まえて検討してまいりたいというふうに思っております。

○末松信介君 ありがとうございます。
 北神政務官、枝野大臣には、是非、防災についてどうあるべきかということは、これは与野党を問わず同じ考え方ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ただ、私、石油供給不足の前に、結局、道路が陥没したりとか倒壊したビルによって道路をふさいでしまって通行が不能になってしまうんですよね。阪神・淡路大震災のときに石油が不足したという経験はないんですよ。道路が渋滞したという経験はあるんですけれどもね。
 だから、結局、それぞれの地域によって特性が全く異なってまいります。それと、産業面での油というのは、産業がストップしますから必要ありませんので、それぞれに与えられる課題というのは異なってまいりますので、その点もよく御理解をいただきたいと思います。
 この問題の最後でございます。まとめて六、七を質問させていただきたいと思うんですけれども、被災地域災害対応型中核給油所等整備事業も、これは被災地の石油確保を目的としたものでありますけれども、この事業の進め方として、地域ごとに地方自治体とSS事業者と石油元売とが協力を構築することが必要だと思うんですけれども、このことについて全国の地方自治体に説明はなされているのかどうかということと、災害時の対応について各自治体がそれぞれ防災計画を持っておられます、この防災計画を策定するに当たりまして、この事業も計画に組み込まれているのかどうか。組み込まれていて当然だと私は思います。自治体の対応がどうなっているのかということを御答弁いただきたいと思います。通告外だったらちょっとお許しをいただきたいと思います。

○大臣政務官(北神圭朗君) これも先ほど申し上げたように、中核SSの選定の中で当然自治体の意向あるいは地域の実態というものを十分に踏まえるということが条件になっておりますので、もう既に役所の方で全国の自治体と連携をして、いろいろ防災協定とかこういったことを結び始めております。あと、石油関係の組合、業界団体、こういったところとも当然連携をしながら今準備を進めているという段階でございます。

○末松信介君 細かく質問をしまして、丁寧に御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、続いて、原発について質問を変えたいと思います。
 原発を存続するか、将来的に廃止をするかということですけれども、原発事故以来、我が国が原発とどう向き合っていくかということが議論されております。今年の一月三十日の参議院本会議でこの問題を取り上げました。私、自分の質問はこうだったんですよね。菅前総理は昨年七月の記者会見で、将来的に原発ゼロを目指すという脱原発の考えを表明されたと、その後、野田総理の施政方針演説では、前内閣の方針を撤回されましたと、原発の存続を長期的に認めるものなのかどうか、方針のぶれ、あるんじゃないかという、こういう実は質問をいたしたわけでございます。
 これに対して、野田総理の答弁の趣旨は、原発の国有化も含む原子力事業体制の在り方、前内閣において何らかの決定があったものではないとしており、また、現時点において政府として方向性を決めているものではありません、いずれにせよ、政府として、引き続き、国民が安心できる中長期的なエネルギー政策の在り方について、幅広く国民各層の御意見をお伺いしながら検討してまいりますとの答弁をいただきました。これ議事録からです。
 さて、今日、おっしゃるとおり、討論型世論調査を行っておられます。意見聴取会ですね。原発について国民の意見集約を図っておられます。原発は自民党政権の中でも進められてきましたので、我が党にも大きな責任があると思っております。民主党政権は、今国会においては、国民の約六割程度が反対されておられる消費税の増税法案につきましても、民主党政権の意思としてその方針を貫かれました。
 そうしたら、この原発についても、今国民の意見を熱心に聞いておられるんですけれども、原発の存否について国民投票で決めるシステムというのは存在しておりません。ただ、いろんな方法があると思うんですよね。多数の意見をもって、それを掌握する考え方だったらいろいろな方法がございます。例えば、各県、県民の全世帯アンケートというのを取っておりますので、毎年やっております。ですから、それに原発の廃止か存続かということについてどうかということを記載してもらって、そして意見集約をするということができると思うんですね。
 もし、国民多数の意見に民主党政権が原発について存続させるかどうかということを決めていくということならば、それはそれでいいと思うんですけれども、私がここでお聞きしたいのは、国民の多数の意見が原発廃止を望むという声であっても、政府は政府の意思として、その国民多数の意見と異なる決定を下す可能性はあるのか、下すことがあるのかということを率直にお聞きをします。これは大臣に御答弁を願います。

○国務大臣(枝野幸男君) 将来のエネルギーミックスの在り方については、国民的議論の中でいただいた様々な御意見について検証会合などを通じて、定性、定量両面から総合的に評価、検証を行っております。今日の夕方、これの第三回会合があって、専門家の皆さん含めた議論を古川大臣から御報告いただけることになっております。
 これについて言うと、何か二択で選べる話ではないというふうに思っております。実際に様々いただいている御意見は本当に多様な御意見があるというふうに思っております。したがって、何か白か黒かで、何が多数でということで単純に決められる話ではないという側面があると思っています。
 一方で、国民の皆さんに御議論をお願いをして、国民的議論を踏まえてということを申し上げてまいりました。したがって、国民の皆さんの意見を踏まえた結論にする、国民の皆さんの意見を無視した結論にはしない、これははっきりしているというふうに思っておりますが。
 繰り返しになりますが、何か白か黒かで国民の皆さんの意見を、しかも機械的に何が多数であるかということを割り切れる性格のテーマではないというふうに思っておりますので、申し上げられるのは、国民の皆さんの声と無関係に、これを無視した形で物を決めることはない、国民の皆さんの御意見を踏まえた判断をさせていただくということだと思っております。

○末松信介君 枝野大臣から、国民の意見を無視したことにはならないだろうというお話がありました。そしたら、国民の多数の意見に沿って決定をしていくということになるんだったら、なくなっちゃうという現時点での私の判断になってしまうわけなんですけれども、大変重要な課題でありますので、それは様子を見守りたいと思うんです。
 そこで、今度は枝野大臣のみのお考えをお伺いしたいと思うんですね。
 自民党政権時代、やらなければならない議論をやっていなかったという実は反省がございます。それは、神学論とも言える哲学論を展開してこなかったことだと私は思うんです。
 財界は原発存続を強く求めておられます。これは、コスト論と財政論とを中心に、国際競争力から後退しないがための原発の必要性を訴えておられます。原発に深くかかわった方がこういうことをおっしゃっておられました。日本では、財政論と安全論と技術論の三点のみでしか原発は論じてこられなかったと指摘されておられます。
 物事には絶対何事も安全だということはなかなか少ないものでございます。こうした原発につきましては、やはり、ある面、神の許す機械、つまりマシンかということを、このことをやはり国民は議論をしていなきゃならなかったと思うんですよね。無神論者の方にとっては甚だ遺憾な表現であるということにはおわびを申し上げたいと思うんです。諸外国はそれぞれ議論を重ねてきた結果、また長い歴史の中で位置付けられた結果、今諸外国では原発がああいう扱いになっているわけなんですね。
 枝野大臣は、原発の存在を必要とする日本にしたいのか、必要としない日本にしたいのか、大臣の今のお気持ちを率直にお伺いします。

○国務大臣(枝野幸男君) 原発を必要としないで済む日本に早くしたいというふうに思っています。

○末松信介君 簡潔で分かりやすい答弁でありましたので、その趣旨で政治行動を取られるということを確信をいたしました。
 それでは、最後、ちょっと二、三分食い込んでもいいですか。はい。火力発電所の技術開発についての質問をさせていただきます。
 原発事故がありまして、この一年半、これから営々と続く原発事故処理と、一方で、再生可能エネルギーへの取組が大きく進みました。しかし、依然として化石燃料を中心としたエネルギーに頼らざるを得ません。火力発電はやはり力の源泉だと思っております。
 関西電力は、二〇一一年度の火力発電の割合を前年度の三八%から六一%へと大幅に増加をさせました。水力発電は一二%、原子力は、今は大飯が若干稼働しましたけれども、二〇一一年度は二六%ということです。新エネルギーは僅かに一%程度であったと思います。再生可能エネルギーの比率は全く小さいわけでありますから、この期間、日本はやはり長期間火力に頼らなくてはいけないと覚悟しなければなりません。
 私、昨年、隣の二之湯智先生と一緒に福井県の高浜原発を視察した後、舞鶴の火力発電所を見学しました。舞鶴火力発電所は、二〇〇四年八月に一号機が運転開始、二〇一〇年八月に二号機が増設されました。関西電力として約三十年ぶりの石炭火力発電所でございます。再熱蒸気温度五百九十五度、関西電力初の超超臨界圧ボイラーです。及び、蒸気タービンを採用しました。一号機、二号機の出力はそれぞれ九十万キロワットでありますから、合計で百八十万キロワットでございます。原発二基分に匹敵するという大変なものでありまして、自分の記憶に問題なければ、恐らく大阪市民の三百五十万人に対応できるという説明であったと思うんですけれども。
 ところで、私の地元姫路市では、一方で、姫路第二発電所が二〇一〇年九月に既存設備を廃止しまして、新たに千六百度のコンバインドサイクル発電方式の設備を順次建設します。発電効率の向上と二酸化炭素の排出量削減との関連性は大変深いわけでございます。経産省の資料を拝見しましたが、発電効率が五二%から五六%まで向上すれば、二酸化炭素の排出量を約七%削減できるそうです。六〇%まで向上すれば、約一〇%削減できるそうです。二酸化炭素の貯留技術を組み合わせると、二酸化炭素排出量をゼロにできるという夢も語っておられます。
 これは本当のことかどうか驚かされるわけなんですけれども、個人的に感激したのは、姫路火力第二発電所では、出力四十八・六五万キロワットですが、千六百度の温度です。これをいよいよ千七百度にすればCO2排出量を約十分の一に削減できると言われておりますけれども、ゼロにするには先ほど申し上げたように貯留技術が必要になってくると。千六百度の発電効率というのは世界最高でございます。既に韓国からも高効率ガスタービン製作社である三菱重工に発注がなされております。
 こうした技術支援を経産省として更に推し進めてもらいたいわけなんですけれども、研究状況と今後の展望を語っていただきまして、私の質問を終えたいと思います。

○国務大臣(枝野幸男君) 御指摘のとおり、火力発電所の発電効率が上がれば、それだけ発電量当たりのCO2の排出量が少なくなるということでございますので、火力発電所の効率向上というのは大変重要であると思っております。
 御指摘のありましたLNG火力についての高効率コンバインのガスタービン、それから石炭火力については石炭ガス化燃料電池複合発電、それから先進超超臨界圧火力発電、それぞれ技術の更なる進化そして実用化に向けて、経済産業省として積極的な支援を進めてきているところでありまして、これを更に強化をしてまいりたいというふうに思っています。
 一方、出たCO2を地中に戻すといいますか、ためるというか、この技術でありますCCSについても二〇二〇年には実用化したいということで、研究開発や実証試験の支援を今進めているところでございます。
 これらの組合せによって、いずれにしろこれからも火力は使い続けるということになると思いますので、その火力をできるだけ環境負荷の小さい形で使っていくということを着実に、できるだけスピード感持って進めてまいりたいと決意をしております。

○末松信介君 ありがとうございました。
 以上で私の質問を終わります。