去る4月2日、参議院予算委員会において、今年度政府予算案に対して質問を行いました。
質問の議題は主に、首都直下型地震に対する備え、首都機能の確保(バックアップ)についてです。
以下、私の質疑の全文を掲載いたします。
○委員長(石井一君) 次に、末松信介君の質疑を行います。末松信介君。
○末松信介君 自由民主党の末松信介でございます。
今日は、大変限られた時間でございますので、早速質問に移りたいと存じます。
私は、首都直下型地震と東南海地震対策についてお伺いをいたします。
去る一月の三十日、総理の所信に対する代表質問をいたしました。
若干納得のいかない答弁でございましたので、今日、御無理を申し上げまして時間をちょうだいしたわけであります。
私、思い出しますのは、実は阪神・淡路大震災が起こる前年、平成六年の七月でありますけれども、地球から数億キロ離れた木星に、あるすい星が衝突をいたしました。
シューメーカー・レヴィ第九すい星というんです。ある学者は、きちっとそのすい星が木星に当たる日時、もう何時何分まで正確に当てることができたんです。
しかし、私たちが今立っているこの地下の岩盤がいつ崩れて地震を引き起こすことになるかということは実は分からなかったと。
同じ科学でもえらい矛盾があるなという、そういう思いをいたしたことがございます。
東大の地震研究所が、四年以内に七〇%の確率で震度七の地震が起こるという、そういう予測を立てておられます。
最近では三十年で七〇%という話も出ておりますけれども。
この発表、昨年九月だと思うんですけれども、総理、聞かれまして、どのように受け止められているかということ、
それとどういう対策を御指示なさっておられるかということ、このことをまずお聞きをしたいと思います。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 委員御指摘のとおり、宇宙のいろんなことが解明されつつある中、我々が住んでいる地球の息遣いが
まだよく解明できていないということは全くそのとおりだというふうに思います。
その中で、今御指摘のように、政府の地震調査研究推進本部は今後三十年以内の南関東におけるマグニチュード七程度の地震発生確率を七〇%と推定をいたしました。
これ、三十年以内と言いましたけれども、あした起こってもおかしくない、今起こってもおかしくないということだというふうに思います。
このような切迫性が高いとされる首都直下地震については、中央防災会議におきまして平成十七年に首都直下地震対策大綱を策定するなど
これまでも対策は進めてきているんですけれども、しかし、今般の東日本大震災の教訓も踏まえて、従前の想定をはるかに超える巨大地震にも耐え得る防災対策が必要との考え方の下で、
首都直下地震についても、被害想定の見直し、首都中枢機能の継続性の確保、帰宅困難者対策などの対策を強化することとしております。
また、首都直下地震対策を含め幅広い防災対策の充実強化を図るため、中央防災会議の下に防災対策推進検討会議を設置をし、
防災対策に係る法制度や災害対応、体制の在り方などについて検討を進めているところでございます。
こうした検討を経て、今年夏ごろを目途に首都中枢機能確保のための当面の対策などを取りまとめることとしており、
その上で来年の春ごろを目途として新たな首都直下地震対策の全体像を取りまとめ、迅速に防災対策の充実強化を図ってまいる所存でございます。
○末松信介君 総理は今、来年の春ごろと言われたんですよね。地震は明日あるかもしれないんですよね。民主党政権の速度でやってくるわけじゃないんですよ。
じゃ、一つ通告していませんけれどもお聞きをしたいんですけれども、昨年の三月十一日、ここ決算委員会中に大地震が起きました。東北で多くの方が亡くなられました。
もしこの建物が壊れたら、国会はどこで召集するんですか。
○委員長(石井一君) 中川防災大臣。
○末松信介君 できたら総理から……(発言する者あり)
○国務大臣(中川正春君) 私が担当なんです、はい、防災の。
それぞれの危機対応という前提の中で想定をしているんですが、官邸機能あるいは国会についても、ここが倒れた場合、
これは市ケ谷の防衛省の中にある対策室といいますか、そうした本部機能を可能にする施設として指定をしてあります。
それから、それが倒れた場合には立川にそういうことを想定をしてということで、まあ順番にあるんですけれども、
恐らく国会自体もそういう中で、同じような形で想定をしていくということになると思います。(発言する者あり)
○末松信介君 今、中川大臣から御答弁をいただきましたけれども、市ケ谷にしても立川のバックアップ基地にしましても、
これは政府の想定であります。確かに、国会の、この国会議事堂が倒れたら、国会で決めておかなければならないことかもしれないんですよ、これ。
もう一度ちょっと、総理から御答弁ください。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) さっきの中川大臣のお答えは政府だと思います。
国会は、これは東京で召集をしていますので、その場所をどうするか、これはなくなった場合には、やっぱり国会の中で御判断いただくことではないかというふうに思います。
恐らく、東京で召集ですから、東京の中でどこかということの検討を国会でされるのではないかなというふうに思います。
○末松信介君 今、野田総理からお話がありましたけど、それほど首都東京、この首都圏が破壊された場合、
それに代わる体制というのが整っていないこれ証拠ですよ、きちっと答弁できないということは。
今、危機管理都市推進議員連盟の会長はどなたですか。御存じですか。超党派の国会の危機管理都市推進議員連盟の会長の名前、言ってください。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 石井一委員長でございます。
○末松信介君 予算委員長が最も注目している今日の質疑ですよ。
きちっとやっぱり準備されて、頭の中を整理して御答弁をいただきたいと、私はそのように思っております。
それで、今回発表されました首都直下型地震、歴史が間違いなく語るように、いつか必ず起こるわけなんですよね。
福島の原発事故は、識者の方、一部の方はこれは危ないという警告を何度も発せられましたけれども、
結局、その対応をまさか起こるまいと怠ったために、実は起きてしまったわけであります。
このような心配から、一月の三十日に私は代表質問で、この首都直下型地震が起きた場合のバックアップ体制についてお尋ねをしました。
でも、総理の答弁を自席で聞いていたんです。私の周辺の議員もみんな驚いたんですよ、余りにも緊迫感がない。
誰が考えたって、それ官僚の方が書かれた答弁ですよ。その後、民主党の姫井さんや公明党の横山さんや、皆さん同じ質問をされましたけれども、
必ずコスト、実現可能性、検討と、この三つばっかりなんですよ。
私が一月三十日に質問して、それから二か月たっても同じなんです。三か月、四か月たって尋ねても、同じ答弁をされますよ。
私は、総理に申し上げたいことは、政治主導でしょう。
少なくとも自分の言葉で、副首都をつくるとか、最低限バックアップ都市は大阪に持っていくんだという、そのことぐらいは私は総理大臣の意思で決めるべきだと思うんですよ。
検討会とか懇話会とか審議会というのは、これは全部隠れみのですよ、隠れみの。
責任を転嫁するためにつくられたものですからね。政治の意思が必要なんです。総理のお考えをもう一度お尋ねします。
○末松信介君 総理のお話も理解はできるんですね。でも、この夏までとか来年の春までとか。
だから、私が申し上げたいのは、今すぐできることは何かということですね。
じゃ、明日あるいはあさって起きた場合に、できることは一体何であったかということは必ず問われると思うんですよ。
だから、総理の言われる速度で地震は来ませんよと、それは中長的に置かれて。
まず、大阪の合同庁舎の四号館ですか、今日お話がありましたけれども、資機材を入れてバックアップができる機能、体制というものを取られるべきじゃないか。
そんなに私は大きな費用が掛かると思えないんですよね。石井委員長だって、今うなずいておられますよ、これ。いや、本当、そうですよ、私はそう思うんです。
もう一度総理の御答弁を求めます。私、間違ったこと言っていると思えないんです。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) だから、別に後ろ向きではないんですよ。やらなければいけないというふうに思っております。
一定の時期にはもう結論を出さなければいけないと思いますけれども、例えば、前、この国会の中で首都移転のための委員会がありました。
そのときも三つぐらい候補地があった中で、慎重な検討が行われた中で、途中でなくなったんですね。
これ候補地の問題は、一つの御意見はあると思いますけれども、様々な御意見ございます。
そういうものを含めての検討を進めて、一定の時期には結論を出さなければいけないというふうに思います。
○末松信介君 それでは、首都直下型地震がどれほど恐ろしいものであるかということを過去の歴史からして、
今、山本一太先生にちょっと提示いただいたんですけれども、これを御覧いただきたいんです。(資料提示)
これは太平洋戦争と、もう一つは過去の地震による被害を見たものです。
実は太平洋戦争、これ、関東大震災は貨幣価値が違いがありますので、このことは念頭に置いていただきたいと思うんです。
日本のストック、資産を一〇〇とした場合に、第二次世界大戦では二五%が、国の二五%の資産が失われた、破壊されてしまったんです。
関東大震災は幾らかといったら、国の資産を一〇〇とした場合に九%が破壊されてしまったんです。
阪神・淡路大震災、どれほど大きいものだと私も思ったんです、経験者として。でも、〇・九%であったんです。
今回の東日本大震災というのはどれだけといいましたら、国全体の資産を一〇〇とした場合には一・四から二・二なんです。
この隣はGDPに対しての毀損率です。戦前はやはり日本の経済、まだまだ弱かったんですね。
実に日本のGDPの一〇〇%近い八六%もこれ失われたということです。阪神・淡路と東日本では二%、三から五%ですから、必ず日本は復興は私はできると思うんです。
我慢すればできるというのは数字上明らかなわけなんです。
これを見て総理どう思われます。関東大震災は九%壊れるんですよ。
だから、東日本大震災、大勢の方が苦しんでおられます、亡くなられました。阪神・淡路大震災も同じです。
でも、そのもう十倍からの大きな影響を受けるんです、被害を受けるんですよ。
だから明日起こってもいいように考えてほしいと言うんですけれども、春だ夏だというスケジュール感でもっておっしゃっておられる。
総理、このストック毀損額、表を出しましたけれども、これを見てどのように思われますか、お答えください。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 大変分かりやすい資料をお示しいただきまして、ありがとうございました。
東日本大震災、資本ストックの毀損額、それからいわゆる全体に占める比率等々、大きな被害でありますけれども、大きな被害でありますけれども、
本当にみんなで頑張れば、復興復旧、これはしっかり対応できる、そういう思いの下でやっていかなければいけないなというふうに思いました。(発言する者あり)
○末松信介君 西田さんがおっしゃったように、首都直下型を見た場合に、ほっておけない大きな話なんですよ。
これを見て、特に首都直下型地震については被害が余りにも大きなものが想定されますので、どうされますかということ。(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) だから、あした起こったときにおいては、平成十七年に作ったときの対応策でこれはやるしかないと思います。
ただ、東日本大震災の教訓を踏まえての対応は、今様々なレベルで検討を進めているものもございます。ということで対応をするということでございます。
○末松信介君 じゃ、ちょっとバックアップ体制の話、少し戻しますけれども、時間なくなってまいりましたので。
これ、国土交通省、東京圏の中枢機能のバックアップに関する検討会、二次取りまとめ、三月二十三日に出たものです、出されたものです。
バックアップ体制が機能を発揮するためには、その場所は東京圏と同時に被災する可能性が低いことが不可欠であると。
同時に被災の可能性については特定の要因を想定しないと具体的な検討ができないが、現実的な判断要素としては、東日本大震災のように、
広域巨大地震や津波、さらには原発事故との複合といった事態を想定する必要があると。まずは東京圏と同時被災の可能性が低いこととなっていますので、
もう既に立川とかいった話じゃないんですよ。立川もやられるかもしれぬという前提で考えてほしいということを言ったんですけれども。
私は、大阪のこのバックアップ機能を持たせるということについては、ここで明確に御答弁をいただいた方がいいと思うんです。
それから、今後は副首都構想とかいうのが進んでいくと思うんですけれども。総理、ちょっとお考えを述べてください。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) いや、ですから、夏ごろまでに検討結果を出すということになっているわけですので、
その検討会をやっているときに私が今方向性を出すというのは妥当ではないと思います。
○末松信介君 ならば、結局、検討会が決まったことは参考にされるというよりも、検討会で決まったことをお守りになっていかれるというように考えさせていただいてよろしいんですか。
政治家としての意思はないんですね。全て審議会、検討会、懇話会といった方針が政府の意思なんですね。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 大事な観点だと思いますが、丁寧な議論も必要だと思うんです。
その議論を踏まえて夏ごろまでに打ち出すということでございますので、そのとき出てきたものについては、それを真摯に受け止めて対応していきたいというふうに思います。
○末松信介君 もう質問時間が二分となりました。今日は二十分しか時間をいただけませんでしたので突っ込んだ議論はできないんですけれども、
とにかく日本のやはり危機に対する管理というのは私はやっぱり甘いと思っています。
最後に、この質問で締めくくりたいと思います。
緊急時、総理の職務継承順位についてお尋ねをいたします。
総理が職務を果たせなくなったときに職務継承順位はどうなっていますか。手際よく御答弁願います。
○国務大臣(藤村修君) 順位が決められておりまして、総理の次に第二順位というんでしょうか……(発言する者あり)第一順位というんでしょうか、副総理、岡田副総理です。
それから、第三順位が……(発言する者あり)第二順位が私、官房長官であります。第四、五、六と……(発言する者あり)三、四、五と、その他、閣僚で今順位を決めております。
○末松信介君 そうですね。私もちょっと調べさせていただいて、まあ御答弁をいただきたかったんですけれども、
一番目は岡田副総理、二番目、藤村官房長官、三番目は農林水産大臣ですね、鹿野さんですね、四番目に文科大臣、五番目に田中防衛大臣が入っておられるということなんですね。
これはよろしいです、このことは。(発言する者あり)川端総務大臣ですね、川端総務大臣ですね、五番目が田中防衛大臣と。
アメリカでは、法律によってその順位は公職で十八番目まで決められているんです。
日本は内閣法によって、内閣法九条によってできるとなっているんですね。承継者を決めることができるとなっているだけなんですよね。
私は、三・一一のこととか、いろいろなことが今後、国際的な危機も起きるかもしれません。
法律でもってきちっと順番を、もっときちっとした人数で私は順位を決めていくべきだと思うんですけれども、総理の答弁をお願いします。
○内閣総理大臣(野田佳彦君) 一つの御見解だとは思います。
ただ、全部で五人、順番付けている人も全て例えば職務できないような状況のときには、残った国務大臣で順位を付けるというルールもありますし、
全部国務大臣がいなくなるような状況の中では、国会で早急に首班指名してつくるという一応ルールにはなっております。
○末松信介君 最後に申し上げます。
阪神・淡路大震災と東日本大震災から得た教訓というのは、一つは想定外という言い訳はできません。
二つ目は、仮定の質問に答えられないという、かつて吉田茂さんが言いましたけれども、
災害対策については仮定の質問に答えられないということはないということ、このことを申し上げて質問を終わります。
ありがとうございました。