174-参-総務委員会-16号 2010年04月27日 平成二十二年四月二十七日(火曜日) 午前十時開会 ───────────── 委員の異動 四月二十三日 辞任 補欠選任 牧山ひろえ君 那谷屋正義君 四月二十六日 辞任 補欠選任 那谷屋正義君 松浦 大悟君 谷川 秀善君 矢野 哲朗君 四月二十七日 辞任 補欠選任 末松 信介君 中山 恭子君 ───────────── 出席者は左のとおり。 委員長 佐藤 泰介君 理 事 加賀谷 健君 武内 則男君 林 久美子君 礒崎 陽輔君 木村 仁君 世耕 弘成君 委 員 高嶋 良充君 土田 博和君 外山 斎君 友近 聡朗君 内藤 正光君 長谷川憲正君 松浦 大悟君 吉川 沙織君 小泉 昭男君 末松 信介君 関口 昌一君 中山 恭子君 二之湯 智君 溝手 顕正君 魚住裕一郎君 澤 雄二君 山下 芳生君 矢野 哲朗君 又市 征治君 国務大臣 総務大臣 国務大臣 (内閣府特命担 当大臣(地域主 権推進)) 原口 一博君 副大臣 内閣府副大臣 大塚 耕平君 総務副大臣 渡辺 周君 国土交通副大臣 馬淵 澄夫君 大臣政務官 内閣府大臣政務 官 津村 啓介君 総務大臣政務官 小川 淳也君 総務大臣政務官 階 猛君 文部科学大臣政 務官 高井 美穂君 厚生労働大臣政 務官 山井 和則君 国土交通大臣政 務官 藤本 祐司君 事務局側 常任委員会専門 員 塩見 政幸君 政府参考人 財務省主計局次 長 稲垣 光隆君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○地域主権改革の推進を図るための関係法律の整 備に関する法律案(内閣提出) ○国と地方の協議の場に関する法律案(内閣提出 ) ○地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出 ) ○独立行政法人通則法の一部を改正する法律案( 内閣提出、衆議院送付) ○理事の辞任及び補欠選任の件 ───────────── ○委員長(佐藤泰介君) ただいまから総務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、牧山ひろえ君及び谷川秀善君が委員を辞任され、その補欠として松浦大悟君及び矢野哲朗君が選任されました。 ───────────── ○委員長(佐藤泰介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、財務省主計局次長稲垣光隆君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ───────────── ○委員長(佐藤泰介君) 地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、国と地方の協議の場に関する法律案、地方自治法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。 ○加賀谷健君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の加賀谷でございます。 議題になっております地域主権改革関連三法案につきましては、本日を含めると十六時間を超えると思いますけれども、長時間にわたる真摯な質疑と参考人の貴重な御意見を伺い、さらに先日は現地視察もさせていただきました。私は、この質疑を通じ、戦後の地方自治の在り方を大転換するこの地域主権改革の必要性が明確になったと確信をしておりますが、最後に何点か確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。 初めに、地域主権改革推進整備法における地域主権改革の趣旨については、過日の当委員会でも大臣より、地域のことは自分たちで決め、活気に満ちた地域社会をつくることだと御説明をいただきました。私も全くそうあるべきだと思っております。 しかし、例えば今月行われた広島県東広島市の市議補選の投票率が八・八二%しかなかったこととか、これは私の地元でありますけれども、船橋市では合併と政令市移行に関する市民の意見を聞くための市民懇談会、これを昨年の十月から計四回開催をしたわけでございますけれども、いずれも傍聴に来た市民はいなかった、ゼロだった。市役所にお伺いをいたしましたところ、問い合わせもなかったということでございます。 一方で、地方議会においても代議員制が取られており、言い方を変えれば、一般住民有権者は議員に負託をしているわけで、先ほどの低投票率の問題や住民の無関心は悪いことなのかどうかはいろいろな考え方があるのかもしれません。 そこで、大臣にお伺いをいたします。こうした住民の無関心の問題に対し、地域主権改革を通じてどうやってこれを克服していこうと思っているのか、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。 ○国務大臣(原口一博君) 大事な御関心だと思います。 かつて加賀谷委員と、それから今はもう副大臣になられましたけれども内藤さん、それから長谷川さん、行田さんと一緒にシンガポールへ視察に行かせていただいたときのことを思い起こしていました。そのとき、シンガポールは都市国家でございますけれども、小さなころから公に対する教育、公にどのように参加をするかということを、あのときは小学校を御一緒いたしましたが、ICTを通じて公にどう貢献するかということを勉強をされていました。 私は、やはりこの地域主権改革というものは、まさにその中に学びが中心になければいけない、教育が中心になければならない、単なる国の権限を地方に移すという改革ではなくて、自らの地域は自らが責任を持ってつくっていくんだという、まさに国づくりの基本でもあるというふうに考えておりまして、そこで小さなころから公に対する関心あるいは自らが参加をしてつくり上げていく、こういう意識改革が大変大事であるというふうに思っております。 一方、都市部においてはプライバシーや様々なこの間の停滞をした社会も反映してともすれば無関心ということになっておりますが、民主主義は主権者に多くの学びを要求するシステムである、権利というものがあれば、そこにはそれに応じた大変大切な責任もあるんだということをしっかりと小さなころから社会が共有し学びを共有すること、これが一番であるというふうに考えております。 ○加賀谷健君 ありがとうございます。 今、シンガポールの話が出ました。まさに、あそこでICTを使った教育というのを勉強させていただいて、目からうろこといいますか、こういう教育が本当になされている、日本の教育もそういうところへ取り入れていかなければならないなという思いをさせていただきました。私が国会議員になって初めての海外へ行ったチャンスでございまして、大いに勉強になったことを今思い出しております。 今大臣がまさに公教育が必要だということでございますけれども、大臣も、自らの地域は自らがはぐくむんだ、自らの国は自らが参画をして良くするんだ、こういう気持ちを小さいころから教育によってしっかりとはぐくむ民主主義の教育こそが、解という言葉を使われましたけれども、解であると、こう御答弁をいただきました。 私も地方自治はまさに民主主義の学校だと思っております。走りながら考える、制度をつくっていくことも必要と思いますが、制度改革よりまず住民意識の醸成が先との意見もあると思いますが、これは卵が先か鶏が先かの論議かもしれませんけれども、大臣の多くの経験を踏まえて、この辺についての思いがありましたらお聞かせ願いたいと思います。 ○国務大臣(原口一博君) まさに加賀谷委員は私と同じ地方議会の御経験もおありでございますけれども、住民意識の醸成そして制度改革、これは相互に車の両輪として行われていくべきものであるというふうに考えております。 先日、遠野へ視察をした折も、地域に根付く伝統や文化というものの教育、これがやはり大きな地域づくりに貢献をしておりました。自らの地域に誇りを持って、そして歴史を学ぶことによって様々なそれが行動につながっていく、地域を守ろう、あるいは自分たちの誇りをもっともっと多くの人に知ってもらおう、こういう行動になっていくわけでございます。 一方で、最近は、昨日ICTのある社長さんとお話をしていたら、今の日本の意識の醸成というところでは少し残念なところもあるなとおっしゃっていました。それは、キャリアの中に失敗があることを極端に恐れる。アメリカの社会、私たちは国会のお許しをいただければ、この後、国会の多くの皆様と一緒にアメリカへ行こうと思っていますが、アメリカでは失敗したキャリアというものもそれは逆に大事にされる、失敗をしたんであればもう次は二回失敗しないだろうと。こういう、何回もチャレンジできる、あるいはお互いが地域でつながっていることによってお互いの情報を共有してソリューション、問題解決に向かえる、こういう地域の文化や、あるいは今委員がおっしゃる意識の醸成、これがとても大事だというふうに考えております。 ○加賀谷健君 まさにそういうことになるのだと思います。 住民意識を大きく変える、まさにこのためには学校教育、社会教育が重要であることは論をまたないと思いますけれども、この問題についてさきの参考人質疑で私どもの土田委員が片山前鳥取県知事に質問したときに、土田委員は、若者にいかにその地域主権を含めて国政に参加をさせていくか、この問題について質問をされたと思いますけれども、片山前知事は、教育において政治を実感できる、考える力を付ける取組が必要だ、制度論、機構論だけではなく、一人の市民として自分がどういう政治的課題を実現するのか実践論として学ぶ必要がある、知事としてそういう取組をしてきましたという御意見をいただいたわけでありますけれども、地方自治改革を実践してこられた立場から大変有り難いお話だったなと、こんなふうに思っておりますけれども。 大臣、民主主義の教育が大切、強く今もおっしゃられましたけれども、具体的にどのような取組をしていくべきなのかという思いがありましたら教えてください。 ○国務大臣(原口一博君) まさに片山参考人がお話をされたように、教育、特に参加と協働の経験というのがとても大事であるというふうに考えています。 そこで、やはり地方自治、一番身近なところにあるわけでございまして、そこにどのように小さなころから社会にかかわり、参加をし、そして成功体験を経験をしていくかということが極めて大事であるというふうに思っています。 私たちは、今政府税調において新しい公益税制というものも議論をしています。控除というものを大幅に増額をしていこうと。 ですから、小さくても、例えば小学生であっても中学生であっても高校生であっても、常に社会とのかかわりの中で自分を、いわゆるアイデンティティーと申します自己同一性を再確認していく、この試みが非常に発達の段階においても大事でございます。そして、社会とのかかわりの中で何を実現できたのか。例えば街路に花を植える、その花を植えると春にはきれいなその種が花になります。社会を自分はこんなふうに変えることができたんだ、社会に貢献できたんだと、こういう成功体験を積み重ねていくことこそが、まさに自らが責任を持ち自らの地域をつくっていく、その基になると思います。 そして、もう一つだけ申し上げると、やはり地域の歴史、これをしっかりと学ぶことだというふうに思います。今合併が進んで、先日も公文書をしっかり残そうというNPOの方々とお話をしましたが、合併が終わって、合併が完成して、そこの役所にある文書が散逸をしてしまうと、もうそこの歴史そのものが分からなくなる。こういう具体的な地域の誇りや歩みといったものをしっかりと保存をし、そして教育の中で生かしていく、これがとても大事であるというふうに考えております。 ○加賀谷健君 私も、地域の教育、本当に大事だろうと思うんですけれども、具体的にいざやるとなるとなかなか難しいものがあるのではないか。 学校教育、社会教育の在り方を考えたときには、私は、廃県置藩というか、廃藩置県という言葉があってそういうことが行われたわけでありますけれども、県を廃して藩を置くという、そういうことを考えていく、これが一つの、藩単位の教育というのがまさに今大臣が言われた地域の歴史やそうした地域のことを学べる教育になるのかと思うんです。自治体を藩にすると三百ぐらいになるわけでありますけれども、そういう構想とは少し違うと思いますけれども、江戸時代の藩校であるとか藩学という藩が独自に行っていた教育というのはまさに大臣が言われたような地域に根差した教育ではないかと思いますので、大いに私は学ぶところがあるのではないかと思っています。 教育こそ地域主権で行うべきことだと私は思うんですけれども、民主党が二〇〇六年にまとめた日本国教育基本法案というのがあるんですけれども、公立学校の運営に地域住民が参画をする地域立学校という考え方が盛り込まれております。教育を地域に任せるという考え方について、地域主権改革の観点から、大臣、この辺についてはどうお思いですか、お伺いします。 ○国務大臣(原口一博君) 大変大事な御質問であるというふうに考えております。 先ほど藩校のお話がございましたが、私も、前身が弘道館という藩校でございました。その弘道館では、佐賀藩でございますけど、どういう教育をしていたかというと、先人の様々な偉業を教えていました。例えば、名古屋城それから熊本城を築城した成富兵庫茂安という治水の神様と言われる人がいます。それまで、治水というのは一か所を手を付けると他の箇所から火の手が上がって、まず水争いという言葉に象徴されるように大変厳しゅうございました。しかし、全体を一遍にビジョンを示して、そして佐賀平野という大きな平野全体の見取図をやって工事を進めていったわけでございます。まさに今の治山治水の基となったようなものを出した人ですが、地域で、この藩校でこれを学ぶことによって、私たちはより大きなビジョン、より大きな構想というものの大切さをその藩では教えていたわけでございます。 今委員がおっしゃるように、地域住民が学校等と連携して、地域における教育に、あるいは歴史や文化を醸成する、そういう活動に積極的に取り組まれることを期待をいたしますし、民主党がかつて日本国教育基本法の中にも盛り込まれた公立学校の運営に地域住民が参画する、この地域立学校という考え方についても大変議論を深めていける、そういうものであると、地域主権の基盤として尊重すべき考え方ではないかと私は考えております。 ○加賀谷健君 地域の学校に、公立高校に地域が参加をしていく、これはずっと言われていた課題でございまして、私もPTAなんかをやらせていただいた中では非常に簡単なようで難しいというふうに感じているところでございます。 今日、高井政務官に来ていただいておりますので、この日本国教育基本法を作ったときに、政務官、大変御尽力をされたというふうに伺っております。今の大臣との議論を踏まえて、教育を実際に担当される文科省としてこの地域主権改革の考え方を具体的にどのように教育に取り入れたらいいとお思いか、お伺いをいたしたいと思います。 ○大臣政務官(高井美穂君) 委員から御指摘いただきました日本国教育基本法案、私ども民主党の野党時代に、まさに佐藤委員長にも御尽力をいただきまして、いろいろと御指導いただいた上で、この法案を作りました。 先ほど来、原口大臣からも、また委員からも御指摘があるとおり、本当に主体的に子供たち自身が社会にかかわっていく、政治にかかわっていく、そして広くそのことに対する喜びを感じるということは、まさに教育の分野で最もやっていかなくてはならない大事な部分だというふうに思っています。 御指摘あった日本国教育基本法案の中で、第十一条にも、地域住民の自発的取組が尊重され、多くの人々が、学校及び家庭との連携の下に、その担い手となることが期待されという文言を盛り込みまして、その後の十八条の文の中で、保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家などが参画する学校理事会を設置しという言葉を入れまして、教育基本法案は先般改正になりましたので、我々自身もこういう理念の下に、政務三役として、地域が、現場が、学校が一番まずは原点である、大事であるという理念の下に今文部科学行政に取り組んでおるところでございますが、こうした大きな法案を次々変えるというのはなかなか好ましくないという判断もあり、こうした日本国教育基本法案の考えをベースに、様々な現場主権の、学校主権の改革に取り組んでおるところでございます。 この考え方の具体的な取組については、まさに大臣などとも御相談をして進めていかなければなりませんけれども、こうした考えを基にしっかりと子供たちの地域にかかわる喜び、また地方分権の取組について私どもも努力していきたいと思っておりますし、実際に鳩山総理がこの間触れられた、所信表明でも述べられた人と人とが支え合って役に立ち合う新しい公共の概念というのはまさに委員なり大臣なりが御指摘あったことでございますので、一緒に是非これからも御指導いただく中で前向きに取り組んでいきたいと思います。 ○加賀谷健君 是非、義務教育程度までは地域が中心になってやっていける、そういう教育、住民が参加をしていく、地域立小中学校みたいな私は教育があってもいいと、こんなふうに思いますので、是非御努力をいただきたいと思います。 次に、法案の関係で、義務付け・枠付けについて少し御質問をさせていただきたいと思います。 大臣の大変な御尽力によって長年の習慣が打ち破られつつあることが分かりました。しかし、せっかく今回、義務付け・枠付け廃止、四十一の法律、百二十一条項を改正をいたしますけれども、逆に今後新たな義務付け・枠付けが作られるというような懸念もあるような話も聞いておりますけれども、こういうことになっては意味がないわけでありますから、何かそういうことにならないための政府としての取組がおありでしたらお伺いをしたいと思います。 ○副大臣(大塚耕平君) 御質問ありがとうございます。 今現在は分権委員会の第三次勧告における義務付け・枠付けの残り分についてしっかり対応を取り組んでいるところでございますが、今御指摘のありました今後新たに作られるものに対してどう対応するのか、これは大きな課題であると私たちも思っております。その際、新たに作られます地域主権戦略大綱の中でもそうした新たな義務付け・枠付けに対する考え方もまとまれば盛り込んでいきたいというふうには思いますが、現行においても、例えば地方自治法の第二百六十三条の三第五項に次のような規定がございます。各大臣は、その担任する事務に関し地方公共団体に対し新たに事務又は負担を義務付けると認められる施策の立案をしようとする場合には、連合組織が同項の規定により内閣に対して意見を申し出ることができるよう、当該連合組織に当該施策の内容となるべき事項を知らせるために適切な措置を講ずるものとすると。 つまり、地方六団体にしっかり相談をして物事を進めるようにというふうになっておりますので、これらの現行の規定もしっかり活用して、地方の皆さんの理解が得られるような対応を国として進めるべきものと考えております。 ○加賀谷健君 ありがとうございます。 今副大臣のおっしゃるとおり、この二百六十三条の三第五項にはこのように書かれているわけでございますけれども、この事前情報提供制度も大きな意味があるわけでありますけれども、しかし、この地方六団体への事前情報提供制度は、地方分権改革推進委員会の第三次勧告でも情報提供が行われていない、あるいは情報提供が行われていてもその時期が政府案確定の直前であるという指摘もされているわけでございます。さきの参考人聴取でも同様の御意見がありました。 この事前情報提供制度をしっかりと運用していくべきだとは思いますけれども、なかなか時間の関係でできない部分、通達ということになるのか、伝えるということで終わってしまう場合があるような気がしますけれども、しつこいようですけれども、この辺の問題についてもう少しお聞かせをいただきたいと思います。 ○副大臣(渡辺周君) 今、加賀谷委員から御指摘の点でございますが、平成二十年の九月に地方六団体から必要な措置を講じてほしいという要請がありまして、翌二十年の十月、総務省として情報提供の時期や内容等適切な措置を講じるようにということで各省に措置をしたところでありますけれども、今御指摘がありましたように、例えば閣議決定を待ってから、あるいはぎりぎりになってからでなければ伝えられない、中には骨子程度しか伝えられていないというような意見もございます。 それだけに、我々、新政権になって、まさに国と地方は対等なパートナーであると、つまり国の方針、方策についてもしかるべき時期に速やかに共有できるような形でこれは行っていくべきであるという思いの中で、各省庁に働きかけをしまして、是非とも地方自治体が政策立案をしていく上でそごを来さぬよう、あるいは時間差が生まれないように積極的に適切な措置を今後もやっていきたい、そういう地方の思いにこたえるべく対応してまいりたいというふうに考えております。 ○加賀谷健君 ありがとうございます。せっかく国と地方の正式の協議の場がスタートするわけでございますので、是非そういうことでお願いをしたいと思います。 実は、参考人質疑の中でもあったんですけれども、総人口の二〇%を占める政令市の位置付け、この六団体ということでいえば必ずしも明確では私はないと思っているわけでありますけれども、政令市が抱える独自の問題点もかなり多くあるわけでございますので、地域主権の精神からいえば、今後は自治法の解釈も広げ、政令市や中核都市などもきちんと位置付けて意見が反映できる仕組みがあってもよいのではないかと、こんなふうに私は思っているんですけれども、この辺について、協議会の中では連合という場で入れますよというようなことも書かれているわけでありますけれども、副大臣の方から何かお答えをいただければと思います。 ○副大臣(渡辺周君) この点につきましても再三議論をいただいております。 今、日本中の十九の政令市の人口が約二千六百万人でございますけれども、二〇%に近い割合で、つまり日本人の五人に一人はどこかの政令市に住んでいるという計算になります。そのまさに重さを考えますと、私どもとしては、この政令市を代表する首長さんたちあるいは議会の議長さんたちからこれはしっかり意見を聞くことは、政策立案の上で大事な課題であろうと思っております。 地方自治法上は、今御指摘のように、六団体と同等の取扱いはできないということになっておりますけれども、これはまさに、そうはいいながらも、今申し上げたような重さを考えれば、今後、政令市の代表の方々の声も積極的に聞きながら、しっかりと意見を政策に反映できるように、また対等のパートナーとして是非とも参画していただけるように前向きに考えてまいりたいなというふうに考えております。 ○加賀谷健君 ありがとうございました。是非ともそういう形で政令市の声を聞く場もつくっていただきたいと思います。 政令市に関連して、もう皆さんも御承知だと思いますけれども、名古屋市長の河村さんが、住民税の減税や市議会議員の定数、報酬を半額にするということで議会と激しく対立、対決をしている、このことが大きく報道されておりますけれども、昔の仲間として大臣の御所見をお伺いできればと思いますが。 ○国務大臣(原口一博君) 昔の仲間であり今も総務省の顧問をしてくださっていますんでなかなかコメントしにくいんですが、個別の案件にはやはり総務大臣としては控えますが、一般論として言うと、前回、又市先生にもお答えをいたしましたけれども、議会や議員の役割、これは権利を、市民の、有権者の権利をしっかりと体現する、そういうものであるというふうに考えておりまして、単なる定数削減あるいは報酬が半減といったことに矮小化されてはならないというふうに考えております。これはあくまで一般論です。 それぞれ名古屋には名古屋の御事情があって、私なんかよりも委員長の方がよほど御存じだと思いますんでそちらに譲りたいと思いますが、ただ、これも一般論ですけれども、減税革命というのをこの間、総務省顧問として私のところへ持ってこられました。私たちは新しい公共ということを言っていると、それは大いに結構なことだと。ところが、一万円増税して、国民にですね、そして次のまた一万円を公益に寄附してくれたら五千円お金を返しますということであると、これは市民から見ると一万五千円が財布から出ていくことだと。そうではなくて、二万円減税しますと、市民公益を増進するためには減税が先なんだと。二万円減税して、そして、そのうち一万円を市民公益に寄附してください、五千円はお返ししますよというと、市民から見ると一万五千円のプラスになるんだと。マイナス一万五千円とプラス一万五千円じゃえれえ違いだというお話をされておられたのが非常に印象的でございました。 ○加賀谷健君 難しい質問をして申し訳ございません。 最後になりますけれども、仄聞しますと、何か来年度予算の中でせっかく原口大臣が増やした地方交付税の在り方に財務当局が異論を唱えているといいますか、また少し見直さなきゃいけないんじゃないかというような話をちらっと聞きましたけれども、決してそういうことのないように、地方の固有の財源ということもありますけれども、この辺を是非とも大臣の思いをぶつけていただいて、減額というようなことのないように御努力されることを御期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。 ○末松信介君 自民党の末松信介です。 今日は、多くの質問を通告いたしておりますんですけれども、途中で時間がなくなると思いますけれども、御準備をいただきました政府また政府参考人の方々にその節にはおわびを申し上げたいと存じます。 まず質問は、第一は、鳩山総理退陣と国民の信を問うべきときについて伺いたいと思うんです。 先週水曜日に党首討論が行われました。私、総裁の後ろに座っておりまして、あの角度、テレビに映りませんで、総裁のしりしか映らないんですよ、見えないんです。十日ほど前になるんですが、仙谷大臣は、沖縄普天間基地の代替施設の場所、移設先を五月末までに決定できず鳩山総理が退陣した場合、衆参同日選で信を問うこともあり得ると、これは論理的にもそうなるということを語られたわけであります。前回の党首討論でも谷垣総裁は、普天間問題が五月末までに決着が付かない場合、総理は責任を取るべきであると、そのときは退陣すべきであるということを要求をしました。 私は、総務大臣というのは、外交防衛大臣ではないんですけれども、国内のあらゆる問題に対して意見を持たれて、意見を発するべきであるということを思っているんです。自治体を束ねる立場でありますから、当然のことだと思います。沖縄県民の皆様とか腹案らしき移転先である徳之島島民の方々の思いを考えると、五月末に決着が付かない場合、鳩山総理は責任を取って辞任すべきだと考えられるかどうか、まず大臣の見解を伺いたいと存じます。 ○国務大臣(原口一博君) 末松委員にお答えいたします。 私は、安全保障の問題は、右とか左とか保守とか革新とか、そういったことだけで議論されるものではないというふうに思っています。特に先日、県民集会がございましたけれども、沖縄の思い、沖縄の意思、平時において多くの米軍基地を沖縄が抱えている、その問題について一定のあの県民集会でも示された意思を私たちは非常に重く受け止めなければならないというふうに考えています。 また、お尋ねの問題については、関係閣僚が精力的に取り組んで、アメリカや沖縄あるいは他の地域ともお話をさせていただいている問題でございまして、現時点で一閣僚として、総理の退陣若しくは解散、こういったことに触れるような権限は私にはございません。特に解散については内閣総理大臣の専管事項でございまして、一閣僚としてどうこう言えるという話ではないということは御理解をいただきたいと思います。 その上で、是非これは御協力をお願いをしたいのは、やはりこの長年沖縄が置かれた状況、これをいかに解決をするのか、そしてミニマックスと申しますか、考え得る危機を極小化するためにはどのようにすればいいか。これはだれが政権に就いても厳しいナローパスであるというふうに思います。末松委員は安全保障についても大変な御知見をお持ちでございますので、御指導、御支援を賜れば幸いでございます。 ○末松信介君 原口大臣も平成五年に衆議院選挙に立候補されて負けた経験があります。私もそのときに無所属であって負けたんですよ。原口大臣はそのとき県会議員でありまして、あるサークル、勉強会では大臣は光っておられましたですよ。 私は、政治家というのはやはり常に覚悟を持つということが大事だと思うんです。鳩山総理、見ていまして、私、前には谷垣総裁のおしりしか見えませんけれどもその向こうには総理の顔がしっかり見える距離ですよ、やはり何か気概が伝わってこないんですよね、気概が。何かうつろな表情しか見えないんですよ。決して僕は攻撃しているわけじゃないんですよ。総理を攻撃しているわけじゃなくて、やはりこれは全議員、全国民の代表でありますので、総理というのは、もう少ししっかりとした目力を持ってやっていただければなという、そういう不安を実は持ちました、私は。 ですから、是非、解散権なんかは総理の専権事項であるから大臣は私からいろいろ言及するべき立場じゃないというそれは全くそのとおりだと思うんですけれども、助言は非公式でやはりやられてもいいんじゃないかなということ、私はそう思っています。 それと、この基地の問題というのは、やはり沖縄に七五%の米軍の基地があります。集中していたということもありますので、沖縄県民の方々の負担を軽減してあげるということ、それと普天間の基地周辺住民の方々の安全を確保するということ、これは絶対やってあげなきゃならない。これは一つの国益ですよ。でも、日米同盟も国益ですよね、これは。日米安全保障条約第六条にもいろいろ書かれています。だから、私は、民主党の関係者というんでしょうか、政府の方を見ているときに、国益は何かということ、国益の最大化ということを考えたときに、きょとんとすることがあるんですよ、私は、自民党の議員としては。そのことを念頭に置いて是非政権運営をしていただきたいということを要望したいと思います。 その次に、マニフェストの実施状況について、点数評価した場合どうかということについて伺いたいと思います。 前も見せましたけれども、これが民主党の政権公約、これが自民党の政権公約、どっち見たってデザイン性においても自民党が劣っております。中身においてもどうかなと思ってしまうんですよね。自信があったら麻生総理の顔を入れたはずですよ、入れなかったという。 ただ、私、申し上げたいのは、この中にずっといろいろと時間を掛けて作られて書かれております。しかし、書いたことと現実できることとは全く別であるということを民主党政権が今立証されている一面があるんじゃないかということ、そのことを申し上げたいんですね。各種の歳出メニューについて、財源問題のこととか今日の財政事情につきまして党首討論あるいはあらゆる場所で我が党が指摘をしますと、鳩山総理はあんた方自民党には言われたくないということを、私も二回聞きましたね。そのとき、総理は、失礼な言葉であったということで発言は撤回されたと伺っております。 今日の長期債務残高というのは、原因は、大塚副大臣が一番お詳しいと思うんですけれども、九〇年代の財政出動だと言われますけれども、その一面もありますけれども、やっぱり社会保障費の増大というのが一番大きいんですよね。毎年一兆円ずつずっと上がっていきますから、それに対しての負担についてきちっと与野党で話合いをしてこなかったということも私は一つの大きな原因があるというように思っています。 藤井前財務大臣は、とにかくテレビのカメラを向けられたら、財源はあるんですと、財源はあるんです、予算を組み替えたら出てくるんですよ、無駄を省けば出てくるんですよと再三選挙前に流されたんですよね。そういう状況で、大蔵省出身の藤井前財務大臣がそういうことをおっしゃったら国民はかなり信用しますよね。しかし、結果は今の状況なんですよ。 高等学校の授業料の無償化とか高速料金の無料化とか暫定税率の廃止とか子ども手当、いろいろずっと書かれたんですけれども、今の時点で原口大臣は、二十二年度の予算は通過をしました、可決されました、このマニフェストの実施状況、百点満点で何点ぐらいお付けになることができますか。 ○国務大臣(原口一博君) 末松委員とは、そうですね、あのとき私は五百票差で中選挙区時代の最後の選挙を負けるわけですけれども、山口の旅館で夜を徹して朝までどうやって変革するかというお話をさせていただきました。私は、その後自民党を出て、外からもう一つの競争できる集団をつくりたいということで十四年間頑張ってきました。委員は自民党の中にとどまられて、そして自民党を改革するということで頑張ってこられた。道はそれぞれ違いましたけれども、目指している方向は私は同じだというふうに今も考えています。 その上で、お尋ねでございますが、私ども、自分の総務省行政についてマニフェストを採点せよと言われれば、私は九十点を付けたいというふうに考えています。マイナス十点は何かというと、それは子ども手当です。子ども手当の部分については、やはり私は、現金給付は中央政府、そして現物給付、サービス給付はこれは地方政府がやる、地域主権改革の原則に立ってやるべきだというのが持論でございます。しかし、ここも四大臣会合で今後検討をしていく、サービス給付やあるいは現金給付の在り方についても議論をするということでございますから、道筋は付きました。 一方で、是非国民の皆さんに御理解いただきたいのは、政権交代してすぐ変わるんだというお話を思った方もいらっしゃると思います。もうここにいらっしゃる方には釈迦に説法ですけれども、法律が変わらなければ制度は変わりません。予算がやっと今届き始めるところで、国民の皆様にも安心を感じていただいているのではないかと思います。 また、今委員がおっしゃった財源の問題についても、実際に部屋の中へ入ってみたら金庫は空っぽだったという思いは正直あります。しかし、前政権についても、あのとき、委員覚えていらっしゃいますでしょうか、六百三十兆という公共事業をアメリカに約束をして、社会のインフラをつくるというのはそれはいいけれども、十年後には恐らく維持するお金もなくなるんじゃないかという議論をあのとき真摯にさせていただいた記憶がございます。まさに、私たちは外交、安全保障においてもしっかりと自立した国をつくって、そして国民の安心、安全、社会の安定に貢献をしてまいりたいというふうに考えているところでございまして、今、最後に申し上げるのは、早く出てきて一緒にやりましょうという、そういう思いもございますが、委員のお立場もありますでしょうから、是非近い将来のまた御一緒にやれることを楽しみにしておるところでございます。 ○末松信介君 私は腐っても自民党で頑張ります。腐っているとはまだ思っていませんけれども、腐らないように頑張りたいと思います。 大臣から九十点という点数をお付けになられたわけでありますけれども、そのことにつきましては我々なりに承っておきたいと思います。ただ、お金の掛からない施策、お金の掛かる施策、また全く実現が不可能じゃないかというような施策もありますので、いろいろと評価は難しいと思いますんですけれども、我々自民党は何点かということは点数を付けたことがないので議員団の総会なんかで一遍相談をしたいと思っておりますけれども、とにかく力強く進めてはいただきたいというように思います。 実は、マニフェストの地域主権改革について伺いたいわけでありますが、マニフェストというのは、総務省の官僚で在英国日本大使館に勤務をされたことがございます方、河合さんだったかな、「ユニオンジャックの政治パワー」の中でこう書かれておられます。選挙に際しての政党の公約であるが、単なるスローガンの羅列ではなく、期限を区切って目標を定め、それに対する工程表や財政的な裏付けも含めて有権者に約束するものであると。民主党のマニフェストは、単なるスローガンにすぎないものがあるんじゃないかということを心配をいたしております。事前に明確な目標であるとかそのための工程表とか、確かに抽象的には書かれているんですよね。抽象的には書かれているんですけれども、綿密に具体的には検討されていない、書かれていないものもあるんですよ。私は、やっぱりイメージ先行、スローガン先行で、後付けで何とか無理に法律の形に落としていこうという、そういうように思える箇所が幾つもあるんです。 例えば、民主党のマニフェストにおいては、今回審議になっています地域主権という言葉が、この言葉がこの中には出てくるわけですよ。今審議している法律案は、地域主権改革という言葉が専ら使用されていると。恐らく、憲法を意識せずして地域主権という言葉を多用してマニフェストにも掲げられたと思うんですよ。政権を取った、政権を取ったところでマニフェストの実現が絶対に必要になったと。そのため、取りあえず、失礼な言い方ですけれども、取りあえず地域主権に改革という言葉を付けたというのが本音ではないかということを我々自民党の一部は思っているんですよ。役人の一部も思っているんです。 このことについて、大臣の見解を伺いたいと思うんです。 ○国務大臣(原口一博君) いや、むしろそれは誤解です。これもこの委員会だったと思いますが、私は検証戦争責任という読売新聞のプロジェクトの話をいたしました。私たちが目指してきたものは、民主主義の確立、まさに憲法が前提としている主権在民、この中である意味民主主義の危機があるんではないかと。 私は、この間、委員、夏の選挙でやっぱり寒いものを感じました。それは何かというと、自民、民主、あるいはほかの政党の皆さんと戦っているということもあるんですけれども、それよりも何よりも、この民主主義の外の勢力、もう国会なんか要らないんだ、政治なんかだれがやっても同じだ、そんなこと四の五の言う前にちゃんと決めてくれという、そういう勢力のある意味広がりのようなものを感じて寒くなりました。 私たちは、この地域主権改革というのをそういう軽い思いで使ってはいません。むしろ、憲法九十二条、補完性の原則、こういったものをもっと膨らませていこうじゃないか。昨日も、地方行財政検討会議、この中でも、西尾先生からもあるいはほかの委員の皆さんからも真摯な御議論がございましたけれども、そのような考え方の下でビジョンを数値化して、それと今委員がおっしゃっている前段のところはとても大事で、今日も原口ビジョンⅡを先ほど会見で出させていただきましたけれども、理念やビジョンは数値化して後で検証できなければ、それはビジョンと言えないと。 先ほど自民党さんのパンフレットをお示しになりました。私が自民党に残っていれば、今までこんなことをやっていたという過去を問うマニフェストにしたと思います。これまで政権政党でいらっしゃいましたから、自民党はこういう改革をやってこれたと。 マニフェスト選挙というのは、政権政党は、持っている方は過去を問われます。そして、次の挑戦者は未来を問われます。私たちは未来を国民に問うたわけです。そのビジョンを政策会議の中で、この八か月でどれぐらいできたのか、できなかったのかという検証も併せて厳しくやろうと思っていまして、前段、委員がおっしゃったことはとても大事なマニフェストの論点だというふうに考えております。 ○末松信介君 大臣のおっしゃる趣旨は分かりました。 この地域主権という言葉の定義というのは、礒崎先生と梶田信一郎さん、元兵庫県の総務部長でありましてよく知っておりましたんですけれども、やり取りをずっと聞いておりまして、結果的には新語であるということの結論が出たわけなんですよね。 私は、この今言葉のことだけとらえますと、申し上げたいことは、政権が替わるたびにせっかく作った法律の名前が変わっていくというのは非常に国民にとっては迷惑なことになると思うんですよね。ですから、できるだけ市民権が与えられている一般的な言葉を使っていくというのがふさわしいと私は思っています。恐らく、今日、採決でどなたか討論すると思うんですけれども、そういった趣旨も出てくると思います。でも、大臣が目指されておられる地域主権、地域主権改革的なものというのは私は理解はしたいと思います。 四人の参考人の方が来られました。 東大の長谷部先生はこういうようにおっしゃっておられます。私といたしましては、この地域主権という言葉、これは厳密な法学上の用語としての主権として受け取るべきではなく、住民に身近な問題についてはできる限り地域住民の意思や意向を尊重して決めていくべきだという方向を指し示すにとどまるものと理解しておりまして、その限りでは特に憲法上の疑義を生ずるものではないと考えておりますということが長谷部先生の話なんです。しかし、その先生でも最後はこう言っていますよね。とは申しましても、これはあくまで伝統的な憲法学の理論とは異なる主権概念を前提としたときにはそうした議論の可能性が開かれているということでございまして、こうした言葉遣いをするときには、それが伝統的な主権概念とは異なる前提に立つということははっきりさせる必要があるということは申すまでもございませんとあります。 それと、八木先生、これは自民党推薦の参考人ですけれども、八木先生はこうおっしゃっていますね。本日の議論も中央政府による地域主権の押し付けということであるならば、この指摘も当たっているのではなかろうかと思うところであります。前の文章を省いていますので分かりにくいんですが。いずれにしましても、地域主権というものが何を意味しているのかということについて明確に国民に知らせることなく、あるいは学会での合意もないままに数の力で押し通すのは、これは国民を欺くものであり、まさに鈴木寛文部科学副大臣が言っているとおりの言論テロリズム、あるいはまさにテロリズムではないかというふうに私は個人的に思っているところでございますと。 千葉市長はこう言っていますね。地域主権のことについては特に述べていないんですけれども、私は、そういう意味での、地域主権というのは、地域がまず何をやるべきなんだということがあるんだよ、そういう概念で私はこの言葉があるんだろうと思っておりますという、そういう話でありました。 東国原知事からは地域主権の定義についての話はございませんでした。 いろんな意味で、この法案、強引にお通しになるのかもしれませんけれども、我々としては常に監視をしていくということ、このことについて理解をいただきたいと思います。 ちょっと前後しますんですけれども、馬淵副大臣にお越しをいただいておりますのでお尋ねをしたいと思うんです。実は、地域主権という観点から高速道路の新料金体系についてお伺いしたいと思います。 四月九日に、前原国土交通大臣が突然、上限料金制を設けた新料金制度を発表なさいました。ただし、首都高速とか阪神高速とか本四連絡橋を除いてでありますけれども、新料金は全国一律でございます。曜日やETC搭載の有無の料金差もなく、夜間、通勤などの割引制度もなくすというように私は伺っております。新聞からでありますけれども、伺っております。 政権公約には無料化と書いていた、前原さんは有料化と言った、小沢幹事長は無料化にせいと言った、また前原さんはやっぱり有料化やと言った、参議院の民主党の一部の幹部は参議院選挙後に決めたらええやないかと言ったと。一体何をおっしゃっておられるのか、私、全然分からないんですよね。迷走しているのか。中身は、まずきちっとした意見集約もできない状態でこれを発表されておるのかどうかということなんですけれども。 そこで、私は、民主党政権というのはマニフェストに書いてあることについてどういう責任を持っておられるのかということ、特にこの無料化の財源の裏付けなんかどう考えておられたのかということ、国民に一体今の状況をどういうように説明なさるのかということ、このことをまずお尋ねをしたいと思うんですね。 それで、地域主権という姿勢も大変大事でありますので、この地域主権ということを語られる以上、事前協議を地元と行うのは当たり前だと思うんですけれども、突然発表したと。これは一体どうなっておられるんですか、お尋ねします。 ○副大臣(馬淵澄夫君) お答えさせていただきます。 まず、民主党のマニフェストに掲げた無料化でございますが、これはマニフェストでもはっきりと明記させていただいております段階的実施ということで、この平成二十二年度予算措置を行いまして昨年十二月末公表させていただいたのは、首都高、阪神を除く総延長に対して約二割の無料化をこの平成二十二年度、六月実施ということで進めさせていただいております。一方で、残りの八割に関しては有料部分が残りますので、これにつきましては抜本的な料金の見直しが必要と考えております。 それは、来年の三月末で前政権において措置された二年間の期限付の利便増進事業による割引が、これが終了するということ、また協定上では首都高、阪神高速に関しましては現行の均一料金というものが終了するということ、これを受けまして来年四月以降大幅に料金が値上がりする、そのことについて私どもはしっかりと措置をしなければならないとして、今回新たな上限料金制というものを公表させていただいたわけであります。 さてその上で、今御指摘の地元の調整状況という御質問でございます。過去の料金改定につきましても、これは割引につきましても、物流の効率化あるいは地域活性化などの政策課題、これを対応するために国がまずその方針を示してきたという経緯ございます。 そして、今般、この本四の架橋に係ります高速含め新たな料金割引につきましては、これは関係者に対する事前協議というものが法定されたものではございません。その上で、我々は国会での審議さらにはパブリックコメントなどを経まして、高速道路会社がこれを詳細を検討し国に申請の上、国土交通大臣が決定するという、こういう仕組みになっておりますので、今回、この本四高速を含め私どもとしては公表をさせていただいたということであります。 また、今後、様々な御意見をちょうだいしております本四の高速に関しましては、他の地域との交流、これを含めて四国地域における交通の在り方についての関係者の意見交換の場を設置することとしたことでございまして、今後もこうした御意見を賜りながら丁寧に御説明をさせていただきたいというふうに考えております。 ○末松信介君 副大臣に確認を兼ねて質問をしたいんですけれども。 高速料金を引き上げたり引き下げたりというのは、結局、日本高速道路保有・債務返済機構と道路会社とが協定を結んで、そして道路会社が国交省へ申請をするわけでしょう。でも、今のお話だったら、それは国交省が直接この料金でやりますよということで取りあえずばっと出したと。それで、地元は事前協議はなかったと言っておるんですよ、これ、井戸知事もそうおっしゃっているんですよ、事前協議らしきものが。友愛とか地域主権とか透明性とか、密室でやっているのと変わらないじゃないですか、このやり方というのは。 これ、私が言っていること間違いですか、教えてください。 ○副大臣(馬淵澄夫君) 繰り返しになりますが、私どもとしては政府の方針を示させていただいたということであります。 国土交通大臣認可でございますので、申請が出てきた段階で当然ながらその認可を下ろすのは国土交通大臣、一義的に国土交通大臣が最終決定をするわけでありますが、方針に関しては政策課題として一定の方向性を示す、これが今回の新たな上限料金制度でございました。過去におきましても、前政権、過去におきましてもこのような形で、まずは方針を示してこられました。 私どもとしては、今般、この六月実施に向けて、無料化実施が行われます。それに合わせた新たな料金制度を措置することが必要として四月に公表をさせていただいた。当然ながら、ここから様々な御意見をいただき、国会の審議もございます。ここでは是非、国会での議論をしていただきたいというふうに思っておりますし、またパブリックコメント、これは地域住民の皆さん方の御意見を受けて、道路会社がそれを精査いたします。 こうした上で、最終的には申請をし、それを国土交通大臣が認可するということでございますので、何らこれらに関しては法定された中身の中で進めさせていただいているということで問題ないと考えております。 ○末松信介君 これからの法案の審議の中でいろいろな問題点を浮き彫りにしていって検討もされるというように今私は副大臣の話で解釈をさせていただきました。 ただ、地元との事前協議というのは、結局はこれは今からやるということなんですね、そうしたら。そういうことになるんでしょうね。ちょっと確認させてください。 ○副大臣(馬淵澄夫君) 正確に申し上げると、まず、法案の審議でというのは、法案の審議をしていただきます。これ、法案と料金は別物です。料金は法律事項でございませんので、法案審議の過程の中で料金の議論もしていただきたいというふうに考えております。 そして、地元との調整、これにつきましては、これからではございません、既に四月九日、公表時点から各地方整備局を含めまして自治体との協議を行わせていただいております。 ○末松信介君 四月九日からやっているのは当たり前ですよ、副大臣、公表したんだから。四月九日前から協議というのはやらなかったんでしょうかということを聞いたんですよ。 ○副大臣(馬淵澄夫君) 繰り返しますが、私どもとしては、政府の方針を示させていただいて、そしてこれからパブリックコメント、自治体との協議また国会審議という過程の中で最終的に道路会社が申請すべきものと考えておりますので、そのように進めさせていただいているという
活動報告

2010-04-27
第174回国会 参議院総務委員会 第16号