174-参-総務委員会-9号 2010年03月30日 平成二十二年三月三十日(火曜日) 午前十時開会 ───────────── 委員の異動 三月二十六日 辞任 補欠選任 行田 邦子君 高嶋 良充君 礒崎 陽輔君 山本 順三君 三月二十九日 辞任 補欠選任 木村 仁君 佐藤 正久君 小泉 昭男君 中山 恭子君 山本 順三君 礒崎 陽輔君 三月三十日 辞任 補欠選任 那谷屋正義君 行田 邦子君 ───────────── 出席者は左のとおり。 委員長 佐藤 泰介君 理 事 加賀谷 健君 武内 則男君 林 久美子君 礒崎 陽輔君 世耕 弘成君 委 員 行田 邦子君 高嶋 良充君 土田 博和君 外山 斎君 友近 聡朗君 那谷屋正義君 内藤 正光君 長谷川憲正君 吉川 沙織君 佐藤 正久君 末松 信介君 関口 昌一君 谷川 秀善君 中山 恭子君 二之湯 智君 溝手 顕正君 魚住裕一郎君 澤 雄二君 山下 芳生君 又市 征治君 国務大臣 総務大臣 原口 一博君 副大臣 総務副大臣 内藤 正光君 大臣政務官 総務大臣政務官 長谷川憲正君 文部科学大臣政 務官 高井 美穂君 事務局側 常任委員会専門 員 塩見 政幸君 政府参考人 総務省情報流通 行政局長 山川 鉄郎君 総務省政策統括 官 原 正之君 参考人 日本放送協会経 営委員会委員長 小丸 成洋君 日本放送協会会 長 福地 茂雄君 日本放送協会副 会長 今井 義典君 日本放送協会技 師長・専務理事 永井 研二君 日本放送協会専 務理事 金田 新君 日本放送協会専 務理事 日向 英実君 日本放送協会理 事 溝口 明秀君 日本放送協会理 事 八幡 恒二君 日本放送協会理 事 大西 典良君 日本放送協会理 事 今井 環君 日本放送協会理 事 黒木 隆男君 日本放送協会理 事 塚田 祐之君 日本放送協会理 事 吉国 浩二君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○参考人の出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付) ───────────── ○委員長(佐藤泰介君) ただいまから総務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、行田邦子君、木村仁君及び小泉昭男君が委員を辞任され、その補欠として高嶋良充君、佐藤正久君及び中山恭子君が選任されました。 ───────────── ○委員長(佐藤泰介君) まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(佐藤泰介君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に礒崎陽輔君を指名いたします。 ───────────── ○委員長(佐藤泰介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省情報流通行政局長山川鉄郎君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ───────────── ○委員長(佐藤泰介君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会の協議のとおり、日本放送協会会長福地茂雄君外十二名を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(佐藤泰介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ───────────── ○委員長(佐藤泰介君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。原口総務大臣。 ○国務大臣(原口一博君) おはようございます。 日本放送協会の平成二十二年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、総務大臣の意見を付して国会に提出するものであります。 まず、収支予算について、その概要を御説明申し上げます。 一般勘定事業収支につきましては、事業収入が六千七百八十六億円、事業支出が六千八百四十七億円となっており、事業収支における不足六十一億円につきましては、財政安定のための繰越金の一部をもって充てることとしております。 一般勘定資本収支につきましては、資本収入が九百六十一億円、資本支出が九百億円となっております。この資本支出において、地上デジタル放送設備の整備など建設費七百九十億円を計上しております。 次に、事業計画につきましては、多様で質の高いコンテンツの提供、受信料の公平負担の徹底、円滑な完全デジタル化に向けた取組等が盛り込まれております。 資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。 これに付する総務大臣の意見といたしましては、これらの収支予算等について国民の協会に対する意見、要望等を踏まえて着実に遂行すべきものと認めた上で、収支予算等の実施に当たって、一、国民目線の放送を充実させること、二、平成二十三年七月のデジタル放送への完全移行に向けた対応に万全を期すため、受信環境の整備に関して、公共放送としての役割を十二分に果たすとともに、デジタル放送日本方式の国際展開に積極的に取り組むこと、三、業務全般を国民の目線に立って見直し、合理化、効率化に努めること、四、受信料の公平負担の徹底に向けて全力で取り組むことなどの点に特に配慮すべきであるとしております。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。 以上です。 ○委員長(佐藤泰介君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。福地日本放送協会会長。 ○参考人(福地茂雄君) 皆様、おはようございます。 ただいま議題となっております日本放送協会の平成二十二年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。 平成二十二年度は、三か年経営計画の二年目として、新たなデジタル時代に向け、諸計画を達成するための取組を確実に進める重要な年度であると考えております。 事業運営の基本となる放送においては、放送の自主自律を堅持し、正確で公平公正な放送に努め、信頼できる情報や多様で質の高いコンテンツを積極的に提供するとともに、多様化する視聴者の期待にこたえる情報番組や地域放送の充実等に力を注いでまいります。また、国際放送による日本とアジアの情報発信の強化に努めてまいります。 あわせて、組織の改革に全力を傾注し、視聴者からの信頼を高めるとともに、構造改革を推し進め、取材、制作の体制を強化し、効果的かつ効率的な業務運営を行ってまいります。 協会の主たる財源である受信料につきましては、受信料制度への理解を促進し、公平負担に向けた取組を強化するとともに、一層効率的な契約収納活動を推進します。 円滑な完全デジタル化に向けて、デジタルテレビジョン放送の普及に努めるとともに、国や一般放送事業者と協力した受信環境の整備を進めてまいります。 次に、建設計画におきましては、平成二十三年のデジタルテレビジョン放送への完全移行に向け、放送設備の整備などを計画的に実施いたします。 以上の事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入六千七百八十六億九千万円、国内放送費などの支出六千八百四十七億九千万円を計上しており、事業収支における不足六十一億円につきましては、繰越金の一部をもって充てることとしております。 また、資本収支につきましては、支出において建設費など総額九百億円を計上し、収入には、それに必要な財源及び事業収支の不足を補てんするための財源として、前期繰越金、減価償却資金など総額九百六十一億円を計上しております。 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。 以上、平成二十二年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会の改革に向けたこれらの施策を一つ一つ着実に実行し、視聴者の期待にこたえていく所存でございます。 委員各位の御理解と御支援をお願いし、あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。 ○委員長(佐藤泰介君) 以上で説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。 ○林久美子君 民主党の林久美子でございます。 どうぞ、本日はトップバッターということでございますが、皆様よろしくお願いを申し上げます。 さて、完全デジタル化を前に、テレビの世界も新しい時代に入ったということになるかと思います。そうした中で、NHKさんは、今更申し上げるまでもなく、国民の皆様からの受信料によって経営をしていらっしゃるということで、新しい時代に向けた新しい経営の在り方もこれから問われていくことになるのではないかなというふうに感じております。本日は、そうした思いで御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 それでは、まず受信料の収入の見込みについてお伺いをさせていただきたいと思います。 平成二十一年度から二十三年度の経営計画では、平成二十二年度は受信料収入を六千六百四十億円とされておりました。しかし、今回提案されている平成二十二年度の予算案におきましては、受信料収入を経営計画よりも九十億円も少ない六千五百五十億円と見込んでいらっしゃいます。 この受信料収入の見込みが大きく下回るということは、経営計画そのものにも大きな影響を与えるのではないかというふうに考えるところでございますが、まずは、この予算案の受信料収入が経営計画よりも九十億円も低くなっている、そのことについての理由をお伺いをさせていただきたいと思います。 ○参考人(福地茂雄君) 御指摘のとおり、明平成二十二年度の収納計画は六千五百五十億円でございまして、これは過去最高ではございます。しかし、御指摘のとおり計画に比べますと九十億円低くなっております。 大変予測の幅を大きく超える景気変動によりまして、一番大きな原因といたしましては、生活保護世帯、ここの皆さんの受信料免除、これの増加が極めて急速に増加をしております。例えば、平成十六年、十七年、十八年、十九年、この四年間は前年度に対して大体五万世帯ずつ増えておりました、この生活保護世帯が。それが昨年度は何と十七万世帯増えました。今年は二十万世帯増えました。これは予測の幅を大きく超えるものでありまして、当初の収納計画どおりいかなかったというのはこの辺が大きく影響しております。来年についても予測を許しませんが、恐らく十五万世帯前後は増加するんではないか。 ただ、私どもはこれをもってよしとするのではございません。やはり当初の計画に向けて、契約活動とそれから収納活動を積極的に取り進めていく。ただ、当初の予定をそのまま掲げまして支出計画を立てますと後に大きなそごを来します。そういったことで、当初を九十億円下回る計画を提出したわけでございます。 以上でございます。 ○林久美子君 景気の低迷に伴って受信料の免除申請をされる生活保護世帯が増えたことが大きな原因であると、これから先を見通して、そのままでいくと収支も合わなくなるし大変なことになるので今回は低く抑えたんだという御答弁だったかというふうに思います。 しかしながら、そういった現状に対応していくという一方で、経営計画では平成二十四年度から受信料を一〇%還元をするんだということを提言をしていらっしゃいます。これだけ今おっしゃったような厳しい状況の中で、この一〇%の還元というのが本当に可能なのかどうか、実現できるのかどうかということについてはいかがでしょうか。 ○参考人(福地茂雄君) まず、三か年計画の考え方でございますけれども、私どもといたしましては、まずはこの三か年計画を達成するということがまず第一の目標でございます。三か年計画自体は、放送の充実でありますとか、公平負担に向けた支払率の上昇でありますとか、あるいは関連団体の問題でありますとか、組織風土の、何といいますか改革、そういったことでございます。 そういったことと同時に効率化を進める。効率化を進めた結果として三か年計画が達成された暁には、一〇%の受信料の還元が可能であるという経営委員会の修正動議に基づきまして決定いたしました。私どもは、現在が大変厳しい状況ではありますけれども、まだ三か年計画の初年度でございます。この実現に向けて努力をしてまいる所存でございます。 以上でございます。 ○林久美子君 それでは、この経営計画が達成できなかった場合、仮に、こうした場合には一〇%還元は実現されないということになるんでしょうか。 ○参考人(福地茂雄君) まずは、NHK八十数年の歴史の中で今まで受信料を下げたことがございません、受信料の引上げはございましたけれども。そういった状況の中で、この受信料一〇%の引下げというのは極めて大きな議決であることには違いありませんけれども、まずは私どもは三か年計画を達成していく。ただ、NHKにはストックがあります、その繰り越してきた。このストックというのは、私はあくまでもストックは一時的な支出に備えるものであって、受信料の引下げというのは毎年毎年その収入と支出の差額の中から引下げが可能だと、そういうフローの中で私は受信料の引下げを行うのが考え方であろうというふうに思っております。 そういったことで、この三か年計画の達成がおぼつかないようでありましたらそういったことも可能でありますけれども、まずはまだ、初年度は明日で終わるわけです、あと二年間全力を投入して達成できるように努力するというのが私どもの覚悟でございます。 以上でございます。 ○林久美子君 それでは、一〇%還元の方法としては、具体的には受信料を下げるということで考えているということなんだろうとは思うんですね。しかしながら、経営計画が達成できなかった場合にはまた違った判断ももしかしたら出てくるかもしれないが、まずは経営計画を達成することに全力を傾けたいということなのだと思います。 ただ、やはり現場の皆さんも非常に御努力をいただいて、経費節減の中で質のいい番組を作ろうと取り組んでいらっしゃるということはもう重々承知をいたしておりますが、やはりそれをNHKさんそのものを支えてくださっている視聴者の皆さんに還元をしていくと。これまで八十年の歴史の中で受信料を下げたことはないんだという御答弁ございましたけれども、やはりそれは果敢な歩みを進めていただきたいということを切に私の方からはお願いをさせていただきたいというふうに思います。 それでは、変わりまして、次に経営委員会についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。 今の質疑の状況を御覧いただいてもお分かりいただけますように、受信料もなかなか景気が悪くなって徴収が思うように進まない、あるいは一方で質のいい番組を作ろうと思うとそれなりのやはり経費も掛かってくる、デジタル化も控えているということで、いろんな障害を乗り越えながら、なおかつ受信料を納めてくださっている視聴者の皆さんにこたえる放送をしていこうということで御努力をいただいておりますし、より一層の御努力をNHKさんにはいただかないといけないというふうに思っておりますが、やはりNHKさんの特徴というのは、受信料に支えてもらっているという公共性、ひときわ高い公共性にあるんだというふうに思っております。 そうした観点から考えますと、我々の携わっている政治が税金を納めてくださっている国民の皆様の生活実感と余り乖離をしてはいけない、なるべくならその生活実感をきちっと反映をした政策を、政治をしていかなくてはならないというのと同様に、NHKさんの経営そのものについても、やはり受信料を納めてくださっている皆さんの感覚となるべくフィットをする、マッチをする、そういう経営でなくてはならないんだというふうに私は思っております。 そうした中で、NHKさんの中には経営委員会というものが置かれています。経営委員会とは放送法によって位置付けられているんですが、協会の経営に関する基本方針などの議決を行う機関であるというふうになっております。委員は十二人、任期は三年、そして委員は再任されることができるということになっております。 そこで、お伺いをいたします。この経営委員会なんですが、平成二十一年度は何回開催をされたでしょうか。 ○参考人(小丸成洋君) 皆様おはようございます。経営委員長の小丸でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 まず、林委員の御質問でございます。 基本的に経営委員会は月に二回開催をいたしております。必要に応じて臨時に開催することもございます。平成二十一年度につきましては定例の開催が二十三回ございました。また、臨時に一回開催しておりまして、計二十四回でございます。なお、二日間にまたがって開催する場合もございますので、二十五日というふうに御理解していただければと思います。よろしくお願いします。 ○林久美子君 二十五日間というお答えでございました。 委員会の開催時間をちょっと事前に私お話を聞かせていただいておったんですが、一回当たり三、四時間というのが通例のようにお見受けをいたしております。二十五回開催をされて、一回当たりの会議時間が三、四時間ということになるわけでございますけれども、経営委員会の方は、委員の方は十二人いらっしゃるわけですが、そのうち何人の方が常勤で、何人の方が非常勤なのかと、常勤、非常勤の方のそれぞれの報酬の額をお教えいただいてもよろしいでしょうか。 ○参考人(小丸成洋君) 今、経営委員会は十二名でございまして、常勤が一名おります。 先ほど林先生おっしゃったんですけれども、大体三時間から六時間、少なくとも四時間から六時間ぐらいの会議をやっておりまして、これには会議の前の打合せ等も含みますので、あるいはまた地方から出席される委員の移動時間はそれには含まれておりませんので、参考までに申し述べたいと思います。 それから、報酬の件でございますけれども、常勤の委員は月額百四十一万円で、期末報酬を含め年間報酬は二千二百五十六万円でございます。それから、非常勤につきましては、月額三十一万六千円から三十九万六千円で、期末報酬を含め年間報酬は五百六万から六百三十三万円となっております。なお、監査委員を兼務している経営委員につきましては、非常勤の委員のみ月額報酬十五万八千円を加算をしております。 以上でございます。 ○林久美子君 常勤の方がお一人、非常勤の方が十一人と。常勤の方は二千二百万円を超える報酬、非常勤の方は五百六万円から六百九十六万円でございましたね。開催時間は、今六時間というお話もありましたが、私が調べたところによると、二十五回のうち六時間の会議をしていらっしゃるのは三回しかございません。おおむね四時間ぐらいというところでしょうか。 となりますと、一番非常勤の方で報酬の少ない五百六万円の方をモデルに考えても、一回当たり会議二十一万円、四時間ぐらいしたときに一時間当たり五万円の報酬が支払われているという計算になるわけでございます。こうした報酬の金額というのはどこで決められているんでしょうか。 ○参考人(小丸成洋君) 報酬は、放送法にのっとりまして経営委員会の方で議決をしております。 ○林久美子君 それでは、この報酬の原資となっているのは何でしょうか。 ○参考人(小丸成洋君) 受信料でございます。 ○林久美子君 国民の皆さんが苦しい中から支払ってくださっている受信料で、何度も申し上げますが、NHKさんは放送を作っていらっしゃいます。それだけ公共性も担っていらっしゃるということなんだと思います。そして、その受信料から経営委員の皆さんの報酬も支払われていると。メンバーはそれぞれ、経歴を拝見しましたが、大変に立派な皆さんであるというふうには思います。 しかしながら、この報酬の金額が受信料を払ってくださっている多くの視聴者の皆さんの理解を得られるかどうかという、やはりそういう真摯な判断も私は必要ではないかと思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。 ○参考人(小丸成洋君) 放送法が平成二十年の四月に、改正によりまして、経営委員会の監督権限というものを明確化するなど、ガバナンスの強化が図られております。あわせて、経営委員の職責はますます実は重くなっております。御理解していただきたいと思います。 また、経営委員の活動は月に二、三回の会議だけでなく、視聴者のみなさまと語る会というのがございまして、そういった会にも出席をしなければなりません。本部役員やまた地域の放送局長との打合せ等も含めて、経営委員相互の打合せなど、また事前に経営委員会の資料の確認ということもございます。 経営委員の報酬は、その重責の重さとこれらの活動を勘案して、私は妥当だと今考えておるところであります。 ○林久美子君 経営委員の皆さんの職責はますます重くなられるということでございました。 ただ、私は思うんですね。この世の中、どんな仕事に関しても重い軽いはないと思っています。それぞれの人たちがみんなそれぞれに一生懸命責任を感じながら社会のために働いてくださっているというふうに思っております。そうした意味では、今本当に朝から夜まで働いても食べていくのにままならない方たちがたくさんいらっしゃいます。年収が二百万円にも満たない人がたくさんいらっしゃいます。家庭を持ちたいと思っても持てない若者もたくさんいます。 そうした現状を考えたときに、今適正だというお話もございました。職責が重いからだというお話もございました。打合せもあるんだというお話もございましたけれども、でも、そんなことはみんなすべての働く皆さんがやっていらっしゃることであると私は思いますけれども、その点に関して改めて御見解をお伺いをしたいと思います。 ○参考人(小丸成洋君) 委員のおっしゃることは十分に分かっております。しかしながら、経営委員の皆さん方は、やはり本業の仕事も持っていらっしゃいます。その中での仕事、移動もございます。また、海外へ出られたときも自主的にその現地の局に行かれたり、いろんな活動をされております。そういった観点から、私は責任を持った仕事を我々、私も含めてやっているつもりでございますので、どうぞ御理解をしていただきたいと思います。 ○林久美子君 そこはやや見解の相違もあるようでございますけれども、これ以上お話をしても先には進まないと思いますので。 一つだけ、放送法の中に第三十条の二という項目がございます。これは、協会は、その役員の報酬及び退職金並びにその職員の給与及び退職金の支給の基準を決めという文言がございます。この役員というのは経営委員会の委員の方も含まれるということでございます。これは、この法律から読みますと、NHKさんそのものもこうした基準を定める権限を持っていらっしゃるということでございますので、しっかりとこの点についてはNHKさんとしても御検討いただきたいということを私からお願いをさせていただきたいと思います。 残り時間わずかでございますので、二つ質問を用意しておったんですが、一つにまとめてお伺いをさせていただきたいと思います。今の経営委員の報酬のこともそうなんですが、国民の皆さんから理解を得るという観点からもう一点だけ御指摘をさせていただきたいというふうに思います。 NHKさんにはコールセンターというのがございます。様々な窓口を設けて、視聴者の皆さんからいろいろな御意見を賜ったり、受信料についてのお問い合わせをお受けされる窓口でございますが、今は視聴者コールセンターというところと営業センターのコールセンターという二か所があるわけでございます。視聴者の方のお問い合わせのほとんどは通話料無料ではなくて有料のダイヤルになっておりますが、一つだけ通話料が無料になるダイヤルがございます。これは何に関するダイヤルでしょうか。 ○参考人(大西典良君) お答えを申し上げます。 NHKでは、現在、受信契約のお申込みや御転居等の連絡、放送受信契約の受付と、それから衛星デジタル放送の受信設置確認メッセージの消去連絡の受付の二つについては無料のフリーダイヤルになっています。 ○林久美子君 今二つというお話がございまして、これはかちっと一つにまとめられているダイヤルでございますので、実質一つということになろうかと思うんですが。要は、契約してくれる電話については無料だよということで、これもちょっといかがなものかなと私正直思いますので、その点についても、もう時間がございませんのでこれ以上申し上げませんが、しっかりと検討をしていただいて、受信料を納めてくださっている何せ国民の皆様あってのNHKさんであるという原点を忘れることなく、これからも質の良い番組の放送、質の良い経営に努めていただきたいということをお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。 ありがとうございました。 ○那谷屋正義君 民主党・新緑風会・国民新・日本の那谷屋正義でございます。今日はよろしくお願いいたします。 今、林委員の方から経営計画面について質問をいたしましたけれども、私の方は事業計画という側面で御質問をさせていただきたいと思います。 この事業計画の中に、事業運営計画の中に「日本の課題、地球規模の課題に真正面から向きあいます」と、こういうふうにあります。また、先ほどの総務大臣の付された意見の中にも、一番目に、国民目線の放送を充実させることと、このようにございました。私は、そういう意味で、NHKの番組の在り方について少し御質問をさせていただきたいと思います。 法律上どうなっているかというと、放送法第四十四条では、NHKは、放送番組の編集に当たって、豊かで良い番組を放送し、国民の要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するよう努めること、地方向けの放送番組を有すること、我が国の過去の優れた文化の保存、新たな文化の育成、普及に役立つようにすることが求められているわけであります。 法律でNHKの番組に余り枠をはめるのも表現の自由の面で問題があるわけでありますけれども、法の表現は大変抽象的でありまして、豊かで良い番組とは何かという点については様々な考え方があってよいというのはむしろ当たり前だろうと思います。最終的には、編集の自由の下でNHKさん御自身が放送番組の在り方を決めるということが現在の法体系の要請ではないかというふうに考えているところであります。 NHKの国内番組基準は、その冒頭において五つの基本原則を示しているわけでありますが、その第一番目の原則の目的、意義等について会長から御説明をいただきたいと思います。 ○参考人(福地茂雄君) 御指摘のとおり、国内放送番組基準は大きく五つの原則から成り立っておりますが、第一番目は、世界平和の理想の実現と、そして人類の幸福の実現ということをうたっております。極めて高邁で私は崇高な基本原則だと思います。とりわけ、私は戦争経験者でもありますけれども、日本が第二次世界大戦のような戦争を二度と起こしてはいけない、そういう願いからやはりこういったものが冒頭に、課せられた基準だというふうに思っております。こういった番組編成制作基準の中で放送を出していく、そういったことに対して極めて大きな公共放送としての責任を痛感いたします。 以上です。 ○那谷屋正義君 今会長から御説明いただきましたように、世界平和の理想の実現に寄与し、人類の幸福に貢献するということに明らかなように、NHKが国内番組基準の一番目に掲げ、放送に取り組まれていることに私も敬意を表したいと、このように思っております。 我が国は、かつて過ちを犯し、メディアを含めて国を挙げて戦争への道を歩んだことがございます。今年八月で戦後六十五年がたつことになります。そして、戦争を知らない戦後世代がもう七五%強ということの中で、なぜ我が国は過ちを犯したのか、戦争とはいかに悲惨なものなのかというこれまでの国民共有の教訓、思いとなってきたものがだんだん風化してしまう、そういう現実が私たちの前に現実としてはだかっているというふうに思います。 福地会長がどのような戦争体験をお持ちなのか、実はインタビュー記事等を拝見させていただいたところ、小学校五年生の夏に、それも敗戦六日前に家を空襲で焼かれてしまうという大変な苦労をされてこられたということが分かりました。福地会長のような戦争被害の実体験を持つ世代がいよいよ少なくなる、そんな趨勢の中で、戦争がもたらす惨禍等をいかに継承していくべきなのか、今こそ私たちはもっと真剣に取り組んでいく必要があると、そういうふうに思うわけであります。 平和を考える番組は視聴率をねらって作れるものではなかなかないというふうにも思いますし、また歴史に対する認識や評価は様々な意見がございます。放送でこれを取り上げれば、苦情あるいは批判も少なくないであろうことは容易に想像できることであります。公共放送だからこそ、平和に寄与する番組の放送がとりわけ強く要請されている理由でもあります。NHKが過去に放送した、戦時性暴力を取り上げた番組や、台湾における植民地政策を取り上げた番組などが様々な議論を呼んできたことは承知をしております。だからといって、過去を検証し平和を考える番組に取り組むことにちゅうちょしてもらいたいということではありません。 そこで、世界平和の理想の実現に寄与し、人類の幸福に貢献する番組に引き続き取り組むことへの御決意と、あわせて、今後の取組予定等について御紹介いただければと思います。 ○参考人(福地茂雄君) NHKは、私どもは、先ほど申し上げました世界の平和の理想の実現、人類の幸福の実現、そういったものに向けまして今後とも精力的に番組の制作を続けてまいりますが、具体的に申し上げますと、二十一年度に実施いたしましたのは、八月に総合テレビで「ノーモア・ヒバクシャ 核兵器のない世界を目指して」、それから「忘れないで、わたしたちの戦争」、それからNHKスペシャル「日本海軍 四百時間の証言」、これが全三回でございますが、それからNHKスペシャル終戦ドラマ「気骨の判決」、こういったものをこの二十一年度は放送いたしました。また、沖縄全戦没者追悼式、広島平和記念式典、長崎平和記念式典、全国戦没者追悼式の模様を毎年中継でお伝えをしております。 これからもこの世界平和の理想の実現に寄与するような番組の制作に取り組みまして、国内外に伝えてまいりたいと思います。 以上でございます。 ○那谷屋正義君 今、番組幾つか紹介していただきましたけれども、実は、その戦争体験の証言を記録しインターネット上で公開するための戦争証言アーカイブスというのがありまして、NHKが精力的に取り組んでいらっしゃるということであります。ただし残念なことに、そこに結集されている労力や熱意の割にはいま一つ世間に知られていないのかなというふうにも思うところでありまして、この点について周知、利用を図ってこそ戦争証言アーカイブスは歴史的に非常に大事である、意義のあるものであるということが理解できるのだろうと思いますけれども、そうしたことに向けた方策をどんなふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。 この戦争証言アーカイブスは、昨年試行的に二か月間公開をされました。その手ごたえを踏まえて今年八月からの公開の運びになったというふうに聞いているところであります。大変喜ばしいことでありますけれども、できれば太平洋戦争開戦から七十年に当たる二〇一一年には証言を一千人規模まで増やすというふうに言われておられますけれども、この夏の八月というものを別に待つことなく、準備が整ったものから早期本格公開を行っていただきたいというふうなお願いも含めて、見解をお聞きしたいと思います。 ○参考人(日向英実君) 今おっしゃっていただきました戦争証言アーカイブスですけれども、もちろん放送を通じてだけではなくて、例えば教育関係の方々とか、それから、これはインターネットを通じてサービスするものですから、インターネットのユーザーの方々に幅広く周知をしていきたいというふうに思っております。 それから、今年の八月から本格的にオープンいたしますけれども、この戦争証言プロジェクトといいますのは、これまでもですが、これからも、当時兵士だった方々、それから市民の方々、継続的に記録をしていきます。それを随時追加していくということでございまして、八月からは基本的に本格的にオープンと、その後は逐次取材を終えたものはそこに付け加えていくということになると思います。 以上でございます。 ○那谷屋正義君 八月を待たずとも随時やっていただけたらなというふうには思いますけれども、今の話では八月以降ということ、精力的に取り組んでいただけるということであります。 戦争の記憶というものが失われていく中で、この戦争の悲惨さ、惨禍を後世に伝えてそしていくということ、平和に寄与するために、NHKの役割、機能に寄せられる期待というのは私は大きいわけでありまして、そういう意味ではこれからもますます力を入れていただきたいと、このように思っております。 時間を超えて伝えるという縦軸的な役割と併せて、今回は触れる余裕はありませんけれども、NHKの経営計画に掲げられている「いつでも、どこでも、もっと身近に」というこの経営計画、これですね、「いつでも、どこでも、もっと身近にNHK」というこの大方針を具体化するためにも、地域を越えて伝え、地域をつなぎ元気にする、そうした親和性に象徴される横軸的な役割も公共放送の果たすべき責務の一つとして積極的に進めていただくことをこの際強くお願いをいたしまして、次の質問に移りたいと思います。 今日は、文部科学大臣政務官、高井政務官にもおいでいただいておりますけれども、地上放送の完全デジタル化というのが残すところいよいよ四百八十日余りということでございます。 このテレビに関して、文部科学省が作成した「使うテレビでひろがる授業」というパンフレットでは、デジタルテレビの迫力ある美しい映像というものが児童生徒の興味、関心を向上させて、またパソコンやデジタルカメラと連携することによって分かりやすい授業ができるなど、大きな学習効果があるというふうにされています。全国の八〇%以上の小学校でNHK教育テレビの番組が活用されている成果、実績というものをかんがみても、放送のデジタル化で学校放送番組の内容等も一層の充実が望まれることになります。 ちなみに、学校現場が期待するものとしては、新学習指導要領に対応して、教科書の配列に合わせた放送内容を優先するということにNHKが余りにもとらわれてしまうということではなく、例えば単元の学習に役立つエピソードですとか、学校ではなかなかできないスケールの実験あるいは天体観測、具体的に言いますと、例えば星の動きですとか月の動きですとか、こういったものは時間が夜でないとなかなか実際子供たちは観察できませんから、そうしたものを教室で一斉に理解をするような形にするためには非常に役立つんだろうというふうに私なんかは理解しておりますけれども、こういったものを取り上げてもらいたいというふうに思います。 この放送のデジタル化によって、実際に、今私は想像することを申し上げましたけれども、教育の現場はどういうふうに変わるのか、また学校放送番組はどう変わっていくのか、あるいは変わることが期待されているのか、文部科学省として説明をお願いしたいと思います。 ○大臣政務官(高井美穂君) 先生が御指摘いただきましたように、デジタルテレビの臨揚感とか高画質の、高音質の番組は、児童生徒の関心、興味等を大変向上させることができて、大変効果が高いものだと思っております。子供たちがやはり迫力ある画面で直接見ることができない事象などを見ることによって、実体験に近い経験をして、また知識や理解等が深まるというふうに考えています。 こうしたことによって、教育の現場において児童生徒に分かりやすい授業を展開するために、我々もこれからも一層努力したいと思いますし、実際、文部科学省が平成二十年に行った委託調査によりますと、教育番組をデジタルテレビで視聴することによって教材の内容についての印象や思いが広がったというような効果等も出ておりますので、これからも我が省としてICT化を進め、様々な努力をしていきたいと思っております。 ○那谷屋正義君 今お話ありましたように、大きな学習効果が期待されているデジタルテレビでありますけれども、学校のテレビのデジタル化の状況について文部科学省にお伺いをしたいと思いますが、二〇一一年七月の完全デジタル化までに学校のテレビのデジタル化は完了するというふうに考えてよろしいのでしょうか。 ○大臣政務官(高井美穂君) 平成二十一年度の第一次補正予算で学校や公民館等のテレビのデジタル化に必要な経費を補助したところでございますし、先般可決されました二十二年度予算においても、安心・安全な学校づくり交付金というものの中で、公立学校のアンテナ工事に必要な経費等も原則二分の一を補助するための経費を計上しているところです。地方財政措置においてもデジタルテレビの整備に必要な経費が地方交付税措置をされているほか、アンテナなどの工事費及びこれと併せて整備するデジタルテレビやデジタルチューナーの購入費についても地方債措置が講じられておるところであります。 放送開始までに、できれば御指摘があったとおり一〇〇%に持っていきたいんですが、ただ、現実的に様々な努力をする中で、文部科学省としても、各地方公共団体がこれらの措置を活用していただいて、できるだけ積極的にデジタル化を進めていただきたいというふうに、今鋭意努力をしているところでございます。 ○那谷屋正義君 是非、学校によっては、あるいは地域によってまだデジタル化が進んでいないということになりますとやはり問題が出てくるだろうというふうに思いますので、できるだけそういうことのないようにお願いをしたいと思います。 時間がもう迫ってまいりましたので、最後の方の質問に移りたいと思いますけれども、今年度の総務大臣の意見において、特に学校でのICTを利用した教育を公共放送の立場から引き続き支援することということが新たに付されているわけであります。 デジタル時代における教育分野でのNHKの果たす役割について、原口総務大臣はどのようにお考えか、お尋ねをいたします。 ○国務大臣(原口一博君) 那谷屋先生は小学校の先生でもいらっしゃって、子供たちに降り注ぐような愛情を注いでこられました。太陽のような愛情、そのことを踏まえて御答弁申し上げます。 ICTによって、私たちはICT維新ビジョン、そして協働教育を進めるための未来の学校、夢の学校、フューチャースクール事業ということで御提案をさせていただいています。その中でNHKの果たす役割は極めて大きいと思います。 一つは、今、高井文科大臣政務官からありましたけれども、本物に触れる、真善美、大きな志、こういうものに触れることによって互いが豊かな情操をはぐくみ、教育素材を基に教え合う、学び合う、そして高め合うことができます。また、ICTは時空を超えますから、世界超一流の教授からの授業を受けることもできるし、IPテレビによって繰り返しそれを何回も予習復習、これ、とても大事ですけれども、学習することができます。 また、学び方が分からないという方々にとっても、e—ラーニングによって様々な学び方を提案する、子供たちにとっての大きな教育のツールになるというふうに思います。それを保有し、そして制作しているNHKの役割に対する期待、私は大変国民の期待は大きなものだというふうに考えております。 以上でございます。 ○那谷屋正義君 私も総務大臣の意見と全く同じなんですが、ただ現場では、残念ながらこうした新しいICT機器というものに対して学ぶ機会がなかなかないというか、本当に厳しい状況もありますので、ただ、それを乗り越えて今のようにICT化が進めば、私は、逆に言えば、先生方のいわゆる仕事量もそういう意味では減ってくる部分にもつながってくるのかなというふうに思いまして、やっぱりそれを乗り越えるにはちょっと今努力をいただかなければいけないのかなと、こんなふうにも思っております。 今の大臣の御意見を伺ってNHK自身はどのように受け止めようとされていらっしゃるのか、会長の御意見を伺って、私の質問とさせていただきます。 ○参考人(福地茂雄君) 教育の充実というのは私も緊喫の課題だと思っておりますし、公共放送NHKの果たすべき大きなミッションの一つであるというふうに自覚しております。 NHKが学校放送を始めましたのは昭和十年だそうでございますから、もう既に今年で七十五年になるわけです。これまで、テレビ、ラジオを通じて教育の機会均等とか、あるいは児童生徒の学ぶ意欲にこたえるという上で大きな役割を果たしてきたというふうに自負をいたしております。 近年、学校でも、デジタルテレビあるいはパソコン、電子黒板などのデジタル機器を教育に活用していくことがますます重要になっているというふうに思います。こうした教室の中でのメディア環境の変化に対応いたしまして、放送とインターネットそれぞれの特性を生かしながら、学習に役立つたくさんの良質な教育コンテンツを、いつでもどこでもだれにでも享受できるようにしていくのが私どもの務めであろうと思います。何よりも、子供たちの知的好奇心を刺激する、豊かな情操をはぐくむ、そういった質の高い番組を作るということが大切であろうというふうに思っております。 以上でございます。 ○那谷屋正義君 終わります。 ○外山斎君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の外山斎です。 本日は、NHK予算についてお伺いいたします。 まず初めに、今年一月に報道された福地会長の進退問題についてお尋ねいたします。 新聞報道によりますと、福地会長は元々一期限りで退任する意向だったが、退任した後、就任間もない次期会長がNHK予算の説明などで国会審議に立つことになるため、それを避けるために御自身が途中退任して、予算策定作業からかかわってもらうようにしようとのねらいがあるのではないかという解説まで付いて報じられております。その後、二月になって、会長自身が辞意を撤回したとの報道がありました。 NHKの会長という職務、その職にある人物の取られるべき判断というものは非常に大きなものがあると思います。このような形で辞める辞めないというのが伝わると、職員に対しても影響があるのではないかと思います。 また、特に二十三年度、三か年計画の最後の年であり、来年ですね、経営計画達成となるかどうかの非常に大事な年であるわけであります。その大切な年を前にして、経営計画を策定された責任者である会長が辞任をするのか辞任をしないのかということが職員に不安を与え、職員のモチベーションへも影響し、経営計画の達成に何らかの影響が出ないか心配しているところでありますが、御自身の進退について、今の会長の考えをお聞かせください。 ○参考人(福地茂雄君) 実は、私は公式に辞めるの辞めないのと言ったことは全くございませんで、ただ、昨年の秋でございましたけれども、九州で講演がありましたときに、私は、NHKの改革というのはゴールのない駅伝競走だと、エンドレスの課題である、しかし会長の任期というのは三年間という一つの区間を担当する区間ランナーだと。後期高齢者ですから、もう二期も三期もできませんがと言った覚えはあるんですが、私はそれ以外に自分の進退についていささかも申したことございません。 今御指摘のとおり、トップの進退ということは極めてやっぱり慎重にやるべきものであって、社内外、とりわけ社内に極めて大きな動揺を来します。私は、社内についても元々そういったことは一切言っていない。今日もマスコミの皆さんいらっしゃるでしょうけれども、マスコミの皆さんも朝駆け、夜駆けでいつも見えられますけれども、私は、トップの進退についてはしかるべき場所ではっきり言うことであって、それぞれの皆さんにそれぞれ話すような内容のものではない、今話すことは全くございませんということで貫いております。 しかし、いずれにいたしましても、やっぱり区間ランナーであっても区間ミッションというものはあります。私に与えられた区間ミッションはきっちりと果たす、それが私に与えられた責務であろうと思っております。 以上でございます。 ○外山斎君 お答えありがとうございます。 会長のお人柄や経営手腕というものを評価されている方は大変多いと思いますので、任期中は会長職にとどまっていただき、また、より良い意味でNHKを改革していっていただきたいと思っております。 それでは次に、渋谷にあるNHK放送センターの建て替えについてお伺いいたします。 これも報道でありますが、今年の一月に放送センターの建て替えを現在NHK内部で検討中であるという報道を目にいたしました。 私もこの記事で初めて知ったわけでありますが、現在の放送センターの中で一番古いものが、一九六四年の東京オリンピックのときに放送センターで使われたものだということであり、築四十五年を迎えたことになります。そしてまた、一番新しい建物の北館でも八八年の完成でありますから、築二十年以上ということであります。渋谷のNHK放送センター全体で四つのビルがあり、NHKホールを含めますと五つの建物、延べ床面積が二十二万八千平方メートルになるそうでありますが、これらをすべて建て替えるとなると相当な大きい事業になると思います。 報道では、昨年十一月に福地会長を委員長とする新放送センター建設検討委員会を立ち上げて本格的な検討に乗り出したとありますが、まず、この報道の内容、また放送センターの建て替えの検討をされているのかについてお尋ねいたします。 ○参考人(福地茂雄君) 私は前職時代から余り箱物を持つのは嫌いでございまして、そういった面で、今のNHKの放送センター渋谷を、あれをオフィスビルと考えるならば建て替える必要は全くないと思います。 あの辺に、関連会社を含めて、数はよく知りませんが、四つか五つのビルを借りまして、関連団体が皆入っております。極めて非効率です。しかし、私は、渋谷の放送センターというのは、まさに公共放送として日本中、今あそこには国際放送もありますから、世界中に情報を発信していく要するに基地だというふうに考えております。これについては万一のことがあったらいけないというふうに考えております。 そして、これはいつかだれかが言わないと、今日でもあしたでもあさってでも、一年たっても二年たっても特に支障はありません。しかし、恐らく五年、十年たつと大きな支障が出てくると思います。こういったものは準備を始めて五年、十年はすぐ掛かる問題ですから、今から何を検討していかないといけないかという課題を整理しておこうと。あれだけのものを建て替えるとしますと、別の土地にあれを、放送しながら建て替えるということは事実上無理でございます。やはり新しいものを建てて、こちらをつぶしてあとを処理すると、そういったことも必要じゃないかと思います。それから、放送機器がどういうふうなものが適切なのか、そういったこともございます。さっき申し上げました関連団体と一緒に入るのがいいのか、そういったこともございます。 いろんな検討課題がありますので、検討課題を整理するという段階でございまして、そのためには、資金的には今おかげさまで一千億近い資金を持っております。あれ恐らく建て替えますと千五、六百億ぐらいは掛かるんじゃないかと思います。そういった準備のこともございます。そういった検討を始める組織をつくったところでございます。 以上でございます。 ○外山斎君 お答えありがとうございます。 私も、NHKセンター自体は大変古い建物であるわけでありますし、またICTなどの進展に伴った技術というものをやはり導入していかないといけないという意味では建て替えも必要だとは思っております。 しかしながら、もしその建て替えの費用がこれは受信料収入で支出されるものだということになるのであれば、これはまた国民の皆さんにも理解をしていただかなければならない部分があると思います。特にまた、経営計画の中では二十四年度から受信料の一〇%還元を目指しているという報道もあります。 そういう意味では、やはり受信料を一〇%下げる、そしてまた建て替えとなってくると国民の皆さんの理解を得ていかなければならないと思いますが、そこ辺りに関してはどのように進めていこうと考えているのか、お聞かせください。 ○参考人(福地茂雄君) 御指摘のとおり、放送法に定められておりますとおり、NHKというのは豊かで良質な放送をしていくという義務がございます。そのための拠点である。したがって、これはむしろ視聴者の皆様におこたえするものであって、決して単にオフィスビルを建て替えるという次元の問題ではないというふうに私は考えております。 ○外山斎君 お答えありがとうございます。 建て替えに関するNHKの方針、お答えを聞いて、NHKを管理監督する総務省としてはどのよ
活動報告

2010-03-30
第174回国会 参議院総務委員会 第9号