162-参-国土交通委員会-8号 2005年04月05日 ○末松信介君 自民党の末松信介でございます。(「頑張れ」と呼ぶ者あり)頑張れ、いや、ありがとうございます。恐縮です。 航空法の一部改正の質疑の前に、北側大臣から日本航空等が起こしたトラブル、一連の事故についての報告があるということで、脇理事から質問をするようにという話をちょうだいしました。 主に今日は、日本航空の滑走路無許可侵入とか、あるいは機体後部を滑走路に接触させるしりもち着陸など、一連のトラブルについて、こういった問題を中心に質問をさせていただきたいと思います。 一連のこの日航のトラブルで一番気をもんでおられるのが国土交通省、とりわけ北側大臣、また岩崎航空局長を始め航空局の皆さん方であろうと思います。御精励に敬意を表したいと思います。 折しも、今年は群馬県のあの御巣鷹山で五百二十人の命が奪われて、失われてちょうど二十年目に当たります。あのときのことをよく覚えておるんですけれども、四人だけ助かったんですね、全員女性だったと記憶しておるんですけれども。少女が自衛隊員に抱き抱えられてヘリコプターにつり上げられる、あのときの様子というのを今も鮮明に実は記憶をいたしているわけなんですけれども。 あの事故というのは、実は一九七八年六月、大阪空港で、実はしりもちの着陸の事故を起こして、それの実際の整備ミス、修理ミスに原因があったということが後年、事実として伝わっているわけでございます。したがいまして、発生すれば重大な事故につながるのがこの航空機の性格でありますんで、慎重にも慎重を期していかなきゃならないわけなんですけれども。 三月の十七日に国土交通大臣が日本航空Jですね、ジャパンの方に事業改善命令を出されたと。他の二社について、これは警告書を発せられたわけなんですけれども、その事業改善命令を出した後にも八つのトラブルを起こしておられるというわけなんです。 私、思いますんですけれども、これは残念なことなんですけれども、謝罪とかあるいは反省という言葉、非常に軽く使われ過ぎているんじゃないかと、もっと重く受け止めるべきではないかなということを思うわけなんですけれども。ミスやトラブルというのは、社会に正しく正確に公表していくというのが一番大切なことだと思うんですけれども、ましてやこういった航空の輸送業務というのは非常に公共性の高いことでありますから、これは日航に限らずあらゆる航空会社に当てはまることだと思うんですけれども。 そこでお尋ねをしてまいりたいんですけれども、最初に千歳空港で起きたトラブルですけれども、日本航空の運航本部では、トラブルは軽微で国土交通省への報告は必要ないと判断したと。その次に、このため新千歳空港の管制は、これ自衛隊がやっておられます、ほかにも美保とかああいったところも随分やっておられるんですけれども、自衛隊の担当者のみに謝罪をして、国交省へは一切報告をしなかったということ。航空法第七十六条には、こうしたトラブルは事故につながるおそれのある運航上のトラブル、重大なインシデントに該当する可能性があり、航空会社は国交省へ報告が義務付けられているんですけれども、国交省も、管制官の判断で事件、事故は避けられたので重大なインシデントとは言えない、航空法による単純な管制指示違反だとしているわけなんですけれども。 そこでお尋ねしたいんですけれども、まず日本航空の内部は、上層部に対して一体どういう報告体制になっているのかということ、どのような説明を受けておられるのかということをお尋ねしたいということが一つ。二つ目は、航空法に基づき国交省へ報告すべき対象のトラブルというのは一体どのようなものであるのか、明らかにしていただきたいと思います。 ○政府参考人(岩崎貞二君) まず、新千歳空港の事案でございますけれども、日本航空の体制でございます。 一月二十二日に事案が発生をいたしました。御案内のとおり、全日空機が、着陸機がいるにもかかわらず、管制も許可も受けず離陸を開始したという事案でございます。社内ではその全日空機、着陸機がいるにもかかわらずという部分の情報が運航本部内に上がった段階で欠落をしておりまして、管制許可を受けず離陸開始した事案だと、こういうことで運航本部内で報告があったと聞いております。したがいまして、そのときに離陸機と着陸機に一定の距離があったことから、安全上大きな問題ではないということで私どもに報告がなかったと、このように聞いております。 事故、それから重大インシデント、それからいろんな安全上のイレギュラーな事案、トラブル、こうしたことについては幅広く報告してくれと、このように私ども日ごろから指導をしております。事故と重大な、重大インシデントと申しておりますけれども、こういうものについては航空法に基づいて報告義務がございます。その他いろんな事案については、日ごろの行政指導で幅広く報告してくれと、このように申しておりますが、JALから報告がなかったのは極めて遺憾に思っております。 なぜ重大インシデントでなかったのかということでございますが、重大な事故につながりかねない事態を重大インシデントとしておりまして、その内容というのを具体的には省令なり通達である程度の概念付けをしておるところでございます。この事故につながりかねない重大なというところの解釈が少々グレーだったものですから、私どもにも報告がなかったと、このようなもので、私どもも少々グレーなところがあったものですから、重大インシデントには当たらないと、このように判断をさしていただいたところですけれども。 いずれにしろ、繰り返しになりますけれども、こうしたトラブルについては日ごろから幅広くちゃんと報告してくれと、こう言っているにもかかわらず報告がなかったことについて極めて遺憾に思っておりまして、日本航空に対してきっちり鋭意指導をしていきたいと、このように思っておるところでございます。 ○末松信介君 航空法第七十六条、これは一、二に、一つは航空事故、これはアクシデントですね、その次に重大インシデントが第七十六条の二に入っています。施行規則も百六十五条、百六十六条に含まれているんですけれども、さっき、今局長言われたように、上記以外のものということで、その報告すべきどうかというのには、その他の運航の安全に影響を及ぼす可能性のある事態ということになっていますんで、この定義というのは非常にあいまいというんでしょう。具体例もここには書いておられますけれども、これ、場合によったら航空会社の解釈によっていかようにもできるしということになってきますんで、後ほどフリートーキングあるようですからお話聞きたいと思いますけれども、この辺り、きちっと国民にも分かるようなそういう体制というか解釈というものを定めていっていただきたいなと。何もはしの上げ下ろしまで報告せいというようなことは向こうに言っておるわけじゃないんですけれども、きちっとやっていただきたいと思います。 それと、日本航空へ国交省のOBは今行かれておられますかどうか、お聞きしたいんです。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 行っております。 ○末松信介君 どういうポジションでおられますか。何人ぐらいが行かれていますか。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 役員クラスで申しますと、三月末まで日本航空ジャパンの副社長、これは事務系でございます。それから、技術系の人間で、この日本航空の持ち株会社、それから日本航空インター、日本航空ジャパンの専務ということで技術系の人間が役員クラスで行っており、OBで行っております。 ○末松信介君 ということは、かなり重要なポジションにおられると。 私は、天下りということについてはいろいろ言われますけれども、極めて大切なことだと思うんです。特に、やっぱり国土交通省の意向をきちっと民間会社に行って伝えてやるという、特に安全、こういったコードについては、私はやっぱり、それはやっぱり国交省の意向を酌むということでね。そういう面では、その思いを持って向こうへ、民間に行かれているわけですから、私はどうかなという、それはやっぱり大事なことだと思うんですよ。これは私の考え方ですから、まあそれぞれの先生方とはまた違うかもしれませんけれどもね。 私も、だからいろんな、県からでもやっぱりそれぞれのいろんな組合へ行かれますけれども、それはやっぱり行政の意向をきちっと伝えていくという、そういう使命を帯びていると思うんですよ。ですから、私はしっかりと責任持って、自分はかつて国交省のOBやっていたんだということを誇りを持って業務に当たっていただきたいということ、それぐらい、やっぱり友人関係ですから、また部下のはずですから、やって、先輩か、やっていただきたいと思うんです。 時間も随分迫ってきましたんで、次にちょっとお聞きをしたいのは、この一連の日航のミス、トラブルなんですけれども、これは一部の報道によりますとというか、大体我々もいろんなところで耳にするんですけれども、このトラブルが発生する原因というのは、旧日本航空と旧日本エアシステムの出身者によって賃金、人事体系、マニュアル、機材、もう全部違うと、社内に未融和の存在がトラブルに、背景にあるということがいろいろ経済新聞に出ているわけなんですよ。 乗員、クルーに関しましても、現在のところ、まだ旧社ごとの、混成が成されていないという、旧社ごとでやられていますので混乗されていないということがありますし、ハンドリング会社もそれぞれ別々にあるわけですよ。 こういったことを考えますと、三月十六日にドアモードの切替えミスなんかが発生しているんですけれども、一概にその原因、要因を特定することは難しいと思うんですけれども、どうしてこうした問題が起きてくるのかということ、その因子は一体どこにあるのかということ、これは偶然が積み重なったものかどうかということ、偶然積み重なったものだったらいいんですけれども、これはどうか、その辺のところを航空局長かあるいは大臣からちょっと御答弁をいただきたいと思います。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 先生御指摘のとおり、これだけトラブルが続くというのは何か例のないことでございます。 我々は、個々のトラブルに対する対応策、再発防止策を求めるとともに、体制上の問題がなかったか、安全意識について管理体制に緩みがなかったか、こうしたことも含めてきっちり事業改善命令に対して回答を出してくださいと、このように日本航空に求めているところでございます。 ○末松信介君 ドアモードを、これ飛行機乗られた先生方はみんな分かると思うんですけども、これ安全脱出装置ですけれども、これセットしてくださいって言われますけれども、あれは普通、こっちセットしたら反対側の、相手側の向こうのスチュワーデスの方も確認をせなきゃいかぬわけですよ。だからお互いが確認し合うことになっていたと。六人が六人とも忘れるということはまずないんですよね。あれ結局、緊急に例えば海上へ着水したりとか、どっか荒れ地に着陸した場合に、あれなかったら結局スライドされませんから、もう地上に逆さまに落ちちゃうと、真っ逆さまに落ちてしまうという、そういうことになりますんで、まず九九%考えられないと言っておるんですよ。考えられないことが起きたっていうことですから。 で、唯一、どうしてこういうことが起きたんだろうということを言われたら、まあ慣れというのは怖いもんで、やったと思い込んでしまうっていうことがあるって言うんですよ。それともう一つは、非常に今、これから昼から話をします航空法の改正ですけれども、非常に飛行機、上空も混雑していますんで、定時性に気を取られてしまうということが大いにこうした問題を引き起こしてしまう原因かもしれぬなということを言われていますです。 そういうことでありますけれども、時間がちょうど二十七分になります、十時二十七分になったんで、この辺で私の質問を終わりたいと思います。とにかく、安全運航に指導力を発揮していただきたいと思います。 以上です。
活動報告

2005-04-05
国土交通委員会