活動報告

2005-05-12
国土交通委員会

162-参-国土交通委員会-16号 2005年05月12日 ○末松信介君  おはようございます。自由民主党の末松信介でございます。  今日は、港湾法の一部改正案につきまして質問をさせていただきます。特に、私の地元は神戸市でございますので、神戸港というのは、今回の法律改正、あらゆるところでこれ適用されてくる、当てはまる課題ばかりでございますので、神戸港を焦点に当てながら質問をさせていただきたいと思います。  私が小学生のころといえば、神戸港というのはあらゆる面で、その歴史、規模において一番だという教育を実は受けてまいりました。  今、NHK大河ドラマの「義経」が放映されていますけれども、平清盛が大輪田の泊を開いたと、これは今の兵庫区の中之島という中央卸売市場があるところなんですけれども、場所はここだということははっきりしていないんです。また、明治維新のときには勝海舟が海軍操練所というのをつくりまして、これは親幕府、反幕府両方の生徒を抱えたので、蛤御門の変で長州藩が敗れた後、幕府から謹慎ということで、結果的にはその操練所が閉鎖されたと。そういった歴史とか、明治に入ってからは、ブラジル移民発祥の地ということで神戸港を出発していった、そういった記念碑が残っております。そういうことで、何かにつけて神戸というのは非常に港が中心でありまして、ドラマになりやすいという、そういう誇りを実は感じているわけです。  ところが、多くの神戸市民が世界の港の趨勢を知ることなく、いまだ輸出量、輸出入の貨物、世界第何位かということについて余り知っていないと。一九八〇年ごろは第四位であったと。今は実に三十位以下になってしまったということなんです。恐らく街角で神戸港の貨物の取扱量、第何位と思いますかと言ったら、大体十位前後をお答えになると思うんですけれども、時代はそのようになってしまっております。  そこで、神戸港を含む日本の港湾を取り巻く環境は非常に厳しいわけなんですけれども、特に国際競争においては東アジアの諸国の台頭というものが大変大きな影響を与えておりまして、相対的な地位を、日本の地位を低下させてしまっておると。その原因は、港湾施設や情報ネットワークの未整備だけではなく、むしろ港湾の管理運営の在り方そのものが国際的水準に追っ付いていないという状況にあろうかと思います。このまま放置すれば、結局、国内物価の上昇を招く、国際産業競争力の低下を招く、また国民生活の水準を下げてしまうという、そういう可能性が高くなりました。  国交省は国交省なりにいろいろな施策を今打ち出しておることは承知をいたしております。しかし、この神戸の復権ということを考えますと、港湾施設を含む物流施設に足腰の強い長期的なビジョンを確立することが急務であるということを、そのように思うわけなんですけれども、これはそう簡単にいかない状況にございます。自治体の地域産業のそういった細かな施策と整合性を図っていただきまして、港湾の経営の仕組みを再構築するということが極めて大事な時期に差し掛かりました。  そこで、まず初めに、スーパー中枢港湾についてお伺いをしたいわけなんですけれども、この港湾の国際競争力の強化を推進するために特定国際コンテナ埠頭の重点整備の実施、つまり水深を十五メートル、奥行きを五百メートル以上、岸壁ですけれども、延長千メートル以上ということ、認定運営者に対する無利子の貸付金であるとか、特定国際コンテナ埠頭を構成する行政財産の貸付けであるとか、あるいは荷役機械のIT化、自動化など、いろんなことを今実施をしようとされているわけなんですけれども、こうした官民一体となった高規格コンテナターミナルの構築を進めていく上で、その運用によってコンテナターミナルのサービスの水準向上や効率性を高めるということで、港湾コスト、このコストを現状から約三割低減させるということが一番の目玉になっているんですけれども、本当にこの三割削減、期待された成果が得られるのかどうか、決意のほどをちょっとお述べいただきたいと思います。 ○政府参考人(鬼頭平三君)  今委員から御指摘のございましたように、我々、現在進めておりますスーパー中枢港湾プロジェクト、目標を、現在の港湾コストから三割削減する、あるいはリードタイムを一日程度に短縮するという目標を掲げてやっております。  今委員からも御紹介のありましたようないろんな施策を、これもスピード感を持って講ずることによって、できるだけ早くそういう目標に達成するように官民を挙げて一生懸命頑張るというふうに考えているところでございます。 ○末松信介君  荷役業者の方々からもいろんな話を伺いました。これは別に質問とは直接関係ないんですけれども、いろんなことを書いてこられます、資料として。国交省が進められておられるこのスーパー中枢港湾について、まだ顔が見えないということを言われる方もおられます。見えにくいんでしょうね、これ。それと同時に、やっていこうとしておるんですけれども荷物がないということを書いているわけですよ。やっぱり荷物が減ってきておるという言い方をされておられると。  具体的に具体的にという話が出されているわけなんですけれども、これからその辺をちょっとお聞きをしていこうと思うんですけれども、二つ目に、港湾の国際競争が激化する中で重視されているのが各国の拠点港湾の料金の水準とサービスの水準であることはもう周知のとおりであります。国交省でも港湾の関連のコストとサービス水準を国際的な主要港湾の水準に近づけるために目標値を掲げられているわけですけれども、東アジアの地域諸国とコスト削減競争においてやっぱりネックになるのは人件費、労務費になろうかと思うんです。労働コストと地価が高い、東アジア諸国に比べて高いというのは分かっておることでありまして、この点では競争力は極めて付きにくい状況にあろうかと思います。  総務省の二〇〇二年の統計によりますと、日本の平均給与が三十万二千六百円なんです。釜山港がある韓国が、これ給与所得者の平均給与が日本円で二十万四千円なんです。シンガポールが二十万五千円。中国においては一万四千円。ただ、ここは先富論がありますから貧富の格差が出てきています。沿海州と農村部では全然違うと。しかし、具体的に言われれば、この数字といえば一万四千円になってしまうということなんです。  労務費は荷役料金と直結しておりまして、コスト削減には限界がございます。この絶対的なハンディを克服して国際競争に勝利していくためには、コンテナターミナルを含む港湾施設使用料の大幅な引下げであるとか、例えば思い切ってこれを無料化するとかいったような国による更なる強力なイニシアチブの発揮がこの港湾政策に必要ではないかということ、そういうこともあります。構造改革の一環にもなろうかと思うんですけれども、この三割削減の具体策、述べていただきたいと思います。 ○政府参考人(鬼頭平三君)  私どもの調査、平成十三年の調査の数字でございますけれども、船舶に関係する費用、ターミナルに関する費用、そして今お話のありました荷役料金、この三つを合計した港湾コストについて四十フィートのコンテナ一個当たりで比較をいたしますと、日本の代表的なコンテナ港であります東京港を一〇〇とした場合に、台湾の高雄港が六五、韓国の釜山港が六四という水準になっております。  私ども、スーパー中枢港湾の目標としておりますアジアの主要港をしのぐ港湾コストを実現するということのためには、今申し上げた数字を参考にいたしますと、港湾コストを現行よりやはり三割低減をさせるということが必要であるというふうに強く認識をしてございます。  このため、今回のスーパー中枢港湾プロジェクトでは、幾つかのターミナルを統合化して大規模化することによりまして、ターミナルを一体として一元的に効率的に運用することによって従来のコンテナターミナルの一・五倍から二倍ぐらいのコンテナをそのターミナルで扱えるようにしようということで、規模の経済性を出すことによるコストダウンを図る、そういうことで釜山港等のアジア諸港との競争が十分可能な水準のコストが実現できるだろうというふうに思ってございます。 ○末松信介君  今局長から御答弁をいただきましたんですけれども、現実は、これから今から施策を進めていくんですけれども、現実は、四十フィートコンテナ、例えば広島港からアメリカの西海岸へ持っていこうとした場合、これは神戸港を経由だと、広島港、神戸港でアメリカの西海岸へ行く場合、これ九万円掛かるんですよね。広島港、そして釜山経由でアメリカ西海岸、これは遠回りなんですけれども、六万五千円でいいという。実際、これを見てもなかなか、二万五千円ですね、この差をどう縮めていくかということが、今の局長の御答弁のとおり本当に効果が現れていくかといったら、時間的な問題も掛かろうかとは思うんですけれども、ちょっとやはり私なりにはなかなか、港湾荷役業者の方々のお話なんかを聞いていましても簡単にいくだろうかという不安を持っていますんですけれども、やらなきゃならぬということで力強くその施策を推し進めていただきたいということを、そのように思います。  次に、港湾サービスについて実はお伺いしたいわけなんですけれども、我が国の、今おっしゃられていました特定重要港湾のリードタイムの平均でありますけれども、これ現在二・八日ということであります。諸外国におけるリードタイムについて、シンガポールでは二十四時間以内、韓国では二日以内、アメリカでは一日から二日掛かるとのことでありますけれども、今回の港湾法の一部改正案では、長らく批准しなかったFAL条約ですけれども、FAL条約の締結に伴い、EDI、電子データ交換システムを改良して、外国貿易船の入出港届出等を各府省共通のFAL様式へ対応することであるとか、コンテナ輸出入のシステムの全国共通化が取り組まれているわけなんですけれども、神戸港におきましてもIC内臓電子タグの実用化実験が進むなど、もうそれらのスーパー中枢港湾の一つの柱であるIT技術の向上やワンストップサービスの実現によってリードタイムの縮減を期待をいたしているわけなんですが、しかし、依然として現在、他国と比べたリードタイムには大きな開きがあります。現にあります。  どのような事情が存在しているのかということ、また、このリードタイムの短縮の目標の達成について時期のめどを教えていただきたいと。もしこれがかなり時間が掛かるようでしたら応急的、緊急的に何らかの対策を講じるべきじゃないかと思うんですけれども、この点につきまして局長のお話をお伺いをしたいと思います。 ○政府参考人(鬼頭平三君)  今委員から御指摘のありましたように、日本におけるリードタイム、諸外国に比べればやはり時間がまだ掛かるというのが実情でございます。この原因といたしましては、今委員からお話のありましたように、やはりIT化の後れという部分もございますし、日本の主要港湾について完全にまだ二十四時間フルオープンになっていないというようなこともその原因の一つであろうかというふうに思ってございます。  これについて、私ども、スーパー中枢港湾プロジェクトではできるだけ早く一日程度にそれを短縮するという目標を置いておるわけでございますが、今申し上げましたターミナルシステムのIT化を推進をすることによりまして、コンテナを港湾の中で取り扱ういろんな業者、倉庫業者さんとかトラック業者さん、そういった方々おられますけれども、そういった方々と情報を共有化をする、そんなことによりましてコンテナの引取りのための待ち時間を縮減をする、あるいはゲートの前の渋滞の解消を実現をするというようなことも含めまして、さらに、通関とか港湾の諸手続、そういったものの簡素化の効果、今FAL条約のお話も出ましたが、そういった効果も生かしながら、その目標の実現、今のところ我々としては三年から五年ぐらいを目途にこの実現を図っていきたいというふうに思っております。  ただ、そのためには、先ほども申し上げましたけれども、スピード感を持っていろんな施策を推進をして目標に近づける努力が必要だろうというふうに思っておりますし、国あるいは港湾管理者、民間の事業者、一丸になって目標に向けて努力をするということが大変重要であるというふうに考えてございます。 ○末松信介君  局長の努力を期待したいと思うんです、国交省として、港湾局中心に。  何でこれ二・八日掛かるのかといったら、入港から搬入まで三十一・一時間と、搬入から申告まで三十七・八時間と、申告から輸入許可までが四・九時間ということになっていますんで、これをどういう形でやるかということに懸かってきますんで、それはなかなか簡単にいかないということですけれども、シンガポールはもう船が入る前に全部のこの審査を終えて、入った段階でもうすぐに荷物を揚げれるという状態になっていますんで、他国でできることがなかなか自国でできないということ、いろんな課題があることはよく分かっています。よく研究いただいて、今三年から四年を目途にということでございますので、御努力をいただきたいということを思っております。  次に、時間がなくなってきますね、今後の物流サービスを考えていく上で重要なファクターになるロジスティックスの効率化の発想がございます。多様化する荷主ニーズにできるだけ迅速に対応するため、我が国では運輸業の規制、緩和や情報ネットワークの整備が進められております。物流そのものの在り方が従来のSCM、サプライ・チェーン・マネジメントでありますけれども、これに代表されるように供給サイドの対応からさらに需要サイドへの対応へと変革が迫られているわけでございます。  これまで以上にシームレスかつスピーディーな物流が求められておりますが、このような時代の要請にこたえるために、国や自治体は港湾の所有者、管理者としてだけではなく、港湾運営と情報管理にも積極的に取り組むとともに、将来に向けて総合的な港湾政策の一環としてすべての事業者同士が連携して効率的な物流体制を確立することが必要だと考えられますけれども、この点をお伺いしたいと思うんですけれども、港湾の国際競争力を強化して物流の効率化を進めるためには、港湾の整備だけではなくて、これに直結する道路の整備等輸送モードとも連携した総合的な取組を進めるべきではないかという意味も込めておりますので、御理解をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○政府参考人(春田謙君)  お答え申し上げます。  今先生の方からも御指摘ございましたように、港湾の問題は港湾の整備だけではなくて、関連する施策と総合的に取り組んでいかなければならないというのは正に御指摘のとおりでございまして、港湾の施設整備だけではなくて、例えば近隣の港湾の間におきますところの機能分担であるとか、あるいは連携の強化であるとか、そういうようなことを図る意味でも道路あるいは鉄道、こういった他の輸送モードとの連携、あるいは内航海運との連携、こういった総合的な物流ネットワークの構築ということが必要であるというふうに考えております。そういう中で、道路の問題、鉄道の問題、あるいは内航海運の関係、それぞれのモードとの関係のボトルネックというのを解消して、正に需要サイドの要請にこたえたロジスティックスという観点から全体の物流の体系ということを考えていく必要があるというふうに考えております。  こういった観点から、国土交通省におきましては、国際物流施策を総合的に一体的に、また戦略的に推進する必要があるということで国際物流施策推進本部というのをこの二月に立ち上げをいたしまして、大臣の御指示の下、いろいろと検討を進めてまいりまして、四月の初めにはその施策の課題というのを取りまとめたわけでございますが、これをやはり具体的にどういうふうにしていくのかということを早急にまとめていく必要があると思っておりまして、本年の六月を目途に具体的施策を取りまとめたいというふうに考えております。  特に、先生の地元でもあられる関西地区に関しましては、関西経済連合会の方から今年の三月に、関西の総合的な物流機能強化に関する提言ということで、国際物流基地としての神戸港を含む阪神港あるいは関西国際空港の利便の向上というようなことで、正に総合的な取組をする必要があるという提言をいただいておりますし、特に関西につきましては、産業界あるいは学識経験者、私ども行政、それぞれ担当がやはりこの問題具体的にどうするのかということで取り組む必要があると思っておりまして、国際物流戦略チームというようなものを立ち上げる必要があるだろうということで、現在その設立に向けて準備をしておるところでございます。こういった戦略チームの検討におきまして、ボトルネックを具体的に解消いたしまして、どういうふうに取り組むかということの具体的施策をまとめていきたいというふうに考えております。 ○末松信介君  ひとつ総合戦略を組んでいただきたいと。これ港だけ触っても駄目なんで、やっぱり周りを触ってほしいと。港湾荷役会社にもいろいろ聞きましても、やっぱりもう通行料金をこうしてほしいとか湾岸線をこうしてほしいとか、いろんな要望が出ています。神戸の空港の運用時間もどうだろうかとか、いろんなことを考えていますので、十分な意見を酌み取れる形で官民一体となって進めていただきたいと思います。  時間が迫っておりますので、急ぎたいと思います。  五番目の質問でありますけれども、地方港で、多極分散型国土の形成、あるいは輸入促進を目的とした八〇年代から公費によるコンテナ港湾施設の整備によって、九〇年代初めには数か所しかなかったコンテナ港が十年余りでこれ六十か所ぐらいになったという、これ新聞によく書かれていることなんですね。その結果、地方のコンテナ輸送費は大幅に削減が図られた。反面、安い外航海運を利用した貨物集積地が釜山などの東アジア近隣の海外ハブ港を利用する状況となっているということで、その結果、国内の五大港のハブ機能が著しく機能を弱めてしまうという皮肉な結果を生じてしまったという。要するに、地方のコンテナ港造っていただいたおかげで内航海運が非常に、内航フィーダーですね、が弱ってしまったということがございます。トランシップの荷物が減ってしまったと。  そこで、五大港と地方港とつなぐ内航フィーダーのトランシップで外航フィーダーに負けないために何らかの活性化策を講じるべきじゃないかと思うんです。当面はいいんですけれども、長期的に考えたらやっぱり大きな影響が出てくると、産業競争力の問題とか。この点についてのまず考え方を述べていただきたいと思います。 ○政府参考人(矢部哲君)  お答え申し上げます。  ただいま内航フィーダーの活性化策をどうするんだというお尋ねだと思いますが、スーパー中枢港湾施策は正に我が国の長距離基幹航路が減少する一方、アジア諸港で積み替えられる輸送、いわゆる外航フィーダー輸送が増大しているということと、それからこの我が国の主要港の相対的な地位の低下が進むとともに、地方港がいわゆるアジア諸港のフィーダー港化していると、こういう状況に対応しようとするものでございます。  そして、この施策を推進するに当たりましては、今先生御指摘がございましたように、スーパー中枢港湾と地方港を結ぶ内航フィーダー輸送を活性化させることが、この国内の港湾ネットワークの強化を図るという意味で大変重要な課題だというふうに思っております。  このため、平成十七年度におきましては、内航フィーダー輸送の社会実験を実施いたしまして、スーパー中枢港湾におきます外航船と内航船とのコンテナの積替え荷役あるいは内航フィーダー船の運航の効率化を図るということを進めてまいりたいと思っております。  また、内航海運自身の活性化も大変重要だと思っております。この点につきましては、既に昨年の通常国会におきまして内航海運業への参入規制について、許可制から登録制へ緩和するという内容の内航海運業法の改正を通していただきまして、これは本年四月から既に施行されております。この法律によって内航海運の競争促進を図っているところでございます。  このような総合的な取組によりまして内航フィーダー輸送の利用促進を図りまして、我が国の港湾ネットワークの国際競争力の強化に寄与していく所存でございます。 ○末松信介君  よろしく御対応いただきたいと思うんですけれども、震災前、この神戸の港というのは内航と外航のバースが離れておりまして陸送費用がかさんでおりましたので、神戸市が、九八年でしたけれども、内航コンテナ船が外航バースに接岸できるように内航船のクレーン料を半額にしたりとか、いろんなことをやっておるんですよ。  一方、例えば事業者でも、これは内航フィーダーの中心的な会社なんですけれども、新型船の開発にも力を入れて積載効率を追求した結果、主力四百九十九トンの船は、この船は積載量が倍に増えるようにいろいろ努力をしたりとかされておられますんでね、これはトランシップ荷物が減っているということについては、当面は困らなくても長い目で見たらやっぱり困るというのが、昨日ずっといろんなお話はしたんですけれども、思いますので、よろしく御対応いただければということを思います。  次に移ります。  港湾運送事業法改正の関係についてなんですけれども、港湾運送事業の規制緩和を行うに当たっては、港湾運送の安定化、いわゆるセーフティーネットの実施が必要であると思います。例えば参入規制の緩和によって再び悪質事業者の参入の可能性が懸念されるわけなんですけれども、悪質事業者の参入防止という観点から、労働者保有基準の引上げは、一・五倍ですけれども、重要であります。このことにつきましては、担当の方とか田村課長からも非常に詳しい説明を受けまして、私なりにも理解をいたしました。  しかしながら、今般、規制緩和を実施する地方港では零細事業者が多いことなど、港ごとに様々な事情があろうかと思います。きめ細かな配慮が必要であると考えますけれども、見解を伺いたいと思います。 ○政府参考人(矢部哲君)  ただいま労働者保有基準の引上げを行うに当たりまして港ごとの事情への配慮はどうするのかというお尋ねがございました。  平成十二年に先行して規制緩和を実施いたしました主要九港におきましては、日雇労働者を使用して港湾運送事業を営むような悪質な事業者の参入を防止するため、欠格事由の拡充や罰則の強化を図りますとともに、今先生からお話のございました許可基準の一つでございます労働者保有基準を一・五倍に引き上げたところでございます。  しかしながら、既存の事業者にとりまして過度の負担とならないように、一つの事業者でこの一・五倍の基準を満たすことが困難な場合には、事業者が作業の共同化などを行う事業協同組合を結成した場合に、ほかの組合員の労働者を自己の労働者とみなすことができる特例措置を設けました。今般、規制緩和を実施することにしております地方港につきましても主要港と同様の措置を講ずることとしております。  しかしながら、事業者数が少なく、また事業者の規模も小さいという地方港の特徴がございますので、一つの港で今申しました事業協同組合を設立できないような場合には、港を超えた都道府県単位での事業協同組合によります特例措置を設けますとともに、この基準の適用に関しましては十分準備期間を設けるという意味で、主要九港の場合よりも長い十分な猶予期間を確保するということを考えておりまして、適切にこの地方港の状況に対応してまいりたいと考えているところでございます。 ○末松信介君  最後の質問に移ります。  今の点につきましては、一・五倍、いろいろと誤解がないように、地方港におられる荷役業者の方々に理解を深めていっていただきたいということを思います。  岸壁の耐震基準について質問して終えたいと思います。  阪神・淡路大震災では被害金額が十兆円だったわけなんですけれども、一位はもちろん住宅の五兆八千億、第二位が実はこの港の一兆円だったわけなんですね。高速道路でも五千五百億円、鉄道でも三千四百三十九億円だったわけなんです。港が大きな痛手を受けてしまったと。陸上の交通が遮断されてどうしようもないときに、港に頼ろうと思ったらその港が壊れてしまっておったという、一部航路を再開して大阪—神戸を船走らせたこともありました。また、大阪—岡山という飛行機も廃止路線になっていたんですけれども、一時復活したこともあったんですけれども。  やはり岸壁の耐震強化というのは進めていかなきゃならないわけなんですけれども、どれもこれもやれというわけじゃないんですよね。極端なことを言ったら、それは、漁獲高よりも漁港改良費が大きいといったような、そういう不合理なことはやっちゃいかぬわけなんですけれども、絶対に必要なところはあると思うんですよ、場所場所によって。積極的に耐震強化というのは進めるべきだと思うんですけれども、その考え方についてお伺いして、質問を終えたいと思います。 ○政府参考人(鬼頭平三君)  今委員からお話のありましたように、阪神・淡路大震災のときには、耐震強化岸壁として整備をいたしました摩耶埠頭についてはほぼ無傷で残りまして、地震直後の緊急物資の輸送に大変大きな役割を果たしたことは御案内のとおりでありますが、ただ、そのほかのコンテナターミナルを中心とするほとんどの施設が壊滅的に被害を受けたということで、その後の経済の復興等に大変大きな影響があったということでございます。  そういうことで、従来から耐震強化岸壁、緊急物資の輸送あるいは被災者の避難のための施設整備を進めておりますが、阪神・淡路大震災後は、神戸港の被災の教訓を踏まえまして、国際海上コンテナターミナルの耐震強化についても鋭意取り組むという方針を出したところでございます。  そういう経緯がございますけれども、今御質問のありました耐震強化岸壁の整備状況につきましては、今お話をしました国際海上コンテナターミナルの整備はおおむね現行の全体の三割という目標については達成をしてございますが、緊急物資輸送の対応の施設の整備率については五割強にとどまっているというのが現状でございます。  港湾は、今お話のありましたように、大規模地震時には、住民の避難や地域の復興を支える防災活動拠点として、あるいは被災地域の経済活動を支えるネットワークの拠点として大変重要な役割を担っておりますので、耐震強化岸壁につきまして、大規模地震発生の切迫度あるいは海上輸送への依存度などを考慮してその整備を鋭意進めてまいりたい、かよう考えているところでございます。 ○末松信介君  以上で質問を終わります。  ちょっと一分ほど延びまして、済みませんでした。失礼します。