活動報告

2006-04-20
第164回国会 国土交通委員会 第13号

第164回国会 国土交通委員会 第13号 2006年04月20日 ○委員長(羽田雄一郎君)  高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案を議題といたします。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、大変お忙しい中、本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。  まず、小川参考人、今福参考人、野村参考人、山城参考人の順序でお一人十五分ずつ御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人の方々の御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず小川参考人にお願いをいたします。小川参考人。 ○参考人(小川榮一君)  小川でございます。大変、こういう機会をちょうだいいたしまして、重責に感じております。着席させていただきたいと思います。  高齢者、障害者の移動の円滑化の促進に関する法律案に対する御要望を、日本身体障害者連合会長でございます小川榮一でございます。  一つ、初めに、平成六年に制定されました高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の促進に関する法律、ハートビル法及び平成十二年に制定されました高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、交通バリアフリー法等により、これまでに、駅、ターミナル、空港等旅客施設での段差の解消や視覚障害者誘導用ブロックの設置、身体障害者用トイレの設備、公共交通機関のバリアフリー化の推進など、私たち障害者が公共交通機関等を利用して移動する際の利便性並びに安全性の向上が一段と進んできていることについては高く評価するものであります。  そして、このたび、この二つの法案の、両法案の対象外であった道路、路外駐車場、都市公園等を追加、新設・改良時のバリアフリー化を義務付け、これらの既存施設や百貨店、病院、福祉施設など既存建築物のバリアフリー化も努力義務の対象になる本法案は、障害者にとり社会参加の促進に大きく前進をするもので、大変有り難いと思っておりますが、地域によせる一体的、連続的なバリアフリー化の向上となる本法案の制定に大きな期待を寄せるものであります。  二つ、施策に関する基本的視点。  ユニバーサル社会の実現、二つ、限定されない行動範囲のための連続的な移動経路の確保、三つ、本法案と関連するバリアフリー促進施設の関係省庁の連携強化による政府一体となった着実な強化をお願いしたい。四つ、国民のバリアフリーに関する意識の向上に向けた心のバリアフリーへの積極的な取組、五つ、バリアフリー化の取組に対する支援の充実強化、六つ、市町村の基本構想策定と事業実施に至るすべての段階における当事者参画の徹底、七つ、障害者基本法、障害者自立支援法にあるような三障害を対象としたバリアフリー施設の展開、八つ、学校教育、社会教育を通じたバリアフリー意識の啓蒙普及をお願いいたしたい。九つ、選挙権の行使に係る建物やアクセスなどバリアフリー化の促進、国連での審議中であります障害者権利条約並びに条約に基づいて制定されるでありましょう障害者差別禁止法と整合性のあるバリアフリー施設の展開をお願いしたい。十一、東横インの例を見るまでもなく、悪質な業者に対する罰則の強化も御検討いただきたい。  大きな三番、基本的施策の視点。  一つ、ハード面の整備。  旅客施設、車両等における整備。  一つ、駅等における転落防止施設、ホームドア、可動式ホームさく、点状ブロック等の整備、二つ、一日平均利用者数五千人未満の旅客施設におけるエレベーター及びエスカレーターの設置、三つ、時間制限せず常時利用できる上下双方のエスカレーターの整備など、四つ、車いす利用者やオストメートが利用できる多機能型公衆トイレの設置及びトイレまでの移動のバリアフリー化の整備も併せてお願い申し上げたい。五つ、旅客施設及び車両内における日常だけでなく緊急時等においても対応できる音声や文字表示案内や職員の対応の整備、六つ、福祉タクシーの導入の一層の促進、七つ、車両内における電動車いすを含む車いすスペースの確保、八つ、コミュニティーバスや観光バス、高速バス等を含めたノンステップ導入の一層の促進も御検討いただきたい、お願い申し上げたい。九つ、旅客船や旅客機内における通路やトイレ等バリアフリー化の促進、十、旅客機利用の際にする電動車いすの対処方法の配慮、十一、ターミナルビル内の搭乗口とロビー間のカート等における移送の補助、十二、駐車場とターミナルビル間の移動手段のバリアフリー化の促進をお願い申し上げたい。  括弧二番、道路。  一つ、歩道橋へのエレベーターの設置の義務化、二つ、歩道の整備、歩道幅の拡大、放置自転車等に対する罰則、点字ブロック設備の促進、三つ、音声信号機設備の普及促進、四つ、電柱や道路上の看板等の撤去、五つ、屋根付駐車場の整備促進及び電動車いす等が使用できる駐車スペースの拡大など。  三つ、建築物。  一つ、床面積二千平米未満の建築物の新築及び増改築に関するバリアフリー化の義務化。二番、敷地内及び館内における誘導ブロックの設置や車いす利用者を配慮した動線の整備。三つ、エレベーター前やトイレ内等における音声情報案内の整備促進及び案内係等要員の教育指導。四つ、緊急時における誘導対応の教育指導。五つ、共同住宅、学校におけるバリアフリー化の義務化。  二つ目、バリアフリーに対する国民意識の啓発。  一つ、障害の様態や障害者に対する正しい理解のための育成。二つ、心のバリアフリーの育成。三つ、ユニバーサル社会実現の啓発。四つ、公共の場におけるマナー意識の啓発。  大きな四番でございます。支援措置、基本的標準の適合。  各種補助金の交付。二つ、地方公共団体の助成を実施する場合の地方債の特例。三つ、固定資産税等への課税の特例など。  大変、具体的な課題よりも多くの問題点をお願い申し上げましたが、どうぞよろしくお願いを申し上げて、日本身体障害者団体長としての意見の陳述に代えさせていただきます。  ありがとうございました。 ○委員長(羽田雄一郎君)  どうもありがとうございました。  次に、今福参考人にお願いいたします。今福参考人。 ○参考人(今福義明君)  DPI日本会議・交通問題担当の今福義明です。よろしくお願いいたします。  私は、電動車いすを使用する障害者です。また、私はDPI日本会議の交通問題担当として聞いていただきたいことがあります。  二〇〇〇年に現在の交通バリアフリー法が成立して、現在までの五年間に、同法成立以前と比べて、同法のバリアフリー化対象の公共交通機関は飛躍的にバリアフリー化されました。特に、地下鉄や大手鉄道事業者や大手バス事業者の駅設備、車両、バス車両のバリアフリー化は驚くべき変化です。同法の成立によって、多くの移動制約者が円滑に移動できるようになりました。  また、同法の大きな特色である自治体による基本構想策定により、駅を中心とした重点整備地域の歩道やバスターミナル等の整備も、だれにでも使いやすいユニバーサルデザインの観点が生かされるようになってきました。  しかし、新たな問題も出てきました。その点を是非聞いていただいて、これから審議される交通バリアフリー新法をより良いものにしていただきたいと願うものです。  一点、私たちは、一乗客、一利用客として、他の乗客と同じように対等に扱われたいと強く願っています。ここで言う私たちとは、電動車いす使用障害者だけではもちろんなく、手動車いす使用障害者も、視覚障害、聴覚障害、知的、精神に障害を持つ人たち、そして高齢者や乳母車を押す人たちも含めてです。ですから、交通バリアフリー新法においては、私たちを一乗客、一利用客として明確に位置付けてほしいのです。一乗客という考え方はちょっと分かりにくいかもしれませんが、一乗客と同じように利用したい。利用できる情報を得たい、情報を得れるようにしていく努力を求める記述を盛り込んでいただきたいと思います。  例えばです。この観点がないと、例えば数百億円を投じて導入される次世代新幹線車両においても、私たち車いす使用乗客はデッキでしか乗車できないという、安全でない、円滑でない、快適でない乗車を強いられることが予想されてしまいます。例えばですが、二〇〇五年三月十九日にデビューしました小田急の新型特急において、私たち車いすの者が安全に乗れるスペースがないんです。トイレに行くにもカフェを通らなければならない、非常に車いすスペースというものが狭い。何百席もある席の中で、乗客としてわずか一時間の乗車が円滑にできないという現実があります。つまり、既存のバリアフリーの仕様において一乗客として位置付けられていないためにそのようなことが起こったんだと考えます。  今、私たちは公共交通機関を安全に安心して移動したいと強く願っています。そのために、私たちにとって安全ではない、転倒や転落事故が起こって大けがや心的トラウマになるようなキャタピラ式階段昇降機や急勾配スロープのバス、障害者や高齢者に対する無理解な不接遇による事故が二度と起こらないようにしていただきたいと思うのです。  具体的には、ホームからの転落防止に最も有効なホーム可動さく整備の数値目標を立ててください。現在、国内には大中小合わせて九千五百駅の駅がありますが、ホーム可動さくが設置されているのはまだ三%の二百七十駅ほどです。新設駅においてもホーム可動さくが設置されないということになっています。是非ホーム可動さくの設置を義務付けていただきたい。視覚障害者の方だけではなく、車いすの障害者の私たちの仲間もホームから転落していることがあります。その事例が報告書に載っています。  また、車いす対応エスカレーターを交通バリアフリー基準から除外してください。二〇〇四年、二度にわたって車いす使用者が車いす対応エスカレーターから転落事故を起こしました。重傷になりました。国内千五百基車いす対応エスカレーターが導入されていますが、確かに順次エレベーターが付いていますが、車いすエスカレーターで上から下に降りるとき正に絶壁に立たされた思いです。ロシアンルーレットのごとく、いつだれが落ちるか分かりません。このように車いすのだれもが不安に、恐怖に思っている安全でない昇降機が交通バリアフリー基準に入っていること自体がおかしいと考えます。是非除外していただきたいと思います。  また、国内全駅から交通バリアフリーガイドラインにも入っていないキャタピラ式階段昇降機を全廃してください。これは、二月七日に東京メトロ永田町駅において、券売機を積んでいたキャタピラ式昇降運搬機が落ちて、一人の方が死亡した、二人の方が重軽傷になられたというのと同じ構造のものが私たち車いすの障害者を国内的に運んでいるんです。これは大手民鉄、例えばJR東日本には千七百駅のうち五十基ぐらいあります。このような危ない機械を是非撤廃していただきたい。  また、聴覚障害者の方の強い要望である、公共交通機関における緊急時のお知らせ文字情報サービスの数値目標を立ててください。  三番、現行交通バリアフリー法の基本的趣旨は、公共交通機関を利用する障害者や高齢者の移動の円滑化にあることは言うまでもありません。しかし、過去五年間、信じられないことですが、交通バリアフリー法の移動円滑化基準に適合している設備で、車いす障害者等が乗車拒否あるいは利用拒否された事例が報告されています。鉄道や路線バスなどの公共交通機関によって、納得できない不合理な理由で乗車拒否あるいは利用拒否されたら大変につらいです。現代社会では考えられない抑圧です。どうしてこんなことが起こるのでしょうか。これは障害を理由とした差別ではないでしょうか。また、大きな矛盾だと思います。是非、交通バリアフリー新法においては、新法の趣旨に違反するようなことが起こらないように法文に盛り込んでいただきたいと強く願います。  例としては、ハンドル式電動車いすを使用せざるを得ない障害者の人が、交通バリアフリー基準に適合した新型のエレベーターで乗車拒否されたり、いまだに新幹線において乗車拒否されています。新幹線はすべて交通バリアフリー法の移動円滑化基準に適合した車両を持っているわけです。その車両においてすら乗車されないというのは考えられないことです。また、ノンステップバス、国や市区町村が補助金を出して運行しているノンステップバスの多くが、路線を固定されず時刻を固定されずして、つまりいつどこに乗れるバスが走っているのか分からないという状況に置かれています。千葉県はすべての路線がそうなっています。このようなことは乗車拒否と同じことだと思います。また、現在市区町村が建設する図書館や公民館でバリアフリーでない設備ができるものは全くないと言っていい中で、コミュニティーバスでバリアフリーでないものが走ったりします。これもまた矛盾だと思います。また、大型のリフトがありながら電動車いすの障害者を乗車拒否していた例といったこともあります。  四番、交通バリアフリー法における移動円滑化基準のバリアフリー化適合設備の中には、事業者による適切な操作、運用がなくては、つまり駅員さんとか運転手さんの適切な操作、介助がなくてはそれらの設備そのものが十全に機能しない設備が幾つかあります。それらの設備をいつでも利用できるように操作、運用の接遇サービスを義務化してください。  私たち車いすにとっては、ホームと車両との段差とすき間において、国内九千五百駅の一〇〇%に近い形でまだまだ一人で乗り降りすることができません。そんなときに、交通バリアフリー法の中に位置付けられているのは、ホームと車両との段差に支障を感じるときは一以上の設備を備えなければならない、これが具体的にはホーム渡り板、携帯用のスロープなんですが、これは駅員さんが使ってくれないと使えないわけです。ですから、このようなホーム渡り板や、あるいはバスにおけるスロープや座席の跳ね上げ、固定の仕方、これらも運転手さんがしてくれないと駄目な設備なわけです。これらの設備の操作や接遇サービスについては、是非義務化していただきたいと思います。  ありがとうございました。 ○委員長(羽田雄一郎君)  ありがとうございました。  次に、野村参考人にお願いいたします。野村参考人。 ○参考人(野村歡君)  参考人、野村歡でございます。  今年の四月から国際医療福祉大学大学院というところに職を変えましたが、それまでは日本大学理工学部というところでこれまで四十年間、高齢者、障害者の皆さん方の生活環境整備の在り方を研究してきた者でございます。  レジュメに沿ってお話を申し上げます。  一、新法に対する全体評価ということですが、これまでお話がありましたように、両法、ハートビル法、交通バリアフリー法ともに十分に社会で役割を果たしてきたというふうに私は評価をしております。しかし、この両法が一体化することによって、更に高齢者、障害者の地域で生活をすること、あるいは社会活動参加がより活性化されるのではないかと大いに期待をしております。また、新法は、先生方のお手元に参考資料というのが配付されておられるかと思いますが、その百二十五ページから百五十六ページにユニバーサルデザインに対する考え方という実はペーパーがございます。この懇談会におきまして様々な障害者団体あるいは高齢者団体あるいは事業者団体からの御意見をいただいてそれを取りまとめたものでございますが、そのかなりの部分がこたえていただいているということで、懇談会の取りまとめ役として大変感謝しているところでございます。  二、新法に対する個別評価でございます。  法の名称がほんの一字変わっただけでございますけど、これは大変実は意味を持っている。ということは、これまでの法律では「身体障害者等」という言葉になっておりましたけれども、今度は「障害者等」というふうに、この二字が削除されているわけです。これは、今までは「身体障害者等」の「等」の部分で知的障害者及び精神障害者を読み込むのだという解釈がされておりましたけれども、これは平成五年に障害者基本法という法律ができておりまして、ここではっきりと「「障害者」とは」ということで三つの障害を明示しているわけで、そういう意味におきましては、私は障害者基本法と整合性が図られた形であるということで評価をいたします。  二番、交通バリアフリー法とハートビル法が一つの法律に一本化された、さっきも申し上げましたけれども、これは法律がきっちりと守られていれば本当は問題がないはずなんですが、現実にはいろいろなすき間があるわけでございます、現場において。そういう意味では、現場で環境を整備するときによりスムーズになるのではないかというふうに思います。例えば、道路が整備される、あるいは建築物が整備される。しかし、その道路と建築物の間に段差があれば何の意味もないということが現実にたくさん今まであったわけです。そういうことから考えると、今度はそういうことがなくなってくるのではないかというふうに思います。  また、新法では、基本構想を定めるに当たって協議会の設置ということがうたわれております。これは交通バリアフリー法ではかつて位置付けられておりましたけれども、新法では当然ハートビル法関連の建築物も包含されることになりますので、更に大きな視点で基本構想が企画立案できるというふうに期待しております。ただし、この基本構想は、設定することができるというレベルにとどまっておりますので、それが設定されなければまだ効力が発揮できないということになりますので、その点についてもこれから御配慮いただきたいと思います。また、高齢者、障害者等の当事者参加ということが、これが明記されたことは大変評価をしたいと思っています。  三番、駅を含まない地区を重点整備地区とするということですが、これまでは駅を中心としてその半径五百メートルあるいは一キロということに基本構想が策定されておりましたけれども、必ずしも駅を中心として発展している都市ばかりではないわけで、そういたしますと、そういうところでもこれからこの基本構想が実施できるということで私は大いに期待をしているわけです。  さらに、四番目に、交通バリアフリー法関連の対象物が都市公園、路外駐車場、それから道路が入っておりませんが道路まで拡大されたことにより、高齢者、障害者の地域居住あるいは生活圏が更により拡大されまして、いろいろな障害がない人たちとの生活格差がより少なくなるのではないかというふうに思っております。  そういう意味で、新法に対して大変評価をしたいわけでありますが、さらにまだディテールの部分については決められているわけではございません。そういう意味で、それも含めて今後の課題という形でまとめさせていただきました。  法の趣旨への国民の理解促進というのがございます。ただいま今福参考人からもお話がありましたように、乗車拒否あるいは放置自転車あるいは道路上の不法占有物件、そういうものがたくさんあるわけで、これは国民の皆さん方の御理解をよりいただかないとなかなか達成できない。法律の上では施設設置管理者の責務あるいは国民の責務が明記されているものの、現実には十分な成果を収めているわけではございません。それによって、継続的な政府広報あるいは公共広告等で法の趣旨をより徹底していただきたいと思います。更に付言させていただきますと、法の対象となる建築物でいいますと二千平方メートル以上ということになっておりますが、この法の精神からいえば、すべての建築物がこの法を守るべき性格のものであると私は考えております。この限定していることは、これは行政手続上の問題でありまして、そういうことを考えますと、国民の意識啓発がこれからより重要になるのではないかというふうに考えております。  二枚目に参ります。  基本構想策定への誘導ということ、これ先ほどちょっとお話をしてしまいましたけれども、法の二十五条におきまして、この法の基本構想の設定ということがあります。これは自治体でこの基本構想策定を置かなければ何にもならない、そういうことで、この協議会が置かれるように、国あるいは都道府県、政令都市レベルで更にここのことを強く推進する方策といいますか、手段をお考えいただくとより効果的ではないかというふうに思っております。  三番、施行令、規則を策定する際の配慮ということで、これから施行令あるいは規則等が、作るに当たってディテールが決まってくるわけですが、その中に、今まで以上に考えていただきたいことは、情報障害と言われる視覚障害あるいは聴覚障害への配慮した基準の検討ということがございます。これまでの基準は、主として肢体不自由者を対象としたものであります。聴覚障害、視覚障害、ないということではありません、ありますが、更にこれを充実することが必要ではないかと思います。  その下の黒ぽちですが、今の法律は建築物、交通機関をどうやったら利用できるかということに対しては随分配慮がされているわけですが、それでは災害時が発生したときに一体どういう状況になるのか。これについては、十分検討されているとは私は思えません。ということは、例えば地震あるいは風水害、火災、そういうことになりますと、第一次避難所になるのは学校でございます。その学校は生活施設でないために、そこで実は大変皆さん、高齢者、障害者の人が苦労してその避難生活を送っておられるわけです。そういうことから考えると、私はやっぱりいざという場合の配慮ということがこれから必要でありますし、さらに、その学校に避難をするということは大事なことですが、一方で、社会福祉施設におきましても、これは二十四時間施設ですから、そういう非常時に対する対応ということをこれから検討していくことが私は重要なことではないかというふうに思っております。  それから、その下の子供の利用ということがありますが、次世代育成支援ということが叫ばれており、また平成十六年の十二月にそのプランが出ておりますが、そこにはバリアフリープランということが書いてありますけれども、余りディテールのことについては触れられていない。少なくとも、これから基準を考えるときには小さな子供さんがいるということ、まあ六本木ヒルズの例を見るまでもなく、あるいは私の経験では、橋の欄干がガードレールで造られているためにその間に大きなすき間が空いている、そうすると子供さんがその間から落ちてしまうということは十分に考えられる、そういう現状がまま、まだあちこちにあるというふうに思っております。  さらに、将来的には次の事項について検討をお願いしたいということで、今回の法律では難しいかもしれませんけれども、四番、建築物の用途別、面積別に対象建築物を検討していただきたい。  例えば、今は建築物では床面積が二千平方メートル以上というふうになっております。ここで決められている特定建築物の中には、二十項目ありますが、一つの建築物で二千平方メートル以上あるのはなかなか難しいというような建築物もあります。もちろん、それは不特定多数の人が利用するからということではありますけれども、ならば、そういう建築物についてはもう少し面積を下げて、よりこの法律が有効に働く方法があるのではないか。また、官公庁の建築物については、基本的には国民の税金を使って建てられている建築物ですから、こういうものについては面積をもうとにかくできるだけ下げて検討していただきたいというふうに思います。  その下に書いてある、小規模建築物というのがあります。これは面積二千平方メートル未満でございますので、こういう建築物は実は対象外になってしまうことが大変多いわけですが、しかし、我々の生活の中でコンビニエンスストアあるいはファミリーレストランというのは、かなりこれはもう身近なものでございます。そういうところが法の対象から外れるということは、やはり国民の日常生活を保障するというレベルまでにはこの法律は至らない部分がある。そういう意味において、この部分については何か附帯決議等で御検討いただけないだろうかというのが私の個人的な意見でございます。  そして最後に、五番目になりましたけれども、建築物の用途別基準の採用ということで、今は、特定施設という言葉があります。これは特定建築物の建築物の中のどういう部分をかつてのハートビル法で適用されるかということになりますが、移動経路ということで、玄関、廊下、階段、エレベーター、そしてまあ便所ということが付いているのが中心ですが、現実に建築物にはそれぞれ目的がございます。その目的を達することができなければ、その建築物に近づけたとしても、意味がないわけですね。  そうすると、それぞれの持っている建築物の目的を達成せしめるような配慮ということが今後必要ではないかと思います。例えば劇場の客席であるとかあるいは音楽ホールの席であるとか、そういうこともあるでしょうし、ホテルで客室に泊まるということが実は大変意味があるわけで、それが泊まれなければ何の意味もないわけですから、そういう意味において、この法律が更に有効に国民の皆さんの生活に大きくいい効果を現すためには、そういう細かい部分について今後御審議をお願いしたいというふうに思います。  以上でございます。 ○委員長(羽田雄一郎君)  ありがとうございました。  次に、山城参考人にお願いいたします。山城参考人。 ○参考人(山城完治君)  山城といいます。よろしくお願いいたします。  今日、こういう場をいただきまして、本当にありがとうございます。  それで、私は視覚障害、視覚情報障害なんですけど、視覚障害というのは当たり前のことが分からないというのがあるんですよね。それをまず言いたいと思うんですね。  視覚障害になって町を歩くときにいつも思うことは、自分が今どこにいるか分からない。自分はどこにいるのかな、駅のどこにいるのか。例えばここにいて、ここは全体の中の、この部屋のどこにいるのかというのが分からない。それから、どっち向いているか分からないというのがあるんですね。私は議員さんの方を向いているのかどうなのか、これが分からない。それから、歩くときにどう歩けばいいのかというのが分からないというのが視覚障害。つまり、皆さんにとっては何でもないこと、当たり前の情報がないというのが視覚障害者なんですよね。  例えば一つの、この法律の例でいいますと、法案が出ているみたいですけれども、出ていますけれども、点字の法案がないわけですね。私たちはその当事者であり、今度のその法律のまあ主役の一角であると思うんですが、その私たちがその法律を読むことができない、点字が出てない。これは、こういうことはやっぱり改善していかなきゃいけないなというふうに思うんですね。  まあそういうこともありますので、私は、法律の全体に触れるんではなくて、視覚障害者の立場から、特に命やけが、安全にかかわることについてを中心にお話ししていきたいというふうに思います。  それで、まずここに三つの不自由と三つの遅れというのがあるんですが、視覚障害者の社会参加、そして平等な暮らしのために、私たちは、三つの不自由と三つの遅れ、この克服が課題だというふうに考えているわけです。  三つの不自由、これはまず歩行、移動の不自由、読み書きなどの情報入手と発信の不自由、それから就労の不自由です。三つの遅れというのは、制度と技術開発、障害を補うための制度と技術開発の遅れ、それから視覚障害者に対する理解と啓発の遅れ、それから人権と民主主義の遅れというふうに私たちは整理をしています。  これを一々説明していくと大変なことになりますので、まず簡単に、この三つの不自由というのは、まあ病気の治療で言いますと、表治法というか症状療法ですね、対症療法、それから三つの遅れというのは根本療法というふうに認識していただきたいなというふうに思います。これらをやっぱり解決していかなきゃいけないということが非常な私たちにとっての課題であり、社会と地域の課題にもなるのかな。また、私たちはそういうふうなことをやっぱり踏まえていきながらいろいろと行動もしていかなきゃいけないなというふうな思いです。  さて、この今度のバリアフリー新法の中で、やっぱり歩行、移動の問題にどうしても触れなきゃいけないわけですけれども、私たちが町を歩くときに、ここに四つのバリアのことを書いてありますけれども、「落ちる、ぶつかる、つまずく、迷う、見えぬ歩行の四難儀」というふうになっていますけれども、これは、唱えていただければ七・七・七・五になっているんですね。三・四・四・三・三・四・五というふうにちゃんと言いやすく私はしているつもりなんですけれども、ここの中で、これを私たちはまず解決していかなきゃいけないというふうに思っています。  落ちる、これは痛いですよね、当たり前、けが、もう一番これは落ちるのは困る。ぶつかる、これもしょっちゅうです。つまずく、迷う。これは視覚障害者が、全盲の者が歩くということは落ちることであり、ぶつかることであり、つまずくことであり、迷うことなんですね。これが今の社会の現状だと。これを解決していくのがこのバリアフリー新法のはずだと私たちは確信をしているんですけれども、これを、法律を読んでいると、なかなかそういうものになるのかなというのが見えてこないというのが正直な私の印象なんですね。  その中でとりわけ説明をしなきゃいけないのが、まず駅のホームからの転落の問題です。駅のホームは欄干のない橋である、全盲者の歩行は綱渡りというふうにしていますけれども、正にそのとおりなんですね。  今日、視覚障害者の仲間も傍聴に来ていますけど、ここに来ている人はみんな駅から落ちている、ホームから落ちています。まあおしなべて、おしなべて半数、弱視者も入れて半数、全盲者も入れれば三人に二人が落ちているわけですね。毎日歩く視覚障害者はどうかというと、これはもう九割方落ちていますね。私たちの仲間は落ちてない人を探すのが大変。まあ昔はこう言われていまして、仲間で話すと、おまえホームから落ちたことあると言ったら、まだと。まだ一人前の盲人じゃないねと。まだそれが続いているということです。  具体的に言いますと、去年の十一月にも、私たちの知り合い、仲間が二人落ちているんですね。ここに、対策のところに書いてある可動式ホームさく、この可動式というのが大事なんですよ。  というのは、十一月に一人落ちている男の人は東急池上線で落ちているんですが、ここは固定式のホームなんですね。この固定式のホームさくというのが危険でして、さくって付くと大体人が減るという策、対策なんですね。さくと言うと人が減るという対策。それで、固定式は、これはくしの歯が欠けているように空いていますから、ここから視覚障害者は落ちるんですね。池上線では、私の知る限り、四人ほどの仲間が落ちているんですね。こういうことからしても可動式ホームさくというのは絶対必要です。  それからもう一つ。そうはいっても、可動式ホームさく、そう簡単に付かないよというふうになりますよね。そうすると、やっぱり、まあ言えば可動式じゃないところは落ちて当たり前なんです。そうなると、落ちるということになると救わなきゃならないですよね。そこにやっぱり人が要るんですね。  これは私の経験をちょっとお話ししますけど、もう十数年前に私の目の前でホームから落ちた人がいたんですね。私もこういういろんな運動をやっているから、いやあと思ったけど、飛び降りて、まあ二人で上げようと思ったんですね。そうすると、上がらないんですよ、百二十センチ、百三十センチですね。いやあ、一回降ろして、どうしようかなと思って電車の向こう側を見て、来ないかなと思いながら、そうしたらもう一人降りてきたんですね。三人いたら上がったんです。ここで分かった、三人いりゃ上がるんだなということが分かりました。  それともう一つは、駅員さんがちゃんと電車を止めてくれる、そうしたらやっぱり私たちも安心して、私たちもじゃないけど、安心してそういうことができるわけですよね。そういうことを強く感じました。だから、やっぱりホーム要員必要なんですよね。だけど、実際は減っている。実際、私がその現場のときにも駅員さんはいませんでした。そういうことが状況だということなんですね。  次に、音響式信号機の問題です。  これも私たちにとって非常に危ないところの一つなんですけど、この信号があることによって、視覚障害者は、まず横断歩道があるんだな、それから今青信号なんだな、それから渡る方向がある程度、ある程度分かる。逆を言いますと、それも分からないで渡っているんですよね。それが視覚障害者、とりわけ全盲の実態なんです。ここに対策、音の出る信号機を付けてほしいということが書いてあります。  私言っておかなきゃいけない。私の子供が生まれたときに、ちょっと出生届けに行こうと思って感じたことがあるんですよね。それは、私ちょっと見えるんです、〇・〇一ぐらいなんですけど。そうすると、信号見えなくて、車が同じ方向に渡ったんで、私もああ青かなと思って渡ったんですね。そうしたら、向こうへ行ったら人が立っているじゃないですか。ああ、しまったな、信号無視やっちゃったなと思ったんですね。でも、ちょっと何となく分からない、何となく不満が残ったんですね。考えてみたら、いや待てよ、おれ、信号無視してなかったな、そうすると、無視しているのは信号の方だなということに気が付いたんですね。つまり、視覚障害者の存在、それでやっぱり渡らなきゃいけないということを行政の方がきちっと認識してない。まあ言葉はきついけど、無視しているということがあるんですね。それを私は強く思いました。  それから、私もう一つ、子供と一緒に渡ったときに、ここは信号が青のとき渡るんだよと言ったときに、私はずっと待っていたんですね。そうしたら、ずっと、何か向こうに赤いのが見えたから赤信号だと思ったら、五分ぐらいたっても変わらないんでおかしいなと思ったら、子供が、お父さん、ここ信号ないよって笑ったんですけど、つまり信号が見にくくなっているんですね。それから、周りが赤い電気なんか一杯ありまして信号が分からないという状況が生まれてきています。  それからもう一つは、これは将来的に是非エスコートゾーンという横断歩道の点字ブロックというのも是非付けていくように、そうしたら安心して渡れていくなというふうに思っています。  最後に、私はまちづくりのことを考えるときに、まちづくりってやっぱり民主主義であり、社会参加を進めるものなんだな、その到達点なんだなというのをよく思います。  一つだけ言わせていただきますと、交通バリアフリー法でエスカレーターができましたけれども、このエスカレーターに点字ブロックで誘導しない仕組みを国はつくっているんですね。そうするとどうなるかというと、階段のないところ、エスカレーターだけのところには点字ブロックの誘導がなくなってしまうんですね。点字ブロックは道ですから、私たちにとって道がなくなるという状況が生まれています。今、町を歩く者にとってエスカレーターはなくてはならないものですね。これを是非視覚障害者にも使えるようにしていただきたいということを思います。  私は、今回の法律で、後の方に要望を一杯書いてあります。しかし、私たちにとって、じゃどうなのかという辺りが非常に見えてこないということを思います。それは、この法の中に羅針盤というんですかね、羅針盤としての権利規定の問題、それから予算措置が、エネルギーがどうなるかという予算措置の問題等々がやっぱりあると思います。その辺を是非議論していただいて、私たちの安全な歩行移動を確保するような、そういう法律に一歩でも前進させていただきたいというふうに思います。  どうもありがとうございました。 ○委員長(羽田雄一郎君)  ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、大変恐縮ではございますが、時間が限られておりますので、簡潔に御発言くださいますようお願いを申し上げます。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○末松信介君  どうもおはようございます。自由民主党の末松信介でございます。今日は四人の参考人の皆様には、日ごろ当たり前のことに我々気付いていないということを御指摘いただきまして、誠にありがとうございます。  まず最初に、野村参考人にお尋ねをしたいと思うんですけれども、実は今回の法律、先生もう既にペーパーに御指摘のとおり、身体障害者等の等が取られて障害者ということになりましたので、広くあらゆる障害者を対象に対応していくということになっている点が大きな特徴でございます。三年前の夏、ハートビル法が改正されて施行されたんですけれども、そのときにある新聞の社説を見ておりましたところ、一歩前進であるけれども足らざるところがあると。どういうところかといったら、先生が御指摘になった情報障害者、聴覚障害者についてどの条文にも盛り込まれていないということが三年前の夏に書かれていたわけなんですよ。  具体的な例として、極めて当たり前のことなんですけれども、ホテルで一人で泊まったときに非常ベルが聞こえないということとか、館内のアナウンスが聞こえないということ、車のクラクションも聞こえないということ、病院での名前を呼ばれても聞こえないということで、そういう点で非常に聞こえない不利益とか精神的な苦痛ということが述べられていたわけなんですけれども、その中で、米国の障害者を持つ米国民法あるいは消防法並みに聴覚障害者に対して光とか音増幅とか振動、文字で知らせる、そういった規定を盛り込むべきであるという指摘があったわけなんですよね。  私は思うんですけれども、今日実際、山城参考人あるいは今福参考人もお越しになったわけなんですけれども、この今回の法律というのは更に一歩前進をしたわけなんですけれども、そのまだ足らざる視点という点はどこかということを聞きたいんです。むしろ足らざる点よりもどう実行に移していくかという各論が大事だとおっしゃるかもしれませんけれども、今ここで先生だったら何が欠けているかという点がありましたら、指摘を是非いただきたいと思っています。まずお願いします。 ○参考人(野村歡君)  視覚障害をお持ちの方は聴覚によって不十分なところを補い、聴覚障害をお持ちの方は視覚によってその不自由な部分を補うと、こういうことでございます。そういたしますと、視覚も聴覚も両方とも障害があると、そういう情報を欠くときには非常に苦労される。日本には、ちょっとはっきり分かりませんが、多分二千人ぐらいの方がそういう方がおられるわけで、行く行くこういう法律が更に完備する方向に行くとすれば、やはり一つそういう問題があるのではないかというふうに思います。 ○末松信介君  ほかに先生御指摘の点がありましたら。それと、ほかの参考人の皆さん方、今回の法律、七十条ぐらいできているのかな、こういう視点がもう少し盛り込まれたらとか、今後将来見込んだ場合、ここを補っていくべきじゃないかという点があったら是非この機会に教えていただきたいと思います。 ○参考人(野村歡君)  それでは、視覚障害、聴覚障害でもっと基準の中に組み入れてほしいことは、今先生の御指摘のように音声の情報を更に多く提供していただきたい。あるいは、私も町を歩いているときに感ずることは、サイン計画がかなり不親切ではないかというふうに思います。  実は、細かいことですが、今日私は永田町の三番から六番の出口に出ると、一番、二番の出口はどこにあるかと一切書いていない。それから、七番、八番がどこにあるかということも、三番—六番のところに上がっちゃったらどこにも書いていない。これは我々にも不便なサイン計画です。そういう見方をすると、本当に視覚障害、聴覚障害の方にサイン計画が十分いっているかというのは非常に疑問を感じます。  それから、外国に行きますと、いわゆるピクトグラムといいまして、絵文字による方法があります。私も皆さん方も外国に行くと、「i」と書いてあれば、これはインフォメーションセンターであるという情報はすっと分かるわけですね。そういう絵文字によるサイン計画というのは私は更に重要なふうに思っています。  また、知的障害の方には、漢字の表記は分からないけれども平仮名だったら読めるという方はかなりおられるんです。そういうことによって町を歩くときにその表示をもっと気を付ければ、ずっと便利になるというふうに考えております。  以上です。 ○末松信介君  じゃ、今福参考人にお尋ねを申し上げます。  「ここが疑問 バリアフリー新法案 DPI日本会議」ということで、細かくその問題点、施行されてもこういう問題が残りますよということを書かれておりまして、昨晩ちょっと目を通していてなるほどなということを感じたわけなんですけれどもね。  当然、交差点付近にあります広告塔であるとか放置自転車とか、こういったものはもうけしからぬ話でして、これはもう道路管理者なりあるいは公安委員会当局が当然それを取り除くということをやっていかなきゃいけないし、条例もあるわけなんですけれどもね。  私、思うんですけれども、山城参考人のお話もありましたように、一回これ線路に落ちた方、落ちないと一人前じゃないという話がちょっとありまして非常に怖いなと思ったんですけれども、ホームドアというんでしょうか、これを設置してほしいと。わずかに今まだ二百七十駅しか付いていないと、九千五百四十四駅全国であるわけなんですけれども。こうしたことを考えたら、もっと進捗させなきゃいけないと思うんですけれどもね。  実際、今の日本の財政状況です。自治体も非常に厳しいわけなんですよね。予算を、財政措置を伴わないでできるバリアフリーの促進と財政措置を伴うことによって進められるバリアフリーということで、それと分けることができると思うんですよ。もう一つは、短期的、中期的、かなり長期的というそのスパンで考えていくという、そういう並べ方ができると思うんですけれどもね。  ちょっとお答えはしづらいと思うんですけれども、その辺も踏まえまして、まず簡単にできることはこういうことじゃないかと。さっきの広告塔とか放置自転車がそうなんですけれども、それ以外で、こういうことをやってくれればそういった障害者の方々にとってもバリアフリーはどんどん進んでいるんだということが分かるような例というものを挙げていただきたいということを思うんです。  できましたら、小川参考人、山城参考人に、象徴的、まあ最優先解決課題としてこれを是非やってほしいというものを、もう余りにもすそ野が広くて何から手を付けて分からぬぐらいたくさんありますんで、最優先課題というものがありましたら、解決すべき課題というものがありましたら、お話をしていただきたいと思います。 ○委員長(羽田雄一郎君)  それでは、まず最初に今福参考人。 ○参考人(今福義明君)  今のお尋ねの件で、やはりまず先にどうしても言っておきたいのは、まず予算措置が伴うものはやっぱり必要なことだと思うんです。つまり、スケールメリットといいますか、国が例えばノンステップバスを標準のバスとして位置付けていただいて国の中でもノンステップバスのみを生産するとなったら、コストが相当にやっぱり下がるんではないかなと私たち素人的には考えるわけです。つまり、国の目標として、やはり五万八千台をすべて本当はだれもが乗り降りしやすいノンステップバスにしていただきたいわけです。  国内に現在ノンステップバスが約八千台近くあるんですけれども、その比率の中身的には、都内に約二千五百台から三千台あって、まだノンステップバスが一台も入っていないのが、国が示した資料によると、秋田県とか沖縄県だといったところに、じゃあと五年たったらどれだけ各地には満遍なく入るんだろうかといったときに、やはりノンステップバスを標準とした位置付けでヨーロッパのようにしていただくことによって、スケールメリットといいますか、そのことによって企業の方もいいものが、よりいい、フルノンステップバスというんですけれども、全く段差がないノンステップバスが出るんじゃないかなということがあると思います。  費用の伴わない面で、観点を知ったら、あっ、これは利用者にとって大変好評だしいいなあというのは、是非、先ほども言いました、国内、私たちのやはり身近な乗り物であるのは鉄道なわけでして、この交通バリアフリー法は鉄道に相当力が入っているんですね。それで、九千五百駅のうち、これはホームと車両との段差とすき間が全くないというのも、確かに二〇〇五年の二月三日に開業した七隈線においてわずか十六駅はできたんですが、それ以外はすべてホームと車両との段差とすき間があるわけです。  そのときにおいて、ホーム渡り板というのは、ホームと車両との段差とすき間、つまり段差とすき間のところにはすべてホーム渡り板が役に立つということがこの五年間に分かりまして、国内的には約六千駅あると国は報告しています。これは非常に安いものです、数万円とか、手作りでやったら木で作ってもいいわけですから。これを安全なものにしていただいて、普及して、なおかつ駅員さんとか運転手さんがいらっしゃらないときに、運転手さんはずっと必ずいますけれども、それをきっちりと出せば非常に満足度が上がるし、地方において利用の円滑化が進むと考えます。また、これは、商店や航空機や船舶やタクシーや、あらゆるものに段差とすき間を埋めるこの板一枚が大きな効果をするものだと考えます。  そして、もう一つ、費用は掛かるけれども、それは通常掛かる費用で、これを入れていただいたらより良くなるというのは、やはりこの五年間で分かってきたことは、何か新たな設備を付けるとき、駅を改造するときとか新型車両を造るときとか、そういったときにできるだけ多くの障害当事者がそこに入ると。そのことによって、ああしてほしい、こうしてほしい言ったときに、費用の面だけを考えるんではなくて、そのアイデアを取り入れて改良すればすごく満足度が高まるんですね。そのいい例が中部国際空港でありますとか愛・地球博なんかにおいては、完璧というものではありませんが、非常にいいものができたと私は思っております。  以上です。 ○参考人(小川榮一君)  小川でございます。  今、末松先生から御意見、お尋ねをちょうだいしたわけでございますが、私は、身体の、特に私、原爆患者でございます。体が極めて、一見上肢を見ますとどこが障害なんだろうと、こういうことを尋ねられるわけでございますけれどもが、広島の原爆患者でございまして、常に生きていて良かったという、心の中では私は、やはり四十五年前から、社会参加を促進をしてほしいと、自立して参加して交流して生きがいを感じる、これやはりどんなにハンディを持っていても、生きているというあかしのためには、交流をする中でやはり励ましもちょうだいしたい、それから人の心ということでは、やはりどんなことがありましても自分一人では生きていけないと、こういう思いを込めますと、移動する手段の交通関係については最大の関心事でございます、障害者にとりますと。  本日も、大変私は、私が自身で気付かない点もございましたけれどもが、これが地域でやはり理解をしていただけるような財政的な関係、私も地方議員を、一人ではできないということで地方議員四十年間、一昨年までで私務めてまいりました。当時はハンディを持っている者に対する意識が大変厳しゅうございました。どっかにハンディがあるのに、不具という言葉を私聞かされて、やはりこれは私自身では、ここでくじけてはいけないということで、四十年間旗振り続けてまいりました。ですから、やはり沿革、大勢の方々に理解をしていただく、これが最も大切であろうかと思います。  一昨日は、私、栃木県の那須のふもとから今朝も飛んできたわけでございますけれどもが、やはり交通手段、これが一番社会参加の大きな道でございますし、おとといは那須の方の会議に出ましたときに、交通バリアフリーの陳述の際にはどうかひとつ、代表でその場に参画できるのだから国会議員の先生方に国民に啓発できるような状態のお願いをしてきてくれと、切実なお願いでございました。これも音声の出ない方、それから視力の方の強い要望でございますので、どうぞ今日の参考人の御意見ということを先生方に御理解していただいて、国においては、私はやはり関係省庁、全体の省庁に、障害者問題は私は今日は決して厚生労働省だけでないと、国民全体として先生方に御指導、啓発をお願いしたいということを、特に心を込めて先生方にお願いを申し上げたいと思います。どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。  以上でございます。 ○参考人(山城完治君)  私は、コストの問題、確かにコスト、可動さくなんか掛かると思います。それでも、安全ということはやっぱりきちんと保守、何というか守るということをまず是非位置付けていただきたい。それで、可動さくもいろいろな形でやっぱり研究したり作っていって、開発していって、それがないと、初めから高いなということではなかなかコストも下がらないと思うんですよね。やっぱり安全を守るという視点に立っていただきたい、これが大事じゃないかなと、一つ思います。  それから、じゃ安くてできることというふうに言われますと、すぐ思うのは、一つは音響式信号機なんかのときに特に思うんですが、標準装備にしてしまえば、わざわざ音響式信号機、バリアフリー対応というふうにするからやっぱり高くなると思うんですね。標準装備にしていくと安くなっていくと思います。  それからもう一つ、安全にとって大事なことというのは、やっぱり統一することだと思うんですね。バリエーション、個性を出すところと、それから統一して、例えばトイレの、私たちトイレ入るとどこに流すボタンがあるか分からなくて困ることがありますよね。それは、その辺は最低限度のところはやっぱり統一をして、そして個性の要るところには大いに個性を出していただく。その、何ていうか、バランスを是非広げていっていただきたい。  もう一つ言わせていただきますと、山手線では、山手線のホームの内回りと外回りとでは、アナウンスの声が男性の声と女性の声と統一されているんですね。そうすると、男性の声は外回りなんですけれども、あ、外回りだなということをすぐ分かりますから、詳しく聞かなくても分かるわけです。そういったコストを掛からないでやると、その辺は、もっと言うと、障害者、利用している者とのやっぱり話合いというんですか、一緒に歩いてみたりするということを、今この法律にもありますけれども、そういうことをどんどんどんどんやっぱりしていく。そうしていく中で、だんだん質も変えていくということをやっぱり粘り強くどんどんどんどんやっていただくというふうに、それが大事だというふうに思います。  以上です。 ○末松信介君  時間が参りましたので、この辺で終えたいと思うんですけれども、最後に、野村先生、災害時や非常時の避難を含めた基準の検討ということを書かれていますけれども、私、今、神戸市、ちょうど阪神・淡路大震災のときに神戸市におりましたんですけれども、やはりあの特徴というのは、まずは戦後初めて都市直下型の地震が起きたということと、高齢化社会を日本が迎えて初めて起きた大地震であったということ。そのときにやはり高齢者と障害者と対応ということについていろんな議論がなされました。透析患者の方なんかたちまち困ってしまったんですよ。こういった問題、死角になる点、しっかりと踏まえながら、先生方からのいろんなまた御指導いただきたいと思っております。  今日はいいお話を聞かしていただきまして、ありがとうございました。