第164回国会 国土交通委員会 第17号 2006年05月16日 ○末松信介君 おはようございます。自民党の末松信介でございます。一時間弱、質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。 まず、この中心市街地の魅力の創出についてということについて御質問を申し上げたいと思うんですけれども、内閣府が平成十七年五月に行った小売店舗等に関する世論調査では、新たな大型店の出店について規制が必要との回答が五〇・六%を占めております。しかし、日本経済新聞社が平成十八年に行ったアンケート調査では、大規模集客施設の郊外出店規制により市街地の活性化を目指す法改正に対しては、反対、どちらかといえば反対という答えが六五%に達しているわけであります。これはまあ消費者が郊外大型店と市街地活性化策を同列に論じるべきではないかという、そういうようにも思えるわけなんですけれども、またこのアンケートでは、商店街を利用していない理由として、車の不便であるとか、郊外店が便利であるとか、価格的に魅力がないとか、あるいは品ぞろえが充実していないという、こういった答えが上位を占めているわけなんです。 日本の流通行政というのは、大型店の出店の規制と緩和を繰り返し繰り返し行ってきました。今回の法改正も、まあそれほど長いスパンじゃなくて、やっぱり郊外中心に少し考えていくと駄目だから、もう一度市街地へという形でまた元へ戻ってきたわけなんですけれども、今は商店街のこの小売店舗数の減少に歯止めがなかなか掛からない現実があります。で、消費者サイドからは、法による規制よりも個々の商店街や商店がその町の消費者ニーズにふさわしい経営をしていく自助努力が求められているということは、これは確かなことだと思うんですね。そういった努力が大変重要でございます。 そこで、一番根本的なことを実はお聞きをしたいわけなんですけれども、この中心市街地の活性化が必要であるという国民の声は本当に強いのかそうでないのかということをお聞きをしたいわけなんです。今まで中心市街地活性化法という法律があったんで、国民の声は強いという前提に行政も我々もそれを考えてきたわけなんですね。高齢者、商業者の方々の声は国民の総意であるというように、国民の声と取り違えていないかということをもう一度根底から僕はお聞きをしたいわけなんです。 私は、努力をする商業者の方々、こういった方々に対しては積極的にやっぱりこたえていかなきゃならないと思うんですね。しかし、後継者を立てる考え方も全くないと、自分の時代だけあと何とかここで商売ができればいいんですという、そういった非常に弱い立場の商業者の方々もおられます。でも、そこへ、かつて商業集積活性化事業であるとか、あるいはアーケードなんかで中小企業高度化資金を使って、いろんな補助金を使って活性化を進めてきたわけなんですけれども、果たして、これは展望がない限り、今はそれだけの歳出抑制のこの時代、私はやはり許されにくい時代に入ってきているというように思えるわけなんです。 確かに、商店街というのは、その地域のお祭りあるいはイベントといったもののそういった中心になってきましたし、ある面ではその歴史や伝統というものをその町で守ってきた中心的な役割を果たしているわけなんですけれども、今は商店街が廃れたということをよく言います。商業者は嘆くんです。しかし、消費者はそれを懐かしむんですよね。嘆くと懐かしむでは全然意味が違うと。懐かしんだ後、あの商店街の活気を取り戻さなければなりませんねということを言う消費者は割合少ないんですよね、我々。この点、一体どういう方向へこれから日本、持っていこうとしているのか、お聞きをしたいと思うんです。 やはり、この中心市街地を活性化していこうとすれば、一つには、これは行政の努力が要ります。二つ目は、やはり商店主、商業者の努力が必要であると。三つ目は、そこに住む人々、居住者がやっぱり応援してやるという気持ちが絶対必要であります。そしてもう一つは、やっぱり地権者の方々のそういった協力がなければならないということ、まあ権利者全般にわたるわけなんですけれども。それと最後には、一番大切な、その中心市街地を囲む、正にそういった区民や市民というレベルの方々が全部でやはり中心市街地をもう一度守り立てようじゃないかという気持ちになってくれないとこれはうまくいかないわけでありますけれども、中心市街地の活性化がどうして必要であるか、やらなきゃならないかということについて、根本的にちょっと当局の見解を伺いたいと思います。 ○国務大臣(北側一雄君) この世論調査というのは、質問の仕方とかによって大分違ってくるんですけれども、内閣府の調査では、新たな大型店の出店の際、何らかの規制が必要かと、こういう問いに対しては六〇・四%の方が必要だと思うと、こういう回答になっているところでございます。 末松委員おっしゃっているように、どのような制度をつくろうとも、おっしゃっているように、中心市街地に商店を持っている方々、そして住民の方々、さらには地権者の方々、そういう方が我が地域のこの中心市街地、歴史と伝統のあるこの中心市街地をしっかり活性化していこうと、そういう強い意欲を持って様々取組をしていただかないといけないということは、どんな制度をつくろうとも私はそのとおりだと思います。 したがって、今まで単に国や県、市が中心市街地活性化しようということで様々な支援制度をつくったら、それでじゃ直ちに中心市街地が活性化するかとは思いません。やはりそこは、そこにお住まいの方々、お仕事をされている方々、まさしくそういう方々が主体となって様々取組をしていただく必要がある。 私は今、全国見ていましたら、そうした取組を、住民の方々や商店主の方々が一緒になってやろうとしている取組が全国で出始めていると。そういうのを逆に行政がしっかりとサポートをしていくと。それは、知恵を出したり、場合によっては助成制度を使うこともあるかもしれません。まずは、やはり主体となるのは、そういう住民の方々であり商店主の方々であると私も思います。 それを前提にして申し上げるわけでございますが、では、なぜ今回のこういう制度改正が必要なんだということでございますけれども、そこはやはり我が国社会が今正に大きな転換期にあると。それはもう何度も申し上げてきているところでございますが、やはり人口減少社会であり、そして本格的な高齢社会の到来であり、この人口減少社会や高齢社会はいっときの話ではなくて、これから相当長い期間我が国社会はずっと持続的に人口減少がなっていくと。また、高齢社会というのも、これから相当長い期間この高齢社会という状態が定着をしていくという、かつてなかった、我が国社会にはかつてなかった大きな社会の人口構造の変化があるわけですね。 そういう中にあって、この人口減少社会や本格的な高齢社会にふさわしいまちづくりということを考えたときに、やはりできるだけ自分の居住している空間の中で必要な機能というのが備わっている、それは教育であったり医療であったり、また行政もそうかもしれません、そうした様々な機能が備わっていると、そういうやっぱりまちづくりを志向していかないといけないんではないかと私は思うんですね。 それと、環境的な、環境面からの制約もあります。やはり人と環境に優しいまちづくり、人というのは特に高齢者の方々ですけれども、人と環境に優しいまちづくりということを考えたときに、やはりそういうコンパクトな都市機能が集積されたまちづくりを志向していくということは、これからの非常に大切な私は方向性だと思います。 ただし、絶対駄目だと言ってるわけじゃなくて、今回も。郊外に、いや、この地域においてやっぱり郊外にそういう集客施設があった方がいいんだというふうにその地域で判断されるならば、地区計画を定めていただいて立地ができるようになっているわけでございまして、最終的には、その地域がどう判断するかというところ、ただその原則と例外を今回制度として転換をさせていただいたということでございます。 ○末松信介君 ありがとうございます。 さすがに大臣、今、中心市街地、商店だけを対象にという考え方じゃ駄目というようにもお話しだったんですけれども、そのとおりだと思うんですね。 以前、市街地活性化調査会のときも、これは党での勉強会ですけれども発言したことあるんですけれども、消費構造がやっぱり大きく変わってきておると、ここ三十年、すごい変わったわけなんですね。 一九七五年からの二十五年間、消費支出は、私が見ている資料では二・〇四倍に増えたと。しかし、二・〇四倍の中でも、食料品とこの家事用品と医療とか履物といったものがその率に上がっていないんですよ、そこまで行っていないと。じゃ、何が上がってきたかといったら、今、北側大臣がおっしゃったように教育施設、駅前留学のNOVA、まあNOVAの宣伝する気ないんですけれども、NOVAであるとか、あるいはフィットネスである、健康産業であるとか、あるいは娯楽であるとか、交通通信といった、こういったウエートが随分上がってきておると。 だから、物を売る商店が中心市街地の中の正に中心であるということで考えていったら、中心市街地はさっぱりこれは活性化していかないという点でありますので、今大臣がおっしゃったような意味でとらえていけば、少なからず私は、これから十年、二十年単位を考えれば、大きな成果を上げられるんじゃないかと思うんです。 いろんなその定義をされています。やっぱり商店街、中心市街地は地域の顔であるとか、地域のシンボルであるとか、あるいは歴史の証人であるとかいうことも言われます。せっかく積み上げてきたその社会資本を、この財政効率の上からもう一度活用しなきゃならぬじゃないかということもありますし、本会議でも御答弁されましたように、車社会からの脱却という点で、歩行できるようなそういった中心市街地の中ということ、これがやっぱり一つの視点として大事じゃないかということでありますので、大臣の考え方を尊重申し上げて、支持をしていきたいと思うんですけれども。 そこで、中心市街地を活性化する対策として、土地利用と交通の果たす役割というのは極めて大きいわけなんですけれども、その土地利用のことは後で尋ねていくとして、交通体系のことでお伺いをしたいんですけれども、元々、中心市街地というのは日本の場合、徒歩ということを前提に発展してきましたので、域内の道路というのは非常に狭くて、駐車場の確保もなかなかできていないということもありました。 十年前に、兵庫県でも、副知事が中心になって駐車場確保対策本部というのをつくって、空き地持ってる地権者の方には駐車場をどんどん設置してほしいと、いろんな形での支援もしますという話があったんです。今はちょっとその話も途絶えてはきたんですけれども。 高齢化社会を迎えまして、お年寄りの方で免許をもう返す方も出てきておると。一方で、若い方々で免許を持たない方々がやっぱりそういった市街地へ来るようなそういう仕組みづくりをしていく上で、誘導していく上で、歩いて暮らせる市街化整備ということも大事なことだと思うんですけれども。 私がお尋ねしたいのは、中心市街地区域内と中心市街地へつなぐ交通体系について、これは地方自治体が中心になって施策を取っておられるんですけれども、例えばヨーロッパでは、中心市街地へは、以前行ったことのあるオランダのアムステルダムでも、路面電車が走って、もう一車線は車だけで、普通あれだけの人でしたら、もう渋滞渋滞が続くと思うんですけれども、うまくやはり組合せできていると。どこかでやはり車を郊外に出して、市内に入れないという状況が出ているわけなんですよね。 そういう点で、いろんな面を考えていった場合、このまちづくり三法をどっしりとした法律にしていくためには、ある面で交通体系、そして公共交通ネットワークをどうしていくかということをきちっと理念を持って述べていただきたいということ、そのことを実は思うわけなんですけれども、当局の見解をお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(柴田高博君) まちづくり、歩いて暮らせるまちづくりの実現、そして、道路に過度に依存した町から、それを脱却するようなまちづくりを進めていくということを実現しようとすれば、ただいま委員御指摘のように、それでは公共交通ネットワーク網をどうしていくのか、あるいは駐車場等を整備して、自動車とそれから公共交通の連結、あるいは歩いて行ける形をどうしていくか、非常に重要な問題であろうかと思います。 歩いて暮らせるまちづくり、コンパクトなまちづくりと交通問題については、非常に切っても切れない関係にあるわけでございます。やはり中心市街地にいろんなものを集積、都市機能を集積しようとすれば、そこにアクセスする仕方として、自動車に過度に依存することなく、やはり公共交通機関の整備によりましてそこにアクセスしていけるような体系をつくっていくということが根本、基本であろうという具合に考えてございます。 都市内の公共交通機関というのは、都市内交通の円滑化に寄与するとともに、交通弱者には優しく、またエネルギー効率という観点からも随分優れてございまして、まちづくりの観点からも、その普及をやっぱり進めていく必要があると考えております。 こうした観点から、国土交通省といたしましても、都市モノレールや新型の路面電車でございますLRT、次世代型の路面電車と言っていますが、こういった都市内の公共交通機関を都市の装置といたしまして位置付け、これまでも様々な助成措置を講じ、支援を行ってきたところでございます。こうした支援を通じまして、例といたしましては、近年、沖縄でもう都市モノレール、平成十五年の八月開業してございますし、神戸市におきましても、委員御存じのとおり、ポートアイランド線が、これが今年の二月に延伸しておるという、それからまた、我が国初のLRT路線である富山市の富山港線が今年の四月の二十九日開業いたしてございます。 この最初の富山のLRTにつきましては、先月、大臣が御視察いただいておりまして、私も随行させていただきましたが、大変すばらしいシステムでございまして、音も静かでスムーズに行くというようなすばらしい路線でございまして、四月二十九日開業以降数週間たってございますけれども、かなり市民の皆様から愛されていまして、相当の利用があるというようなことも聞いてございます。 こういうようなことでございまして、都市内公共交通機関の整備に向けまして、国土交通省、都市・地域整備局はもちろんでございますが、鉄道局等もあるわけでございまして、一丸となって積極的に取り組んでまいりたいという具合に考えております。 ○末松信介君 ポートライナーとか富山のお話、あるいは沖縄のモノレールとか、いろいろとお話聞きまして、新しい町には割と造っていきやすいんですけど、かつて路面電車を結局なくしてしまった、昭和四十年代に、そういうところにはもう、町並みの景観と、あるいは観光的な要素とか、今言ったようなそういった車社会からの脱却という点で、一遍なくしてしまったところにもう一度戻すということができそうな町ってあるんですかね。これ、個人的にちょっと、通告外ですけれども。 ○政府参考人(柴田高博君) 今あるものをLRTに転換していくというのはかなりスムーズにできるわけでございまして、昔あったものを、なくなってしまった、もう東京都なんかそうですけど、それを新たに造っていくこと、それはおっしゃるように相当、今あるものと比べて困難が伴うのは事実であろうかと思います。 しかしながら、二十一世紀、今後の少子高齢化社会に向けての都市内の公共交通機関の果たす役割というのは非常に大きなものがあるわけでございまして、都市・地域整備局でも全国各地の市町村に対して、公共交通機関の整備についてどういう具合に考えていくか、総合的な交通ネットワークづくりをどうするかということを今調査をいろいろしていただいてございます。 また、社会資本整備審議会の中でも今回、都市交通の在り方について今後どうやっていけばいいかというようなことを審議会にも今諮問をいたしているところでございまして、いろんな調査等を踏まえた上で、できるだけ公共交通機関の整備が図られるように我々も公共団体を応援していきたいという具合に考えております。 ○末松信介君 ありがとうございます。 公共交通ネットワークという話と交通体系の整備ということで、やはり域内の駐車場も確保していただきたいということもありますし、当然交通安全対策をそのときどうしていくかという視点も大事でありますし、いろんな問題があろうかと思います。 なかなか自治体も、施策には気が利いていないんですよね。例えば、駅がロータリーがあったら、もうこれは公共交通優先で、バス、タクシー以外は絶対入るなということをやるんですね。実際、じゃ終バスがもう終わって、最終バスが終わってしまったら奥さんが御主人を迎えに行くその車を止めているスペースも造らないという、非常に気が利いていないんですよ、地方っていうやつは。もう割り切ったらそれで終わりなんですよ。これキス・アンド・ライドと言うらしいんですけど、そういうものがやっぱり配慮できるようなことというものが国としても大事なことじゃないかということをうたっていって、それを地方の施策に変えていってもらうような、そういう指導というのを是非お願いを申し上げたいということを思います。 次は、この法律改正について一番実はやり玉に上がったのがこの大規模集客施設、大規模小売店舗でございます。 先ほど申し上げたように、中心市街地からはもうこの大規模小売店舗を排除したと。で、郊外へ締め出したわけですね。そうすると、結局、今免許数も増えてきて、車の保有台数も、まあ田舎の方に行ったら農作業の車も要りますから一家で三台ぐらいというところが出てくるんですけれども、飛躍的に車の台数が増えたと。そうしたら、一週間に一回、土曜日か日曜日、車で出掛けてやっぱり買物をして、そうして帰ってくると。だから、当然中心市街地で、品ぞろえの問題もあります、価格の問題ありますけど、買わなくなってしまったという、そういう実態が出てきたわけでございます。それによって結局空き店舗ができる、で、空き店舗ができるということは当然にして人が集まりにくくなるから、いろんな商売もほかに駄目になってくるから空き室も出てきたということなわけなんです。土地が良いのに家賃が高過ぎて収益に見合わないということで、一階が非常に空いておるというところも出てきております。 そういうところに、じゃ何が出てきたかといいましたら、これは大型小売店舗が今度反撃に出るためにはコンビニという手段で展開してきたと。よう考えてみたら、私の住んでいる駅前なんかでも、そういったところに入ってこれるところというのは、やっぱりミスタードーナツとかモスバーガーとかマクドナルドという大資本を背景にしたチェーン店が入ってきたと。ここはしっかりと生き残っていくということになってしまった。もうそれが正に日本の今の構図になっているわけなんですね。 郊外の大型店も非常に逆に厳しくなってきまして、大型店の過剰時代が今もう到来してきたと、中心市街地だけでなく郊外も大変になってきたと。数字を調べましたら、一九九〇年、全国にこの大型店というのは二千三百五十八店ありました。それが、一九九六年、六年間で三千店舗を超えたと、二〇〇二年には四千店舗を突破したと、現在は更に増えていると思うんです。で、郊外に大型スーパーが開発、出店され、地方百貨店が逆に衰退をし始めたということで、その大型店も一九九七年を境にマイナスに転じたと。大体平均、一九九七年、売上げが一店舗、大きな店ですけれども、七十三億あったんですけれども、二〇〇三年では五十二億円になってきておると、二八%マイナスに転じたということです。もちろん、さっき申し上げたように、消費構造、消費支出の形が変わったということも事実だと思うんです。二〇〇三年のこの大店立地法による新規による出店はそれでも七百八十二件に達しているということであります。 二〇〇〇年六月の大店立地法が施行されて以降、大型店の出店は原則自由となったわけなんですね。七百八十二件の新規出店があります。しかも、二〇〇四年で売場面積一万平方メートル以上の大型店が対前年比で五〇%増加していたと、超えていたということです。それも、巨大店舗を出しやすい郊外の農地とか幹線道路の工場跡地に増えたということで、互いに生き残りをかけた大型店の顧客争奪戦が展開されていると。大型店の場合、マイカル・サティなんか行きましたら、どう見てもやっぱり建物そのものが非常に安いですよね、安普請していますよね、そんなに上等なものじゃないから。 こういった点を考えていきますと、小売全体に占める大型店というのがもうシェアが四四%に達しているということは、もうこれは部長も大臣もよく御存じだと思います、局長も。 そこでお尋ねしたいのが、この大規模小売店舗など大規模集客施設が郊外に出店を阻止することが中心市街地の活性化を図る上で本当に正しいと、本当に役に立つということならば、この都市計画区域外もひっくるめた、区域外もひっくるめた全域にわたる総合的な土地利用計画を立てて効果的な規制というものを考えていってはどうかということが提案されるわけなんです。いろんな評論家の方あるいは学識者もおっしゃっておられるんですけれども、都市計画区域外法を作った方がいいんじゃないかという、そういった皮肉った方々もおられます。この点につきましてお考えをお述べいただきたいと思います。 ○政府参考人(柴田高博君) 現行の都市計画法によります大規模集客施設等の規制につきましては、都市計画区域全体が日本の国土面積の約四分の一あるわけでございますが、その都市計画区域の中のかなりの地域で、部分で、まあ九割程度のところで立地が可能となっているわけでございますが、今回提案さしていただいております法律の改正では、それは基本的に、原則的には都市計画区域の中では、一部商業地域だとか近商地域、準工地域を除きまして立地を抑制していこうとするものでございます。 また一方、今御指摘のように、それでは都市計画区域の外はどうかということでございますが、これも原則は、都市計画区域の外でございますので、都市計画的な規制というものはこれまでは、これまではというか、掛かってこなかったわけでございますが、平成十二年に準都市計画区域というものを法律改正でもってつくっていただきまして、市町村がそこを準都市計画区域に指定した場合にはそこでもって大規模集客施設等の立地の抑制ができるというような制度があることはございます。 しかしながら、現行のこの準都市計画区域というのは、今言いましたように、市町村が相当数の建築物の建築等を行う蓋然性の高い地域をスポット的に指定する制度でございます。それから、もう一つ、これ運用の問題でございますが、農振法の農用地区域や優良農地等につきましては準都市計画区域を指定しない運用というものがなされてきておりまして、現実的にはこれが余り活用されていなかったという状況がございます。 また、準都市計画区域を指定しても、その上に更に特定用途制限地域というものを都市計画で指定しない限り大規模集客施設の立地を制限するということもできなかったわけでございますが、今回の改正では、これらの反省点に基づきまして、まずこの都市計画区域の外の準都市計画区域につきまして、農地を含めまして幅広く必要な区域を指定できるように指定要件を見直すとともに、それから特定用途制限地域を張らなくても用途地域の指定のないところについては自動的に大規模集客施設の立地が制限されるという具合にいたしているわけでございます。 また、指定権者も、市町村という単位ではなくて、広域的な観点からやはり都市計画を見ていこうということで、都道府県に改めるという具合にいたしてございまして、都市計画区域の外の規制というものも今回大幅に拡充していくことにいたしてございます。これらによりまして、都市計画区域外におきます大規模集客施設の立地も効果的に規制することができるんではないかという具合に考えております。 ○末松信介君 今局長から、都市計画法は国土のすべてを対象にしているわけじゃないと。実際、都市計画区域というのは全国二六%で、ほかは都市計画区域外であるということになってくるわけなんですけれどもね。しかし、そんなに七四%、甘い許可を出したりとか自由に使わせるわけじゃないと。やっぱりゾーンを設けて、いろんな考え方も含めていくと、農地ということの在り方。 やはり私が言いたいのは、結局、間接的にはやっぱり誘導ですよね、直接誘導じゃないと。やっぱりまずは県なりそこの地元の市町の意見を反映させながらどうしていくかということで、これはかゆいところを服の上からかいているというような状態なんで、果たしてそれで今言ったようなことできちっと対応できるかどうかというのは、これは局長も占い師じゃないんで、十年後はどうなっていったかというのはまた分からないと思うんですよね。 だからこそ、法律を出したり引いたり、出したり引いたりしてきておるという実態がありますので、その点、大型店については閉めたらしまいやという考え方があるわけですよ、安いですからね、あそこは。それによって結局郊外地も荒廃してきているし、中心市街地にも大きな打撃を与えているということもありますので、今の運用のやり方ということをよく国土交通省の方でこれからも注視していただきたいということ、そのように思います。それと、県市町村にもしっかりとした指導をお願い申し上げたいと思います。 次に、その中心市街地の問題で一般論としてよく指摘されているのは、新聞であるとかあるいはいろんな経済雑誌にも出ているんですけれども、公共施設が郊外へ出ていってしまったということがよく言われるんです、代表的な例として言われるわけなんですね。病院なども建て替える際に、結局、郊外へ出ていったら土地も安いですから、その差額でもって、それを売ったお金で、その差額で安い土地を買って、そして上物を建てるということになってくるんです。 局長もよく御存じの神戸市中央区の済生会病院とか掖済会病院、これは二つとも出ていったんですよ、北区と神戸の垂水区というところに出ていってしまったということなんですよね。私、もっと残念なのは、十数年前に私の住んでいるところの神戸市垂水区に県立神戸商科大学というところがあったんですよ。同じ時期に神戸市が学園都市ということで、もう物すごい山を切り崩して土地を造成したと。その土でもってポーアイの二期を埋め立てたわけなんですよね。それによって地震が起きたんじゃないかということが言われて、バランスを崩してね、いろんな皮肉を言われたわけなんですよ。開発行政というのはやっぱり非常に一つ間違ったら大変な批判を受けるわけなんですけれども。 その神戸商大に神戸市から連絡があって依頼があったのは、学園都市の土地が恐らく余ってしまったんで買ってくれないか、移ってくれないかということなんですよ。多分百億強で神戸市に売ってしまったわけなんですよ。四十数億で学園都市の商大用地を買ったと。残りのお金でもって建設費に充てていったということなんですよね。 私は、そういうことで、実に神戸市の垂水区内にあった市立神戸高専とか神戸高等技術専門学院も、三つも出ていってしまったわけなんですよ、神戸商大出ていってしまったと。おかげで垂水駅では居酒屋に入ったって全然もう若い人おらへんと。デートでいつも駅前に立っていた学生がいないという。おじいちゃん、おばあちゃんとかがゲートボールのクラブを持ってずっとそこで待ち合わせするというような、そういうような現象が一年ぐらい目立つようになってしまったんです。 一番大きな問題は、神戸商大の買った神戸市がその土地を実際に十五年間空き地にしていたということなんですよ。公団に一部売却はしたんですよね。一つだけ良かったことは、その間に阪神・淡路大震災があったので仮設住宅を建てることができたということだけなんですよ。しかし、十五年間は空き地であったと。これじゃ、やっぱり全然、それは中心市街地の人口というのは全然増やすことはできませんですよ。なぜああいうことになったんだろうと。バブルがあるから、簡単に住宅売ったら、かえって地価の高騰、住宅の値段を上げてしまうからとか、いろんな理由を言われました。周辺住民の方は空き地があったら公園にせいという要望を出してくるという。 ですから、私はやっぱり公共の施設というのは、出ていった後の跡地ということについては、これは非常に重要な役割を果たしているということを思うわけなんですけれども、こういった批判に対してどういうように考えておられるか、お考えをお伺いしたいと思います。 ○政府参考人(柴田高博君) 今学校の問題、例に引かれましてお話ございましたけれども、やはり町中で若者がいなくなってくる、学生さんがいなくなってくると非常に町中が寂れてしまいます。また、若者がいるだけで活気が付くわけでございまして、特に大学等はそれ以外のところの親御さんたちからの仕送りが来ておりまして、そのお金でそこにいろんな消費活動等ができるということで、大変学校等が中心市街地あるいは町の中にあるというのは町の活気、活性化には非常に大きな役割を果たすものという具合に考えております。 それが出ていってしまった、その後どうするのかという話でございますが、これは学校のみならず、中心市街地に立地していた公共公益施設あるいは民間の施設もそうですけれども、出ていったままで活用されずに空き地のままなっているという場合がよく地方都市では特に見られ、それが中心市街地の活性化の大きな悪影響を与えているということがございます。その中心市街地の再生のためにはそういった跡地をやはり有効に活用しまして新たな別の都市機能を立地させる、広場や駐車場等を整備していくということもそうかもしれませんが、町中居住の推進のために住宅というものをそこに建設するといったような方策等も考えていく必要があるのではないかと考えてございます。 予算上の話になりますが、今年度、国土交通省としましては、暮らし・にぎわい再生事業というのを創設しまして、これは基本計画、中心市街地活性化法、今経産委員会の方でお願いしてございますが、基本計画の認定を受けた中心市街地におきましてこの公共公益施設を含む建物の建て替えあるいは新規の立地あるいは空きビルの改修、こういうものをされることによりまして都市機能が町中に入ってくると、支援といった場合に、そういった立地、改修の支援を予算で行うことにいたしているわけでございます。 また、現在でも各公共団体で幅広く御活用いただいてございますまちづくり交付金を二千六百三十億円ということで大幅に増額するとともに、そのまちづくり交付金のうちの市町村の提案に基づく事業に対する支援、これを現行一割の頭打ちございますが、そこを二割まで拡充するというようなことによりまして、地域の創意工夫を生かした多様な都市機能の集積の促進を図るということも可能になるようにしてございます。 いろんな支援制度は国としましても用意いたしているわけでございますんで、この跡地利用を含めた中心市街地の活性化、これについては公共団体の取組、そこの住民の皆さんの取組等、非常に大きなものがあるわけでございます。中心市街地活性化法との関係もあるわけでございますが、積極的に取り組んでいきたいという具合に考えてございます。 ○末松信介君 是非そういったことを考えていただきたいと思うんです。 病院も大学もそうなんですけれども、私のところは明石にしたって、垂水もそうですけれども、警察署が出ていきましたですね、警察署が。警察署がなぜかといったら、土地はあれ市が提供して上物は県が出すということですからね、だから駐車場の広い、神戸市も土地の安いところへ出そうとしますんで郊外へ出ていったということなんですよね。ですから、そのときの警察の言い分というのは、やっぱり機動性があるから町の中心になくても大丈夫ですということだったわけなんですけれども、これ松村副大臣、警察御出身として、実際その警察署というのはやっぱり中心市街地になくても機動性があれば郊外でもええわけなんですかね。どうなんでしょうね。ちょっと通告外で済みませんけれども、一般論としてどんなもんでしょうか。 ○副大臣(松村龍二君) 非常に難しい御質問で、昔は各市町村中心地に置いたわけですが、これだけの自動車時代、それからまた警察官が車で通勤してくるという問題もありますし、それが全部国費というか公の費用で駐車場を確保するということはどこもしてないと思うんですけれども、来客も自動車だというようなことになりますと、それとやっぱり郊外にあっても、市民も自動車時代ですから行きやすいといった、昔だと不便なところに警察署があってはいかぬという考えがあったと思うんですが、そんなことでこんな趨勢になっているのかなというふうには思いますが、それぞれ、区々事情は違うと思いますので、一概には申し上げられないと思います。 ○末松信介君 同じ森派でございましたんで遠慮なくちょっと質問をさせていただきまして、突然どうも、通告外で申し訳ありませんでした。どうもありがとうございます。 次は準工業地域の規制についてちょっとお伺いしたいわけなんですけれども、今回の法案では、時間が大分たってきましたんで、今回の法案では、準工業地域での大規模集客施設の立地について、地方都市では特別用途地区による立地制限が中心市街地活性化法の基本計画の認定要件とされております。法律上は、三大都市圏と政令指定都市はこれは作ることができるということなんですけれども。 それで、これは北海道のことで、新聞にも出ておりましたんですけれども、北海道では過去五年間に出店した大規模集客施設のうち面積ベースで四割が準工業地域に集中しているという状況を受けまして、独自に大型集客施設の郊外出店を規制するための立地ガイドラインの導入を検討していると報じられております。その内容は、市町村に対して準工業地域を都市計画法に基づく特別用途地区などに指定するよう、これ促すと、店舗面積とか高さというものをこれは規制しようとするもので、正に今回の改正に伴って政府がその効果を期待する特別用途地区による抑制策と同じものでございます。 なぜ、このような都道府県独自での規制が必要になるのか。果たして準工業地域において特別用途地区による立地制限を中心市街地活性化法の基本計画の認定要件とすることでその抑制に実効が上がるものかどうかということなんですけれども、今回は見送られたということであります。 政令指定都市などの大都市圏の準工業地域では企業リストラによって生じた工場跡地とか遊休地にショッピングセンターなどの大型施設が立地するケースが特に目立ってきておりますけれども、中心市街地の活性化に大きく影響しているということで、今後、要するに準工業地域について継続して法的な規制を図っていく必要があるのかどうかということですね。今回は見送ったけれども、効果なかったらまた次やるのかどうかということについて、現時点における当局の見解を伺いたいと思うんです。いろんな議論があったと思うんですよ。 ○政府参考人(柴田高博君) 準工業地域でございますが、今回、大規模集客施設を立地できますのは商業地域と近隣商業地域、準工業地域の三つに限ったわけでございますが、準工業地域についてどうするかという議論があったことは事実でございます。ただ、準工業地域は、多様な用途の混在が許容されている地域でございまして、市街地の中心部の近くで指定されている例も多いといったことから、今回の都市計画法等の改正においては御指摘のとおり立地規制をしないことにいたしてございます。 しかしながら、中心市街地の活性化という観点からいえば、特に地方都市におきましては準工業地域に大規模集客施設が立地した場合の中心市街地の影響が大きいという具合に考えられておりますんで、都市計画法では規制はしませんけれども、中心市街地活性化法の改正によりまして中心市街地の支援策を強化することにいたしてございますが、ここでは、今御指摘のように、この支援策を実効あるものとするために、同法に基づく基本計画の大臣認定に当たりまして、準工業地域におきましては特別用途地区を活用して大規模集客施設の立地規制を行うということを要件といたしてございます。この措置によりまして、中心市街地の活性化が効果的に図られるものではないかと考えてございます。 そういうふうなことでやったわけでございまして、将来どうするんだという話については、我々としては、こういう措置が定着して、これによってスムーズに実行され、中心市街地の活性が図られるように我々としては支援をしていきたいという考えでおります。 ○末松信介君 時間が大分たってきていますんで、もう前文なしでちょっと御質問を次申し上げますけれども、規制の対象となっているこの市街化調整区域でも白地地域でも、市町村が作成する緩和型のこの地区計画が都市計画決定されれば大規模集客施設の立地が可能となっております。つまり、地区計画の提案制度が活用されれば、大規模集客施設の立地が可能となる抜け道とも実は言えるものが用意されていると思われるんですよね。 仮に市町村が大規模集客施設を誘致したいということで地区計画とかあるいはその用途変更の手続を行う場合、広域調整として都道府県がその協議に同意をする際、関係市町村の意見を聞くということで一応歯止めは掛かっているということになっていますけれども、これも現実、この法が適用されていった場合、抜け道として悪用されることがないのかどうか、そういったシステムが確立されるんじゃないかということを危惧するわけなんですけれども、当局の見解を伺いたいと思います。 ○政府参考人(柴田高博君) 大規模集客施設につきましては、原則を完全に転換しまして、これまでは、平たい言葉で言いますと、原則立地が広い範囲、地域で可能であったものを、今後は原則禁止ということで、非常に厳しい措置をとるわけでございます。 しかしながら、だからといって大規模集客施設の必要性が全くないということはないわけでございまして、大規模集客施設が必要かどうかといった場合には、これまでは何の住民の意見だとか公共団体の意向にも関係なく建っていたものを、都市計画という手続の場で審査をし、そこで地域の住民の意向、地域の判断に基づいて決定しようとしているものでございます。 そういう意味で、大規模集客施設の立地につきましては、用途地域の指定あるいは変更するということも一つの手でございますが、それに併せまして、今回の改正によりまして、今おっしゃいました大規模集客施設の立地を認める新たな地区計画制度として、開発整備促進区を定める地区計画を創設したと、厳しく抑制する代わりに、その立地については立地の判断ができるような手段を用意したということでございます。 この地区計画を定める都市計画決定する場合には、住民参加による公正、透明な手続である都市計画手続を経て決定するものでございまして、御指摘のように、その際には広域的な調整の観点からの都道府県知事の協議、同意を要するものでございまして、決して規制の抜け道となるということはないと思います。それが必要であればやっぱり立地という結論になるでしょうし、そういうものは必要ないということであればそこには立地させないということになるんではないかという具合に思っております。 ○末松信介君 必要なものはやっぱり造っていくという、そういう穴は空けておく必要があると、私もそう思うんですけれども、非常に性悪説的にとらえる考え方で論じる方々も多いということでちょっとお聞きをしたわけなんです。 このまちづくり三法の改正案、実際この二つの法律が中心に改正されるんですけれども、これに先立って今いろんな動きが出てきています。もう社説見たら、この中心市街地の関連三法の前にもいろんな動きが出てきておると。 合併前のある町としては、雇用創出効果として二千人が見込めるので是非出店をしようと考えていて、法改正がなされると市街化調整区域は原則出店禁止になってくるということで、県に市街化区域に編入を求めていたということがありました。しかし、商店街の方々は、中心市街地の方々は自分たちに影響があるから駄目だということで、大型店は大型店で、出店する側としては、これは県境の方におられますから、ほっとったら他県の方にこれお客さんが流れていきますよということで、県の方にはこれは市街化区域に編入しなさいということを、した方がいいですよということの指摘をしているということで、状態としては一向に動かないわけなんですね。 先ほど北海道のちょっとこのガイドラインのお話をしたんですけれども、郊外大型店出店規制のいろんな条例を制定しているところもあるわけなんですけれども、時代の流れとして、三法改正以降、工場跡地への大型の出店は商業地域などの用途変更をされない限りは非常に難しい面があると思うんです。ならば、企業のリストラ用地を活用した再開発とか都市再生に対する影響というのが非常に心配されると。もう要するに空き家になった大型店をそのまま放置しておくというわけにいきませんから。 そこで、新たに中規模なショッピングセンターとか家電量販店などが郊外に出店することが可能になってくるために、この大型店のすき間をついたそういった出店が増えるんじゃないかということが危惧されるわけです。それがかえって乱開発につながるんじゃないかというように車でそこを通る方は思われるかもしれないということでありまして、もう要するに、巨大戦艦では駄目だから今度は駆逐艦とか巡洋艦で攻めようというような、そういう商売人の方々が増えてくるんじゃないかと思うんですけれども、これについて、局長、どう予測をされて、もしか心配の向きがあったら、こういう対応策を用意していますということがあったらちょっと説明をいただきたいと思います。 ○政府参考人(柴田高博君) 今回の大規模集客施設の立地の抑制、規制の対象となりますのは、床面積一万平方メートルを超える店舗等の大規模集客施設になるわけでございまして、それはまた広域からお客さんを集めまして都市構造やインフラに非常に大きな影響を及ぼすということで規制することといたしているわけでございますが、一万平方メートル以下の大規模集客施設については、地域住民の日常生活に必要な中小規模の店舗が含まれているというようなこと、それほど大きな、都市構造に大きな影響を与えることもないというようなことで今回の規制の対象としてはおりませんが、特別用途地区制度や特定用途制限地域の制度というのは今回の法律改正によってなくなったわけではございませんし、一万平方メートルを超えるものについては適正な規制をされたけれども、もし小さなものが、一万平方メートル以下のものがたくさん出てくるというような事態がそれほど乱立して起きるとも想定しにくいんですけれども、起きた場合には、それは適切に地方公共団体において、これらの特別用途地区や特定用途制限地域の指定というようなことによって適切な対応ができるんではないかと考えておりますし、是非そのようにやるべきではないかという具合に考えております。 ○末松信介君 この法律、読めば読むほど、分かりやすいんですけれども、どうなるんだろうかという酌み取りにくい法律でしてね。頭がこんがらがってしまうんですよね、正直申しますと。私らでも、これはできないのかと思ったらぱっとできていたというようなこともありまして、どういう運用をしているのかなということを県会議員時代に思ったことがあるんですけれども、今のお話で少し分かりました。 次に、高齢化社会に入って、まちづくりには高齢者の視点が欠かせないわけでございます。車の運転免許を返上したお年寄りが便利に暮らせるまちづくりが求められているわけなんですけれども、それで、今回の法律案は、市街地に住むお年寄りの方々に便利になる代わりに郊外に住むお年寄りの方々が不便になるという、そういった指摘もあるわけでございます、これがそうなんですけれども。 私、神戸市垂水区というのは私が住んでいるところですけれども、神戸の中心部から十五キロ西に離れているところで、ベッドタウンなんですけれども、この前、小林委員も、千里ニュータウンの話をされてその活性化の問題について論じられたことがあるんですけれども、結局、私の住んでいる地域にも明舞団地というのが千里ニュータウンと同じ時期に造成をされて、昭和三十九年から造成されて、四十年過ぎからぐっと入居が進んでいったわけなんですけれども、現象として、世帯数は維持されているんですけれども、人口が最盛期で三万七千人あったのが今は二万四千人ぐらいになってしまったということで、核家族化が進んでしまっておるという実態があるんですよね。 ですから、こういった中心市街地にある面で当たるこういったこの明舞団地といったような大規模団地、どういうようにして再生していくのか。公営住宅の建て替え以外に具体的なそういった方策、支援策というのは余り出てきていないように実は思えるわけなんですよね。こういった中心市街地の町の中で子供が健全に育つかといったら、新住法の制約の中ではお寺とか神社というのは当然できませんから、自然に鬼ごっこをしたりとかあるいは隠れんぼうをするようなそういったスペースは余り与えられていなかったということで、若干問題があったんじゃないかということを思っているわけなんですけれども。 いずれにしても、大規模な住宅、建て替え以外に何か再生していくという方法というのはないのかどうかということ。ただし、中心市街地の定義というものを少し私、郊外の一つのブロックとして位置付けて今考えていますので、この点について、明舞団地をよく知っている元兵庫県都市住宅部長の柴田局長から御答弁をお願いします。──それじゃ。 ○政府参考人(山本繁太郎君) 高度経済成長期に大変な勢いで人口が都市に集まってきまして、これを受け止めるために住宅の供給が必要になったわけですけれども、多くのところで道路とか下水道といった基盤を整備することなく住宅が立ち上がったと。これが密集市街地という二十世紀の負の遺産と。何とかして解消しなきゃいかぬ課題の一つですけれども、これに対しまして、いわゆる住宅団地はきちんと計画的にインフラを整備した上で住宅を造っておりますので、全体として、将来にわたってきちんと使っていかなきゃいかぬ大事な資産だというふうに認識しております。 したがいまして、ちゃんと使えるものは手を入れてでも将来にわたってきちんと使っていくと。しかし、古いやつは、どうしても駄目なやつは建て替えると。そういう政策をミックスで将来にわたってその大事な資産を使うということになると思います。 ただ、計画的に開発した団地の周辺はスプロールしたところもありますので、周辺のいろんな市街地整備上の課題もあります。少子高齢化のためのサービスが足りないとか、そういったことがありますので、従来から補助事業で福祉施設とか、老人福祉施設とか子育て施設、建て替えに際しては整備していたんです。 昨年、地域住宅特別措置法を作っていただきましたので、この地域住宅交付金はそういったことを正面に据えて取り組めることになりましたので、しかも計画開発団地の周辺の市街地整備上の課題も一緒に併せて取り組めることになりましたので、何もかもすべて建て替えるということではなくて、きちんと使えるものは使う、しかし建て替えなきゃいかぬ場合には、その当該団地のニーズだけではなくて、周辺のいろんな市街地整備上の課題もきちんと受け止めてやっていくと、そういう構えで公共団体と一緒になって取り組んでまいりたいと考えております。 ○末松信介君 ありがとうございます。 時間が迫ってきています。次に、そのお年寄りの方々が、じゃ団地から出て、やっぱり買物もしやすい、駅に近いところとなってきて移り住みたいという方が大分増えてきたわけなんですよね。結局中心市街地の中でも住宅戸数が少ないと。住みたくても少ないわけなんですよ。どういうようにしてこれを確保していくかという問題があると。 今回いろんな計画を組んできてくれれば、税制上の優遇やいろんな施策を組んでいるわけなんですけれども、私はやっぱり低未利用地をどう活用していくかということをきちっと求めなきゃならないと。やっぱり土地政策そのものが、これは所有権と利用権ということが常に議論をされてきたと、土地については。公共福祉に優先されるべきであるという、本来、日本のこの財産、日本国の財産に帰属するべきものであるというそういう観点に立ってくれという話があったわけなんですよね。一九四一年の借地借家という法律、一部改正されたんですね。これは当時は出征兵士の御家族の方々が割と借家、借地におられたということがあったということでありますけれども、それからこの九一年、九九年に定期借地権とか定期借家法ということが制定されて、一遍貸したらもう返ってこないという考え方に立たないでほしいと、土地は利用するものでありますからという政策を打ってきたわけなんですけれどもね。 私は、市街地の中で遊んでおる遊休地とか低未利用地の土地を活用して住宅戸数をどう増やすかという、活性化しなくて活力が減退している理由には、その地域内の人口が減少しているということが大きな問題でありますので、住宅戸数をいかに増やしていくか、地主に対してどういうような協力を求めていくかということを、この点はっきりとちょっとお答えいただきたいと思うんですよね。割合皆さん持っている方は強みもあってじっとされていますよ。ちょっとお答え願います。 ○政府参考人(柴田高博君) 中心市街地が衰退する原因の一つといたしまして、冒頭の方から委員あるいは大臣の方からもいろいろとお話がございましたけれども、そこに住んでおられます住民の皆様、なかんずく地権者の皆様等の協力が非常に重要になるということはそのとおりだと思います。 シャッターを下ろしたままだれにもほかの人にも貸さないと。人に貸すと後でいろんなトラブルがあるというようなことがあるというようなことで、そのままにされているというケースがよく見受けられてございまして、それが批判の対象になっていることも事実でございます。 これらにつきましては、中心市街地活性化の方で、中心市街地活性化の協議会というものがつくられまして、その中で住民の皆さんも入っていただいて、この中心市街地、自分自らの、自分らの町をどういう具合に活性化していこうかということに真剣に取り組んでいただくという制度も法律でもって制定することにいたしているわけでございます。 今おっしゃいましたように、やはり一番の大きな問題の一つが、人がいなくなってしまったと、そこに住む人がいなくなってしまったということは非常に大きな、中心市街地にとって悪影響を与えている大きな問題でございまして、今御指摘の定期借地あるいは定期借家制度というようなものの導入というのも一つの大きな解決策の手段になるのではないかと考えてございます。中心市街地におきます定期借地だとか定期借家の活用のデータというのは収集しておりませんけれども、公営住宅の跡地を定期借地により民間事業者に貸し出しまして、公営住宅と併せて公共公益施設や民間賃貸住宅を整備した事例というものはございます。 今回の法改正では、先ほど言った活性協議会に加えまして、まちづくりを行うNPOなどの非営利法人も市町村が指定する中心市街地推進機構の対象とし、信用力のある第三者がこの遊休地を広場、駐車場として有効利用する制度というものを創設することにいたしているわけでございます。 また、遊休地を種地といたしましたいろんな施策、
活動報告

2006-05-16
第164回国会 国土交通委員会 第17号