活動報告

2007-03-15
第166回国会 国土交通委員会 第2号

166-参-国土交通委員会-2号 平成19年03月15日 ○末松信介君  おはようございます。  田村委員から大変今厳しい指摘があったわけなんですけれども、ボンバルディアという飛行機は非常に機材の信頼性が高いんで全日空も購入をしたわけなんですけれども、事故というのは、ここ二年ほどこの委員会でも参考人招致をずっと続けていろんな意見を聴いてきたんですけれども、人為的ミスか、あるいは機材の故障とか欠陥、あるいは予期せぬ外部からの何らかの原因があったという、いずれかだと思うんですけれども、前の大臣の北側大臣はヒューマンエラーとかヒューマンファクターという言葉をよく使われて、委員も我々も人間の心理状態とはどうかということをいろいろと話し合ったわけなんですよね。やっていないことを、やらなければならないことを実際やったというように、こう、定時性を守る余り思ってしまうという、そういった状態も明らかになったわけであります。いろいろと相互チェックとか指さしチェックとか各航空会社もそれぞれもう一度基本動作というのを確認し合ったわけなんですけれども、今日に来ていると。  問題なのは、整備に問題があったらいいんですけれども、もうこれだったら全日空側が大きな反省と対応をすればこれは可能だと思うんですけれども、最も心配なのは、正にその機材そのものに、先ほど田村先生から話があったんですけれども、重大な欠陥が存在しているのに今は整備点検しても問題がないので飛ばし続ける中、再度あのような事故が起きてしまうということが一番恐れることなんですよね。  今大臣からこういう指導をしているということのお話を伺いました。四点ほど伺ったんですけれども、改めて、そういうことが起きる、もう再度あのような事故が起きる可能性というのはあると思うんですけれどもね、どういうようにその点お考えなのか、大臣か局長、いずれで結構です、お答えいただきたいと思います。 ○政府参考人(鈴木久泰君)  昨日の夜に現地に行っております鉄道事故調査委員会の調査官が公表した事実によりますと、前脚のロック機構の結合ボルトとナットが脱落しておったと。さらに、そのボルトの外側にこう円筒形の筒があるんですが、そのブッシングというその筒がそのボルトが外れた関係で少しこう飛び出ておりまして、それが突っ掛かるような形で前脚を収納しておるドアの開閉を妨げた結果、どうもうまく下りなかったというような事実が判明しております。  どうしてそのボルトとナットが外れてしまったのかというような辺り、そこにつきましてはこれからまた詳細に調査がなされるものと思っております。特に、このナットにつきましては、大事な部分のナットでありますので更にピンを差してナットが回らないように固定をするというような仕組みになっておりますが、このピンは見付かっておらないようでありますし、そこら辺のところをいろいろこれから検討を進められるものだと思っております。  いずれにいたしましても、大変重大な事故でございますので、私どもとしては、その調査結果も十分踏まえながらもうしっかり対策を取っていきたいと思っております。 ○末松信介君  国土交通省は昨年六月ですか四月ですか、ボンバルディア社の方に職員の方を派遣をしておられると。いろいろと、どういう内容か分かりませんけれども、改善要求とか、本来政府がそういうことを航空会社に対して、外国のメーカーに対してそういうことをやるというのは珍しいと思うんですけれども、こういう要求を出されたということなんですけれども、その成果が上がっていないからこういう問題も起きてきているのかなということを思うんですけれどもね。  とりあえず私が今お尋ねしたいのは、これ平成十七年だけで、これホームページからですけれども、同機のトラブルが四十四件発生しておるという、不具合が発生したということが明らかになっているんですけれども、今後このボンバルディア機が急遽就航できなくなった場合、この場合、このQ400、クワイエット400の代替機があればいいんですけれども、大阪空港でこれがない場合、例えばジェット機を代替機として使わなきゃならないと。そうしたら、このジェット枠というのは大阪空港の場合二百と決まっていますんで、その場合、この二百枠を超えなきゃいかぬという問題が出てくると思うんですよ。当然、関係自治体とも協議し、了解も得ていかなきゃいけないわけなんですけれども、非常に緊急性を要するときもあろうかと思うんですけれども、このことについて柔軟に対応するお考えがあるのかどうかということをお聞きをしたいと。  もちろん、ボンバルディア機が全機いったんもうこれは運航を休止するということが決まった場合は当然のことなんですよね。このことについての対応策、ジェット枠を拡大してやるのかどうかということについてお聞きをしたいと思います。 ○政府参考人(鈴木久泰君)  このボンバルディア機に対しましては、事故当日から緊急点検を実施いたしまして問題のない旨の報告を受けたところでありますが、今事故調の方で発見いたしましたそのボルトの脱落の部分、そこについては更に昨夜指示をいたしまして、そこのところだけもう一回再チェックしてほしいということでエアラインにお願いをしてチェックをしてもらっております。したがいまして、今直ちに同型機がほかの型の機が事故機と同じように危険かどうかというところは、今のところ安全が確認されていると申し上げたいと思いますが、先生おっしゃるような事態になりました場合に、多分、直ちに、パイロットとか整備の体制の問題もありますので、あるいは飛行機というのは発注してすぐ手に入るというようなものでございません、注文生産でございますので、ほかの機で代替できるという体制はなかなか組みにくいと思いますが、そういう事態に立ち入らないように我々としてはまず万全の対策をこのボンバルディア機に対して取っていきたいと思います。  それから、伊丹のジェット枠の問題については、長年の地元とのいろいろな経緯があって一応二百ということで決められたものでありますので、これはやはりその騒音問題の方も慎重に検討しながら考えていくべき問題だろうと思っております。 ○末松信介君  そういうことがないようにという話なんですけれども、私は今、起きた場合のことを聞いたんですよ。実際そうなったら、大阪—高知、これ伊丹—高知だけでも十二便一日飛んでいるんでしょう、これ、田村先生。これ生活路線でしょう。じゃ、ほかのボンバルディア機がもう使えないということが決まった場合、ジェット飛ばすしかないじゃないですか。それについてはそのときという考え方ということですけれども、もう少し局長として踏み込んだ、そのときには当然二百を関係自治体の方の了解を得てこれは飛ばさしていただくのは当たり前だという、それはもう踏み込んだ答弁されるのは、僕はしかるべき、私はお答えになってくるんじゃないかと思うんですけどね、これ。何か希望的観測ばっかりを述べられておられると。  もう一度ちょっとお考えお話しください。 ○政府参考人(鈴木久泰君)  大阪国際空港につきましては、かつての深刻な騒音問題に端を発して、いろんな訴訟とか重たい経緯がありましてジェット枠二百枠と決まった経緯がございますので、そこは慎重に判断する必要があると思いますが、万一、先生がおっしゃるような異常な事態ということであれば、そこはまたよく地元とも相談しながらいろいろ検討していくべき問題だろうと思っております。 ○末松信介君  分かりました。できるだけその節、善処策をよろしくお願い申し上げたいと思います。  時間が大分迫っておりますので少し早口で。関西新空港のことにつきまして、関西新空港のことについてお伺いしたいと思いますけれども。  本年の八月に国内最長の四千メートルの第二滑走路が運用が開始されるわけでありまして、この前、滑走路に立つ大臣のお姿をニュースで拝見をいたしました。実は私たちもこの一月に大江委員長の御案内で和歌山県の行政視察をいたしまして、最後にこの関空に立ち寄ったわけなんですけれども。私はよく知らなかったんですけれども、米国土木学会のASCEによって二十世紀の十大プロジェクト、空港設計・開発部門において選定をされておるということです。それとか、このエアポート・オブ・ザ・イヤーでは、顧客満足度は世界第四位と、トイレの清潔度は世界第一位と、もう一遍よくトイレ見なきゃいかぬと思うんですけれども、非常に評判が高いと、評価が高いということになっておりますんですけれども。  止水工事も終えられて問題点も徐々に解消されてきているわけなんですけれども、非常に国際空港として、特に物流面で今後大きな期待が寄せられておると。ハイテクの電子部品などは翌朝中国とか、あるいはまたアジアの各地、現地工場に届いていくということで、時短、時間の無駄を省くということと、保管コストの問題とか、あるいはリスクを軽減するということで、こういったことについて大変大きな貢献をするんじゃないかということが考えられるわけなんですけれども。  そこで、私はその関空のことで何が言いたいかといったら、ああいった空港というのはこれはもう国策で造ってきた空港でありますので、外国の空港と競争して戦っていけるという、そういう空港にしてやる、環境を整えてやるべきだという、そういう思いなんですよね。  着陸料一つ取りましても、実はこの成田が七十七万円、これはB4ですね、ボーイング747で停留時間を三時間とした場合、成田で七十七万円、中部国際空港で六十五・六万円、関空八十二・六万円ということなんですね。パリのシャルル・ドゴール空港は三十八・六万円、香港が三十九・七万円、ソウル三十五・四万円と、ロンドンのヒースロー空港は十一万円ということなんですよね。もうこれ運営の仕方が全然違っておると。諸外国では国家戦略として施設整備などに対して国が大きな負担を強いているわけなんですね。  以前、四年前にもこの新東京国際空港と中部国際空港とこの関空とを、下物法人とそれと各空港を管理運営する上物法人に分けて行おうという話があったんですね。しかしながら、各空港の財務状況が違うから結果的にとんざしてしまったということがあります。  現在、有利子負債が一兆二千億抱えておると。毎年九十億の利子補給もしているということなんですよね。今これ、利払いだけで二〇〇五年度で二百三十億円ということを払っておりますし、第一その空港への連絡橋につきましても、成田とか中部の国際空港へのアクセス道路というのは公道なんですけれども、もう御存じのとおり、これはもう関空連絡橋は関空会社が建設と維持管理を行っておるということで、年間二十数億円の固定資産税も払っておるということで、もうそろそろ私は、もうこれ第二滑走路ができるこの時期に、根本的な国際競争力を持った、世界の空港に勝っていける、そういう一つの手術をするような構想を練ったらどうかということを思っていますんですよ。だから、この辺、大臣、思い切った対策というものをお取りになったらどうかと思うんで、今日、所信でございますので、御答弁のほどをお願い申し上げたいと思います。大臣でなくても結構ですよ、局長でも。 ○副大臣(望月義夫君)  お答えさせていただきます。  関空会社は経営改善努力によって、ただいま大変ないろんなリストラございますけれども、平成十六年度に初の経常黒字になっておりまして、大体平成十六年度、五十二億円を達成しております。それから、十七年度も引き続き経常黒字になりまして、九十二億円を計上しておりまして、単年度では一応黒字になっております。  しかしながら、依然として先ほどの先生のお話のように多額の有利子債務、一兆二千億という多額の有利子債務を抱えておりまして、安定的な経営基盤、国際競争力ということを考えますと、これをいち早く確立をしていかなくちゃならないということが実は課題になっております。  このため、平成十五年度から年間九十億円の補給金を継続して交付しております。これは三十年間で経営の努力とそれからこの補給金とで有利子債務をなくしていくというような大体のめどを立てて実はやっているところでございますけれども、これで有利子債務の着実な償還に努めることと実はしております。  しかしながら、現状において関空の有利子債務は依然として高い状況にございますので、これ、実は我々が心配しているのは、例えば今金利が一%上がると一兆二千億で大体年間百二十億、二%上がると二百四十億というような形になりますので、この辺は若干ちょっと心配しているところでございますけれども、関空が環境に配慮して、まあ陸上から五キロメートル離れている、これはやっぱり環境に配慮しておりますけれども。それから、大深水の二十メートル、我々は港を造るのに大深水というと大体十五メートルという、大型のこれはバースということになるんですけれども、そういった二十メートルというようなことでございまして、これを埋め立てているという、そういう費用の掛かった具合があると、こういうことでございます。  このため、着陸料というのを、やはり有効な収入でございますので、これ以上下げるということは事実上非常に難しいことでありますけれども、現在開催されております航空分科会、あるいはまた国際拠点空港懇談会において国際拠点空港の在り方に関する論議の中でも現在御審議をいただいているところでございます。 ○末松信介君  ちょっともう次急ぎますので、移ります。  次は、大阪伊丹空港についてお伺いしたいわけなんですけれども、この大阪国際空港というのは昭和十四年に大阪第二飛行場として開港しまして、昭和三十五年に初めて国際線が就航したわけなんです。昭和三十九年にジェット機がこれ就航しまして以来、羽田と並んで国際空港として世界の玄関口となったということなんですが。  実は平成五年の利用者というのは二千四百万人おられます。関空開港した平成七年には千三百万人に旅客が減少したんですけれども、しかし平成十六年には千九百五十万人にまた増加したと。今、国内の長距離便を大阪空港から関空へ持っていきましたので、こういったことによって若干減少したけれども、それでも千七百万人利用なさっておられるということなんです。  この空港は、現在まで環境対策が最も大きな問題だったということ。これは、私も長らく兵庫県の県議会議員やっていましたのでよく分かっておりますんですけれども、昭和四十二年から平成十八年まで八千五十四億円の環境対策費を投じてきているという大変な空港だったわけなんです。しかし、この対策費こそが、実は平成二年、地元と存続協定が結ばれ、国が直轄で管理運営をする国際空港として位置付けする私は証明であると、裏返しであると理解を実はしているわけなんです。  関空は、西日本を中心とする国際拠点空港であると、そして国際線乗り継ぎのための関西における国内の基幹空港であると。大阪国際空港は、この伊丹空港は国内線の基幹空港でありますが、このたび関空が二本目の滑走路が完成をようやくするわけなんですけれども、私は将来あらゆる面でその国際競争力を考えた場合、関西圏が競争力を持っていくには、大阪空港を活用することを常に念頭に置いておく必要があると思っているんです。  関空にとって大阪空港が邪魔であるという発想というのは、全く間違っていると私は思っているんですね。邪魔じゃないですよね、これ。直観として、大阪空港は国際空港として将来の需要に対応するために名実ともにその役割に幅を持たしておく必要が私はあると思います。両空港の共存共栄というのは結局は関西の発展につながるし、関西の発展というのは両空港の共存共栄につながってくると思うんですけれども、しかしながら、今、何度も話が出るんですけれども、この大阪国際空港を二種のA空港とするということについていろいろな意見が出てくるわけですね。話が持ち上がってくるわけなんですけれども、この二種のA空港にするということについて、歴史的な経緯とか将来の不透明さとか、また将来の期待というものを念頭に置いて考えますと、私は反対なんですよ。  道州制まで議論される今日ですから、その実現はともかくとして、関西圏に二つの国際空港が存在しても私は正しいと思っていますんですけれども、この点につきまして、冬柴大臣、大臣が尼崎市選出の国会議員であるということは忘れていただいて結構です、もう日本の国土交通行政の代表でありますし、大江委員長が関空に近い和歌山県の選出であるということも忘れていただいて結構でございますので、ひとつ御見解をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(冬柴鐵三君)  関西二府四県というのは、GDPでは韓国を上回っております。そして、人口ではオランダを上回っているわけでございまして、狭い大阪湾を取り巻く中に三つ空港があるということでいろいろ、ばか査定だとかいろいろ言われたことはありますけれども、私はこの国際化時代に、日本が少子高齢社会、そしてまた人口減少時代を迎えて、その中で持続的な経済の成長を図っていくためにはどうしても近隣諸国の力というものを日本に取り入れるということが必要になってくるわけでありまして、そう考えたときに、日本は四面環海、とにかく海を越えなければ人も物も流れてこないわけです。そういう意味で国際拠点空港というのは整備は絶対に必要ですし、またそれと国内とのネットワークも必要であります。そういう意味で、私はこの三つの、関空それから伊丹、そして神戸というものが有機的に理想的な取組をしていかなければならない、そうすればこれは一つも過大ではなくて、十分にその責めを果たしていくものであるというふうに確信いたしております。  しかしながら、その位置付けをどういうふうにするかということについては、平成十七年十一月に国土交通省から地元の自治体、地元経済界に、関西三空港懇談会というところでその役割分担というものを決めたわけでございます。その内容は、先ほど末松議員もおっしゃいましたように、関西国際空港は西日本を中心とする国際拠点空港であり関西圏の国内線の基幹空港でもある、伊丹空港は国内線の基幹空港であり環境と調和した都市型の空港である、神戸空港は百五十万都市神戸及びその周辺の国内航空需要に対応する地方空港である、このようなすみ分けをしようという合意が関係者の間でなされたわけであります。  問題は、じゃ、その伊丹空港を航空整備法上どうするのかということにつきましては、平成十六年十二月、関西国際空港の二期工事の取扱いについての協議の中で、国土交通大臣と財務大臣、当時の北側大臣と財務大臣は谷垣大臣の間で書面が取り交わされておりまして、交通政策審議会航空分科会において検討を行うというふうにされたところであります。それを踏まえまして、本年六月の取りまとめを目途に、現在、航空分科会において伊丹の位置付けというものが審議を、論議をいただいているところでございます。  したがいまして、私は、大阪国際空港については今後も利用者の利便性を生かしつつ環境と調和した都市型空港として運用することで関西圏全体の経済の活性化に資していかなければならないと思っております。その位置付けについてはこの論議にまたなければならないわけでありますが、過般来、大阪あるいは兵庫の知事等もいろいろな意見をそこで披瀝をされているところでございます。 ○末松信介君  是非、歴史的な経緯ということと将来への我々の期待というもの、このことを御理解いただきまして、是非政府としての考えをきちっと示していただきたいと。もちろん、第三者機関とかいろんな御意見を参考にするのは結構なんですけれども、その思いというものを是非伝えていただきたいと思います。  最後に、時間がもうほとんど来ていますんですけれども、国交大臣に公務員制度改革についてお伺いしたいんですけれども、先日、自民党本部で渡辺行政改革担当大臣が、各省庁による天下り支援を禁止する案を説明をしたわけなんです。いろんな意見が確かに出ました。一番大きかった問題というのは、もちろん、各省庁の天下りのあっせんを禁止して、民間企業との橋渡し役となっている新たな人材バンクに一元化していくということ、こういった提案につきましていろんな意見が出たんですね。この天下りの慣行が官製談合の温床になっているということが一つは背景にあるとは思うんですけれども。  私、これまでの公務員制度を見ていて、キャリアの方なんかは事務次官を頂点に目指してレースをされておられると。ある程度同期の方々を横を見ながら、もう難しいなとなってきたら、非常に五十何歳かでお辞めになって下っていくということがなっていると。民間企業の場合は大概やっぱり六十歳までお勤めになるという、こういう民間企業の方々から見た場合に、極めて今の官僚制度、この人事制度というのは非常に奇異にも感じると思うんですよね。  この点につきまして、できましたら冬柴大臣の、官僚の人事制度の在り方とか天下りの、正に渡辺行革担当大臣が出されたこういった案につきましてお考えをお示ししていただきまして、最後の質問にしたいと思います。 ○国務大臣(冬柴鐵三君)  私、渡辺大臣、とりわけ内閣官房の方からまだその制度改革の案についてお話をいただいてないんですよ。したがいまして、具体的な内容についてのコメントは今日は差し控えさしていただきますけれども、公務員の天下りと言われているものにつきましては、予算や権限を背景とした押し付け的なものは根絶するという総理のお話は、私は全く同感でありまして、これはもうやめさせなきゃならない。そのための制度設計はどれがいいのか、それは今からも私も議論に参加さしていただいてやらなければならないと思っております。  しかしながら、私、この国土交通省の現状を見てみますと、国土交通省には相当優秀な大学を卒業して二十年、三十年勤めた、そして特殊な方面についての経験や知見を重ねた、社会でも有用なそういう人たちがたくさんいるということがまず事実があります、これは事実です。そして、その人たちが六万三千人のこの国土交通省の職員の中でもう大多数、一割未満です、五千人ぐらいしか中央にはいません、全部が地方に散っているわけです。その人たちがどういう状況にあるかといいますと、年間に約九百人の人が退職していきます、退職していきます。そのうちの七百六十人ぐらいが地方の方です。地方の方が定年を待たずに辞めていくわけです。  こういう実態を見たときに、それともう一つは、定年は六十歳だけどもそれまでに辞めている。それから、それを前提にして定員の配分とか新規採用というものが行われているという、これは長い間そうでした。それから年金は、共済年金は六十五歳からしか支給されないということでございます。それを、例えば一元的に公的なハローワークをつくるといいましても、日本全国に散らばっている人たちの有為な人材をそういうところで本当に適宜適切に配分できるんだろうかと。それができないと、その人たちは辞めません。六十歳までお勤めになる、当たり前の話です。  そうしますと、今まで七百六十人辞めていられる方が辞めなくなりますと、新規採用はできません。一人もできなくなると思います。というのは、定員枠がありますから。そうすると、本当にこれで回っていくんだろうかということが思われます。  したがって、私は、こういう改革する前に、こういう事情を全部セットにしてワンパッケージで解決しないと、例えば六十五歳までもう定年全部延長するからうろうろするなとか、それからもう外へは行ったらいかぬとか、そういうことを保障した上でいろんなことを決めるのはいいんですけれども、ただ悪いことするからということですべてそれを制限してしまうということになりますと、私は公務員の今働いている人たちの士気に関するし、そして五十五歳から六十歳の間で辞めるなんという人が自分の就職を求めてうろうろし出したらもっと危険なことが起こるんじゃないかと僕は思いますよ。ということも私は、議論に参加すればいろいろと私の意見として申し上げたいというふうに思っているわけでございます。  したがって、決して私はこの現状のままで改革案をしなくてもいいというようなことは全く思っていません。これは、私どもが水門談合を指摘されたということも重く受け止めながらも、しかし公務員の士気が、国士としての自覚がなくなってしまうんじゃないかという、そしてまた、こういう有能な人たちの知見というものが社会の中で生かされないようなことになるのも国家としては大きな損失ではないかということを考えるわけであります。 ○末松信介君  時間が延びまして、申し訳ございませんでした。  終わります。