166-参-国土交通委員会-6号 平成19年03月28日 ○末松信介君 自民党の末松信介です。早速に質問に移りたいと思います。 平成十一年の十二月に自動車検査独立行政法人法が成立をいたしました。これは個別法なんですけれども、そして平成十四年七月一日に自動車検査独立行政法人が設立されたわけであります。今回の法改正は、独立行政法人通則法第三十五条で、主務大臣は独立行政法人の中期目標の終了期間において、平成十八年の三月三十一日ですけれども、その業務の必要性、また組織の在り方等に検討を加えて所要の措置を講ずると、これを受けての改正でございます。昨年の五月二十三日に行政減量又は効率化有識者会議によって十八年度以降の独立行政法人の見直しの基本方針が打ち出されました。それにつきましては、一は事務事業の重点化、二つ目は財務面の改善に向けた見直し、具体的にはこの資料に書かれておりまして、一応目を私も通したわけなんですけれども。 それで、この自動車検査法人、ここが、検査施設やあるいは機器の高度化による検査対応の強化など、業務の効率化などを推進するものとされているわけなんですが、そこでまずお伺いしたいのは、この独法への検査手数料の自己収入化についてなんですが、新規検査などの申請の者のうち、自動車検査法人が行う基準適合性審査を受けようとする場合、実費を勘案して政令で定める額の手数料を同法人に直接納付するということになっているわけですけれども、どういう効果があるのかということをまず最初に伺っておきたいんです。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 今、検査手数料は一括して国に納付をいただいて、その一部を検査法人に交付金等としてお渡ししていると、こういうことでございますが、今回の改正によりまして自動車検査独立行政法人に対しても手数料、これについて納めていただくと、こういうことにしたいと思っております。基準適合性審査の必要な人件費でありますとか運営的な経費、こうしたものについては直接検査独立行政法人に納めてもらうと、こういう改正を盛り込まさせていただいておるところでございます。 趣旨でございますけれども、こうすることによりまして自動車検査独立行政法人、会計的にも対価が現行に比べて明確化されるということで経営責任を高めていく。それから、経営責任を高める中で検査法人も、厳正かつきっちりした審査をやるということが前提ではありますけれども、その中で可能な効率化を促進していく、あるいは審査の充実、きっちり対価を得ているわけですからやってもらうと、こうした効果を期待しているところでございます。 ○末松信介君 今経営責任を高めていく、審査を厳格化していくというお話もありましたんですけれども、国は財政支出を削減していくと、それで検査法人の経営責任を今お話しあったように高めるということなんですけれども、しかし、これまで車検特会から検査法人への交付金等の中に含まれていた検査料を直接検査法人が収入とするわけなんですけれども、その経営責任を高めるということには有効だと思うんですけれども、国の財政縮減としてキャッシュフローが単に変化するだけではないかということを考えてしまうんですね。実質的にどういう効果が本当にあるのかということをもう少し詳しくおっしゃっていただけませんですか。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 国の方、今まで独立行政法人に運営費交付金でありますとか施設整備費補助金でありますとか百二十億程度、年によって違いますけれども、大体それぐらいのオーダーの額を交付してきたところでございます。今回、検査法人に手数料の一部が直入されますので、国からのこの交付金あるいは施設整備費補助金、これについては減額が可能だと思っておりまして、半額以下ぐらいに持っていきたいと、このように思っておるところでございます。 繰り返しになりますけれども、検査法人の方に会計的にも、今回、非公務員化も盛り込まさしていただいておりますけれども、それと併せて会計的にも経営責任を高めて、やっぱりお金を直接もらっているという意識の下に、効率化をやってもらうでありますとか、あるいはきっちりした検査を確実にやっていくでありますとか、そういう意識の向上にも結び付けていければと、このように思っておるところでございます。 ○末松信介君 局長から今答弁ありましたんですけれども、手数料の納付に関する第二条とか、この道路運送車両法の、これ済みません、第百二条の改正規定と附則中の関係規定には、公布の日から起算して一年を超えない範囲において政令で定める日から施行するという形になっているわけなんですね。これからすぐに手数料が入ってくるわけではないです。 現在のところ、平成十七年度四百三十億の手数料が発生しておったと。それで、今お話あったように、今からの独法法人に対しましては百十億と。内訳見ましたら、運営交付金が八十九億三千四百万円と、それと施設整備補助金が二十一億三千八百万、これで百十億になるんですけれども、結果的にこの百十億の交付金というのをいずれはできるだけ縮減していこうという考え方だと思うんですよね。 となれば、五年後にその職員数、公務員数を五%削減していくという考え方なんですけれども、改革ということを実施をしていかないと縮減はできないというように認識をしておりますんですけれども、今はこれまだ出発の段階であるから具体策ということについてはまだお話がないんですけれども、特段何か、こういうことをやっていくんだというような所見等々があるようでしたらお話をいただきたいんですけど。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 主にやっぱり人件費をどうしていくかというのが一つのかぎだろうと思っておりまして、私ども、今度の中期期間中には五%の削減を実現していくと、このようなことを考えております。 それと併せまして、検査につきましてはいろいろ充実も図っていきたいということがございますので、そういうことを勘案しながら適切に対処してまいりたいと、このように思っておるところでございます。 ○末松信介君 今、表現間違って公務員と言ったんですけども、これはもう非公務員化していますので、人件費単に五%削減するということで御努力をいただきたいと思うんです。 次の質問で、今回の見直しで役職員が非公務員化されるわけなんですが、それに伴って職員には当然争議権が発生してくるわけです。そうなると、ストが発生することが予想しなきゃならないということです。 過去、阪神・淡路大震災の発生時には、交通状況の悪化などから兵庫陸運支局の再開後も自動車検査場へのアクセスが非常に難しかったわけですね。このため、伊丹市の市交通局車庫とか神戸市北区に臨時車検場が設置をされたわけです。陸運支局からの職員も派遣をいただいて御対応いただいたということなんですが、そこでお聞きしたいのは、ストライキが発生した場合に具体的にどういうような対策を考えられるのかということを明確にちょっとお答えをいただきたいと思います。 ○政府参考人(岩崎貞二君) ストライキが行われた場合ですけれども、まず場所でございますけれども、場所は、先生も御案内のとおりこの独立行政法人の検査場は運輸支局と併設、隣接しておりますので、阪神・淡路大震災のような場合は別ですけれども、ストライキの場合はその場所でやっていくと、このようになります。 それから、検査をする人間でございますけれども、今、独立行政法人職員八百六十名おりますけれども、検査をやっておる人間が八百人弱でございます。国の方でこの検査をした経験のある人間、五年前まではこれは国がやっておりましたので、そうした人間が五百人ぐらい今国の方におりまして、別の、整備業の監督でありますとか基準作りでありますとか、こういう業務に当たっているわけでございますけれども、そういう人間が五百人強おります。ですから、少しサービスレベルでありますとか、まるっきり同じようにはいかないと思いますけれども、こうした五百数十人の人間がおりますので、それを活用しながら、それから独法の中でも管理職の人間がおりますので、そうした人間を活用して審査業務に当たって、この独法はストライキを起こしても国民生活に御迷惑を掛けないようにしていきたいと、このように思っているところでございます。 ○末松信介君 ストライキが実際起きてみないとこれは分からぬわけなんですけれども、ただ、天災など審査を円滑に処理できなくなった場合、審査の停止の防止策、セーフティーネットとして法案では国土交通大臣が自ら審査を実施するということを明確に書いておりますので、その点、不測の事態というものを十分想定して対応策を講じていっていただきたいと思います。 続きまして、昨年の十二月の五日付けの国土交通省で自動車検査独立法人法の見直し案におきまして、検査法人の業務の縮減・重点化の観点から、民間指定工場による指定整備率の向上を図ることと、こういうように明記されているわけなんですが、その具体策として、指定整備工場の指定要件の一つである工員数についての要件を現行の五人以上から四人以上へと緩和することなど検討がなされているということであります。 それで、これは車両総量は八トン以上とか最大積載量五トン以上のものとか乗車定員三十人以上の大型車の取扱いは除かれております。これによって、二〇一〇年度をめどに指定整備工場の数を現在の二万八千の二割である約六千工場の増加につなげるということですから、三万四千ぐらいになってくるわけなんですけれども、この民間指定工場の指定率の向上が大変大きなテーマでございます。 そこで、指定要件の緩和に加えまして、さらに民間指定工場の指定を受ける者に対していろんなインセンティブを与えていく必要があるんじゃないかというように考えるわけなんです。 先般の規制改革とか民間開放推進会議からの第三次答申の中でも、国及び独立行政法人が行う事務事業における民間開放の徹底が公表されております。民間の指定整備工場ではこれ検査のみの実施しか認められておりませんですね。検査のみの車検というのは独法が独占しているわけで、そこに合理的な根拠というのがあるのかどうかということを決め付けられることはできないということが書かれているわけなんですよ。この点の指摘が実はなされました。 それで、必要に応じまして検査内容の見直しとか事後チェック体制の整備などの措置を講じながら、特に優秀な指定整備工場においては検査のみを行うことを可能にする民間開放を推進すべきということの考え方を持っておるんですけれども、これにつきましてのお考えを述べていただきたいと思います。 ○政府参考人(岩崎貞二君) この規制改革・民間開放推進会議の方でそのような答申をいただいておるところでございますが、この答申を出されるに当たりまして、私どもも議論をさせていただきました。 結論から申しますと、私どもは今の状況だとこれは不適切ではないかと、このように思って、そのように反論はしたところではございますけれども、規制改革会議としてはこう思うということでこのような答申になったという経緯がございます。 今は指定整備工場で、これ民間車検場で検査任せておりますけれども、その同じ工場で点検整備を行った車についてその検査をするという点検整備と一体で検査をするということでこの民間車検場という制度を認めているわけでございます。こうした検査のみを行うという制度になりますと、いわゆる検査屋みたいのが発生しないかというのを非常に我々は危惧しているわけでございます。 点検整備と検査と一緒にやりますと、その車が後で不具合が起こった場合、そこの民間車検場の点検整備はどうだったか、検査がどうだったかということについてチェックができますけれども、点検整備をどこかでやって検査だけ別のところでやりますと、そこに不具合が出たときに、どちらが本当にちゃんとやっていたのか、手を抜いたとか、やっぱり分かりにくくなると、このように思っております。 車の安全につながるものでございますから、私どもとしては現行制度を維持していきたいというふうに考えているところでございます。 ○末松信介君 不適切であると、規制改革会議の方針という考え方というのは不適切であるということのお話があったんですけれども、実は、私もこれよく分からぬので、現場の声を実は聞いたわけなんですけれども、規制緩和で指定工場が増えても業者の圧迫にはならないと言っているんですね。政府案では規制緩和で六千の工場の増加を見込んでおられるけれども、実際、現在の経営状況から、設備投資には費用が掛かり過ぎて無理な数字ではないかということを言っているんですよ、この協会側がね。それで、なぜかといったら、やっぱり設備投資に千五百万から二千万ぐらいのお金が掛かるだろうという話なんですよ。実際のところは、六千ぐらい増えるだろうということを言っているけれども、二千五百ぐらいしか増えないんではないかという指摘がございます。 そうなると、現在の陸運事務局、人員削減を図っておられるわけなんですけれども、現在でもユーザー車検受けの方々に対してイロハのイから教えてその説明に時間を取られているのに、認証工場の持込みの車検の逆に大きな待ちが出てきて、結果的には独法の人員削減に向けて、指定率は上げなくては結局民間を圧迫するんじゃないかという意見等々もあるということなんですよね。この辺のことにつきましても、ちょっと念頭に置いていただきたいということを思っております。 今、局長がおっしゃった趣旨はよく分かりました。不具合が起きたときにはその責任体制をきちっとせなきゃならぬということの話は分かったわけなんです。 次に、今度は、今日は警察庁の方から答弁、野村審議官お越しいただいておりますので、街頭検査の実施状況と今後の見込みについてちょっとお伺いをさせていただきます。暴走族とかあるいは二次架装など、車検受検後に違法改造などを行っている車両についてお伺いしたいわけなんです。 街頭では頻繁に目にするそういった車両についての取締り方法について伺いたいわけなんですけれども、そもそも道路運送車両法第九十九条の二、「不正改造等の禁止」によれば、保安基準に適合しない改造そのものが実は犯罪であると定義をされているわけであります。しかし、現実に、どう見ても明らかにもうマフラーからの音量オーバーとか、限度を超えた、いわゆるシャコタンという最低地上高が九十センチ以上確保できていないものですね。それと、フロント、運転席、助手席のガラス透過率、これは七〇%を確保できていない真っ黒なスモークフィルムを張った、そういった車両というのをよく目にするわけなんですよね。公道をもう我が物顔にわあっと飛ばして走っておると。えらい迷惑な話なんですよ。 一斉の街頭検査というのを実施をされておられるとは思うんですけれども、十分な効果が上がっているのかということと同時に、その体制というものは過去と比べてどういう状況なのか、今の体制で更に取締りが強化できるのかどうかということについて、この点をちょっと伺いたいんです。 ○政府参考人(野村守君) お答え申し上げます。 平成十八年中の整備不良車両の運転に関しまして検挙いたしました件数は十二万一千五百二十七件に上っております。私どもとしては、かなり一生懸命やっているというふうに考えております。 警察といたしましては、毎年このように積極的に検挙を行っておりますが、それに加えまして、検挙の際に併せて、自動車の運転者に対しましては道路交通法第六十三条に基づく整備通告を行っております。また、そのほか、地方運輸局と連携を図りまして、使用者に対しましても道路運送車両法に基づく整備命令というのをしていただいております。こうしたことで、整備不良箇所あるいは不正改造に対しまして整備がかなり効果を上げて行われているのではないかというふうに考えております。 それから、更に加えまして、当該車両の運転者及び使用者だけではありませんで、不正改造などを行います事業者に対しましては、先ほど先生の方から道路運送車両法の九十九条の二の御指摘がございましたが、こういった関係法例を適用いたしまして厳しく責任を追及していくということをやっているところでございます。 ○末松信介君 せっかく野村審議官が来られているんですけれども、我々、地方議会に籍を置いておりますと、やっぱり警察官の増員ということについては非常に地域住民に要望が強かったと。やっぱり増えれば増えるほど取締りが強化できるんじゃないかということを思うわけなんです。確かに十二万件、相当な数字になる、今初めて今日お聞きをしましたんですよね、昨日ちょっと数字をいただけなかったんですけれども。 実際、そういった不正改造している車とか暴走族とか、いろいろと社会に迷惑を掛けているわけですけれども、警察官の数ということについては、審議官、どのようにお考えか。国土交通委員会ですので、ここは内閣委員会じゃないんで、遠慮せぬとちょっとこの辺で一遍お気持ちをちょっと述べていただきたいと思います。 ○政府参考人(野村守君) 先生御指摘のように、非常に数も大切だと思っております。ただ、この件に関しましては、私どもとしては、特に地方運輸局との連携によりましてかなり成果を上げておりますので、私どもとしてはまずこれを一層進めていきたいと思っております。それによりまして先生御指摘のその不法改造を検挙していくということにもつながっていくんではないかと思っています。 それからあと、人もそうなんですけれども、そのほかに取締り用の装備資機材、これが非常に重要になっておりますので、これの充実を図っていきたいということと、それから、そういう整備不良の車、これに関しまして情報をかなり的確に集めて分析して対応しなきゃいけないということがありますので、この辺を努力したいと思っております。 それからあと、第一線の警察官が最後は頼りでございますので、それに指導教養を徹底していきたい。こんなことで成果を上げていきたいというふうに考えております。 ○末松信介君 内容につきまして、ただ、さっきの装備ですね、装備の話も出たんですけれども、物件費も今の財政事情ではなかなか付けてもらえないという現場の状況、声は我々よく聞いておりますので、我々としても、まあ今日こういった質問ですんで、積極的な協力ということでしょうか、努めていきたいということを考えております。 それで、ただ、一つ、なぜその不正改造がなくならないかということにつきまして、これも現場の人にちょっと聞いてみたんですよね。こういうことなんですね。認証工場は、まあ旧ですけれども陸運事務所に持ち込んで検査を受けると。指定工場は検査員が最低一名おりまして、不具合自動車を通すと、犯罪を十分認識しているのでこれはまあめったに起こらないと。ユーザー車検もまあ陸事へ持ち込むので、まあ陸運事務所ですね、持ち込むので不正改造は扱わないと。指定、認証、ユーザー以外で一体何が起きているかということは、こういうことが起きているそうです。車いじりが好きな無資格者が陸事へ車両を持ち込み、車検を通した後に改造を行う。そして二年間は走れますと。が、三年目からは知らぬという売り方をして、それを繰り返しているという、これがそういう実態らしいんですよね。 ですから、まあよほど情報をたくさん集めてきてそういった取締りということをできるように対応していかないと、なかなかこれは本当に難しいイタチごっこの部分もあるんですけれども、ただ、やめるわけにいかぬ問題ですから、その点十分配慮をいただきたいと、御努力をいただきたいということを要望します。 次に、車検情報のデータベース化が今進められております。これによりまして、トラックや暴走族などが不正改造しがちな車体部分を検査時に電子画像で残して、次回以降の車検のほか、携帯端末で車のナンバーを照合すれば街頭検査でも不正改造を確認できるシステムを構築して不正改造を摘発しやすくなるというように考えられておりますけれども、今後この導入計画についてお伺いいたします。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 先生今おっしゃっていただいたその高度化というのをやっていきたいと思っております。車両の状態を画像で保存していきたいということでございます。今年度から一部の検査場において試験的に導入を開始しているところでございます。今後、次期の中期目標期間、この独法、今後約四、五年を予定しておりますけれども、この間の中で全国的に導入してまいりたいと、このように思っておるところでございます。 ○末松信介君 はい、分かりました。ありがとうございます。 これ民間工場への導入、普及についてなかなか困難が予想されるわけなんですけれども、それを行わなければ現実には実効性が上がりにくいんですけれども、この民間への対応という点、角度からどうですか。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 私どもも、継続検査の七割は民間でやってもらっていますから、それをちゃんと民間の指定工場に伝えていくということも大事だと思っております。今申し上げましたように、国の方で今後四、五年掛けてやっていきますので、民間の整備工場はパソコンを持っておりますので、うまくインターネットでつないで、民間の指定工場でも我々が保存している画像を確認できるこうしたシステムを整備するよう考えてまいりたいと、このように思っているところでございます。 ○末松信介君 よろしくお願いをいたします。 続きましての質問ですが、二〇〇二年の一月十日、横浜市の県道で発生した事故は、トレーラーの左前部のタイヤ、これは直径一メートル、重さ百四十キロのが走行中に外れて、歩道を歩いていた主婦の方、当時二十九歳と四歳の御長男、一歳の次男を直撃しました。主婦の方が死亡し、長男と次男も軽傷を負うという誠に痛ましいものとなりました。これはもう記憶に非常に刻まれている先生方も多いと思うんです。 この事故を契機に自動車のリコール制度は大きく変わったと言えます。それまでは、メーカー自らが不具合の原因を解明して自主的にリコールを届け出ておりました。正に性善説が前提となっていたわけなんですね。この事件への関連性が非常に深いと思われるリコール情報を、三菱側がこれを隠ぺいしていたということが発覚しました。 そこで、国交省は、それらの不正行為の再発を防ぐために道路運送車両法を改正しまして、リコールについて独自の調査体制を整えたわけなんです。特に検証官制度の導入の効果は大きく、多数のリコールの発見につながっているということですけれども、しかしながら、本年二月に、二〇〇四年に大規模リコールをしたばかりの三菱ふそうトラック・バスより、リコールの対策品として使用していた改良型のハブに欠陥があったとして再リコールがされるという異例の事態になったということであります。 〇四年当時にリコール対策品の改良型ハブについて国土交通省としても必要な指示を与えながら、三菱ふそうに実地走行実験などの慎重な検証を行わせた上でその使用を認めたわけなんですけれども、なぜこのような再リコールが起こったのか。国交省として、もっとよく検証を行っていただいて問題点を明らかにするとともに、情報収集やリコールへの監視、技術研修などの体制を更に強化していくべきであるというふうに考えておるんですけれども、この点につきまして見解を伺います。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 昨年の十月に三菱ふそうの大型トラックの前輪ハブ、これが、平成十六年にリコールの対策部品として使ったものでありましたが、これが破損をいたしました。調査をいたしましたら、やはり少々不具合があるということで、再度リコールをやったということでございます。 このハブの破損の、再リコールをやったハブの原因でございますけれども、ハブというのは締め付けをどれぐらいするかによって随分違うんですが、その締め付けが、三菱あるいは我々も承認したわけでございますけれども、その数値よりも一般の型はやはりもっと締め付けが強かったということが一つ。それから、そういうのをちゃんと整備工場で管理してくださいと、こう言っていたところでございますけれども、なかなか整備工場でもそうしたことが管理できてなかったと、こういうことでございます。なかなか管理のできないものを売ってもしようがないので、より強度の高いハブに交換するという再リコールをやったわけでございます。 私ども、やはり反省すべきところはあろうかと思っております。三菱ふそうについても、ちゃんと品質向上に取り組んでくれと、こういう要請をいたしましたけれども、私どもも、こうした部品が実際に世の中でどういうふうに使われているか、こうしたことについて情報収集等はいまいち不足していたのかなと、このように反省しているところでございます。 今後、実態などの把握についてよりきっちりやっていくよう頑張っていきたいと思っているところでございます。 ○末松信介君 昨日、専門家の方ともちょっと話をしまして、実際、車を使用する方の使用の仕方によって設計とはなかなか食い違ってくるという話で、まあ限界というのは確かにあるんだという話もありました。ですから、国交省としてはもうできる限りのことはやってきたという話を聞きまして、私なりには納得をしているわけなんですけれども、今後こういった問題が再発しないような努力というもの、工夫というものを一層講じていただきたいと思います。 次は車検のことなんですけれども、現行の車検制度は、ユーザーによる保守責任を前提とした上で、受検時点における安全環境基準適合性をチェックしているにすぎないというわけなんですけれども、しかし日本のユーザーというのは、おおむね車検、自動車の保守点検に関する意識というのは非常に低いということであります。 公正取引委員会の自動車整備業等に関する実態調査報告書によりますと、規制緩和で自動車の保守管理責任が使用者に明確にされたことを知らないユーザーが約六〇%に上るということになっているわけなんです。車検では、タイヤとかブレーキパッドの摩耗状態が寿命ぎりぎりであっても、保守基準の範囲であれば車検を合格するわけなんですね。しかし、ほとんどのユーザーは、車検合格イコール次の車検までは安全に太鼓判をもらったと、そういった誤解をしている方も少なくないと思うんです。 法令で定められている自動車の定期点検の実施率はどういう状況かということについてお伺いします。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 実施率でございますけれども、車検のときには定期点検整備をやると、これは非常に高うございますが、例えば、車検の間が二年あると、その間の一年目の定期点検、こうした車検と車検との間に実施すべき定期点検については、自家用の乗用車で約四割強、事業用のトラックで六割、バスで八割、タクシーで九割と、こんな状況でございます。 私どもも対策考えていかなきゃいかぬと、このように認識しているところでございます。 ○末松信介君 次の質問でその対策をお聞きしようと思ったんですけれども、対策講じていかなきゃならぬということで、具体策はこれから探さないけないかなということを思うわけなんですけれども、実際はその実施率上げていくということが大事なんですけれども、対策講じていかなければならないというその対策の仕方ですよ、これについて局長どのように思っておられます。 ○政府参考人(岩崎貞二君) これまでも自動車点検整備推進運動というのを年間、ある日決めましてやっておるといったこととか、それから定期点検を実施していないユーザーに対して、これは年間四十万通ぐらいですけれども、はがきで、ちゃんと定期点検やってくださいと、こうしたことを問い掛けるといったいろんなことを講じておるところでございます。整備業界ともいろいろ意見交換して知恵を出しながらやっておるところですけれども、残念ながらまだこうした実施率でございますので、今後いろいろ工夫していきたいと思っております。 特に、古い車とかやっぱりトラックとか、そういうのの重点化も図りつつ何かやっていくというようなことも必要かなと、こんなことも思っておりまして、今後よく関係者と、意見も聞きながら積極的に取り組んでまいりたいと、このように思っておるところでございます。 ○末松信介君 自己責任ということが一番でございますので、その点はやはり国民に理解してもらうということが一番、最初にお答えになったところが一番大事だと思っております。 最後の質問でございます。 現行の車検では、年間ほとんど使用しない車両と年間に数万キロも走る車両が、自家用自動車では、これはもう三年、二年、二年というように、走行距離によらずすべて同じ期間で車検を受けてチェックされるというシステムですね。これについて、今後技術の進展に応じてもう少しこのシステムというものを、どういうものがいいかということで検証していく必要があるんじゃないかということを思うわけなんですよね。例えば、ITを利用した車両の履歴情報を基に、消耗具合に応じた適正な車検期間を個別、しかも弾力的に設定することなんかを考えられないのかどうかということを、我々ドライバーとしていつもそういうことを思ってしまうわけなんです。 この点についての考え方をお伺いします。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 車って、使えば消耗していくというのと、使わなくても例えばゴム製品なんかはそれが摩耗していくということがございますので、使わないからといって直ちにその車検期間を延長するということは余り適切ではないと思っております。 ただ、先生御指摘のとおり、いろんなIT技術とか、そうした車の履歴の情報、消耗具合、こうしたことがそれぞれ部品ごとにはっきり分かっていくというようなことがきっちりできるような時代になれば、そうした先生の御指摘のことも考えられると思っております。今後の研究課題とさせていただきたいと、このように思っておるところでございます。 ○末松信介君 昨日、担当の方とも話していまして、確かに、使ったら傷む、使わなかったら傷まないというものでもないらしいと、今おっしゃったゴムの部分で。人間の体もそうですよね、使ったら傷むわけでもない、使わなかったら全然もう機能しなくなってしまうという部分もあります、それは。そういった点、いろいろと難しい箇所もあろうかと思うんですけれども、よくよく検討いただきまして、そういった素朴な悩みにこたえれるような、しかも効率的な車検というものを、制度というものを確立できるように努力をいただきたいと思います。 今日は参議院議長公邸でごちそうになりまして、若干質問時間を余らせて終わりたいと思います。 ありがとうございました。
活動報告

2007-03-28
第166回国会 国土交通委員会 第6号