活動報告

2007-05-17
第166回国会 国土交通委員会 第16号

166-参-国土交通委員会-16号 平成19年05月17日 ○末松信介君  委員派遣について御報告申し上げます。  去る十四日及び十五日の両日、国土の整備、交通政策の推進等に関する実情を調査し、もって地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案の審査に資するため、北海道を訪問いたしました。  派遣委員は、大江委員長、藤本理事、山下理事、谷合理事、中島委員、加藤委員、小林委員、渕上委員、そして私、末松の計九名であります。  以下、調査の概略を御報告いたします。  初日、我々は、空路にて札幌に到着し、北海道旅客鉄道株式会社から経営状況及びDMV、デュアル・モード・ビークルについて説明を聴取いたしました。  同社は、国鉄民営化の方針の下、昭和六十二年に設立され、営業総延長約二千五百キロを擁しております。輸送人員は、平成七年度に一億二千九百万人とピークを記録いたしましたが、その後横ばいで推移し、平成十八年度は一億二千六百万人となっております。  鉄道運輸収入は、平成八年の運賃改定により八百億円を記録いたしましたが、その後漸減し、平成十八年度には七百三十億円となっております。営業損失は同社設立以来減少しているものの、年間約三百億円を計上しており、極めて厳しい経営状況が続いております。  また、DMVについては、JR北海道の地方交通線の経営改善が限界に達したことから、輸送量に見合った輸送力、地上のインフラの軽減、地域に役立つ乗り物という観点から開発に着手し、本年四月から試験的営業運行を開始しているものであります。DMVは、道路及び線路上を走行可能とするバスであり、道路から線路へモードチェンジを行うことにより線路走行が可能となり、特に安全性確保のためGPS等を活用した運行監視システムが採用されております。  DMVは、既存ストックの有効活用、利便性・サービスの向上、新たな需要の創出という特性を有しており、今後の実用化に向けて、少子高齢化の中で地域の交通ネットワークをどう構築するかという観点から、鉄道・バス事業者、行政、利用者の三者一体体制の下で、地域に密着した活用を図るべく検討が行われているとのことであります。  翌十五日、空路にて札幌から女満別に移動し、網走バス株式会社から経営状況及びDMVの運行について説明を聴取いたしました。  同社は、昭和二十七年に設立され、バス車両七十両、二十系統の路線を有しております。路線バスは、昭和四十四年度の年間利用客数五百六十万人を最高に年々減少しており、平成十七年度においては、年間百三十万人と最盛期に比べ七八%減少しております。  平成五年度から十五年度まで黒字経営が続きましたが、平成十六年度及び十七年度と赤字に転じました。平成十八年度は不採算系統の休廃止等により黒字に転換しておりますが、今後は年々利用客が減少することが見込まれることから、都市間バス部門の充実、貸切り旅行団体の大幅な受注増を期し、会社存続、雇用確保に向けて経営健全化を図ることとしております。  同社からは、北海道における二次交通、いわゆる空港や主要駅からの移動手段に対する公的支援について要望がございました。  また、DMVについては、将来的に輸送システムの一つになる可能性が大きいとの判断から、同社としてDMVの道路走行の協力を行うこととし、試験的営業運行に当たり業務受託を行っております。その実用化は、バス事業者として厳しい局面も生じるとの懸念も抱いておりますが、同社の知名度の向上、乗客、見学者によるバス利用の増加等を期待しているとのことであります。DMVの試験的営業運行が成功裏に進むよう、管理体制の確立、乗務員の指導の徹底により安全運転を確保するとのことであります。  説明聴取後、委員から、地方路線バスに対する補助の在り方、バス免許と軌道免許の一本化、道東地区における観光の状況等について質疑がなされました。  続いて、JR釧網線において約一時間のDMV試乗を行いました。線路走行時及び道路走行時のそれぞれの運転士を含め定員十六名で、浜小清水駅から出発し、時速四十キロ程度で約十一キロの線路走行の後、藻琴駅において運転士の交代と併せわずかの時間で道路走行に切り替わり、出発の浜小清水駅まで約十一キロの道路走行を行いました。  DMVの実用性、有効性が確保されれば、その導入により地域の交通ネットワークは発展する可能性があり、地域の活性化に貢献するものと見込まれております。地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案においては、DMV等の新しい輸送サービスの導入促進を図るため、事業免許の手続の簡素化等が盛り込まれておりますが、DMVの実用化、本格導入に向け、更なる技術開発と安全性の確保、コストの低減、運賃の低廉化等が課題となっております。  以上が調査の概略であります。  最後に、長時間に及ぶ私どもの調査に御協力いただきました関係の方々に対し、厚く御礼を申し上げて、報告を終わります。  以上です。