166- 参-国土交通委員会-17号 平成19年05月24日 ○末松信介君 どうもおはようございます。自民党の末松信介です。掛け声を掛けていただきましてありがとうございます。 まず、質問、これは本論ではないんですけれども、一度お伺いをしたいと思いまして、今日は親しい冬柴大臣でございまして、御地元でございますんであえてお尋ねをさせていただくことにしました。 内容は、これは行政の用語として片仮名文字や横文字が大変多いということであります。アジア・ゲートウエーとかスリーR、ゼロエミッション、モーダルシフト、EEZ、これから今回私の質問で使う言葉でありまして、これも国交省のいろんな資料の中からピックアップさせていただいたわけなんです。これらの言葉の意味を国民すべて理解をしているかどうかということを一度私は考えた方がいいと思うんですね。(発言する者あり)脇理事からも、難しいと、国民が理解をなかなかするのは難しいというお話も今されました。私は、余りにも横文字の使用の頻度が強くなり過ぎているんじゃないかなということを思うわけなんです。このことは時々新聞の社説なんかでも指摘がされています。 当然、新しい概念で日本に同等の言葉が見付からない場合であるとか、あるいは一九八〇年代ごろにアメリカが使用を始めたスリーRなどは、三Rなどは国際語としてそのまま使う場合もあってもいいと思うんです。しかし、それ以外で最適な日本語があるにもかかわらず、あえて未定義の横文字を使用している場合も多いんではないかということを思うんです。情報を的確に伝えるということを考えていきますと、分かりやすく伝えるということが大切であります。情報を的確に伝えるということを考えていきますと、今言ったようなことになるんですけれども、新しい概念であればあるほど詳しく説明をすることが大切だと思うんです。 我々でも自民党の政調会、朝の勉強会出ておりましても、これどういうことだったかなと止まってしまうわけなんですよね。私もある水産調査会に出ておりまして、隣の先生が座ってきまして、末松君、これIQって何やと言われるんですよ。IQというのは、これ輸入割当てですよね。そうしたら先生は、わしは知能指数や思っておったと言うんですよ。なかなかこれ難しいわけなんですよね。 中国では、コンピューターというのは電脳という言葉を使っていますし、インターネットは電網であります。電脳の発音はディエンナオということなんですけれども、ここまで徹底する必要はないと思うんですけれども、国、政府から発信される言葉というのは、これ地方行政の場においても大変大きな影響を与えますんで、できる限り分かりやすい言葉を使っていくということの工夫はそろそろ必要ではないか、検証していくべき時期ではないかなということを思うわけなんですけれども、決して使ってはいけないというわけじゃないんですよね。この辺りのことを大臣どうお考えか、ちょっとお尋ねをします。 ○国務大臣(冬柴鐵三君) 私も末松議員と全く同じセンスでございまして、余り横文字で、例えば、私はざんきに堪えないとか遺憾であるとか申し上げましたけれども、あのときも、コンプライアンスの徹底をいたしますと書いてあるから、私はそういうことじゃちょっと心に響かないんじゃないかと、むしろ割に合わないということを言って、大分、参議院の本会議でいろいろ、ちょっとその言葉はおかしいんじゃないかということで、まあ使わないようにはいたしましたけれども、もっと法令遵守しなければ、私は、雇用契約上の解雇、懲戒免職になったり、あるいは民事で、裁判で損害賠償を求められたり、刑事で公取新法による五年以下の懲役というようなものまでやられますよと、解雇されたときにはむしろ退職金はなくなるし年金まで減額されますよと、そういう説明を私は国土交通省の中で申し上げました、それがコンプライアンスの徹底ですと。私は、そういう言葉よりもむしろ、そういうことになるんですと、こういうことに手を染めれば人生間違うんですということを申し上げたわけで、もっと分かりやすくやった方がいいなと。 それから、今日の法案の審査の中にも出てきますが、三Rというのも、リデュース、リユース、リサイクルらしいですけれども、本当これもどうなのかね。それを三つ合わせて今度は減容化という日本語になると、これもひとつまた分かりにくいなというようなところもありまして、ここは、例えばPTAとかGDPとかというようなところまでは、もうむしろそれを日本語に置き換えない方が分かりやすいのかなという部分もありますし、このアカウンタビリティーとかイノベーションって一杯使っていますけど、インセンティブ、スキーム、プレゼンス、ポテンシャルというような言葉も日本語に、説明責任、アカウンタビリティー、説明責任を尽くすと言った方が分かりやすいんじゃないかなと思いますし、そういうことを受けまして調べてみると、今年の二月九日に閣議決定で、近年の外来語、外国語、いわゆる片仮名文字のはんらんなどの状況や、放送、出版等の様々な媒体が人々の言語生活に及ぼす影響等を考慮し、公用文書等では、国民に分かりやすい表現を用いるように努めようというようなことを閣議決定しているんです。 私はやはり、今、末松議員がおっしゃっているその趣旨は、閣議でもそのような同意だと、同じ気持ちだということがあって、できるだけこれ、EEZというのもこれ、排他的経済水域というのもこれ両方とも日本人分かりにくい、分からない言葉、専門用語だと思いますけれども、何かもうちょっと工夫をしなきゃいけないというふうに思います。 ○末松信介君 ありがとうございます。DDTは私、母親が種屋やって、種苗店していましたので、農薬で売っておりましたのですぐに分かったわけなんですけれども、大臣からそういうお答えをいただきまして、ありがとうございます。 例文を言いますと、ヒートアイランド問題はタスクフォースで住民のアカウンタビリティーに努める、これあるんですよね、文章で。これは七十歳、八十歳の御年配の方では分からへんと、六十歳でも分からないですか。だから、そろそろお考えいただきたいと思うんですよ。 この前、クリーンエネルギーとかいろいろありますね、クリーン庁舎ということになったら、これ非常に清掃された庁舎だと思いますけど、グリーン庁舎、これは環境配慮型官公庁施設ということになっておるんですけど。サードパーティーロジスティックとかシビックコアとかシーニックバイウエーとか、最近使っていますけど、オムニバスタウンでも、これは何か、ふろ屋の何かの話かなというような感じでなかなか難しいことですので、国民に分かりやすいということと、イメージだけ先行してなかなか実は実は上がっていないという、そういうことを心配します。 それと、日本語を是非大切にしていただきたいということで、いずれのときか、ほかの省庁との問題もありますけれども、大臣の今のお言葉、どうか大切にしていただきまして、よろしくまた指導いただきますことをお願い申し上げます。 ところで、本論のごみ問題ですけれども、ごみの歴史につきましてちょっといろいろと資料を目を通させていただいたんです、東京湾なんですけれども。 東京湾におけるごみの埋立てというのは、これ江戸時代、明暦元年、一六五五年に実は始まったと言われております。当時は、やっぱりその当時から河川とか水路に人々はごみの投棄をずっとやっていたようなんですね。舟の航行をさせるため、しゅんせつ土砂や、特に火災の瓦れきなどの処分、この処分というのは大変問題になっていたと。あの明暦の大火ってありましたけれども、当時からやっぱりこの江戸というのは非常に火災が多かったということがうかがえるわけなんですけれども。 一方で、江戸時代に入りましてから人口がやはりどんどんどんどん増加をいたしてまいりまして、土地の造成の必要性というものも高まってきたわけであります。隅田川の沿岸の各町が共同でごみを集めて、これ舟によって、隅田川の左岸にありましたこれは永代浦、脇先生に聞いたら永代浦だろうと言うんです、永代浦に運搬して、砂州にごみを埋め立てたということだそうであります。 ずっと明治時代に入ってまいりまして、一八七〇年以降、干潟に仮のさくを設けてごみを埋め立てるようになったと。明治中期までには、今日ごみとなっているものでも、生ごみとか、これは肥料にすると、衣類はできるだけ再生をすると、そして木片などは燃料にするといった有効活用がされておりました。だから、その当時の埋立てのごみの中心、明治に入ってからのごみの中心というのは土砂、瓦れき、建設廃材だったそうなんです。しかし、時代とともにごみは増加しました。では、どういうものがやっぱり変化を与えてきたかといったら、これは、プラスチックの増加であるとか、非常にごみが多様化してきたということであります。そういうことがあるんですけれども。 昭和に入りまして、十四号地、夢の島が整備されました。昭和四十年に、ところが自然発火とか悪臭、ハエ、ネズミ問題が大変大きな問題になりまして、十五号地、新夢の島に、ごみ投入、消毒、覆土という、このサンドイッチ工法というものが採用されて今日に至っているわけなんですけれども。大変な江戸時代から今日までの歴史があるわけなんですが、当然、港湾局長もよく御存じだと思うんですけれども。 そこで、お尋ねをしたいのは、これぱっくりした質問でありますけれども、廃棄物の処理に関しまして循環型社会の形成が重要であると考えるんですけれども、港湾として循環型社会の形成に向けた取組はどうなのかということをお尋ねしたいのと、港湾においても計画的に海面処分場を整備することの必要性について理解をしておりますけれども、例えば港湾の持つ機能の一面であります、一つであります物流面でもこうした循環型社会の形成に貢献していくべきではないかと思うんですけれども、今までやってこられたことと将来の展望等も含めて御答弁をいただきたいと思います。 ○政府参考人(中尾成邦君) お答えいたします。 港湾としての循環型社会の形成でございますけれども、先ほど委員おっしゃっていましたような言葉を使いますけれども、減量、これリデュースと呼んでいます。再使用、リユースと呼んでいます。再資源化、リサイクル。これ三つで三Rでございますけれども、これと最終処分によります廃棄物の適正処理というものが両輪となって機能することが重要であると考えております。 こうした中で、廃棄物の海面処分場でございますけれども、必要性とかその規模を検討した上で、秩序立った港湾空間の利用を行う必要から、港湾の利用との調整を図りながら整備が行われているものでございます。 港湾におきましては、減容化してもなお最終的な処分が必要となるものの処分場として海面処分場の整備を適切に進めまして、循環型社会の形成に資していきたいと考えております。 また、物流面での循環型社会の形成という意味では、我々、リサイクルポートというものを指定しまして、港湾におきましては、広大な用地がございますし、そこでリサイクル、いろいろな資源、要らなくなったものを集めてそれを再利用するという用地もございます。それも大量に運べるということがございまして、さらに、それが再利用したときに出るごみとかそういうもの、最終処分場もございます。ここで行っている廃棄物処分場でございますけれども、そのようなものもございますので、そういう形で静脈物流というものを考えまして、先ほど言いましたリサイクルポート政策も進めているところでございます。 ○末松信介君 分かりました。 大分時間たっていますので、この法案に関係する内容のちょっとお尋ねをしていきたいんですけれども、広域処分場にかかわる廃棄物埋立護岸に対する国の更なる負担のかさ上げでありますけれども、これが今回の一番の法案の中身なんですけどね。 現在、都市部において各自治体が独自に廃棄物処分場を確保することが大変困難であり、広域廃棄物処分場の必要性が高まることが一層予想されているわけなんですけれども、私の地元の神戸でも埋立処分場がございます。大阪湾内四つあるわけですね。大臣のところにもあると。私の神戸の方では、近畿二府四県、百七十七市町村から廃棄物を受け入れる広域処分場を整備、運営するフェニックス事業が進められているわけなんです。これは平成九年から平成二十二年、受入れは平成十三年から始まったと思うんですが。ただ、さっきの三Rじゃないんですけど、これが大分進められまして、ごみが増加していたのが今横ばいになりましたので、平成三十三年まで受入れ可能ということに実はなっております。事業費は五百四十億円ぐらいだったと記憶しておるんですけれども。 それで、今回、ロンドン条約を受けて更に規制を厳しくしていく上で、こうした政府から負担を更にかさ上げしてやるということなんですけれども、実は埋立護岸の整備には短期間に多額の事業費を必要とするとともに、現在、埋立地の売却益には余り期待ができないということなんですよね。今回補助率を三分の一にかさ上げをしていただくわけなんですけれども、その反面、実は一方でマイナス要因、マイナス要因というか、後退する部分があったわけなんですね。 それ何かといったら、実はこれ財政的な問題ですけれども、一般廃棄物や上下水道汚泥にかかわる国の財政支援措置として都道府県単位で行う公害防止計画の策定を条件とする公害財特法によるかさ上げ支援措置が廃止になっています。今回の改正の効果を半減するというような声もあるわけなんですが、港湾管理者の財政的な現状というのは大変厳しいものがあります。二〇〇五年には大阪市が補助率の二分の一へのかさ上げを要望を出されているはずなんです。本音は補助金の引上げということを地元も望んでいると思うんですけれども、この辺りのことも総合的に念頭に置いていただきまして、補助率のかさ上げ等支援の拡充、今回のこの支援について大臣若しくは局長のお考えをちょっとお伺いします。局長で結構です。 ○政府参考人(中尾成邦君) 委員御指摘のとおり、これまで廃棄物埋立護岸の補助率でございますけれども、公害防止計画に位置付けられました一般廃棄物あるいは公共汚泥みたいなものについては、公害財特法で定める補助率の適用を受けてまいりました。一方、環境省が所管する廃棄物処理施設整備を公害問題の解決から循環型社会への形成の推進に位置付けまして、整備に対する国費率を既に三分の一に見直しております。最終処分場として廃棄物処理施設に含まれる廃棄物埋立護岸につきましても公害財特法で定める補助率が適用されない状況になりました。このような中で、港湾管理者からは費用負担の大きい廃棄物埋立護岸の補助率の引上げについて強い要望を受けているところでございます。 国土交通省といたしましては、こうした背景もございまして、廃棄物埋立護岸の整備を循環型社会形成の推進に位置付けまして、国費率を三分の一にしてもらうということを行うものでございます。ある一定のところでは二分の一だったのを三分の一になると、確かに少なくなるということもございますけれども、全国的に見ると、やはり、四分の一から三分の一になるということで、若干の補助率の引上げになると考えております。 ○末松信介君 神戸市の埋立ては、一般廃棄物、上下水道汚泥、産業廃棄物、陸上残土ということになっているんですけれどもね。 結局、今申し上げたように、この図で見ると、産業廃棄物と陸上残土がこれ四分の一から三分の一に上げていただいておると。しかし、一方で、今言ったように一般廃棄物と上下水道汚泥で下げられるということなんですよね。下げられるということについては、我々十分な情報を持っていませんでして、後で聞きましたんでね。だから、やっぱり、さすがにロンドン条約によって規制を強化して政府も対応してやろうということで喜んでおりましたら、上から物が落ちてきたというような感じで、何かそういうふうな感じを受けているわけなんですよね。 これはもうこれ以上申し上げませんけれども、地元からも、また大阪市からもそういう御要望等が上がっていますし、いろいろとその財源措置する部署等の問題もあろうかと思います。こういう点について、結果としては、どういうような埋立処分場を造っていくのかということがこれ一番の課題でありますんで、その原点を是非大事にしていただきたいと思います。与党でありますのでこの程度のことでとどめたいということを、私はそう思いますんで、今、私の腹のうちを読んでいただきたいと思っています。 次に、廃棄物埋立護岸の安全性につきましてお尋ねを申し上げます。 廃棄物の最終処分場の海面を設ける場合、環境の安全性を確保することが大前提であります。これは言うまでもないんですけれども、衆議院の委員会質疑の中で、廃棄物から発生した汚水等が漏れ出さないように、護岸本体の中に遮水シートを敷設し、底の部分には粘土のような不透水性地盤を利用して安全性を確保している旨の政府答弁がありました。 しかし、陸上の処分場で遮水シートが破れていたために、豪雨によって汚水がしみ出して周囲を汚染した事例であるとか、台風の被害で神戸市沖にある最終処分場の護岸が百十メートルにわたって崩壊したケースがあります。これは平成十六年の台風十六号のときなんですけれども、新聞でも大きく報道を地元ではされました。神戸のケースでは、この止水板をダイバーが目視調査して、結果、幸いに破損はなく、水質も基準内にとどまっており、有害物質は海に流出はしていなかったということなんですけれども、しかし、この事例を見聞いたしますと、その安全性という点において一抹の不安を覚えることがあるんです。見えないだけにどんなもんかと。沖合にありますしね。 いろいろ、鋼管矢板とかH形のやつとか、いろんな資料を拝見したけど、なかなか我々素人では分かりません。今日恐らく民主党の加藤先生そんな御議論されるんかなということを資料上は思うんですけれども。安全性につきましてどうなのかということについて、局長、ちょっとお答えをいただきたいと思うんです。 ○政府参考人(中尾成邦君) まず、委員の御指摘の神戸の災害、災害といいますかフェニックスの被害の状況でございますけれども、これは平成十六年八月、台風十六号の高波によりまして、大阪湾広域臨海環境整備センター、これフェニックスセンターと呼んでおりますけれども、これが神戸港において整備した廃棄物埋立護岸が被災したものでございます。 これ、全長四千三百メートルのうち、実は西側と南側の護岸が約二千メートルにわたって、これ上部の、上部工と呼んでいますけれども、水面より上の部分の擁壁のコンクリートが倒壊する被害が発生しております。幸い止水の部分につきましてはちゃんとしておりましたので廃棄物が周辺海域に流出するといった被害はございませんでした。これは、一つは想定以上の高波がこのとき来たということでございます。 この台風十六号、ここ以外にも広島とかいろんなところで未曾有の災害をもたらしております。想定以上のことだったということでございます。ただ、そういうこともございますので、ここにつきましては、もう波浪観測とか推算精度の向上を図るようにしているところでございます。 それともう一つ、廃棄物埋立護岸の安全性でございますけれども、これは、港湾の技術上の基準というものと、もう一つ、環境省の基準というものがございまして、それに基づいてまず整備をしております。それともう一つ、環境省の方で、廃棄物最終処分場の供用に当たりましては環境省環境部局の方からの検査がございます。その検査に合格して初めて最終処分場としての供用がなされるということでございますので、我々港湾部門だけですべて埋立てが、埋立てというか、廃棄物が埋め立てられるということじゃなくて、環境部局の検査も入った上で埋め立てるということになっております。 さらに、例えばしゅんせつ土砂なんかを廃棄物埋立護岸に入れるときには、すべて埋め立てるときに周辺の水質監視もしております。そのようなことがございますので、万が一漏れた場合でもすぐに分かるような形にしております。可能性としては非常に少ないと思っております。 ○末松信介君 今いろいろとお話がありましたので、とにかく沖合にあるものですし、底は見えませんし、そういう点で是非、今お話伺えば一様にしてきちっとした対応はされておられるようなんですけれども、安全性確保に努めていただきたいと思います。 時間が迫っております。今日、海事局長にお越しをいただいておりますので、先にちょっとそこを局長にお尋ねを申し上げます。 実は海洋基本法が、これが与野党の枠を超えまして議員立法で成立をいたしました。首相のリーダーシップで海洋政策を一元的に進めて、国家戦略の観点から各省庁が連携して施策を実施するということであります。いろいろとこの基本政策の中にうたわれているのは、海洋資源の開発とかEEZの開発推進、海洋の安全確保、海洋の調査の推進、離島の保全とかいろいろ書かれているんですけれども、その中に海上輸送の確保として、効率的、安定的な海上輸送確保のため、日本船舶の確保と日本人船員の育成確保、こういったことが書かれているわけなんですよね。 お尋ねしたいのは、日本の貿易量の九九%以上を担う海上輸送の重要性ということを改めて認識されるわけなんですけれども、特に問題が顕在化しているのは、日本船舶と日本船員の確保についてなんですけど、ここなんですけど、現在、日本の海運会社の外航タンカーやコンテナ船が全部で千九百隻あります。日本船籍は九十隻しかないわけなんですよね。皆さんは御存じのとおり、外国籍で所有する船が格段に税金が安いためであるということはよく分かっているわけなんですが、ただ、日本人の外航船員は一九七〇年代には五万七千人が従事されていたんですけれども、現在では二千五百人まで激減したということなんですよ。これはどうかなと。 神戸でも海運のタウンミーティングがあって、海事局長おいでをいただきまして、やっぱり海運業界、そういうこんな状態でええんだろうかということは言っておられます。トン数の標準税制の前の大会もありまして、税制調査会でも話が出たように、我々もいろいろと検討を進めておるんですけれども、こういうことをすべて考えまして、やはりこの船、船員、こういった問題につきまして、国際戦略上の観点からこれをどういうように今後進めていくのかということ、この点について局長の御答弁を賜ります。 ○政府参考人(冨士原康一君) 日本人船員あるいは日本船舶、日本籍船の現状については、ただいま先生から御指摘があったとおりでございます。現在、日本籍船九十五隻、それから日本人船員二千六百人、外航の日本人船員ということでありますが、ここまで減少してしまったと。その非常に大きなきっかけは、昭和六十年にプラザ合意がございまして、その後急速に円高が進行したということで日本の海運会社が競争力を失い、結果としてこういうことになったという状況でございます。 これは、九九・七%の多くを海上輸送に依存している日本にとって、やはり非常に大きな問題をはらんだものだというふうに私ども認識しております。これは、先生御指摘のとおり、海洋基本法でもこの部分についてはきちんと対処しなければならないという御指摘を受けているわけであります。 このような状況に対応するということで、まず、国際海運は基本的に国際単一市場で競争しておるという状況をかんがみますと、やはり制度的な国際的な位置というのを長期的に図っていかなきゃいかぬという問題がございます。その中で日本籍船と日本人船員をどうやって確保していくのかということを考えるということでございまして、やはり昨年、税制改正要望でトン数標準税制の導入を要望したわけでございますが、この点につきまして、昨年の与党の税調で税制改正大綱で一定の道筋を示していただきました。安定的な国際海上輸送を確保するための外航海運の果たすべき役割、それからそれを達成するための規制等を明確にする法律を平成二十年に整備するということを前提として、平成二十年度改正において具体的に検討するというふうに整理をいただいたわけであります。 これを受けまして、私ども、現在交通政策審議会におきまして、外航海運の果たすべき役割、それから日本籍船、日本人船員の計画的増加策等について総合的に今議論をいただいているということでございます。六月に中間取りまとめをしていただくということで今作業を進めていただいてございまして、私どもとしては、この御意見を踏まえて平成二十年には所要の法整備を行い、日本籍船、それから日本人船員の増加の道筋をつくっていくというふうに考えているところでございます。 ○末松信介君 とにかく国策として進めていっていただきたいと、我々も精一杯後押しをします。 最後に、スーパー中枢港湾のことについてお尋ねしたいんですけれども、これはもう二年間連続この質問を港湾法の改正の中で行ってまいりまして、リードタイム一日、使っちゃいかぬ言葉ですけど、所要タイムは一日、それとコスト三割減ということが非常に大きな命題なんですけれども、今まで鬼頭局長の時代からいろいろと御答弁をちょうだいしまして、もう時間がないんで余り披露申し上げませんけれども、その今日までの取組と成果ということについて、依然としてこれは本当に三割のコスト減なんかができるんだろうかどうかということを我々疑念を持っています。この目標であるのが実現できるものか。やはり、人件費や荷役のことを考えていったら、もう根本的にベースが違いますので、果たして本当に三割減にして釜山港とかそういった港に近付くことができるのかどうか。この辺り、スーパー中枢港湾の取組につきまして局長の答弁を伺って、質問を終えたいと思います。 ○政府参考人(中尾成邦君) スーパー中枢港湾構想、これは前回も前局長が答弁したと思いますけれども、平成二十二年度までにコストの三割削減、リードタイムを一日程度にするということを目標にしてやっております。 現在の状況でございますけれども、まず港湾コストを現行より三割低減させるために次のような施策をやっております。それによりまして、従来のコンテナ埠頭の一・五倍から二倍のコンテナを取り扱うことを目指しまして、要するに一個当たりの単価を下げようということでございます。 一つは、特定コンテナ埠頭の運営者による荷さばき施設等の整備に対しまして無利子貸付けとか税制の優遇をやっております。それと二番目に、特定国際コンテナ埠頭の運営者による岸壁荷さばき施設等の効率的な運用、三番目に道路アクセスの整備など国内・国際物流が一体となった取組ということ、また今後コンテナターミナルと一体となった臨海部物流拠点の形成によりまして物流機能の更なる強化を図ると。これらの施策によりまして、先ほど言いました三割の低減ということを平成二十二年までにはやろうと思っています。 それともう一つ、リードタイムにつきましては、現況を申し上げますと、平成十三年三月時点で三・一日だったものが、昨年の三月の時点で二・七日まで短縮しております。ただ、平日のみの取扱いで見ますと一・三日まで短縮しておりますので、これも着実に成果が上がっていると思います。 先ほど言いましたコストにつきましては、なかなか今、整備が終わったもの、スーパー中枢港湾の中でまだ一年しかたっていないものがございます。そういうこともございまして、なかなかコストの面については今すぐ数字として上げることができないということで、先ほど申しました施策を更に進めていって三割低減ということをやっていきたいと思っております。 ○末松信介君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
活動報告

2007-05-24
第166回国会 国土交通委員会 第17号