168-参-総務委員会-2号 平成19年10月23日 ○末松信介君 自民党の末松信介です。元気のいい世耕先生の後を受けまして質問をさせていただきます。 まず、質問の第一は、首長多選の弊害についてお伺いをいたします。 先般、神奈川県議会の総務企画常任委員会で多選禁止条例というものが深夜までかけまして可決をされました。本会議は十月の十二日であるというふうに伺っております。これ新聞に掲載されまして、各方面で活躍されている方々もいろんなコメントをされておられました。知事会のメンバーもいろいろとコメントをされておられました。増田大臣のコメントも拝見をいたしました。それで、国会議員はどうかといいましたら、新聞に皮肉られまして、自分の選挙が気になるんで首長の多選のことについては余りそのコメントをする方が少なかったという、そういうことも記事になっていたわけなんですけれども。 どんな賢明な為政者でありましても、長く権力を持ちますと、やはり流れはよどんでくると。幅広い意見を求めたいと言いながら、結果的には自分に都合のいい話しか聞かなくなってしまう、届けられなくなってしまうという側面があると思うんです。これは古今東西、人類の歴史が証明しているわけなんですけれども。 国政では長らく自由民主党が政権を持っているわけなんです。大分参議院で攻められまして、これは逆転してしまったわけなんですけれども。ただ、我が党自由民主党は、党の規約で総裁の任期の規定がございます。したがって、総裁の多選というのは許されていないわけなんです。小泉さんが出ようとされましたけれども、あれは連続して出たわけじゃなくて、安倍さんが一つ入っていましたんで、そういう動きがあったことは事実なんですけれども。したがいまして、同じ人間が長期にわたって総理を続けるということはございません。したがって、施政方針であるとか政権の運営の方針も随分違ってきますんで、適当な緊張感が生まれてくると私は思うわけなんですけれども。 一方、都道府県知事、市町村長というのはどうであるかといいましたら、これ多選を禁止する法律というのはございません。四期十六年、五期二十年、こういって随分活躍されて働かれたという首長さんが多かったわけなんですけれども、長く首長を務めますと、これ議会に強い影響力を持ちます。私も長い間県議会議員やっていましたんで、議員の心理もよく知っているわけであります。 知事大統領制、これ市長大統領ですから、執行権と提案権はこれは知事が持っていると。議会は何持っているかといったら、審議権とこれは議決権しかないというわけであります。そういった中で、いろんな予算付けの等々につきまして事前に知事にお願いをしたりして、結局ある面では貸し借りが出てくるといったようなそういう問題もあると。長く続けますと、やはり官製談合的なそういった要素も生まれる環境もあります、一つには。 ほかにも、やはり露出度というのが圧倒的に知事、市長というのはやっぱり非常に強いわけでありますんで、当然、選挙においてはどんどんと力を増してくるというような問題もあるわけなんです。 そういう点で、是非、岩手県知事でありました増田知事に、この首長の多選の弊害についてどのようにお考えかということを、もしメリットがありましたらメリットもお話をしていただきたいと思います。 ○国務大臣(増田寛也君) この多選の問題でありますが、これは私の見解ということですが、私はやはり多選は弊害が大きいだろうと、こういうふうに思っておりまして、私自身も、この多選を何期と見るかという問題がございますけれども、私自身は、三期十二年、これがもう続ける限度だろうなというふうに思いまして、四期目は出ませんでした。 いろいろこれは政治的にも影響が大きいわけでありますし、考えが様々あってしかるべきだろうというふうに思うわけでありますが、私自身考えておりますのは、やはりどうしても長きにわたりますと、県庁の知事の場合でありますれば、例えば人事がどうしても長くなりますと偏ったりあるいはマンネリ化してくる。それから、組織内でもどうしても緊張感がなくなってくるので、まして、対議会との関係で、今委員からお話ございましたとおり、どうしても首長の露出度というのは高うございますので、議会との関係でもその緊張感が薄れてくると、こういうことがあるのではないかと思います。 あえて長いことによるメリットは何かという、これもなかなか、考えてみましたけれども余り思い浮かばないんですが、大分専門化、複雑化している行政を知識を養ってそれでこなしていけるということがあるのかもしれませんが、どうも私には、長さをどう考えるかという問題は常に伴いますが、長ければ長いほどマイナスが大きくなると、このように思っているところでございまして、繰り返しになりますが、様々な議論があっていいと思いますけれども、やはり多選ということについては抑制的に考えていくべきではないか、このように考えているところでございます。 ○末松信介君 どうもありがとうございます。 長さをどう考えるかというのは大変難しいというお話があったんですけれども。 なぜ今日こうした質問をするかと申し上げましたら、実は、一年前に兵庫県の貝原前知事とある祝賀会で一緒になりまして、貝原さんがどういうことを言われるかといいましたら、いや、末松さん、私は四期目途中で、あの方は四期目の二年目で急に辞められたわけなんですけれども、四期目の知事選挙に出るべきじゃなかったと思っていますということを言われたんですよ。そんなことを言われてもいいんですかと。いや、いいんですと。ほかの方にも、しかるべき場所でも話していただいても結構ですということを言われたんですよ。 なぜかといったら、知事というのはもう大変な激務であると。どこ行ってもあいさつがある。どこ行っても何かコメントを求められると。そういう中で十年ほどやったら、本当に大変なエネルギーを使ったという自分に気が付いたと。それと、ふと、十四年目でしたかね、新しい発想、新たな発想、新たな一手というものが自分から今まで出てきたのにスムーズに出なくなったということをおっしゃったわけなんです。そのときに自分は辞めようと、そういうように思いましたと。 当時、奥さんの体も悪かったという話もありましたし、それと同時に、阪神・淡路大震災によって大勢の方が亡くなられまして、知事として一つのけじめを付けようという気もあったのかなということもいろいろ思っておりました。石原都知事が、自衛隊の出動を早くすればもう少し亡くなる方が少なかったんじゃないかという、一番やはり前知事としては、貝原さんとしては気にされているところだと思うんですけれども。あらゆることをひっくるめて辞めようと思っておったんですけれども、それが直接的な話でありました。 ですから、是非、副知事時代から二十八年間お付き合いしている貝原さんですので、その言葉というものを重く受け止めまして今日こういった質問をすることを決めたわけなんですけれども。 それで、今月十二日に神奈川県で知事の多選禁止条例が可決をされたわけですけれども、これは神奈川県だけということで、結局は施行は先送り、まあ制定はされましたけれども施行はされないといういびつな条例となっているわけなんですけれども。 首長多選の弊害は、結局、我々政治家だけではなくて多くの国民からも認識をされておりまして、自民党の参議院のマニフェストにも実はうたわれていたわけであります。知事や政令指定都市の市長の多選禁止について、法整備も盛り込みたいとなっています。 各自治体では、身内のことでありまして、条例制定まではなかなかいかないのが実態でありまして、それならば自治体の自主的な努力でなく国の法制度として整備していくべきではないかということ、これが一つの方向だと考えるんですけれども、大臣はこの首長多選禁止の法制化の必要性というものをどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。 ○国務大臣(増田寛也君) この首長の多選禁止なんですけれども、率直に申し上げますと、私としては、できればそうした法律とか条例によらず、本人が身を引くとか、それから選挙でやはり住民がいろいろ長きにわたって弊害が出てくれば変えていくといったような、そういうことが行われれば一番理想的だなと、これはまず常々思っていたところであります。 しかし、そうはいいましてもなかなか現実にはそうはいきませんので、あえてこれを何か制度化しなければいけないというときに、やっぱり各地域で条例で様々な取組が行われてきましたが、先般のうちでつくりました研究会も正にそうでありますけれども、条例でそれぞれが決めるということは、これはやはり許されないことであると。何か法律に根拠を置いてこれをやっていかなければならないと、こういうふうに私も思うわけであります。 その先は、これは意見が二つありまして、私もまだ決めかねているところではありますが、法律でこれを一律で一定のラインを引いていく、こういう考え方もあると思いますし、それから法律で根拠を置いて、あとは各自治体の条例に考え方をゆだねると、こういうことがあって、私は、この辺りから先は国民の中でもっと議論が深く行われる、それから、政治的にも影響が大変大きい事柄でありますので、やはり各党各会派、政党間でよく御議論いただく必要もあるだろうと。 ただ、私自身としては、でき得ればやはり各自治体の条例で決めるということが、本来であれば、自治体の首長の任期のことでありますので、各自治体のそれは有権者の気持ちというのも様々でありますので、そういった各自治体の議会とよく話をしていただいて、自治体で条例で決めていくというのがこれからの姿ではないかなと思っておりますが、ただ、これも総務大臣としてというよりは私の個人の政治信念としてのことでございまして、広く議論していただく、あるいは各党間でこうした問題についても、政治的影響は大きゅうございますので、よく御議論を今後していただく必要があろうかと、このように考えております。 ○末松信介君 よく議論をされるべしと、政党間においてもされるべしというお話でございます。法律の根拠が求められると、その上で条例で決めていってはどうかというお話ではなかったかなと思うんですけれども。 ちょっと二之湯政務官にお尋ねをしたいんですけれども、この多選禁止のことについて自民党の行政改革本部で多選禁止についての会議がありまして、政務官と私は一緒に行きました。当時はまだ議員でございましたので、そのとき私も発言をしました。政務官はそのとき、そんなもの、条例で多選禁止をするようなど根性のある議会なんというのは日本では少ないと、法律でこれは規制せぬとあかんということを言われたんですけれども、政務官になられてお心変わったことはないですか。ちょっと御答弁願います。 ○大臣政務官(二之湯智君) 多選禁止の問題は古くて新しい課題でございますけれども、なかなか憲法上の問題、例えば憲法における平等の原則あるいは立候補の制限、職業選択の自由と、こういうことでなかなか実現をしなかったわけでございます。しかし、地方分権が進みまして地方の首長の力が非常に強くなってきた、あるいは、多選による各自治体における汚職問題が起こりまして、やはり首長の多選は制限すべきじゃないかと、こういうような議論が出てきたわけでございます。 今条例とおっしゃいましたけれども、もう議員も兵庫県会議員で経験あるわけでございますけれども、現在のいわゆる地方議会の執行部とあるいは議会側の力の差というのは、まあ口では執行部と議会は地方自治の車の両輪だと言いますけれども、全くこの力の差は明らかでございまして、まあ長の多選を制限するような条例がとてもとても議会側から出てくるというようなことは考えられないわけでございます。人事権と予算編成権を持っておる首長の力は非常に強うございますから、私はここで法律によって多選を制限すべきだと、このように思うわけでございます。 せんだっても、そういう調査会から、そういう多選禁止の法律は憲法上何ら抵触しないというような、そういう報告書も出ておりますので、是非とも多選禁止の法律を私自身作ってもらって、そして地方自治体が、職員がその士気を高めて、そしてある一定の年限、一生懸命自治体の長も職員も頑張ると、こういうような体制を作っていきたいと、このように思っております。 ○末松信介君 どうも、大変勇気ある答弁、ありがとうございました。心が変わっていなかったということで。 三つ目の質問なんですけれども、首長の多選問題に関する調査研究会でいろいろな報告がなされているわけなんですけれども、どのような整理がなされているのかということをお聞きしたいんですけれども、ちょっと時間がないんでここのところは省略していただきたいんですけれども、首長多選禁止の法制化にはいろんな課題があると思いますけれども、首長多選の弊害を考えるとき、やはり多選禁止の法制化を真剣に考えるときが来ているというように感じますけれども、再度、もう一度締めくくる意味で、大臣からその決意のほどをちょっとお願い申し上げます。 ○国務大臣(増田寛也君) これは今お話ございましたとおり、検討課題が幾つかありまして、この任期、多選というのを任期との関係でどういうふうに考えるか。そこでは二期、一期限りとすることは問題だというふうに言われていますが、三期なのか四期なのかといったような任期の関係ですね。それからあと、今、知事はおそらく入るんだろうと思いますが、政令指定市の長までなのか、あるいは市町村長全部なのかといったような、そういう範囲の問題もございます。それから、今正にお話がございましたとおり、これ法律で一律にやるのかあるいは条例にゆだねる部分を作るのかとこういった問題もあって、まだまだいろいろと意見を幅広くお聞きしながらこの問題を集約していく必要があるんだと。 したがいまして、私はこのままでは大変これからの地方自治の中では重要な問題、いい問題提起がちょうどなされたところでありますので、これから国民的議論をできるだけ呼び起こす、それから総務省としてもこの問題を今後よく考えていきたいというふうに思っておりますが、また立法府の方でも、こうした点についても是非御検討をしていただきながら、この議論を国民の皆さん方がどういうふうに受け止めて意見を考えてまとめていかれるのか、またその辺りについてもよく考えていきたいと、このように考えております。 ○末松信介君 よろしくお願い申し上げます。 議員と首長の違いというのは、もちろん責任の重さも違うんですけれどもね、私はやはり首長というのは、ある面税金で日常の政治活動をやっているという言葉は言い過ぎかもしれませんけれども、そう思っています。議員は一生懸命郵便物でいろんな会合案内を掛けて来てもらわにゃいかぬ。知事や市長はもう集まっておられますよね、そこへ行って必ずあいさつはあると。そこへもってきて感謝状、表彰状、もう証明書から全部名前が入っておると。これではますます力の差が出てきますんで、やはり物事ほどほどというのがあります。田中先生もおられますけれども、溝手先生も三原の市長をされましたんで、その辺よくお気付きだと思いますんで、よろしくお願い申し上げます。 次は、この赤字団体の数のことについてお伺いしたいわけなんですけれども、これはもう単刀直入にお聞きをします。夕張市のように極めて厳しい地方自治体の財政状況が報道されているんですけれども、全国的にどの程度の自治体が財政赤字に苦しんでいるのかということをお聞きをしたいわけなんですよ。 去年の六月に財政健全化法の実質公債費比率の指標が出ましたんで、あのときに連結赤字、何団体と非常に数字にばらつきがありました。算出方法も違うということもありました。確定もされていないこともありましたけれども、一体どの程度あるのかお聞きをしたいと思います。 ○政府参考人(久保信保君) 平成十八年度決算の速報値が出ております。これによりますと、実質収支が赤字の団体、これは都道府県では四十七団体中一団体でございます。市町村では千八百二十七団体中二十四団体となっております。 ○末松信介君 数的には少ないというか、頑張っておるなというところですけれども、今後もその財政健全化法、四つの指標というものが出てくればいろいろな数字というのは出てくるかと思うんですけれども。 それで、この地方財政再建化法では、地方自治体が財政破綻に至る前にできるだけ早く自主的に財政を再建できることを目的としているわけなんですが、この地方財政再建化法では、健全化法ですね、財政の早期健全化と財政の再生の基準を政省令にゆだねるということになっているわけなんです。昨日もある祝賀会で町長さんと一緒になったんですけれども、どういう状況になるでしょうかとか、いつごろ正式に発表になるでしょうかということが話題になっておりました。 総務省内では今検討中だと思うんですけれども、その状況をお伺いいたします。 ○政府参考人(久保信保君) 財政指標でございますけれども、この算定方法、あるいは今御指摘がございました早期健全化や財政再生の基準などに関します政省令でございますけれども、各地方公共団体がこの制度を前提として平成二十年度の予算編成に当たることができますように、私ども年内に整備をするという予定で今作業を進めております。 その検討に当たりましては、本年六月に法律が公布されまして以降、これまで全国知事会や全国市長会との意見交換会あるいは都道府県の財政課や市町村担当課などを対象といたしました説明会、さらには算定方法の詳細を検討するための実態調査などを行ってきたところでございます。 引き続き、検討内容について積極的に情報提供などを行いまして、地方公共団体の皆様の御意見をお伺いしながら、年内に必要な政省令を整備できるよう作業を進めてまいりたいと考えております。 ○末松信介君 相変わらず年内ということでありまして、秋ごろということでありましたけれども、年内であると。 それで、前国会の審議からお尋ねをしたいわけなんですけれども、質問は、私が申し上げたいのは、この財政指標早期健全化基準、財政再生基準の制定に当たっては、この地方財政に混乱を来さぬように激変緩和措置というんでしょうか、相応の経過措置をとっていただきたいということなんですけれども、実は菅前総務大臣はいろいろと答弁をされておられます。今年の六月にこの健全化法通過するときに、可決されるときにいろんな議論がありました。こうおっしゃっています。その策定又は運用に当たっては、地方公共六団体からの意見について十分伺った上で策定をしたいというふうに思います。いずれにしろ、それぞれの地方公共団体の理解を得ながら制度の円滑な導入というものを図っていきたいと考えております。 そしてもう一つ、基本的には今までのものを基本にしながら、また個々、自主財政再建に取り組んでいる地方公共団体も数多くあるわけですから、そうしたことも配慮しながら行っていきたいと思います。 三つ目は、一部の公営企業について、供用開始後の一定期間、構造的にやむを得ない資金不足、あるいは住民に対して誤解を招かないような指標及び基準の策定に当たっては適切に考慮していく必要があるだろうというふうに思いますというように非常に柔軟におっしゃっておられるんですけれども、しかし一方で、こういう答弁もあるんですよ。個々の地方公共団体の事情、今委員から指摘されたけれども、考慮することは基本的には想定はしておりませんと、そういうことも述べておられるわけなんですけれども、こういうことを経ながら附帯決議がなされたと。附帯決議は、画一的な基準とかあるいは指標というものでないように、いろいろな地方の今の実態というものを盛り込んでいくべきだということなんですけれども、これは一体どのように反映されて今日来ているのか。 是非、いろんなサービスを提供しています。下水道事業によって財政的に苦しくなったところもありますし、病院事業によってどうしても展開しなきゃならぬ事業を展開することによって、今後、ストックということは高く評価されますんで、大きく評価されますんで、厳しい状況というのが分かってくるわけでありますけれども、この点、どういうように判断されておられるのか、お聞きをしたいと思います。 ○政府参考人(久保信保君) 今委員御指摘のように、指標も、財政健全化の判断比率とこう呼んでおりますけれども、四つございまして、実質赤字比率、連結の実質赤字比率、そして実質公債費比率、将来負担比率とこうございまして、それぞれの比率の具体的な算定方法自体がまだ議論をしている途中のものもございます。 例えば、これも御指摘ございましたように、この一定の公営企業で初期投資が極めて大きな地下鉄でありますとか下水道事業といったような、そういったものにつきましては、やはり計画赤字といった概念を導入すべきであろうということで、私ども、これも先ほど申し上げましたように地方公共団体の担当者と意見交換を何回も重ねてきておりまして、そういったものは是非とも設けるべきであるということでございました。あとは、その具体の計算方法の詰めを行っているといったようなこともございます。 そして、早期健全化、そして財政再生、それについての基準でございますね、これ政令で定めるということになっておりまして、これを定める段階でどういった、これまでの例えば実質公債費比率、あるいは実質収支の赤字、財政再建団体のときの、そういったものとどう整合性を取るかといったようなことも併せて議論を続けているということでございまして、一律な基準でなきゃいけないようなものも多うございますし、またそれだけでいいのかといったような議論も引き続き今行っているということでございます。 ○末松信介君 いろいろと市町村の方とも意見交換をしましたんですけれども、法施行に向けて急に改善しようとしてもなかなか難しいということなんですよね。万が一そうしようとしても、結局今提供している住民サービスというものの質の低下を招くことはもうもちろん間違いないと思うんですよ。国民生活にもいろんな影響が出てくると、私はそう思っています。これだけ大きな制度を、基本的なルールというのを変更していこうということになりましたら、私は今言ったように激変緩和の措置があってしかるべきではないかと思います。 今の局長の御答弁では、どうかということはなかなかちょっと分かりにくいんですね、私としては。例えば、基準の設定に当たっては、三年から五年、緩やかなそういった基準というのも、移行するための、施行時期ですね、経過期間というのを設けるべきじゃないかなということを、しかるべき後に例えば厳しい基準で臨んでいくと、そういうことも大事なことではないかなということを、私はそういうように思います。それで、意見集約しましたら、こういうことになるであろうと。 財政が悪化した団体の大多数は、野方図な財政運営をしたため財政が悪化したわけではなく、結構団体はまじめにやっているところも多いんですよね。そういった団体が、個々の事情を抱えながら一生懸命財政健全化に取り組んでいるということ。 二つ目は、これは大事なことですけれども、早期健全化団体あるいは再生団体になるということで、言わば国から烙印を押され、市場で資金を調達するコストが上がってしまうと。逆に財政の健全化を妨げる可能性があるということも事実ではないかと。 三つ目は、そもそも必要な住民サービスを持続的に提供することが財政健全化法の目的なのに、厳し過ぎる基準を設けて、基準の達成に無理やり財政健全化を進めようとすると、指標の向上が目的のようになってしまうと、目的化してしまうということ。その結果、住民のサービスが過度に削られてしまうんじゃないかと。ここのところは世の中の実態というものをよく見ていただきたいということを思うんですよ。 これから私が申し上げる、阪神・淡路大震災で非常に今財政負担を強いられております兵庫県なんかも、これは私はこの指標の中で災害特例といったものを設けるべきだというように思っておりますんですよ。そういうことなんですけれども、是非これを認識をいただきたいというふうに思っております。これ要望なんですけれども。 それで、時間も少し迫っていますので、この兵庫県の財政状況についてこれはちょっとお話をしたいんですけれども、先生方は四十七都道府県の一つの県の財政だけお話をしてと言われるかもしれませんけれども、これは阪神・淡路大震災という震災は、これは高齢化社会を迎えて大都市直下型で初めて起きた大きな地震でありますので、特に大都市を抱えておられる先生方、地域でこういう地震があった場合にはこういう事態になってしまうということを是非理解をしていただきたいということで、今ちょっと簡単なペーパーも渡させていただきました。ちょっと時間も時間ですので、ずっと読み上げさせていただきたいと思います。 兵庫県財政は、三位一体改革の地方負担強化とともに、震災復興事業、これは災害復旧を超えた交付税措置の対象とならない震災関連事業なんですけれども、この負担等が重なったため極めて厳しい状況にあります。交付税措置の対象とする災害復興の範囲の拡大をすべきではないかという観点も含めて御質問したいと思うんですよ。それと同時に、さっきの財政健全化指標の中で災害特例といったものも是非盛り込んでいただきたい、検討していただきたいということも御理解いただきたいと思うんですが。 兵庫県は、平成十一年度に行財政構造改革推進方策として起債制限比率を一五%台にとどめながら、事務事業の整理合理化や投資事業の重点化、効率化を進めてきたところでございます。昨年度から実質公債費比率が適用されるようになり、減債基金の積立て不足が反映されるようになったため、一九・六%と、起債許可団体にとどまる結果となりました。 これは、震災復興事業のため起債償還のために積み立てられた減債基金を、多額の復興事業に必要な資金需要を賄う目的で計画的に活用したため、積立て不足を生じてしまったものでありますけれども、このため兵庫県の財政というのはワースト二位か三位というように言われているわけなんですけれども、同時に、今年度困ってしまったことは、原油が上がって企業の収益が落ちてしまいまして、法人関係税の収入が落ちました。 それと、地方債の発行が大分抑制されました、資金手当債ということで。六百二十億の収支不足になってしまったということで、今非常に大きな課題を抱えてしまっております。もちろん、三位一体による地方交付税の減額ということも、これはもうトリプルのパンチになってしまったということも事実なわけなんですけれども、ここで考えていただきたいのは、被害総額が十兆円あったんですよね。六千数百人の方が亡くなってしまった。あのときに復旧、復興、そして創造的復興という三つの種類に分けたわけなんです。 確かに復旧については交付税措置を非常に手厚くしていただきました。しかしながら、復興ということについてはどうかといいましたら、これは貝原知事も当時随分悩みました。井戸前副知事も随分悩みました、そのとき。原状回復だったら、これは当然のことであって、やはり大勢の方が亡くなった以上付加価値を付けていかなきゃいけないと、道路だって広げなきゃいけないと。ある面では戦災復興と同じような、そういうやり方を取らなきゃならないということになったわけです。 したがって、手厚いそういった措置が受けられない市街地の再開発事業とか土地区画整理事業などを実施をしたわけなんです。住宅だってたくさん造ったわけなんです。こういったことによって、随分今県債残高を抱えてしまっておると。実に十六兆三千億が震災関連の費用でした。県費は二兆三千億出しました。一兆三千億は起債をしたんですよ。そのうちの八千五百億が今県債残高として残ってしまっておるわけなんです。 こういう状況でありますので、今後是非震災の、そういった自然災害に対する特例措置であるとか交付税の措置というものを是非検討いただきたいと思うんですけれども、これも時間が過ぎましたので、是非この点について決意のほどを、お考えのほどをお伺いしまして、質問を終えたいと思います。 できましたら、大臣、お願いします。 ○国務大臣(増田寛也君) 今お話がございました阪神・淡路大震災、大変大きな災害でございました。 これに対して、今、復旧はもちろんなんですけれども、復興に対してもやはりきちんとした手当てが必要だということで、震災関連事業で一定の復興推進地域指定されます、地域の中での区画整理事業については地方債の元利償還金八〇%を交付税措置するとか、通常より高い交付税措置等を行っているところでございますが、こうした大規模災害については、これからも私どもできる限りその財政負担が軽減されるように措置していきたいと、これが総務省の考え方でございます。 そして、あわせまして、先ほど来財政健全化法の政令の指定の考え方についてございました。これについても、私ども今いろいろな各公共団体の御事情があろうということで、丁寧に今地方公共団体の皆様方の御意見を伺っているという段階でございます。 先ほど委員からもお話ございましたようなことも具体的にお聞きしておりますし、その措置についてどういうふうにするか、もう少し時間をいただいて、私ども、慎重に検討した上でこの政令の内容について判断していきたい。今お話しいただきましたことも十分頭に入れていきたいと思っておりますが、地方公共団体との意見交換を十分重ねた上で決めていきたいと、このように考えております。 ○末松信介君 いろいろと御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 被災団体の特殊事情を考慮していただきまして、過去の震災復旧復興のために発行した地方債に係る公債費負担を平準化するような新規の地方債の発行というものにつきましても弾力的にお考えをいただきたいというふうに思っております。 と同時に、全国でこういったこともいつかまた起きるかもしれません。十二年たって、こういうふうな形で兵庫県の財政というのは変わってまいりましたので、推移してきましたので、是非参考にしていただきたいというふうに思っております。 お時間、オーバーしましたことをおわび申し上げまして、終わります。
活動報告

2007-10-23
第168回国会 参議院総務委員会 第2号