活動報告

2007-12-06
第168回国会 参議院総務委員会 第7号

168- 参-総務委員会-7号 平成19年12月06日 ○末松信介君  自民党の末松信介です。  今回、民主党、社民党から提出をされました株式処分の停止に関する法律案につきまして質問をいたします。  振り返りまして、二年三か月前に郵政民営化を問う解散総選挙が行われました。長谷川憲正先生には、当選同期で二十日会というところに一緒に所属をさせていただきまして、フィンランド大使の御経験もありましたし、郵政事業のことなど、いろんな私の知らないことをいろいろと御教示をいただきまして、本当にお世話になったことに感謝をいたします。  自見庄三郎先生には、余りゆっくり話したことはないんです。しかし、郵政民営化、まあ郵政解散直前でしたね、自民党本部の九階のあの九〇一号室、熱気むんむんでありましたけれども、先生はマイクを取られて離さず、十五分間か二十分、一生懸命弁を振るわれたと。その内容はともかくといたしましても、忘れることのできない、大変我々にとっては良き思い出でございます。そういう点では、郵政民営化賛成、反対の議員の立場にかかわらず、心から本当に敬意を表するところであります。  いつか国民新党は自民党と一緒にやっていくんだと思っていたやさきにこの法案が提出をされたわけでございます。長い時間ではありませんでしたけれども、長谷川先生からはいろいろとこの法案につきましての説明をちょうだいをいたしました。我々、法案PT、与党で協議をいたしまして、今回つるしを下ろして、委員会付託を受けて、そして審議をすることになったわけであります。  それで、私、まあ特定郵便局長さんは選挙運動ができないわけでありますけれども、友人がおります。今の現場の問題点はどんな状況だということで、ファクスを実は送っていただきました。これをちょっと読みたいと思います。  民営、分割になり一番大変なのは、公社時代の手続と民営化に伴う手続の二種類の手続を消化しなければならないということです(特にゆうちょ銀行との関連)。例えば定期性貯金をしていただくとき、お客様は従来の通帳に引き続き入金をすればよいと思って旧通帳と現金を持参なさいますが、新銀行の委託を受けている郵便局としては、新たに新銀行の手続を一から取らしていただき、新しい通帳を発行させていただく作業が必要となります。いわゆる本人確認も含めてであります。  結構時間が掛かるそうです。  この一連の作業は、従来の作業の倍近くの時間と労力が掛かり、結果としてお客様を待たせる時間が増えてしまいます。お客様の中には、民営化にとってどこがサービス良化になったんだ、もっと早くしろというおしかりの声も少なくありません。  また、少人数で金融機関として金融庁の監査に堪え得るような検査、管理体制の確立は、机上では可能ですが、実際には局長以下多くの役職者が勤務時間を大幅に超えて仕事をしています。勤務時間が多いだけを問題にしているのではなく、少人数で郵便、貯金、保険業務をやり切れる範囲での「金融庁郵便局監査マニュアル」、こういうものを制定していただいて、日々の検査、管理体制を充実させていきたいと、そういうことを願っているところであります。  金融庁は銀行並みの体制を求めていますが、窓口終了時間は貯金、保険業務で四時、郵便業務は五時です。業務に携わる人数は少なく、窓口営業時間は長く、その上銀行や保険会社同様の仕事を求められても、「心機一転、民営化郵便局として全員一致の協力体制で郵便局を盛り上げていこう」ということにはなりません。お客様は何も分からず、民営化イコール良質のサービス提供が図られる、得られると思っていらっしゃいますが、現状は、お客様におしかりを受け、職員は業務量の増加でへとへとになっております。我が社のモットーである、「明るく元気に民営化後の会社を立ち上げ存続させる」ということとほど遠い現状を御理解いただき、先生のお力で郵政事業のより良き見直しをお願いをいたしますという手紙をいただいたわけであります。現場はどうかということは、私もこれは、手紙をもらってこれを理解しているわけでありまして、行ってみないと分かりません。  そこで、一人の職員が金融機関として金融庁の検査に堪え得るような確実な業務を行っていかなければならないのは当然でありますけれども、銀行業務に専念している一般銀行並みの金融検査基準を適用するのは実態と懸け離れているんじゃないかということも思うんです。  かつて、地域銀行の金融検査が都市銀行向けの金融検査マニュアルに基づいて行われたため大変な混乱を来しました。そして、いわゆるリレーショナルバンク向けの金融検査マニュアルが作成をされたわけであります。  これと同様に、郵便貯金銀行向けの金融検査マニュアルの作成というものがここは必要ではないかということを今のお手紙から私は思うんですけれども、この点について御見解を伺います。 ○政府参考人(居戸利明君)  金融検査マニュアルの件についてお尋ねをいただきました。  金融検査マニュアルと申しますのは、私ども金融庁が金融機関を検査する際の基本的な考え方とか具体的なチェック項目を定めた私どもの検査官のための手引書でございます。  検査に当たりましてこの検査マニュアルを活用して検査を行っているわけではございますが、ゆうちょ銀行ばかりでなく大きなメガバンクあるいは小さな信用組合まで、国民からまた不特定多数の者から預金を預かるとともに、決済機能を担っている点では全く同一でございまして、預金者の保護等の観点から、業務の健全性、適切性を確保する必要性には変わりはなく、したがって、検査に当たってはすべての金融機関にその金融検査マニュアルという共通の物差しを当てて検証を行っているところでございます。  しかしながら、今委員御指摘のように、金融機関の業務の規模とか特性というのは様々でございます。したがって、検査に当たりましては、その規模、特性を十分踏まえて、金融検査マニュアルが機械的あるいは画一的に適用されることがないよう配意をしておりまして、金融機関のその規模、特性に合わせて十分な体制整備ができているかどうかをチェックをさせていただいているところでございます。  今後とも、このような考え方に立ちまして適切に検査をしてまいりたいと思いますし、各金融機関におかれて検査マニュアルを活用して、自らの体制整備を図られる場合にもこの点に御留意をいただいて適切な体制整備を図っていただければと存じます。 ○末松信介君  そうしましたら、それぞれの会社でそういった、まあ二万四千局、そういった局があるわけですよね、支店があるわけですけれども、営業所があるわけですけれども、それに合ったようなものは郵政会社でお作りになってやりなさいと、あくまで参考であるというそういう理解でよろしいんでしょうか。 ○政府参考人(居戸利明君)  ゆうちょ銀行あるいはゆうちょ銀行から代理を受けた各郵便局でどういう業務をされるかということを踏まえて体制整備を、金融検査マニュアルも参考にしていただいて体制整備を図っていただければというふうに思います。 ○末松信介君  今日は日本郵政の方の答弁はちょうだいしないつもりで私はお願いをしなかったわけなんですけれども。とにかく、現場というのは、例えば郵貯残高があって、かんぽ生命を勧めるときでも、クロスセルということでまたいで商品を売るということでありますから、非常に気を遣うそうですよね。当然、相手の了解を得て、しかも書面にサインをしてもらってというようなことであります。そういったことで、大変たくさんの新たな気遣い、業務が増えてきておると。今の郵便局の局員の方というのは、社員の方は、銀行法、保険業法、金融商品取引法、消費者契約法、本人確認法、個人情報保護法の遵守が実は要求をされておりまして、大変な窮屈な思いをされているということは確かです。  ただ、私は、これは経過期間でありますから、いずれは良くなっていくとは思うんですけれども、もう少し頑張ってみたらどうかということも電話では話をしたわけなんですけれども、スムーズに移行ができるように、マニュアルのことについては金融庁からも日本郵政の方にもいろんな話をしていただいて、是非ともに現場がしっかりと安心して頑張れると、何かもう一人の方は、業務停止の罰則が科せられるので戦々恐々の日々を送っていますというようなことを書いておられる方もおられますんで、この点よろしくお願いを申し上げます。  次に、株式処分を停止することの必要性について、これは提案者に質問を申し上げたいと思います。  郵政民営化の基本方針及び参議院の郵政民営化特別委員会の附帯決議におきまして、全国の郵便局のネットワークの維持など適切な民営化が行われることの留意事項が実は明記をされております。今般の参議院の総務委員会におきましても、国民の利便向上を図るための郵政事業の推進に関する決議というものを那谷屋先生と一緒になって時間掛けてこれやりましたんで、私として思うことは、何もこのときに株式売却を凍結せずとも、この決議を実行するだけで長谷川先生や自見先生がお考えになっておられることを、私は目的を達することができるんじゃないかなということを、実はそういうことも考えております。  郵政民営化委員会によりますと三年ごとの見直しを行うということで、民営化委員会が設置された平成十八年四月から起算をしまして、三年ごととなっておりますので、最初の見直しが平成二十一年の三月ですよ、長谷川先生。東証一部への上場であれば、先生は、株を売っちゃったら、外資の問題いろんな問題があるし、株に公共性を加えて考えるということはできないということをおっしゃっておられたわけなんですけれども、その最初の見直しは二十一年三月となるんですけれども、東証一部への上場であれば、これは東証の上場基準に従いまして最短でも平成二十三年四月以降になると思われますので、したがって見直し時期よりも株式上場が先になってまいりますので、私はそういう点では時間があると思いますから。  こういう形で、今いろんな問題点があるのを見直していきたいということを株式売却の凍結という表現で実行するというのは私は少し誤りがあるんじゃないかなということを、かえって不安定な状態に日本郵政を置くんじゃないかということを思うわけなんですけれども、先生のお考えをお示しをいただきたいと思います。 ○長谷川憲正君  末松先生には、先ほどお話がございましたように同期の当選でございまして、当選以来ずっといろいろ御指導をいただき、また仲よくお付き合いをいただいておりまして、今日も非常に温かい御質問をいただいていることに感謝を申し上げたいと思います。  私は、先ほどの御紹介のありました現場の郵便局長さんからのお手紙というのを拝聴しておりまして、本当に今、現場で国民・利用者の方々が郵便局においでになって、それに対応する郵便局の人たちがどんなに苦労しているのかというのがよく表れていると思います。毎日毎日、九時、十時まで働いて、土曜、日曜も出勤してというようなことで、てんやわんやの対応をしておるわけでございまして、是非、先生のお力もおかりをしながら、一日も早く郵便局が安心して夢と希望を持って仕事ができるような、そういう状態になればいいなというふうに心から願っているところでございます。  しかしながら、今お話のありましたように、この問題点を解決していくために制度的な問題点たくさんあるわけでございます。それを乗り越えていくためには、やはり法律そのものの見直しをお願いをしなければいけないというふうに私は思っておりますけれども、おっしゃいますように、法律そのものが民営化委員会による三年後の見直しという規定を持っておりますし、それから総務委員会でさきの民営化法が成立をいたしましたときに附帯決議も付けていただきました。また、つい先ごろ総務委員会では決議をしていただきました。その中にも経営形態を含めた見直しという文言があるわけでございます。  しかしながら、この附帯決議あるいは総務委員会の決議というのも非常に重要なものというふうに私どもは理解をしておりますけれども、現実に、例えば郵便局をなくさないといいながらも簡易郵便局がどんどん減っていくということにも表れておりますように、拘束力がございません。これはもう非常に重要なものでありますけれども、拘束力がございません。私はやっぱり法律の担保というものはとても重要だというふうに考えているわけでございます。  そして、民営化委員会の見直しですが、先生御指摘のとおりに、民営化委員会の設置から三年後に最初の見直しがされるということだというふうに私も思っておりまして、したがって平成二十一年の三月末、今から一年三か月後に最初の見直しの何らか動きがあるというふうに私たちも期待をしておりますが、これは法律にも書かれておりますように、流れとしては民営化そのものを推進するための見直しでございます。かつ、その見直しの結果というのは本部長であります内閣総理大臣に報告をされるということでございまして、内閣あるいは各政党の論議というのはそこからスタートするということになるように思うわけでございます。  一方、株の売却につきましては、法律の中でできるだけ早期に処分しろというふうに書いてございまして、いつでも売れる状況になっております。  今、上場のお話が出ましたが、上場に若干の手続や時間が掛かるというのは、それはそのとおりだというふうに思いますが、NTTのときの例を見ますと、特例措置が講じられまして民営化から一年で上場されておりますし、また、この法律が通りましたときの、民営化法が通りましたときの担当大臣であります竹中平蔵さんの国会での説明によりますと、何も株式の売却の方法は上場だけに限らないと、あらゆる売却の方法があるというようなことを言っておられるわけでございまして、私は、これは議論を複雑化しないためにも一日も早く株式の売却処分は凍結をすべきであるというふうに考えております。 ○末松信介君  いつ株式を売却されるか分からない、そういう話があるんですけれども、我々が考えるところではすぐにそういった動きはないというように確信をいたしておりますし、我が党、与党がそういうことをさせるわけがないということを、そういう力が大いに働くと、私はそのように自分なりに理解をしています。ただ、個人という立場でありますので、私はそういうように思って、これは見解の分かれ目になってきますけれども。ただ、先生の御趣旨よく分かりました、その点について。  いろいろとお話聞きたいんですけれども、この見直しの方向性についてももう少し不透明であるから、何をどうしたいかということが分からないと、この法律に我々が理解を示していくのは大変難しいんですけれども、これは後ほど河合先生からもいろいろなお話があろうかと思います。  最後に、二十分未満の質問でございますので、お聞きをしたいのは、ゆうちょ銀行の直営店というのは平成十九年三月時点で二百三十三店舗です。そのうち、普通局のゆうちょ窓口が直営店に移行したのが二百二十七店であります。一方、かんぽ生命保険直営店は全国で八十一店、そのうち、郵便局の法人外交の担当部が直営店に移行したものが六十店となっております。いずれも大半は従来の郵便局で行われていたのと同じ業務形態で行っています。したがいまして、直営方式も郵便窓口会社への業務委託方式もコスト的にはそう変わらないと私は思っております。  しかし、直営店であれば企業内の取引でありますので、これ消費税が掛かりません。民営化の結果、別会社となった銀行と窓口会社、それと保険会社と窓口会社の業務委託料については異なる企業同士の取引となるので消費税が実は発生をいたしているところであります。  私は、この業務委託というのは、国策によってこれは実行したわけでありますから、そういう点では消費税というのは非課税にすべきであるということを過日の自民党の税制調査会でも主張したんですけれども、これにつきましては、与謝野税制小委員長は、見直しのときにこの点については改めて考えていきましょうと。民間会社として出発したんだから、取りあえずは、今のところ難しい、非課税にするのは難しいという話が出ておるんですけれども、この点につきまして、最後に増田総務大臣かどなたか関係の方の御答弁を願います。 ○国務大臣(増田寛也君)  末松先生には、今の消費税の関係につきましていろいろ御主張いただきまして、本当に感謝申し上げたいと思うんですが、やはり一般の金融機関と、それから今回の新たな仕組みを見ますと、一般の金融機関の場合にはもう自分で支店を持っていますので、そうしたところを通じて営業するのが一般的ですから消費税が掛からないと。しかし、今回のこの新しい法律の仕組みになりますと、今正にお話がございましたとおり、そういう郵便局会社を通じていろいろ営業するということが基本になりますので、しかしそういうことになると別会社で消費税が掛かるということになりますと、どうも対等な競争条件を確保するという上でその消費税分がやっぱり支障になってくると、こういうことでございます。  この消費税を顧客の皆様方に転嫁し難いという、こういう金融サービスの特徴がございますので、是非この点は御理解をいただいて、こうした消費税分については是非非課税措置をとっていただいて、そして対等な競争条件を整えた上でサービスを競っていただくと、これが今後必要ではないかというふうに思って税務当局にいろいろ私ども説明しておりますが、なかなか御理解いただけない部分もございますんですけれども、やはりこの対等な競争条件を確保するという、この点で消費税を非課税にするということを是非御理解を賜りたいと、このように考えているところでございます。 ○末松信介君  総務大臣の趣旨に沿って我々も検討を進めていきたいと思っています。五百四十億円という消費税が払われているわけでありますから、大変な経営を圧迫をしていると思います。  長谷川先生とは、やはり今のこの郵政事業というものをきちっといい形に改善していきたいということは同じ目標に立っておりますので、これからもいろいろと御意見をいただきたいと思います。自見先生ともまたゆっくりお話する機会があろうかと思いますので、よろしく願います。  終わります。