活動報告

2008-02-05
第169回国会 参議院総務委員会 第2号

169-参-総務委員会-2号 平成20年02月05日 ○末松信介君  自民党の末松信介です。  増田大臣には、朝の九時から予算委員会もありまして、ほとんど食事もする時間もないままずっとお座りをいただいて会議に参加いただいております。敬意を表したいと思います。予定の時間よりは少しだけ短くして終わりたいと思っております。  参議院は二百四十二の議席がありまして、自民党が八十四と公明党が二十一で百五、野党は全部足したら百三十七ということで、ほとんど勝てないという世界なんですけれども。ただ、今回、この一月の十六日の新聞を見ておりましたら、赤字地方債、審議難航は必至、地方財政計画見通し違い、野党にどう説明というように書いておりますんですけれども、地方交付税のこの改正案については賛同いただけると。去年は欠席、その前は反対、その前は賛成、それ以前は、このときはやっていませんね、それからずっと数年、ずっと反対されているんですよ。そういう点では、まあ過半数割れを起こしましたけれども、画期的な今回の出来事であり成果であるということで、これで補正予算が賛成されましたら大連立が成立をするということになっていきますから、そこまではなかなか行かないというふうに思っておりますけれども。  そういうことなんですけれども、先ほど那谷屋先生、また加賀谷先生から話がありましたけれども、指摘したいところと大分、随分重なっております。野党ですけれども、重なっております。ただ、私もお尋ねしようと思ったんですけれども、収支の見積りが甘かったということ、これについては大臣もできるだけ厳しく見ていかなきゃいけないということ、来年の今ごろも同じようなことやっているんじゃないかなということを、そういう不安は抱いておりますけれども。  ただ、私は、質問取りに来られた方に申し上げたのは、企業の場合もやはり予算を組むんです。で、やっぱり補正なりを組んで、そして決算があると。これは、ただ、企業の場合は今年どんと売ってしまったら来年がしんどいですから、こうかつな営業マンというのはやっぱりかなり生産調整するんですけれども、税の場合は納めていただきますんで、そういうことはできませんですよ。そういう点で、誤差というのは本来出て当たり前の部分もあるんですよ。ただ、できるだけ大きなそういったマイナス要因というのはきちっと予測をしていかなければいけないと。内閣府からも十分な情報を取っておかなければいけないと。ですから、そういう点で私は、多少なりとも厳しく責められる総務省、同情は少しは私はいたしております。ただ、厳しく厳しく次年度予算を組むときでもこれを見積もっていただきたいということを要望いたしてまいりたいと思っております。  そこで、各先生方もいろいろと新年会にお出になると思うんですけれども、私も先々週の土曜日、日曜日と、案内状だけは九か所、十か所。十九か所行きましたんです。その中で数人の市長さん、町長さんはお一人ですけれども、とお会いしまして、その方々のごあいさつをずっと聞いておりましたら、常に年頭のあいさつで首長さんがおっしゃるのは、財政状況が厳しいと、そして構造改革プラン五か年計画と、尼崎市もそうでしたですよ、そういうことを必ず言われて、市民に理解を求める努力をされておられると、警鐘を鳴らしておられるということ、このことがよく理解できたんです。  実は、兵庫県に篠山市というところがございます。ここは結構有名な市でありまして、東京の青山通り、青山ですけれども、ここは篠山の藩主のお殿様が青山だったから、あそこに屋敷があったというふうに伺っているわけなんです。結構これで有名なんですよね。もう一つ有名なことは何かといいましたら、ここは合併特例法の適用の第一号の実は市であるということで大変有名でございます。  そこの酒井隆明さんという市長さん、私より年は二つほど上なんですけれども、県会議員は二期後輩なんです。県会議員を経てから今市長になられたんです。その新年会で会ったときに市長が言われたことが、開口一番こういうことを言われたんです。先日、片山先生に来られたと言ったんですよ。私は片山虎之助さんが来たかと思ったら、前の鳥取県知事の片山善博さんにここへ来ていただいて、講演をされたということなんですよ。  どういうことを言ってたってことをごそごそ話をしましたら、今の財政状況とか三位一体のことについて、片山前鳥取県知事はこういうことを言ったと。だました国も悪い、しかしだまされた地方も悪いと、そういうことを言うんだということを市長が言われたわけなんです。私は、役所におられた方というのは、まあ出ていかれた後、天下ったりあるいは議員になられたとき、辞めてから正しいことを言われるから、ですから私は、それだったら鳥取県の知事のときに言えばよかったじゃないかと言いましたところ、いや、あの人はもう二年前からそういうことを言っていたというんですよ。  私、確かにこれ見ましてそうだなということを思ったんです。これ、二〇〇六年の三月の文芸春秋にこう書いておられます。  自治体が財政破綻寸前の状態に立ち至っているのは確かだし、膨大な借金の返済に四苦八苦している事情は全国の自治体に共通なのだ。  ではなぜ自治体は借金の山を積み重ねたのか。それはバブル崩壊以後の政府の政策に起因する。政府は景気対策の一環として自治体に対し公共事業の積み重ねを慫慂ないし強要した。その際、当面の財源は取りあえず有利な起債で賄われた。有利とは、その償還財源が地方交付税の算定を通じて上乗せされるので自己負担が僅少だということだ。そこで全国の自治体は安心して借金をし、大量のハード事業を実施したのである。  今日その償還のピークを迎えているのだが、もはや政府には交付税を上乗せするすべなどあるはずもなく、逆に大幅削減を余儀なくされている。言うなれば、政府は約束手形の決済ができず、そのあおりを食らって自治体が連鎖倒産しかねない事態なのだ。そこで取りあえず倒産を回避し、併せて自治体財政悪化の真の理由と、政府の責任をうやむやにしてしまうのが平成の大合併の一面なのである。自治体関係者の多くは政府の受け売りで地方分権推進のための合併だと表向き説明しているものの、腹の底では恐らく別のことを考えている。こんなに借金で苦しむことがなかったら合併などするはずがなかった。  平成の大合併に至る事情は、今後、自治体運営の教訓とすべきである。それは自分でちゃんと考えることができる自治体でなければならないという簡単なことだ。透明性が高く、住民のチェックと監視の機能が十分に働かなければならないということである。  これからの政府の言うことはまず疑って掛かるべきだ。みんなに有利な話などこの世の中にあるはずがないと気が付くぐらいの知恵がなければならない。有利であろうとなかろうと、住民にとって真に必要な事業かどうか厳しく吟味する能力を持つことが肝要だ。その吟味とチェックこそが自治体議会が本来果たすべき最も重要な役割のはずだ、こう述べられているわけであります。二〇〇六年三月の文芸春秋ですから、抜粋でありますから、表現間違いございません。  私はこれ聞きまして、鳥取県と兵庫県と岡山県というのはよく三県知事会議やったりとか議会も交流ありますんでね、道路、鳥取豊岡宮津自動車道とかいろんな計画ありますんで、これ聞きまして、現職の知事から、大胆なことをおっしゃるなと、驚いたわけなんですよね。  今、篠山市というところ、ちょっと話戻るんですけれども、篠山市は昨年、篠山再生市民会議設置条例というのを制定をしまして、有識者を入れた、かなり識者を入れた市民会議で、財政問題を中心にしてその改善に向けた諮問策、策はないかということを諮問しております。その答申を受けました。  結局その方々が言っているのは、現在の篠山市はやっぱり五つのことが欠如していたと言うんですね。一つは右肩上がりの合併計画と甘い将来の見通しと、二つ目は地方債を活用した身の丈以上の公共事業と、三番目は当てが外れた地方交付税と、四番目は財政収支見通しの狂いと不十分だった行政改革と、そして五つ目は欠如していたリスクマネジメントということなんです。この五つが識者の方々が分析した結果でございます。これを受けてこれから篠山市がどういう判断をしていって行革をしていくかということなんですけれども、行革提案も一応出ておりますけれども、こういうことなんですけれども。  大臣にお聞きをしたいわけなんですけれども、だました国も悪いし、だまされた地方も悪いという、この言葉の表現をどうとらえるかということですよね。やっぱり最近まで大臣は知事をされておられましたので、当然お話もされたことあると思うんです。  ですから、この三位一体改革と、それといろいろと身の丈以上の公共事業を、それを合併特例債を使ってやってきたというこの地方の問題もあります。こうした問題も併せて、増田大臣に、答弁はしづらいかもしれませんけれども、ちょっと積極的に思うところ腹蔵なくこの場所ですから御答弁をいただきたいと。大事な場所だから。 ○国務大臣(増田寛也君)  思うところと御質問いただきつつ、なかなか大臣として大変答えづらいのは正直なところでありますが、ただ、知事経験者としてだまされたというふうに言いたくない、できるだけ言いたくないんですが、しかしやっぱりきつかった。  それで、大変財政運営に苦慮していると、そこはもうそのとおりですね。何かといいますと、やはり公共事業を中心に随分景気対策やった。あの景気対策でそうしたものを実施をしていくというのはそれ以前も行われましたし、決して間違いではないというふうに思いますが、ただその時期が余りにも長く十年近く続きました。正直なところ、身の丈以上に財政規律を破るところまで全体の事業を膨らませて、それがその後大変償還に今苦しんでいる。  あわせて、その間に、交付税の方、これは総務大臣として非常にやっぱり答弁は今苦しいところでございますが、交付税の削減ですね、もちろん地財計画の内容の見直し等は必要だと私も思いますが、特に平成十六年が典型的でございましたけれども、急激過ぎたんではないかと、微妙な表現していますけれども、急激過ぎたのではないかという思いがございまして、そのころ私知事しておりましたけれども、地方団体がそういうそれ以前の事業の量ですとか財政状況になっていることを考えながら、やはりそうした地方財政ということをきちんと毎年毎年計画を立てていくということはやはり国としても必要だったんではないかというふうに思っております。  そうしたことの積み重ねが様々なところで、自治体の財政運営ですとか、それから、特に合併を経験されたところではその合併後の様々な計画にのせております事業の実施についていろいろ影響が出てきているんだろうなというふうに思います。  そういう状況でございますし、今委員の方からお話がございました片山前知事、現在の慶応大学教授も私大変よく知っているところでございますけれども、様々なところで彼もそうした警鐘を、彼、片山教授独特の表現でもう率直に思いを言っていたわけでございますが、私としては、そういう地方の地域の実情をできるだけ丁寧に酌みながらこの地方財政というものを今後考えていく基礎に据えていきたいと。  したがって、今回、いろいろ各委員の先生方にはいろいろな点で厳しく御指摘をいただいておりますが、確かにやりくりではありますけれども、そうしたやりくりをした上で、何とか地方財政の現状に沿った形で一般財源の総額を確保するなりなんなりの措置を講じたいと。  今まで地方自治の方で、逆に今、片山教授の言葉に見られるがごとく、そういった思いを一方でしてきた立場の者として、何とかその傾向を少しでも変える上で、我々としても国の地方財政対策を組みたいという思いで今回のこうした法律改正ですとか御提案につながってきたと、この点を是非御理解をいただければと、このように考えております。 ○末松信介君  大臣から今率直なお話がありまして、鳥取県前知事の独特な表現ということでお話しになったんですけれども、私もそのように受け止めたいというふうに思っております。  実は、篠山市長さんは財政状況の説明をしに陳情に来られたそうなんですけれども、大臣がお忙しかったそうです。ある方にその陳情書を渡して、きちっと説明ができたと。だれに会えたんだということで言っておったら、名前が出てこなくて、写真見してみて、写真を見たら、二之湯政務官が座っておられたと。二之湯先生ができるだけの努力はするというような話をされておられますんで、ひとつ、部下の言葉でございますんで、できるだけ大臣もその辺をしんしゃくしていただきたいなということを思うわけなんですが。  向こうは、篠山市は合併特例債を活用しまして十一の事業をしてしまったそうなんですね。我々、この財政状況というのは全国的に随分悪いんですけれども、どこか一つの市とか県をとらえてやっぱり話していって、全国的に当てはめていって改善していくという、そういう考え方で我々よくやりますんでお聞きをいただきたいんですけれども。結局、図書館とか市民センターとか運動公園といった、あるにはこしたことないものを造っていったわけですよ、活用して。不急ですよね、急がないと。不要ではないかもしれませんけれども、不急なものを造ったと。合併特例債では対象事業のおおむね九五%までこれ借入れと、起債充当できて、その元利償還金七〇%は普通交付税によって措置をされるわけであります。  地方財政法では、もう大臣もよくお詳しいんですけれども、第五条で該当しないものでもこれは起債ができるわけでありますから、何しろ後年度負担である元利償還の七〇%が普通交付税の算定でこれ扱ってくれるということで、基準財政需要額に算入されますから、もうどんどんどんどん使っていったということなんです。  それで、この篠山市は、この合併直後の数年間という短い間に社会資本整備を集中させまして、報告では、合併特例債を活用した事業費として、平成十八年度で総額二百二十七億円、そのうち八つの箱物施設を建設をしたと、事業費は百七十九億円を費やしたということになっております。さらに、国の景気対策とか、兵庫県は下水道事業をかなり積極的にやっておりましたんで、兵庫県生活排水処理事業に係る下水道整備に対する負担が重なったりしました。これは大変大きなお金になったわけなんですけれども、まあ今目を覚ましてその歳出削減に取り組んでいる状況なんです。  予測ですけれども、市民会議の予測では、平成二十年度、今年度、平成二十年度から二十七年度に年平均十五・一億円の収支不足、赤字が発生すると予測をしております。平成二十年から平成二十七年のこの一般財源は百六十億円の規模であります。そういう財政の規模なんですけれども、公債費は毎年約五十億円要ると。下水道事業特別会計における公債費への繰り出し金というのが約二十五億円行っていると。つまり、手を付けることのできない額が七十五億円ですから、百六十億円から七十五億円引いたら八十五億円なんですよ。  その八十五億円で実に十五・一億円を、これ赤字を出ないようにするとなったら、全体を二〇%削減せねばならないという、そういう計画を組むことになっている。だから、議員の報酬も二〇%カットであるとか、あらゆるものについて二〇%のカットになってきているという。補助金も、補助金は一〇%ですけど、ほかのいろんな施策は二〇%カットしようという、そういうことを再生市民会議は諮問をしておるということなんですよ。  そういう点をにらみながら、我々も、自治体のこの財政運営、一般財源を確保しなきゃいかぬということで自主財源を確保しなきゃならないという大臣のお話があったんですけれども、その点をよく理解をいただきたいと思います。  かつて合併のモデルケースということで、篠山もうでということでみんな見学に行ったんですけれども、今度は逆に篠山もうでが始まるという、そういうつらい状況になってしまっておりますんで、大変でありまして、同僚の県議が市長になってえらい目に遭っているという状況でございます。理解をいただきたいと思います。  質問の二つ目に移りたいんですけれども、地方財政計画のことについてお伺いをいたします。  地方公共団体が予算の編成を行う場合には、各種の情報を集めて、それを反映させるためにこれはつくっていくわけなんですけれども、翌年度の経済見通しであるとか、税制改正の中身のことについても反映しなきゃいけない。地方交付税の総額についてもその算定方法が変わればきちっと中に入れ込まなきゃならないという、これが地方財政計画であります。歳出面においても、国庫補助負担金が減ったりとか増えたりとか、各種事業制度が変更になればこれもきちっと情報として入れ込まなきゃならないということになっておるわけなんですけれども。  実は、お聞きをしたいことは、大分時間もたってきましたので、何を言いたいかといいましたら、藤井裕久民主党税調会長は、政府が地方財政計画を定めて、それに基づいて自治体が予算編成をするやり方というものは、国が地方を支配する理由であると、国の地方の支配の根源であるという話をされたわけなんです。確かに地方の財政制度を考えていけば、地方分権改革からしましても見直していくべきであるということはよく理解できるわけなんですけれども、しかしながら、国民への行政サービスを実効あらしめるためには、やっぱり国と地方との財源調整を行うというこの地方財政計画というのは、これはすぐに全廃してもいいんだろうかという考え方を持つわけなんですよね、我々は。  藤井裕久税調会長はどういうお考えでそういうことをおっしゃっておられるということは私は分かりません。ただ、国の地方支配の一つの一番の背景になっておるということでこれは良くないということを明言されておられるんですけれども、大臣はどういうように考えておられるのかということと、もし藤井裕久税調会長の御主張が正しいならば、どういう仕組みでもって国と地方との財政の整合性を図っていく仕組みがつくれるのかどうかということですね。この点について大臣の考え方をお聞きしたいんです。 ○国務大臣(増田寛也君)  地方財政計画、御案内のとおり、役割三つありまして、一つは各団体間の地方財源を保障するということですね。各団体の地方財源を保障するということ。それから二つ目は、国民経済それから国家財政と整合性を取っていくということ。それから三つ目、三点目が各団体の指針。  私も知事時代に、国の方で前の年の十二月に定めますが、それを翌年の一月、県の予算編成をするとき、大体それを見ながら、ああ、大体国はこういう傾向で考えているのか。ただ、ガイドラインというかアウトラインですから、特にそれに拘束されるということではなくて、大体こういう方向で今考えているんだなと、また、今度交付税はこんなに減るのかとか、それから横ばいになったのかとか、そういうことを大づかみでつかむためのものとして考えておりました。  ですから、どういう場面で御発言されたのかはあれですが、分かりませんが、まだ、この地方財政計画の作り方とかその中にどういう項目を盛り込めるかということについていろいろ御議論ございますし、そういったことについて今後も検討していくということは必要だろうと思います。私どももそういったことを行っているわけでございますが、地方財政計画それ自体の基本的な意義というのは重要でございますし、今後ともその役割は変わっていかないだろうと。  特に、地方財政の規模が今、御案内のとおり、四十兆とか大変大きなオーダーになってきておりまして国家財政と並ぶものでございますので、こういう計画を作って、国の方とそれから地方とそれぞれが両輪で将来の姿を国民の皆さん方にお示しをしていくというようなことは有意義であると、意味のあることであると、このように考えているものでございます。 ○末松信介君  ありがとうございます。  地方財政計画というのは予算ではありません。地方財政計画は地方公共団体の財政の運営の指針でありまして、各地方公共団体の予算を規制するものでもないわけですから、そういう点では、今大臣からお話があったように、地方の財源の保障のメカニズムというものをきちっとこれはやっぱり存在していくためには、この計画というのは必要になってきますし、国の施策との整合性を確保しなきゃならぬということもありますし、地方公共団体の財政運営の一つの指標というものでやっぱりつくっていかなきゃならないという点で、もう少し藤井会長のお話というのは聞いてみないと私も分からないなということで、ただ新聞が大きく取り上げましたので、ちょっとお尋ねをしたところであります。  原口先生がおられるんでお聞きはしたいんですけれども、実のところ修正した減収補てん債の二十一年度以降についてのこの部分しか聞いちゃいかぬと言われていますので、こういう議論があったということで。お答えになってもいいんですが、質問しても。──駄目ですね。関係した修正部分だけということで言われておりますので、今日はちょっと大臣だけお聞きをいたしたところでございます。  次の第三の質問でありますけれども、これは地方交付税の改革、改革につきましても地方交付税の算出の簡素化と透明化についてお伺いをしたいわけです。  第一次分権改革を推進しました地方分権推進委員会の最終報告では、地方交付税の改革の方向性が示されております。平成十三年の骨太方針二〇〇一というところでは、地方債発行後、元利償還を後年度に交付税措置をする仕組みと補助金の組合せによって事業費の大半が賄われることというのは有り難いことだけれども、さっき加賀谷先生もお話がありましたけれども、地方が自分で効率的な事業を選択し効率的に行っていくという意欲をかえって損なってしまうことがあるということを確かにうたっているんです。  それともう一つは、できるだけ客観的かつ単純な基準で交付税を決定するような簡素な仕組みにしていくことが必要であるということも、これ書かれていました。指摘をされていたわけであります。  今日質問をしたいことは、こういうことでございます。平成十八年の七月の三日に総務大臣の私的懇談会である地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の報告書が提出をされています。地方が自由に歳出を決定する部分については、現行の複雑な交付税の算定基準を抜本的に改め、だれでも分かるような簡便な算定基準に順次改めていくべきであるということなんですよ。新型交付税というのが出たり、頑張る地方応援プログラム、これは成果指標を設けまして交付税に算入していくということがあります。  市町村プロジェクトに取り組むために三年間で五百億円ほど特交措置を講じているということもあります。それと地方再生特別枠ということで四千億も設定したと。企業立地のための促進にも三百億円要しておるということで、いろんなものをたくさんつくっていただいておるわけなんですけれども、それぞれにそれぞれの仕組みがあるわけですから、逆に、この地方交付税の算定の仕方というのが簡素化していくのと逆に難しくなっていくんじゃないかという、後退しているんじゃないかという不安を覚えてしまうわけなんですよ。  この点につきまして、大臣の見解を述べていただきたいと思います。 ○国務大臣(増田寛也君)  やはり今後、こうした地方交付税の算定の仕組みというのは分かりやすい、まあ国民にとってももちろんそうですし、それから当該団体にとってみて分かりやすいものでなければならないというのは、もう御指摘のとおりでございまして、そういった改革にこれまでも取り組んできたわけでございますが、そうした中で、私、大臣に就任していろいろ地方の、特に財政が厳しい自治体のそういう財政需要をいろいろ酌むようにということを指示したんですが、今度は一方でそういう地方の当該団体の財政需要ですとか過疎地域の状況というのを厳密にいろいろととらえようとするとなかなか、それをある一定の指標なりなんなりでとらえるというのが非常に複雑化してくるとなかなか悩ましい問題に私も直面したところも事実でございます。  こうした、しかし、問題についてそれぞれ考えるに当たっても、でも我々としては常に算定方法を簡素化しないといけないわけでございますので、必要な地方の財源というのを的確に保障すると。そして、条件不利地域への配慮をするということをきめ細かな算定と併せて、しかし算定方法をそういう簡素化で分かりやすい形にするということをうまく合わせ技で成し遂げたいと、今こういうことを考えているところでございまして、そういう方向で私どもも制度も今後考えていくということでございます。  過疎地域の財政需要というものも幾つかパターン分けをして、それでそうしたことを算定するですとか、そういったことを私どももきちんと行うようにしてございまして、それできめ細かな算定、しかし、そういった地域で簡素化するものということを、それから事前にどういう形で算定をするのかというその計算式等をきちんとお示しをして、それでそうした団体の予測可能性を高めると、こういうことでこの制度を考えていきたいと。大きな方向はもう簡素化の方向ということでございますが、そこから過疎地域の財政需要等が落ちこぼれることのないような中で簡素化を図っていくと、こういうことで考えていくということでございます。 ○末松信介君  この交付税を算定するということは透明性を保つということとか、当然公平性も必要でありますし、また過疎地の方たちには温かい手を差し伸べるという意味合いもあるわけなんですけれども、国民との関係で、今この地方交付税の改正の法案を審議しているというのは、国民にどう映っているか言うたら、何のこっちゃ一個も分からぬと思うんですよ、私は。本当に分かりにくいと、この地方交付税ということについてですね。  これはどのようにして、財源保障なり財政調整ということの意味合いという点では新聞を読んだ方は分かるかもしれませんけれども、本当に都道府県庁でも詳しい財政課とか地方課の方々だけとか、各総務課の企画係の方々だけと、総務省の中でも交付税課あるいは地方債課とか、もう非常にベテラン中のベテランですね、プロとプロの話になってしまって、この地方交付税というものをどういう形で国民一般的なものとして知らしめていくかということについて、私はその必要があるのかないのかということすら考えてしまうことがあるわけなんですよ。  これについて、ちょっと予想していませんけれども、財政局長でも結構ですよ。これ、どういうように思っておられるかということをちょっとお聞きをしたいのと、それと、まあ、あればですよ、いいですよ、通告していませんから。その地方交付税という言葉を、財政局長はいつごろその単語を学びました。そのことをちょっとお尋ねをしたいんです。急な質問であれでしたら、まあ、あれですけれども、簡単で結構です。済みません。 ○政府参考人(久保信保君)  私、父が町長をやっておりましたので、地方交付税というのは実は小学生のころから存じ上げておりました。  御案内のように、地方交付税なかなか、税なのにそれは原資が国税五税にリンクしているとか、先ほど来御議論いただいておりますように、法定率だけでは足りなくなっているのでいろいろ加算をやったりとか、制度自体がなかなか複雑で分かりにくいということになっているのはそのとおりであろうと思います。ただ、もうこれ財源調整を行うだけではなくて、義務付けられたり、日本の地方公共団体はいろいろ義務付けられた仕事が多いものですから、義務付けられた仕事はやはり財源保障をしていかなきゃいけない。その有力なツールがこの地方交付税であるということでございまして、一般財源の中でも極めて重要であるということでございますので、私どもやはり一般の方々にも理解していただけるように、機会をとらえてやはりその役割なり意味なりをPRしていかなきゃいけないと、そう考えております。 ○末松信介君  突然指名をいたしまして、失礼をいたしまして、御答弁いただきましてありがとうございます。  基準財政需要額は測定単位と補正係数と、それと単位費用でありまして、特に補正係数というのは、これは言葉を知って、まあ少し財政辞典を見てみましてもなかなか難しいと。この種別補正とか段階補正とか密度補正とか寒冷補正とか、こういうのは分かるんですけれども、態容補正となってきたら中が非常に複雑になっておると。ということは、やっぱりいろんな要素を後から後からどんどん入れていって、結局難しいことになっちゃったということなんですよね。ですから、補正係数についてもう少し整理をしていくということが大事なのかな、できないのかなということは思うんですけれども、それやったら逆に地方の思いというのが届かなくなってしまうのかということで、いずれにしても分かりにくいんですよ。だから、答申のとおり、ビジョン懇談会なりが出たとおり、簡素化、非常に透明化を図ってほしいということ、もうこのことを強く要望いたしておきます。  最後の質問でございます。先ほど話がありました、質問もありました、交付税特別会計借入金についてでございます。  今回、償還予定額五千八百六十九億円を平成二十年度分の地方交付税の総額に加算するという措置を盛り込んでいただいているわけなんですけれども、お尋ねしたいことはこういうことでございます。借入金としては、性格としては債務であるわけなんです。ただ、その債務を保有する主体は国であります、交付税特別会計でありますから。国である一方、この債務を最終的に負担する主体は地方公共団体であると。主体が異なるため、最終的な負担者である地方公共団体が当該債務を自らの債務、自らの財政赤字という、そういう認識というのが大変薄いわけなんですよ、これ。我々でも借りているという意識が、当時県議であったんですけれども、ないんですよね、これ、中央でやっておられるから。だから、こういう財政錯覚のおかげで財政赤字の深刻さに対して地方団体の認識が甘くなりがちであるということが財政健全化への私は一つの取組の遅れになっている、妨げになっているということを思っているわけなんです。  この点について、交付税特別会計借入金というのはよく言われる隠れ借金というやつですよね。これ、どのように位置付けていくのかということと、今後各自治体に債務の限界コストを正しく認識してもらわなきゃいけないと思いますんで、こういう点につきまして、大臣のお考え、交付税特別会計借入金について、今の実情と私が今お話ししたことについてどうかということについて答弁をいただきたいと思います。 ○国務大臣(増田寛也君)  この交付税特別会計について、いろいろ制度のこれ変遷あったんですけれども、以前はもう特会で借入れをすると、こういうことでございましたんですが、そうしますと非常に内容的にも分かりづらいということと、それから財政責任が明確化されないということもあって、そういったことを、財政責任、それから償還責任ということを明確化するという、こういう観点で御案内のとおり平成十九年度から制度改正が行われたと。国の方は一般会計で処理する部分十九兆、それから地方の方は三十四兆について新たに例の償還計画を作って、そしてこれ地方分ですよということをはっきりさせた上で、それを健全化のためにきちんと決まった形で返していきましょうと、こういうことにしたわけでございます。  したがいまして、地方の借入金であるということは、一応明確化にはその意味ではなったんですが、これ十九年に改正をしたということで、全部の自治体にもっとその意味合いをよくお伝えをして、理解をしてもらって、その重みをやはり感じていただくというこの努力、もっと必要かというふうに思いますのと、それから、残高をこれ以上増やさないということで、今後は早期の償還に向けた努力を様々行っていくということが必要不可欠というふうに思っております。  そういうことで、今後、償還計画を見直しをしつつ、償還に向けた努力を行っていくわけでございますが、いずれにしても自治体の関係者、ましてや国民の皆さん方にこの辺りの仕組みがやはりなかなか理解されない。交付税自体の仕組みが先ほどお話ございましたとおり難しい仕組みでございますが、それを、単年度単年度の交付税というよりも、トータルで、どういう変遷でそうした額が出てきたのかということに至りますと、本当に一部の自治体の財政関係者等が分かっているだけで、それがなかなか分かりづらいということでございますので、この点について、今後はもう分権が進んで各自治体がそれを責任持って処理をしたり運営したりしていかなければならないということがございますので、この点については理解をより求めるということと、地方の借金がこういう部分になっているということ、その計画自体が明らかになったこと自体は理解を皆さん方にしていただく上で間違いなくプラスのことでございますので、その十九年の改正の趣旨というのをよく私どもも理解を徹底させるようにして、今委員の方から御指摘いただいた点についてはきちんとこたえていきたいと、このように考えております。 ○末松信介君  ありがとうございます。  交付税特別会計借入金は、すべての地方団体が連帯して返済する債務から構成されていて、個々の地方団体が先ほど申し上げました債務の限界コストを正しく認識できていないということをお話し申し上げたわけなんですけれども、いずれにいたしましても、今大臣のお話しのとおり、できる限り地方にもあるいは国民にも伝えていくという、そういうスタンスで努力をいただきたいと思います。  予定より一分だけ早く終わります。ありがとうございました。