活動報告

2008-04-08
第169回国会 参議院総務委員会 第8号

169-参-総務委員会-8号 平成20年04月08日 ○末松信介君  自民党の末松信介です。  先ほど吉川さんが暫定税率導入以後に生まれたと。私は昭和三十年ですから、二十四年に揮発油税ができまして、二十九年に特定財源になったんですよ。特定財源以後にちょうど生まれたと。えらい違いなんですけれども、そういう立場から年齢に応じた質問をさせていただきたいと思います。  今日の質問は自治体病院の問題を中心にしまして質問いたしてまいりたいと思います。  少し長くなるんですけれども、先週の土曜日に神戸大学の教授がお見えになりまして、実は臓器移植の議員立法を是非やってほしいと、この陳情にお見えだったわけなんです。大変熱心なお話をされて感激をいたしたわけなんですけれども、その後医療の現場の話がいろいろ出てきまして、先生どういうことをお考えかなと思ったんですけれども、やはり今の医療というのはいろいろ問題があると。  例えば、医師とか看護師が本来担当すべきでない処置というもの、これを自分たちがやらなきゃならないということ、コメディカルの問題ですね、こういう話が出ました。二つ目は、運営交付金が下がってくると同時に診療報酬も下がってきたという、こういったダブルパンチの問題もあると。それと、同じ値段で同じ医療を受けると。二十年たったベテランの医師であっても数年たった医師であっても、治療行為に対しては診療報酬が一緒であると。こういった問題も少しはあるんじゃないか、考えていくべきじゃないかという、そういう議論もありました。特定機能病院と一般病院との格差のこともやっぱり考えていかなきゃいけないという話もありました。専門医制度をつくるんだったら、これは付加価値もやはり考えていかなきゃならないという議論もあったんです。今は使命感で耐えているということなんです。  ただ、印象的だったのは、やはり医療現場に義理と人情がなくなったという話をされたんですね。やっぱりこれがないといかなる現場でもうまく回転していかないという、私はそのことが大変寂しいと。だから、自分も医師として、国民の一人として今日議員のところへ陳情に来られたということでありまして、土曜日の休みにお見えになったわけであります。  そこで、話はその地域医療の話になってきたんですけれども、やはり臨床研修医の新しい制度になりまして、昔だったら医局が幅を利かせていましたから二年間田舎へ行って頑張ってほしいと、そしたら二年たったら勉強してもらえるように都市部の病院へ帰ってきてもらうからということが言えなくなってしまったと。行ってもらったら今度は自分で探してこなきゃならないという、そういうことでありますから、非常に医局の機能というもの、影響力が低下をしたという話が返ってきたわけであります。  地域医療の現状と課題というのはここ二、三年、国会あるいは地方議会におきましても大きな社会問題となっています。で、自分なりに幾つぐらいのテーマがあるんだろうということを考えてみましたら、医師の総数不足の問題があります。医局の影響力の低下の問題があります。国民の大病院志向、専門医志向が大変強くなってしまっているという問題があります。勤務医の負担が随分大きくなったわけですね。それとこの医療訴訟というものが増大してきたと。医者は大変怖がっています、この問題については。五つ目はやはり医師が、先ほどの医療訴訟の関係もありまして、この選択診療科について眼科とか皮膚科とか非常に偏りが出てきたということがあります。それと医者は一年間に三千五百人誕生します。しかし、一年間に四千人が開業していくという問題があります。昔だったら五十歳代で開業していたのが今は三十代と四十代で開業する方が多いという、こういう問題があります。それと女性医師が増えてきたと。これはいいんですけれども、その力を一〇〇%引き出していないということがあるんですよね。だから、女性医師をどうバックアップしていくかということも地域医療にとっては大きな課題になってきたということです。それと合併後の地域医療の充実という、合併して良くなったらいいんですけれども、統合されてしまってそれが地方議会の選挙の争点になったケースもあったんですよ、こういう問題があります。それと自治体病院の赤字の問題。こうしたことが十項目ぐらい整理したら出てきたわけなんですけれども。  これからの医療、地域医療ですけれども、多くの関係者の方々がお話をされておりますけれども、医療にとどまらず当然保健並びに福祉事業との連携ということで地域包括のケア化ということが大変重要な課題ではないかと思うんです。  私は、経済財政諮問会議の話ではないんですけれども、今の医療というのはやはりここ何年かは提供する側の論理が大変強いと。医療を受ける側、患者側の論理に果たして十分立っているだろうかということ、このことが大変心配です。最近、増田大臣も福田総理ももう医療費の削減ということについては一つの限界に来ていると、限界感が否めないという話が出てきたという点は私はやはり注目すべき内閣の姿だなということを、そういうことを考えているわけであります。  今、平成十五年から、この地域の自治体医療の状況ですけれども、十五年から十九年の四月一日までの間ですね、医師不足とか赤字の経営によりまして全国約千あります自治体病院のうち六病院が閉院となりました。もう大臣はよく御存じだと思うんです。十七病院が民間に移譲をされました。この二十三件のうち七割に当たる十七件が平成十七年以降の二年余りに集中しているという点がやはり医師不足問題が急速に深刻化した表れだなということを思います。  で、平成十九年七月に全国の自治体病院協議会がまとめた平成十八年度の決算調査報告書によりますと、調査に参加した病院が五百三病院あるんですけれども、赤字病院の割合が七四・四%です。これは前年の六二・四%から一〇ポイント以上上がっていると。赤字病院が実は七割を超えるというのは、昭和四十八年以来、もうこれ三十数年ぶりの過去最悪という状況になっているわけであります。  で、地域医療に関しては地域行政とか地方議会も当事者意識が随分欠けておりまして、長年もう大学の医局に任せておってお任せ病院経営をしてきたというのが実態だと私は思っております。しかし一方で、良い影響として自ら地域の医療は自分たちの手で守ろうという動きが出てきておると、後ほど御紹介しますけれども、そういう動きが出てきたというのは大変いいことだと思うんです。自治体病院にとってこの医師不足と赤字経営というのは共通のテーマとして続いているわけなんですけれども、こうした中で公立病院ガイドプランでは計画策定期間内である三年以内を基本として経常収支の黒字化を求めておられます。難しいことですけれども、求めておられると。  かつ、自治体病院には、へき地、小児、産科、救急、結核、感染症、精神、高度専門的医療などを引き続き求められているわけなんですけれども、こういう時代の変化が起きつつある中、自治体病院の存在の意義ということと、一体何を変えていかなければならないのかということを大臣がどのように考えておられるのか、是非この機会に教えていただきたいと思います。 ○国務大臣(増田寛也君)  今、先生の方から自治体病院の抱えておりますいろいろな現状分析がございました。全く私もそのとおりであると。全国自治体病院協議会の資料等もございましたが、本当に七割をもう超える病院が赤字になってきてしまっているので大変今厳しい状況なんですが。  改めてもう一度申し上げますと、この自治体病院でございますが、これは民間医療機関による提供が困難なところでも常に維持をしていかなければならないわけでございまして、その意味は大きく言いますと私は三点あるのではないか。一つは、やはり過疎地での医療をこの自治体病院が担っている、守っているということ。それから二つ目は、救急等のいわゆる不採算医療、それから政策医療と言われるような分野ですね、こういうところなども自治体病院が担っていると。それから三点目は、がんセンター等の高度先進医療というところもこの病院が担っている。ほかにもございますが、大きく言いますとこういった三点が特に公立病院などの役割の大きなところだというふうに思っております。  しかし、この公立病院、都市部にある公立病院とそれから地方部にある病院とそれぞれ状況は異なっているというふうに思いますけれども、押しなべて今経営状況というのは大変厳しい。これは、公立病院であるがゆえに、先ほど言いましたように、政策医療と不採算の部分を担っているということがもちろん大きな原因でもございますが、一方で、民間にないような、なかなか柔軟な病院としての経営ということに欠ける面も実はあるのではないか。空床率、空きベッドの数ですが、それが民間病院に比べてやはり大きいところが多かったり、あるいは、人件費等も他の民間、周辺の病院に比べると過大なところもございます。それから、市町村合併が行われて、そして同じ市になったわけでありますけれども、その中にこうした自治体病院が複数存在して、特に診療科目ごとの調整等がまだ十分に行われていないところもあるといったようなこともございます。  そうしたこともございますので、私どもの方で改革に向けてのガイドラインというものをお示しをして、それも踏まえて、やはり改革プランというものをそれぞれ作っていただいて、そして今後の自治体病院の意義ですとか、それから在り方を住民の皆さん方にも十分お示しをしていただきたい、それから改革にも取り組んでいただきたいと、こんなふうに考えているところでございまして、特に、民間医療機関が多く存在するのは、都市部に仮に自治体病院があるというものについてはより積極的な改革に取り組んでいただきたいと、こういうふうに考えているものでございます。 ○末松信介君  ありがとうございます。  大臣がおっしゃるとおり、この改革のガイドプランですね、これがうまくできればいいんですけれども、なかなかまだいろいろとそれぞれの地域ごとに問題が違ってきますので、よく地域で考えてもらわなきゃいけないと思うんですけれども。  身近な話なんですけれども、実は兵庫県に県立の柏原病院というのがございまして、これ新聞で、ここの医者がいなくなってしまって地域が困っておるという話題が新聞に掲載されたんですけれども、丹波市の県立柏原病院の小児科が昨年春、危機を迎えていたと。新臨床研修制度の影響で医師が減少していたところ、近くの病院が産科から撤退したあおりで新生児の患者が急増。四月には小児科医二人のうち一人が院長になり、外来診療を制限せざるを得なくなったと。で、展望が持てないということで、一人でこの小児科を受け持つ和久先生という方が、もう辞めようと決意を実はされておられたんです。  この病院の窮状を知った同市内のお母さん方が四月に結成したのが、昨年四月ですけれども、県立柏原病院の小児科を守る会というのを、これを実は立ち上げました。署名も一か月で五万五千集めたそうなんですよ。  どういうことをやっていったかといったら、とにかくコンビニ感覚で病院受診を受けるのはやめようじゃないかと。ある程度の家庭の医学、知識というのはやっぱり持っていなきゃ、考えなきゃいけないと。子供を守ろう、お医者さんを守ろうという呼びかけのチラシを作って、熱が出た場合、吐いた場合などチェック項目を決めて、大至急救急車を呼ぶ場合、かかりつけの医者、医院で受診をする場合、様子を見る場合という、そういう工夫をされたわけです。その結果、昨年の四月から十二月で救急外来受診者数は四百十人となりまして、昨年同期の九百三十七人から随分下がったということなんですね。だから、やはりいろいろと考えなきゃならないと、地域に住んでいる方。  私は、そういうことも、総務省はやっぱり財政課とかいろんなところへ職員の方が出ていっていますので、是非ともそういうトップマネジメントの会議でこういった動きを促進、加速すべきだということを、そういうことを僕は呼びかけていただきたいなということを思います。  この成果もありまして、今は常勤の医師が二人加わることになりまして、小児科の存続にめどが付いたということでありまして、神戸大学から医者が行ったということでうまく順調にいっているわけなんですけれども、こういうことを是非考えていっていただきたいと思います。  次の質問は、公立病院の今日の経営状況に組合がどういう影響を与えたのかということをお尋ねしたいんです。  病院経営の話をしますと、必ず組合という話が出てくるんです。私も長く県議をやっていましたから、ずっとこの話が出てきたし、県立病院の管内の調査を回ったときにも何となく何となく伝わってくると。いろいろと組合の選挙か何かがあったときでも、患者の見える場所にビラを張っていた。これは良くないでしょうということを言ったら、やっぱり組合の方もそれはそうだということで外されたことがあるんですけれどもね。やはりかなり活発な動きをされていたということが分かったわけなんですけれども。  私は、組合がその気にならないと経営は改善できないと思うんですよ。組合がやっぱり立ち上がってこうしようという御提案をいただかないと、活力に満ちたより良き病院というのはやっぱりできないと、私は公立病院ではそのように考えておるんです。  どういうことがテーマとなった労使交渉であったかということですね、このことを我々も分からないんですよね、実際のところは。情報公開されていないんですよ。しかし、これは契約締結権も何もありませんから、ある面では紳士協定でやっているということなんです。覚書も一切外に出されないわけなんですけれども。  この公立病院の今日の経営状況に組合はどういう影響を与えたのかということを私の今の話も踏まえてお答えをいただきたいと思います。 ○国務大臣(増田寛也君)  公立病院の経営の中で、例えば医業の費用ですね、医業の費用の中で職員の皆さん方の給与費、これが大体半分でございます。したがって、こうした職員の給与費をどのようにしていくのか。これは、管理者の側からとっても非常に重要な事項でございますし、また、職員の団体側からは、勤務条件の改善を求めるという立場からは、常に管理者の皆さん方に対していろんな働きかけが行われているわけでございますし、特に給与というのは大きなテーマにもなります。したがって、双方にとりましても、この経営という観点については大きく影響が及ぶというふうに考えるわけです。  先ほど申し上げましたガイドラインの中で経営形態を見直しをするというようなことを私どもも是非行っていただきたいというふうに思っていますが、そのことは取りも直さず、いろいろなところに見直しを行っていかなければならないわけでありますので、職員の皆さん方はとても強い関心事項でもあろうというふうに思いますし、それから、管理者側への働きかけも随分そのことによって行われてくるであろうと。  私は、今のお話に沿って申し上げますと、いろいろ現場の方に聞きましても大きく二つあって、労使間の折衝とか意見交換については、当然病院経営の大きな一環でございますので、できるだけ情報公開をしていく、住民の皆様方にお知らせをしていくと、こういう考え方もございますし、一方で、直接の当事者にしてみれば、これは必ずしも組合だけではなくて、管理者側にとりましても、現に折衝中の事案についてなかなか情報を全部を開示していくと率直な交渉などに差し障りがあるんで、現実にはそれを控えるような傾向になってしまうという話も聞いたことがございます。  いずれも、それぞれ現場でやっている人たちの切実な本音が表れている部分はあるなというふうに思うんですが、ただ、今置かれている公立病院の状況、それから経営も大変逼迫している、そして多くの場合に一般会計から当然繰入れをしているということで成り立っている公立病院でございますので、経営の状況がどうなっているか、それからいろいろその細目がどうなっているかというのは、住民の皆様方に公開をする、お知らせをしなければやっぱり成り立ち得ない。そして、先ほどのような住民の皆様方の協力というのも、そういう内容が明らかにされていることを前提に地域の皆さん方も病院にいろいろと協力を申し出るということにつながっていくんだろうというふうに思いますので、私は、そうした病院の経営の状況についてもでき得る限り明らかにしていく、オープンにしていくということがやっぱり望ましいんだろうと。もちろん、これはタイミングとか、それから全部が全部、今現在進行形中のものをその都度公開するということは現実にはなかなか難しい場面もあると思いますので、そこは十分にタイミング等はお考えいただければよろしいんだろうと。  これは、もうそれぞれの公共団体において適切に判断をしてやっていかれるということだろうと思いますけれども、広く住民の理解がないと、こうしたものというのは今後は成り立っていかないだろう。特に、何でも大きな病院に来るということじゃなくて、地域で解決できることはいろいろ地域で解決していくということを病院の側からも今後お願いしていく場面が多いと思いますので、そういうことを考え併せますと、病院の管理者のみならず、職員の皆様方全部含めて、ひっくるめて、病院経営ということについて住民の皆様方の理解を得るということにやはり意を用いていただきたい、そういうことに十分配慮していただきたいと、こんなふうに思っております。 ○末松信介君  堂々たる御答弁ありがとうございます。  この質問というのはやっぱり聞きにくいんですよね、我々も実際のところ。答える方も答えにくいんですけれども。しかし、これを抜きにしては、組合の方の存在を抜きにしては、やっぱり経営の改善は絶対できないということは我々分かっているわけなんですよ。  大変御丁寧な御答弁をいただいて、情報公開はできるだけやっぱりやっていくべきであろうということと、住民の理解を求める上で必要であろうというお話もありました。  私は、労働組合の皆さん方が、労働条件に固執する余り、今までの既得権をずっと守っていこうとするというところがあろうかと思うんですけれども、それについて覚書に交わされていてなかなか外へ出ないという問題あるんですけれども。もう願わくば、組合の存在は当然あってしかるべきだし、組合は組合できちっとした活動をされるべきなんですけれども、いったんこれだけの難しい時代になって、病院がひょっとしたらなくなってしまうかもしれないと、一般地方独立行政法人になったらこれは非公務員化ですから。こういう状況に立ち至った場合、一度そういった既得権というのは白紙に戻して積み上げるやり方なんというのはできないのかなということを、そういうことも実は思ってしまうんです。まあ組合の私専門じゃないんで分かりませんけれども、そういうことも一度是非話し合っていただきたいんですけれども、どういう労使交渉がなされているかということはなかなか伝わってこないわけなんです。  で、管理者側、まあ使用者側も悪いですよね。やはり県立病院の管理局長というのは、これ大体九級とか十級ですから、ほとんど定年の前の方が来られる。あるいは、そこで転出しても、二年後にはもう定年というクラスの方が来られるから、何が問題かといったら、やっぱりきちっと組合の方と向き合って話をしているかといったら、自分の管理局長である時代には問題を起こしたくないということがある。それで、次の管理局長に漏らすと。次の管理局長さんも同じようにやると。で、病院事業管理者は、もめ事を起こすなってやっぱり概念があると思うんです、考えが。そういうところが、物の本質というものを私はやはりきちっととらえず、ずっと先送ってきた課題だというふうに、そのように考えております。  是非、いい提案というものを、地域医療にとってこうだという提案を組合の皆さん方にしていただけるような環境づくり、それと労使の在り方ということを是非御要望申し上げたいと思います。  じゃ、次の質問に移ります。  自治体病院の経営方法につきましては、これは地方公営企業法の一部適用、全部適用もあります。それと三つ目は、公設民営と言われますけれども、指定管理者制度があると。四つ目は、経営を民間法人に移譲するという民間移譲があります。五つ目は地方独立行政法人と。これももう一般と特定とに分かれていまして、一般が非公務員型、特定がこれは公務員型ということになっているわけなんですけれども、実は今年の四月の一日に、非公務員型のいわゆる一般地方独立行政法人になった病院がございます。那覇の市立病院なんですけれども、実は知り合いがおりましていろいろとお話を聞かせていただいたんですけれども、随分いろんな苦労を重ねてこられた上で出した結論だったわけなんですね。もうちょっと時間がなくなってきたので話は省略しますけれども、一つの大きなきっかけとなったというのは、この七対一の話なんですよね。入院基本料の七対一ということです。  私ここでずっとお尋ねをしたいということがありますのは、厚労省は、この医療費の診療報酬の改定で看護師を増やして手厚い看護体制を取ればこれは点数を上げてあげようという、そういうことを言っている。しかし、一方総務省は、国の公務員削減に沿って四・六%の人員削減計画、これを出していると。ということは、一方は手厚くしなさいと、一方は手厚くしないような方向性と。現場は随分矛盾していると思ったそうなんですよ。これについてどういうように考えられるかということを一つお尋ねしたい。  二つ目は、この自治体病院がなぜ七対一の体制が難しいかといいましたら、これは定員条例の縛りがあるんですよ。もう一つは、久保局長も御存じのとおり、年功序列の給与体系による赤字体質というこの二つがあるわけなんですよ。これが七対一に実施できなかった大きな原因なんですよね。公務員削減計画においては、自治体病院の、この職責というんでしょうか、職員については例外扱いするという方法もあるんですけれども、実際は急性期の病床を減らして入院日数を減らしてとかいう一方で考え方があります。こういった中ではそういうことも極めて難しいということもよく分かるんですけれども、この二点をどのように考えられるかということの所見を伺います。 ○政府参考人(久保信保君)  きちんとしたお答えになるかどうかちょっと自信がないところがございますけれども、地方公務員の職員総数、これはもうただいま御指摘の中にもございましたように、私ども、この二〇一一年度までの五年間で国家公務員の定員の純減、これは五・七%でございますけれども、これと同程度の定員の純減を行うことを要請をしております。病院事業につきましては、これも御指摘のように、収入確保との関係上、弾力的な定員の配置といったようなことが求められる場合があるということは、これは事実であろうと思います。ただ、いわゆる基本方針二〇〇六、これは公務員数の総体に着目してその削減を求める趣旨でございまして、病院事業に関係しております職員が地方公務員としての地位を有する以上、総体としての削減対象に含める取扱いとされるということはこれはやむを得ないだろうと考えております。したがいまして、各地方公共団体におかれましては、病院事業において必要な人員を配置しながら、他部門を含めた地方公共団体全体としての所定の職員数の削減を図られるということを私どもとしては期待をしているということでございます。  また、この問題を考える契機となったと委員御指摘がございましたけれども、私ども、今回十二月の二十四日に出しました公立病院改革ガイドラインというのがございますけれども、この中で、非公務員型の地方独立行政法人化でございますとか、あるいは指定管理者制度の導入といった経営形態の見直しにつきましても、平成二十年度、今年度に検討してもらうように要請しております公立病院改革プラン、この中で是非とも御議論をしていただきたいと考えております。  公務員総数の削減と病院事業において必要な職員の弾力的配置の要請、この両立を図りながら、なおこの職員の給与体系の見直しを図るといった、そういった契機とする上で、こうした経営形態の変更を通じた民間的経営手法の導入、これは有効な手段の一つであろうと考えておりますので、各地方公共団体において積極的に検討していただきたいと、そのように考えております。 ○末松信介君  局長の御答弁、よく分かります。しかし、なかなか解答は、これ出すのは難しいですね、はっきり申し上げたら。そう思います。  この市立那覇病院の先生の話では、最終的には非公務員型の独立行政法人になったんですけれども、公務員という身分と定数、年功序列の給与体系に固執して、少ない定数看護師で厳しい勤務体制を続けて疲弊していくのか、それとも独立行政法人化、非公務員型で定数に縛られず必要な看護師を正職員で確保、ゆとりのある質の高い看護をしていくのか、決断のときが思ったより早く来たということで、組合の方とも話しながら決断をしたということで、その成功を望むわけなんですけれどもね。  ファクスをずっと、ちょっと送っていただいたら、公立病院の問題というのは地域や規模によって異なるものがありますが、私は個人的には、医療職は公務員の身分より医療の担い手としての使命感が強く、またそうでなければならないと思っていますと。日本の医療のセーフティーネットはやはり公的病院が守るべきだし、そのような公立病院に働くことに誇りと生きがいを持っていますと。  彼女は、よく言うのは、公立病院は、さっき大臣が答弁されましたけれども、やはり最後のとりでだと言うんですよね。結局、民間が不採算になったら、救急とか高度医療だったら、高度医療の場合不採算になりますから放していきますけれども、公立は逃げられませんし、やっていかなきゃならないと。だから、やっぱり最後のとりでだということを言った、そのことを言ってましたです。それと、やはりつらかったのは、リストラのために地方独立行政法人化したのかと言われることが大変つらかったということを言っております。  今日、二月十七日、朝の「サンデーモーニング」に増田総務大臣が出ておられましたが、県立病院の多い岩手県知事がやっておられただけあって、よく理解されていたように思いましたということが書いてあります。男っぷりがいいとは書いてなかったんですけれどもね。でも、僕は見てないんですよ、そのテレビを見てないんですけれども、大変いいお話を何か「サンデーモーニング」でされたということを聞いております。そういうことでありますので、またよろしくお願い申し上げます。  どんどん時間がなくなってまいりましたので、次の質問に移ります。  自治体病院の財政上の危機には一時借入金の問題がございます。多くの自治体からは補助金とか負担金が出ているわけなんですけれども、金融機関からも一時借入金を行うことが多うございます。現状はどうなっているのか、全体の状況と、ベストというよりワーストテンを教えていただきたいと思います。 ○政府参考人(久保信保君)  経営上資金不足が生じた場合、一時借入金によって御指摘のように当面の資金繰りを行うといったことになってまいります。実質的な一時借入金の残高、これを測定する指標といたしまして、公営企業会計におきましては貸借対照表上の流動負債から流動資産を差し引いた計数を用いるということにいたしておりまして、これを不良債務と称しております。  平成十八年度決算におけます病院事業会計における不良債務の総額、これは百四事業体で計九百五十三億円となっております。額が多い順から申し上げますと、大阪市が百二十八億円、一部事務組合下北医療センター、これ青森県にございますけれども、これが七十六億円、沖縄県が六十億円というふうになってございます。なお、大阪府につきましては平成十八年度から地方独立行政法人になっておりまして、大阪府立病院機構と称しておりますが、公営企業会計で言う不良債務に相当する額は五十三億円となっております。沖縄県に次いで全国で四番目に相当する金額でございます。そのほか、小樽市、神戸市、赤平市、釧路市というところが不良債務が多いというところでございます。 ○末松信介君  ありがとうございます。  地方公営企業法第二十九条によりますと、ちょっと六法全書を調べてきたんですけれども、借りたお金は原則その年度中に、遅くとも翌年以内に返済しなくてはならない。ところが、自治体財政も厳しいため、一時借入金を返済できず借金が増え続けている病院があるわけなんですね。これは、その一時借入金、二十九条、ここにちゃんと書いてあるんですけれども、これは法律に違反をしておるというように我々受け止めておるわけなんですけれども、これはちょっとおかしなことなんですけれども。  それで、病院事業債発行額と病院事業にかかわる普通交付税の額の推移を見ますと、昭和六十年度にはその差は五百億円程度であったわけです。景気対策が続いた平成元年度以降では一千億円前後に膨らんで、病院事業債発行額のピークであった平成十年度においてはその差は千五百億円を超えております。地方財政の悪化とともに病院事業債の発行額は急激に減少することになるわけなんですけれども、その償還額が膨らみ続けております。にもかかわらず、病院事業にかかわる普通交付税額は平成九年度以降横ばいが続いているという状態なんです。一時借入金については、平成元年度九百八十一億円まで縮減したものの、その後の景気対策等のため千六百億円前後で続いております。また、この地方財政計画ベースの病院事業会計に対する公営企業の繰出金と、決算ベースの病院事業会計と一般会計その他の会計からの繰入金を比べますと、繰入金の方が常に一千億から一千五百億上回っているということなんですよね。これはもう久保局長はよう知っておったようなんです、この辺の話は。  これは、地方財政計画ベースでの普通交付税措置が不十分であるということを示しているんじゃないかと私は思うんですよ。このことはよく議論されるんですけれども、局長か大臣の答弁をいただきたいと思います。 ○政府参考人(久保信保君)  一部の病院事業体、病院事業を経営している地方公共団体では、もうこれは御案内のとおりでございますけれども、近年の医師不足の深刻化などによりまして資金不足が発生する一方で、医療提供体制の見直しとか費用の削減合理化、こういった努力がまだ十分ではないといったようなことで、一時借入金、不良債務、これが累増するといった傾向も見られます。  また、御指摘がございましたように、一般会計繰入金に関係いたします地方財政計画の計上額と決算額との乖離でございます。これは、地方財政計画の計上額は、例えばへき地医療でございますとか救急医療といった能率的な経営をもってしても採算が合わないと、あるいはその採算を合わせるのが適当でないといった、そういった経費、これは地方公営企業法十七条の二というのに基づきまして、私ども、繰り出し基準というのを作っておりますけれども、この繰り出し基準に基づいて算出をいたしたものでございます。  他方で、決算統計の繰入れ実績額、これ一千億円の乖離があると御指摘がございましたけれども、これは個々の病院事業体ごとの繰入れ実績の積み上げでございまして、地方財政計画額を上回っておりますのは、これらの中には、必ずしも明確な繰り出し基準によることなく現実の病院事業運営の結果生じた赤字を補てんするといった目的で、地方公共団体の判断によって繰入れが行われている場合があるというふうに考えております。  現在、過疎地などにおきます病院とか診療所、これは近年の医師不足によって特に経営が悪化しているということがあることも事実でございますので、私ども、年末のガイドラインにおきまして公立病院特例債というものを新たに六百億円の規模で設けて、短期のそういった一時借入金の増加額、不良債務の増加額を長期債に振り替えるといった、そういった措置も講ずるようにいたしております。  またさらに、このガイドラインを作りました母体となった公立病院改革懇談会というのがございましたけれども、そこの場でも、病院建物の建築費とか病床数に応じた財政措置について一定の限定を付する方向で見直すべきではないかといった、そういった御意見もございまして、そうした公立病院に関係いたします地方財政措置、これを今後やはり見直す必要があるだろうと、こう思っておりますので、そういった中で、御指摘があった点も含めて財政措置の重点化につきまして検討していきたいと考えております。 ○末松信介君  最後の質問をします、あと礒崎先生が続きますので。  決算統計では、公立病院に対する一般会計繰出金、この負担金の性質によりまして、医業収益、医業外収益、これは一つの収益として整理することになっておるんですけれども、一般会計繰出金の額が地方公共団体間で大きく異なっている実態を踏まえますと、公立病院の経営の比較を行う場合、経常収支の成績と医療成績とが必ずしも連動していないと思うんです。つまり、経常収支は良いけれども病床利用率、診療単価が悪い病院がある。一方で、経常収支は悪いけれども病床利用率が高くて診療単価が高い病院があると。  平成二十年度に各地方公共団体が公立病院改革プランを策定する場合、数値目標を設定するよう総務省はこれを指導しております。しかし、他団体と客観的に経営比較を行わなければならない場合、適切な数値目標の設定が大変難しいと思うんですよ。そこで、総務省においては繰出金の額に影響を受けない経営指標、さっきちょっと話がありましたけれども、経営指標を作成し、それを地方公共団体に提示すべきだと考えますけれども、この点を伺いたいということと、もう一つは、公立病院に対する一般会計繰出金が地方公共団体間で大きく異なっている実態を踏まえますと、まあ発射台が違うわけですね。この繰り出し基準をもう少し、さっき繰り出し基準はあるとおっしゃいましたけれども、もう少しこれを具体化する必要があると考えるんです。その見直しに当たっては総務省が一方的、事務的に決めるんではなくて、例えば医師なんかを入れて専門的な第三者機関をつくってはどうかということを提言申し上げて、最後の質問に代えます。 ○政府参考人(久保信保君)  御指摘の公立病院、この不採算の部分につきましては、一般会計の負担金などによって賄われることが地方公営企業法第十七条の二などによって認められておりますので、その算定基準、すなわち繰り出し基準に基づいて所定の繰り出しが行われますと経常黒字が達成される状態となるということ、これすべての公立病院に共通することでございまして、それを前提といたしまして数値目標設定のこの経常黒字というのを必須の項目といたしております。  その一方で、これも御指摘のように、経常収支比率には一般会計などからの現実の繰入額の大小が反映されますので、ガイドラインでは経営環境が類似した病院間で言わば実力ベースでの比較を行おうとする場合にはむしろ医業収支比率を用いる方が適切なことも多いのではないかと、こういったこともガイドラインの中には明示をしております。  そして病院事業におきます繰り出し基準、これは繰り出すべき経費の考え方を定性的に示すということに留意しているというのが多いわけでございますけれども、これはやはり全国で約千の公立病院が置かれております経営環境は、立地の条件、都市部であるとか農村部でありますとか、あるいは一般病院か専門病院かといった医療機能などによって様々であるということがございますので、一律の定量的基準を設定するということはこれなかなか困難だということでございます。  したがいまして、具体的な一般会計との間の負担区分のルール、これは各病院の実情に応じて各地方公共団体において定められるべきものと考えております。この度のガイドラインでも改革プランを作りますときには、まず最初にそれぞれの病院、この果たすべき役割、これを十分議論していただいて、そして一般会計がどのような形で負担していくのか、独立採算ができない部分についてはこれはもう法律上負担しなければいけないわけでございますので、そういったことをまず徹底して議論をして病院ごとにその性格を明らかにしてほしいということをまず申し上げております。そして、そうした改革プラン等を作ります場合には、御指摘がございましたように、第三者で組織される評価委員会等で議論をしていただくということが望ましいと考えております。  私どもといたしましても、各地方公共団体で改革プラン策定作業の参考としていただけますように各団体における具体的な負担区分の事例、これを収集して、そしてそれをそれぞれ紹介をしていきたいと考えております。 ○末松信介君  残余の問題につきましては、また次回質問させていただきたいと思います。大臣、局長には丁重な御答弁ありがとうございました。  終わります。