活動報告

2008-04-17
第169回国会 参議院総務委員会 第10号

169-参-総務委員会-10号 平成20年04月17日 ○末松信介君  おはようございます。自民党の末松信介です。二十分間でございます。大きな質問をいたしたいと思います。  今日の財政を語るときに、三位一体という言葉が常に使われます。そのときに、小泉元総理の名前が必ず上がってくるわけであります。  総理が、小泉元総理がさっそうと登場されたのが二〇〇一年であると。一九九五年に総裁選に出たときには八十七票と。九八年に出たときには、三票減らして八十四票と。二〇〇一年には、何と二百九十八票で、橋本元総理に百五十五票、大差を付けて勝利をしたということであります。  一度、二之湯政務官なんかと一緒に総理と話をする機会が一昨年の年末あったんですね。そのときに、なぜ総理はそんなに強いんですかと言ったら、おれは強いと思ったことはないと、やらなければならないことをやってきたという、非常に立派な話をされたんです。  私、七年前に、神戸に、まあ疑似首相公選的な選挙だったんですけれども、行われたときに、演説された話の中で二つのことが大変印象的なんですけれども、一つは、改革なくして成長なしということを一つ言われたんです。もう一つ大事なことを言っておられました。必要な負担は国民にお願いするということを言っていたんですよ。確かにそういう点では、総理、今日までの改革の中ではいろいろと国民に痛みを感じるものもあったのかなということを思うわけなんですけれども、一番私は、小泉内閣、この五年半の政権の中で、東京一極集中が加速されたということが大変残念であるということを思っているわけであります。総理にその話をしましたら、歴史のとらえ方が違いますよね、総理は戦後と今日までという感覚でとらえると。我々はやはりここ二十年、三十年という単位でとらえるということで、政治家も時代の幅の取り方で政策や考え方というのは違ってくるんだなということを痛感をいたしたわけなんです。  ただ、小泉元総理は、絶対やらなきゃならないことは、格差是正の装置というものは必要であるということは強く言われました。今回、地方法人特別税というのは、私は、そういう面で格差の是正をするものであろうかというように認識をいたしております。  ここで検証したいことなんですけれども、地域間格差のことにつきまして、簡単に分野別でちょっとお話を聞いていただきたいと思うんです。人口であります。  人口は、せんだっての新聞に出ておりましたけれども、東京都民が全国の十人に一人になったということであります。東京、神奈川、埼玉、千葉は、この東京圏、一都三県でつくる東京圏で三千四百八十二万人、全国の人口の二七・三%を占めているということであります。東京都も、最近の五年間で四・二%人口が増えたと。神奈川県でも三・六%ずっと増えているわけなんです。秋田県は逆に三・九%減った、和歌山県は三・二%減ったということで、地方の減少が目立っていると。  二つ目の給与所得、これは国税庁の国税庁統計年報書によりますと、平成八年と平成十三年とを比較すれば全国の都道府県では給与所得は減少いたしました。しかし、平成十三年と平成十八年とを比較すれば全国的に給与が増加している。東京都は、何とこれは突出して二〇%増加をしているわけなんです。栃木、埼玉、神奈川、静岡、愛知も増加しています。一方で、北海道、青森、大臣のおられた岩手県は減っておるんですよ。秋田も減っている、山形も減っているという、こういう状況です。  利子・配当所得についてお話を申し上げますと、平成八年と平成十八年の利子所得と配当所得の変化を見ますと、利子所得と配当所得の合計では二・六兆円から二・八兆円、七・五%確かに増えているんです、この十年間で。そのうち、利子所得と配当所得の内訳では、その比率が平成八年では二対一だったんです。利子所得が二、配当所得で一だったんです。それが、平成十八年には利子所得が一、配当所得が五、一対五になっておると。平成十八年には配当所得が圧倒しているわけなんです。  これはどういうことかといいましたら、結局、金融あるいは証券改革というものがもう東京一極に集中をして恩恵を与えたと。都道府県別に見ますと、東京都の全国シェアが三七・三%から六八・五%に上がっているということが、こういう数字が出ております。  それと、事業者数と従業者数を見ますと、平成十三年と平成十八年の比較では、事業者数は、全国の都道府県は事業者数が全体的に減っておると、とりわけ大阪、京都、四国四県は大幅に減少しているんです。しかし、従業者数では全国の減少が続く中で埼玉県と東京都と愛知県と沖縄県だけは増加をしているという傾向がございます。  そして、最後に法人所得でありますけれども、これは法人二税の地域間の偏在が問題になっているわけなんですけれども、最近の十年間を見ますと、東京都の全国シェアは平成八年四二%から平成十三年四四・五%、平成十八年には四七・一%に達しております。大阪は平成八年が一二、平成十八年が一一・八%と横ばいなんです。そして、愛知県は平成八年六・九%だったのが平成十八年六・九から九・三になって大阪に迫っているというのが今の日本の実態なんです。  私はそういう点で、今地域再生法であるとか地域力再生機構であるとか、地域、地方という言葉がもうあふれ返っているんですけれども、この実態というものを総務大臣はどのようにとらえておられるのかということ、問題点をどう考えておられるのかということにつきましてお尋ねをいたします。 ○国務大臣(増田寛也君)  お答えを申し上げますが、今いろいろ委員の方から分析結果に基づく数字がございましたんですけれども、私も法人二税の税収が、全体としては近年急速に回復しましたけれども、その内容を分析いたしますと、まさに今お話ございましたとおり、大都市にというよりも東京に集中をしている、極めて集中をしていると、それがまた近年更に加速化されつつあるような状況になっていると。企業を始めとした経済活動総体を我が国全体として見ますと、その経済活動全体が東京に集中をしてきている、そのことがまた翻って各種の地域間の格差を生ずる原因になってきていると、こういうふうに分析をしております。  そして、このために今政府として取るべき喫緊の課題というのが、産業の振興により地方の経済活動を活性化させるということがしたがって政策の急務の目標になりますし、そのために今回、地方税の偏在是正などもその一助としての意味合いも持っていったわけでございますが、いずれにしても、数字は私の方でもうあえて繰り返して申し上げませんけれども、経済活動、我が国全体の総体の経済活動が大都市というよりも東京に一極集中していると、これが今日、我々として早急に対応していかなければならない格差の問題の主要なターゲットになっている、相手方になっていると、こういうふうに考えております。 ○末松信介君  大臣のおっしゃるとおりでありまして、富が更に富を吸い込んでいくという状況が続いていまして、平成の一けた台に兵庫県でも本社が東京へ大幅に移ったんですね。  今日、委員の先生方の資料にお渡しをいたしておりますんですけれども、企業が東京に本社を移転した際に得られるメリット、デメリットを書いているんですけれども、なぜ東京に移転していったかといったら、業界・他社情報が得やすいということが、百社のうち四十七社がそう答えていると。次は、市場・顧客情報が得やすいということで四三%、四十三社が百社に対して答えていると。全国各地への交通アクセスが良いが三十九社。関係官庁との接触、情報入手に便利ということが三八%なんです。  私の知り合いのエスケー食品という、ロイヤルホストさんなんかにエビフライを売る会社があるんですけれども、その社長さんは、ロイヤルホストは福岡だから福岡へ出張に行かれるんですかと言ったら、福岡は行かないと。おれの行っているのは、養殖して輸入するインドネシアと東京だけの三角形だけだと。神戸市内も回らないと。なぜかといったら、材料調達部というのは、本社は福岡にあっても材料調達部の決裁権は東京に置いてあるんだということで、だから東京に行くんだということなんですよね。そういうことでありますから、神戸で接待をしてお金を使うということもなくなってしまうという実態がいっぱいあるわけなんですよ。  例えば、雪印乳業を例に取りましたら、雪印乳業はこう書いてあるんですね。雪印乳業は戦前に札幌で創業しましたが、高度成長とともに全国展開を進め、本社機能を一九五八年から一九六六年までに段階的に東京に移転しましたと。全国展開に伴う外部資金調達に際して、金融機関、証券会社との対面接触による高度な専門情報の交換が欠かせなかったことが財務部門の東京への移動につながったと指摘していますということが文献として残っているんですね。  こういうことでありますから、やっぱり抜本的に考えていかなきゃならないということ。首都機能移転という法律がありましたけれども、あの法律が一体どうなってしまったんだろうかということが自民党の部会で時々出るんですよ。急に、忘れたときにきゅっとだれかが言い出すんですよね、どないなったんだと。やはり、これはもう税を少し中でいじってどうこうするという問題じゃなくて、根本的に地方を知っておられる総務大臣がその先頭に立っていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。  それで、次の質問なんですけれども、地方法人特別税というのを二兆六千億創設をされたわけでありまして、私申し上げたいのは、その中で、譲与税として地方に再配分することによって四千億を都市部から地方部に移すということであります。この四千億については、地方再生枠ということでいろいろと、第一次産業に手厚くするとかいうことを書いているんですけれども、本委員会で盛んに主張されているということは、これ与野党共通していることは、五兆一千億の地方交付税の復元をしてほしいということは大体共通した意見だと私は思っているんですよ。そうして考えたら、この四千億というのは大きな額なのか小さな額なのか、私は分からないんですよ。  ふるさと創生一億円というのがありました。私の淡路島の淡路市、旧津名町で、あの一億円をどう使うかということで、金塊に変えてそれを展示して、観光客を呼び込むことにしたんですよ。その意味がどういう意味でやったかということは私は分かりません。しかしながら、いろんな工夫をしたということで、あのふるさと創生一億円というのは功罪あったのかなという気はするんですけれども、四千億円というようなお金というのは大きな意味があるのかないのかということを、ただ、メッセージを発信する上では私は大きな意味があると思うんですけれども、ダイナミズムに多少欠けるんじゃないかという不安を持っています。  そこで、総合的な戦略的プランに基づいてこれを実行していかなきゃいけないと思うんですけれども、大臣の見解を伺います。 ○国務大臣(増田寛也君)  まず、この四千億の認識でありますが、今委員からもお話がございましたとおり、三位一体改革によって行われました交付税の抑制規模、その規模と比べると、今回のこの措置が十分でないという意見があると、このことは私も十分に認識をしておりますし、またそういった御意見に対して今後謙虚に耳を傾けて今後の対応につなげていかなければならないというふうに思っております。  そういうことを前提にしつつ申し上げておりますのは、今までもう四年、五年にわたって交付税あるいは交付税を含む一般財源総額はずっと削減傾向にあった。そして、そのことに伴って、地方も大変厳しい様々な行革を始めとする削減措置を行ってこなければならなかった。そうしたことに対して、今回、百八十度方向を変えて、地方の実態にきちんと真っ正面から目を向けて、そうしたものに自主的な、あるいは創造的な、主体的な活性化施策に必要な財源を今回措置をしますということを申し上げて、予算でそれを規模の問題はございますが実現をさせたという、その方向を百八十度変えたということが政府の今後に向けての意思表示であって、ある種、地方の不安や閉塞感を除去することにもつながるんではないかと、こう思ったわけでございます。  したがいまして、今申し上げましたようないろいろな声というもの、御意見、それには謙虚に耳を傾けて、その上で今後の地方財政あるいは財源の充実確保というものに当たっていきたいというふうに考えております。 ○末松信介君  大臣、大いに期待をいたしております。与党ですからくさす気は全くありませんので、是非検証しながら進めていっていただきたいということ、それと、この交付税の復元ということについては、ひとつ原点に立って考えていただきたいと私は思います。  もう五十六分までなので、法人事業税のことについてちょっとお伺いしたいんですけれども、法人事業税は法人が行う事業そのものに課せられる税でありまして、法人がその事業を行うに当たっての各種の行政サービスの提供を受けることを考慮して必要な経費を分担するという趣旨のものであります。今、細かなことはちょっと省略しますけれども、法人の事業所数が二つ以上の地方団体にある場合には分割基準を、二分の一を事業所数で、残りの二分の一を従業員数で案分することになっているわけであります。  私、常々思っていることは、法人の事業活動がすべてその所在地の地方法人で完結しているならば、この分割基準というのは当たらずとも遠からずだと思うんです。実際には、法人所得というものを生み出している商品の原材料という、この仕入先というのはいろんなところから仕入れているわけですよね。同時に、商品を売りさばいていくのも、これはもういろんな県境を越えて全国的に売っているということになってきますから、ある意味では、こういった事業活動というのは全国各地の行政サービスの恩恵を受けて成り立っているわけでありますから、ここに税の偏在感の根源があるんじゃないかなということを思うわけなんです。  資料がここに、二枚目、お作りしているわけなんですけれども、お渡ししているんですけれども、これを見ていただいて分かりますように、私は、地方税収の偏在度を比較したものでありますけれども、地方消費税や人口に比べて法人二税の偏在が際立っているわけなんですね。私も、ある面では地方消費税、商品を売る、東京一三・六、商品を作る、県内総生産、一七・六東京ということと数字が、この法人二税というのはある程度並んでこなきゃおかしいと思うんです。さっきの本社が東京に移っているとかいろんな問題はあるんですけれども。  そういう点で、大臣がこれをどう考えておられるかということをお尋ねしたいと。偏在がどの程度解決をされれば抜本的な税制改革となったと、偏在がなくなったということになるのかということを、このことをお尋ね申し上げて、残念ながら最後の質問にしたいと思います。 ○国務大臣(増田寛也君)  今、法人事業税の分割基準の話がございましたんですが、要は、委員からお話ございましたとおり、最近の企業活動の形態が以前とは大分変わってきている、IT化とかアウトソーシングが大分行われたりと。この法人事業税の分割基準の在り方は、私は、そういった企業の活動実態が大分変化をしてきているということを十分に踏まえた、実態に合った基準というものを設けていくということに尽きるんだろうというふうに思います。  そして、偏在の関係でありますが、これなかなか、数字でどの程度になればいいのかということも申し上げづらいところがありますが、ある程度の税の偏在自身が、税でございますし、経済力に違いがあるので、これは生ずるのはやむを得ないと思っていますけれども、しかし法人二税についてはかなり偏在度が高いということはもうおっしゃるとおりでございまして、これは六倍ということでございました。  今、ここにございますとおり、地方税の計でたまたま、地方税収の全体で見ますと、最大最小の差というのが今三・一倍という平均、そういうことになっていますね。それで、県内総生産の最大最小の比率でございますと、こちらの方は二・九倍ということで、大体地方税収全体でとらえますと、県内の総生産のこの比率と大体同程度だと。  ただ、それを今見ますと、その中で偏在度が非常に大きな地方法人二税というものの、あるいはとりわけ法人事業税というものがやはり問題になるんだろうと思うので、今回、残念ながらきちんとした実現はできませんでしたけれども、それを地方消費税、これは偏在が大変少なくて一・九倍程度でございます、こちらに置き換えるということによって地方税としての本質をきちんと実現できるんではないか、こう思ったわけでございます。  したがいまして、個々の税目ごとに何倍程度だったらいいかというのはなかなかお示しはしづらいんでございますが、税収全体として、今地方税収全体は県内総生産のこの比率には大体合っているんで、その中で見て、やはり今後、地方消費税のウエートを高めていくということが、全体としての偏在性を是正するのに極めて有効でございますので、これが今回、税制改正の方向にきちんと入りましたけれども、その方向に沿って今後実現していくということがそういう意味からも大変重要だと、その実現に全力を挙げて取り組んでいきたいと、こういうふうに考えます。 ○末松信介君  時間がなくなりました。  地方税収の安定を図る観点から、消費税とこの地方法人課税との交換の話なんかをちょっとしたかったんですけれども、以上で質問を終わります。  ありがとうございました。