169-参-総務委員会-19号 平成20年06月05日 ○末松信介君 自民党の末松信介です。 いつも地方財政とか病院のこととかいろいろ聞いてまいりましたんですけれども、今日は予期しなかった一般質疑が当たりましたので、気楽に思うところを聞いてまいりたいと思っております。 実は、最初に大臣にお聞きをしたいのは、外来語が行政の中にもはんらんしておるということにつきましては、以前から大変気にいたしておりました。三年間国土交通委員会に所属をしましたときにも、国交大臣にもお聞きをしたことがございます。 昨日も日本海沿岸の漁業の議員連盟があったとき、EEZという言葉が出て、これはよく新聞で括弧書きで排他的経済水域と。CCZというのは、二十年前に出てきましたとき、何かなと思ったら、コースタルコミュニティーゾーンですよね。今日は今航空法の趣旨説明を国土交通委員会やっていますけれども、去年質問したときに、RNAVってあるね、アール、エヌ、エー、ブイと、これどう読んでいいのかなと思ったらRNAV。これは高精度航法、広域航法、エリアナビゲーションと言うんです。変な飛び方しているんですよね。要は、飛行機を真っすぐ目的地へ飛ばしていって、CO2の削減と時間を節約しようという、そういうことなんですけれども、これが航空局では一般的になっていると。なかなかこれ分かりにくいわけなんですよね。ユビキタスという言葉、これユビキといったって、これ何のユビキかよく分からぬのですけれども、市民権をいつ得たのかどうかということが、だれが決めたのかということを常々私は気にいたしております。 それで、平成これは十四年、第十二回経済財政諮問会議でのこれ議事録にありますんですよね。小泉議長、これは元総理です、分かりにくいところがあると、アウトソーシング、これは民間委託とか民間参入だが、バックオフィスとは何か。片山議員、片山虎之助さんでしょうね、バックオフィスとは内部管理事務で、財務会計とか予算と。私たち政界ではバックオフィスというのは裏選対とかそういう意味を、裏事務所とか、そういう感じを受けるわけですよ。ちょっとやっぱり総理が分からなかったというのは私も分かるんですよね。裏選対って、いかがわしいことをやっているわけじゃないですよ、別に。 小泉議長は、その次、分かりやすく表現してもらわないと。地域の人が分かるように書いてほしいと。なぜアウトソーシング、民間委託、民間参入と書かないのか。片山議員、私も総理と同じ考えだが、これでも役所は抑えている方です。小泉議長は、直訳でなく、日本語で訳すべき。インキュベーターだって、ふ化と言ったって分からない。アウトソーシングなんて使う必要がない。民間委託なり民間参入促進でいい。バックオフィスと言ったって分からない。片山議員いわく、今の役所全体がそうなっている。日本語でやらないのは、受けるとか、斬新さがあるとか、それは日本語では必ずしもカバーできない部分があると。小泉議長は、それは英語を読んで直訳するからで、日本独自のことを考えないと。もっと分かりやすく、役人だけではなく、ここはいいことおっしゃっています、住民に向かって説明しなければならない。国民参加でないとどうにもならない。バックオフィス業務はよく説明してくれないと分からない。私が分からないのに、町内会の人たちは分からないと。最後に塩川正十郎議員が、本当に僕ら置いてきぼりを食っているということで終わっているんですよ。 このことにつきまして、大臣も、これは特に通信関係では恐らくたくさんの言葉出ていると思うんですけれども、これはどういうように今の外来語という使われ方について御所見をお持ちかということ、正さなきゃならない点はどういう点があるかということをお聞きをしたいと思います。 ○国務大臣(増田寛也君) 今、先生からお話ございましたとおり、総務省の仕事を見ておりますと、特に情報通信関係、ここが大変多いわけでありますが、外来語、片仮名であればまだいいんで、アルファベットをそのまま文書に書く、ASP、SaaSなんというのはまさにそうでありますが、そうしたことが文書の中に出てくる。 私も時々、これ一体何の略だとかどういう意味だと聞くこともございまして、まして、今委員からお話ございましたとおり、私どもの仕事が、地域の皆さん方にいろいろと理解をしていただくために使う文書というのは大量に出しておりますので、そういう文書の中にそういった言葉、外来語あるいは片仮名語あるいはアルファベットのつなぎ合わせをそのまま表記していることに余りにも慣れ過ぎて、鈍感にやっぱりなってきているのではないか。今回、御指摘をいただきまして、やっぱりそうしたことを常日ごろから本当に注意していかなければならないなというふうに改めて思ったところであります。 特に、国民の皆様方にお示しする文書については、分かりやすい表現、それから日本人としてなじんだ表現をでき得る限りやっぱり使うということも大変大きな要素であるというふうに思います。新しく外から入ってきた技術などをどうしても使うときには、これこれはこういうことだと、どうしてももし使うんであれば、きちんと注なりなんなりでそのことを表現するといったようなことも必要だろうと思いますし、今日、今御指摘をいただきましたこと、御指摘をいただいたんでまた改めてやるということがそもそも良くないのかもしれませんけれども、しかし、改めるべきところはやはりきちんと改めて、地域の皆さん方にとにかく十分理解できるような表現、国民の皆さん方にとって国民の立場で分かりやすい表現、もう完全に日本語的に使われているものであればこれは結構でありますが、そうでないものがやはり余りにも多過ぎますので、その点は、御指摘いただきましたことも十分に踏まえて、そうした御指摘をいただかないように、国民に理解いただけるようなそういう表現に心掛けていきたいと、こういうふうに思います。 ○末松信介君 ありがとうございます。 大変横文字並んだ言葉で、こういう文章がありましたんですよ。ヒートアイランド問題はタスクフォースでもって住民のアカウンタビリティーに努めると。これはもう日本語の入り込む余地がないということなんですよ。ですから、この辺りのことをよく考えていただきたいと。高い能力を持った方が自らを他人と差別化するためにこういった横文字を並べるというケースもあると思うんですよ。だから、こういった点を少なくとも役所は注意をいただきたいということを思っています。 先ほど大臣から話があったように、括弧書きにするとか、是非そういうことは念頭に置いて進めていっていただきたいなということを思います。何よりも住民に四人のうち三人ぐらいが分かるところ、最低二人に一人が分かるところぐらいからやっぱり始めていただきたいということを強く要望いたしておきます。 その次であります。次の質問に移ります。 先日、行政評価局の担当者の方が平成十九年度の政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告書、この冊子を持ってこられて説明をいただきました。吉開政策評価官だったか、大変丁寧な説明をいただきまして、感謝をいたしているわけでございます。私も少し帰ってから目を通したわけです。 今、地方自治体も投資事業をやるときも必ず評価委員会をやったりとか審査会なんかを常にやっているわけなんです。事前事後でやっぱりやっているわけなんですよ。費用対効果を考えた場合あるいは歳出削減を行っていく上では、政策評価というのはこれはもう絶対やっていかなきゃならない大変重要な私は行政のまさに施策であるというふうに認識をいたしています。 そこで、ちょっとお尋ねをしたいんですけれども、ここでお尋ねをしたいことは、行政評価機関が行う政策の評価に関する法律が施行されて六年目をこれは大臣、迎えております。総務省では精力的に政策評価の点検活動が行われてきたもので大変評価をしております。ただ、過去に一度も評価の実施の必要性の認定が行われていないわけなんです。それと、認定の入口で、整理した事実関係を踏まえてもなお解明すべき事柄が残るものとして対象案件が指摘されていない。政策評価の点検活動として少なくない、かなりの数ですけれども、各府省と意見交換をされておられます。その段階で、すべての指摘事項が解決していると思われない中で、どうして整理した事実関係を踏まえてなお解明すべき事柄が残るものが一件も指摘されていないのかということをお尋ねしたいんですよ。 先生方にお配りしておりますこの資料がありますけれども、ここで止まってしまっているんですよ、ここで止まっているんですよ。この下は一切活用されたことがないんですよ。全部横へ行って、「事実関係の整理がつき、解明すべき事柄が残らなかったもの」に入り込んでいるんですよ。だから、この点がどうしても私には分からないんです。 大臣のお考えをお伺いします。 ○政府参考人(関有一君) 先生御指摘のとおり、政策評価は政策評価法等に基づきまして各府省がその所掌する政策につきまして自ら評価を行うと、これが基本になっております。総務省はその実効性を担保するために点検を実施しておるということでございまして、評価の妥当性に疑問を生じたものにつきまして、総務省において各府省への照会を行いまして事実関係を把握、整理すると、こういう作業をやっております。 その際、事実関係の整理が付かない、私どもにとりまして必ずしも説得的な説明をいただけない、それでなお解明すべき事柄が残るというふうに考えられる場合には、総務省に置かれております政策評価・独立行政法人評価委員会におきまして調査審議を行った上で調査をやり直す必要性を認定すると。これ、正式なルートでございますけれども、これまでのところ、そこに至る前に各省とのやり取りの中で各府省におきまして評価を改善するということが表明されるなどしたために、このような認定に至ったケースはなかったということでございます。私どもといたしましては、認定に至らない場合でありましても、各府省におきまして評価を改善するということが表明をされました場合には、実質的には認定をして相手にやり直しをしてもらうということと同じ効果があるものというふうに考えておるところでございます。 なお、本年三月に取りまとめました十九年度の点検結果におきましても、四十七件につきまして評価のやり直し、適切な指標の設定、評価手法の修正のほか、今後の同種事業における評価の改善などを求めたところでございます。 今後とも、評価の実効性を一層確保するために精力的に点検に当たってまいりたいと考えているところでございます。 ○末松信介君 この本、私の事務所の方でも大分中読みまして、それでいろいろなチェックして、その総務省の指摘が解決されていないと思われる案件が十件、解決の具体的な方向性が明示されておられず将来的な検討に先送りされていると思われるものが十一件あるわけなんですね。もちろん私の事務所の見方が偏見があっては間違いになってくるわけなんですけれども、そういうことが思われたわけなんです。 総務省がいささか各省に気を遣い過ぎているんじゃないかなという、そういうことを思うんです。しかし、担当官と話してもしっかりとお話をなさるし、しっかりとした分析の話を聞くんで、そうかなとも思ってしまったりもするんですけれども。 私、この中で、少し見てみまして、先生方にお配りの二枚目のところでございますけれども、筑後川直轄総合水系環境整備事業という、これをちょっと注目してみたんです。総務省から国土交通省への照会ということで、総務省は国土交通省へこういうことをおっしゃっておられると。非常に水辺の空間をつくって大変きれいなものなんですけれども、これ四十二億お金が掛かっていますよ。本事業は、福岡県柳川市から大分県日田市までの筑後川における河川環境整備事業です。本事業の対象地区のうち大山地区は、河川の利用促進を目的として整備が行われている地区であり、大山水辺プラザとしての道の駅、水辺の郷おおやまと隣接しています。本評価ではTCMの手法、またこれ横文字ですけれども、着地点調査ですね、これ。TCMの手法によって便益を算出し、費用対効果分析を行っていると。ずっと続いているんですよね。 二つ目の指摘のやり方というのはこういうことなんですね。この着地点調査、TCM手法については、河川に係る環境整備の経済評価の手引きにおいても調査日、季節、曜日等により結果が左右される可能性が指摘されているところでありますと。本評価の調査は三日間にわたり行われていますが、実施日である平成十七年八月十三日土曜日、二十一日日曜日、二十四日水曜日は夏期行楽シーズンであり、本施設来訪者に占める水辺利用者の割合は冬期などと比較すると高いと考えられます。これは当たり前のことですね。事実、平成十八年度河川空間利用実態調査によれば、大山地区の各季節の河川利用者の割合は、春期五七・一%、夏期四〇・五%、秋期〇・三%、冬期二・一%であり、秋期や冬期には利用がほとんどありませんということを言われているんです。これは夏やったって、よくお客さん来られるときに、利用者が多いときにこの調査されているんですよね。 それで、このことについて総務省は、上記のことから、大山地区について便益は適切に把握できておらず、本評価のような調査手法は適当でなかったと考えられますが、貴省の見解を御教示くださいというように総務省は国交省に言ったんですよね。 それに対しての国交省の見解はこうなんですよ。これは本に書いていますからね、二百六十五ページにこう書いておられますよ。 今回のようにある季節のみの調査に基づく水辺利用者率を通年的に適用するよりも、各季節ごとに調査を実施して求めた各季節ごとの水辺利用者率を用いて親水施設の利用者数を求めることの方がより精緻な数値の算出につながるものと認識をしておりますと。いろいろ書いておられて、結果は変動し得るものと認識をしておりますと。 ずっと書いていきまして、最後、これは、ナンバープレートで見てこれ調査しているんですよ。一般的に、今回行ったナンバープレート調査ではなく、例えば水辺の利用者への直接アンケート等、よりきめ細やかな調査を行うことにより、より精緻な調査を行えば結果は変動し得るものと認識をしておりますと。だから、あえて言えばかなりあいまいな調査の仕方ということで書いている、認めているわけなんですね。一方、利用者への個別のアンケート調査を行った場合にはより多くのコストが必要となることも考慮しナンバープレート調査を採用しましたと。 以上のように、TCM手法を適用する際には、季節や利用目的等の条件について、よりきめ細やかな設定を行った調査を行うことで、より精緻な数値の算出につながるものと認識をいたしておりますと、こういうことで書いておりますですけれども。一方、このようなきめ細やかな調査を行った場合には、これに掛かるコストよりも増大するという問題があります、このため、一定の条件制約下で算出したものであり適切であると認識している一方、よりきめ細やかな設定を行った調査を行うことで、より精緻な値を求める余地を残している結果であると認識をしておりますという、何かどっちとも取れるような、何かもういろんなものが混じり合ったそういう文書になってしまっておると。 最後に、総務省の対応方針はこう書いています。便益が適切に把握できておらず、本評価のような調査手法が適当でなかったと考えられるが、本便益は一定の条件制約下で算出されたものであったとの認識が示されたことから、直ちに評価をやり直すことは求めない。今後、同種事業について採用された調査手法の確認を行い、必要があれば適切な調査手法に基づいた評価の実施を求めていくということで終わっているんですよ。 これは、私は、ある面ではこれ居直りとも取れるような書き方でもあるかなということをちょっと思ってしまうんですよね、何か。言う方、質問する側、答える側である程度筋書きめいたものがあるんじゃないかというようなことも考えてしまう。せっかくの行政評価局の能力を十分発揮できないような、そういう一つのフォーマットがあるかなというふうに思ってしまうわけなんですよね。 こういう場合、大臣としてお考えいただきたいのは、この事業費等評価のたびに、調査に必要な経費との関係で精緻な調査が困難であるという事情が勘案されて、将来的にも効率的な経済的な調査方法の確立に向けた努力表明で総務省としてもこの確認結果を収めてしまっていると、了解しているということなんですよね。 だったら、私は、適正な事業執行を担保するためには適正な政策評価が必要であるということで、調査コストが掛かるということをもって政策評価をおろそかにしてもいいのかということ、それは理由にならないと思うんですよね。この点について大臣の考えをちょっとお伺いします。 ○国務大臣(増田寛也君) お答えを申し上げますが、今回の国交省の方でやられた河川のこの評価は、これは適切ではないですね。これは適切ではないというふうに私も思います。 それからあと、コストの関係でありますが、確かに全季節を調査すれば大変掛かるんだろうと思うんですけれども、例えば本当に、これを余りコストを掛けずに、しかしもっと妥当な評価をしようと思えば、例えば春とか秋とか、そういう時期の三日間の調査を行って、それを年間のものにやっていく方がはるかに納得のいく調査になったわけですから、コストがうんと掛かるからというよりも、やっぱりコストを抑えながら、その中で妥当な評価をしていくと、そこを工夫していただかなければいけないと。ですから、そこをもっと私どももやはり指摘をするなりなんなりする必要があったのではないかというふうにも、これを見て私は思ったんですが。 それで、あと、今先生からお話がございましたが、やはりそれにしても、評価をするということが、これは次の、今後の類似の事業をしていく上でも非常に重要なことでありますので、せっかくある中からこれはサンプルで取り出して、それで評価をしているわけなんで、その部分についてはやはり必要なコストはきちんと掛けていかないと、せっかくそれを評価をする趣旨そのものまで今御指摘いただいたように無に帰してしまうのではないかというふうに思います。 もちろん、膨大なコストを掛けるということはいけないのかもしれませんが、しかし、そのこととコストを一定の中で抑えながら評価そのものを疑わしめないような、そういう工夫をするということは当然あってしかるべきでありますし、それをきちんと我々の方で自己評価をしている各省に促していくというのが私どもの役割でありますので、私は、やはりきちんと評価の制度があって、それを運用していく上では、やはり適切な範囲で掛けるものはきちんとコストも掛けていかなければならない。ただし、それをやはりできるだけ抑えて結果を出すような、そこを促していくのが我々の役割でありますので、この中で、次回以降の調査手法についていろいろ国交省に促しているということがありますが、私ども総務省自身もこういう今回の評価を受けて、この評価としての教訓として、やはり適切に指摘すべきところはきちんと指摘をする、そしてこの評価制度が持っている意味を失わしめないようなそういう運用をしていかなければいけない、今後そういうふうな形で努力をしていきたいというふうに思います。 ○末松信介君 大臣、ありがとうございます。適切な評価は実行しなきゃならないと、しかしコストも抑えていかなきゃならないという大臣のお考えを強く支持をいたしたいと思います。 それで、次の質問ですけれども、適正な政策評価が行われるためには、各府省の職員が調査業務を行うにせよ、外部に委託するにせよ、相当の額の経費が必要になると思われるんです、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども。本法律が施行して以来、政策評価のための経費は各府省でどのように計上されているのか。事務費等、予算の範囲内での実施が難しければ必要経費として計上していかなきゃならないと思うんですよ。総務省として更に標準的な算定基準を示すべきではないかということを最後にお尋ねして、この項目の質問を終えたいと思います。 ○国務大臣(増田寛也君) 何か参考になるようなことを私どもの方でも考えなければいけないなと、いろいろと中で議論をいたしましたんですが、必要なコストの基準をどうも担当の方では一律にやっぱり示すというのはなかなか難しいと。確かに私も、対象となっている事業が政策が様々ございますので、それごとにこの程度コスト掛けてもいいんだよというのはなかなか具体的な基準として示し難いなというふうに思っているんですが、そこは私自身も理解をいたしましたが。 しかし、各省では、やっぱり先ほどのような場合にコストが高くなるからということで評価をしない方に行ってしまってはこれはいけませんので、私どもの方で、どういう表現でどういう形で参考となるようなものを示せるのかどうかもっと検討させたいと、そしてやはり各省がコストを理由にして評価を骨抜きにしないようなそういう形に私は持っていきたいというふうに思いますので、その点の工夫を事務方にさせたいというふうに思っております。 ○末松信介君 よろしくお願いします。 それと、私は道路のときもお話し申し上げたんですけれども、BバイCという言葉が盛んに使われましたけれども、やっぱり必要性と採算性というのは別の角度でありますので、人が少ないところだからそういう立派な施設を造っちゃいけないとかそういう問題じゃないと思うんですよね。やっぱり都市部で暮らしている方がたまに田舎に行ってそういった自然と触れ合うという、もう百倍ほどの豊かさを味わうということは私は大事なことだと思いますので、何もその政策評価が国交省にとって厳しく出たら困るからというふうなことはないので正々堂々とやるべきはやったらいいと、僕はそう思っています。 次の質問に移ります。今度は過疎と都市の問題、一つずつお尋ねをいたします。 先月、五月の二十六日、我が党の過疎対策特別委員会が私の兵庫県の北部の養父市を訪れていただきました。こちらにいる二之湯政務官も一緒に訪ねていただいたわけであります。目的は、過疎地域自立促進特別措置法が二年後に期限切れになるということであります。過疎地域の要件というのは、人口の要件がありますし、いろいろな要件が設定されていますけれども、例えば一つ取り上げたら、人口減少率が昭和四十五年から平成七年まで一九%落ちているとか、財政力指数が〇・四二以下ですね、平成八年から平成十年をとらえた場合ですけれども、こうなっています。兵庫県では六市三町あるわけなんです。一堂その首長さんが会したということです。鈴木先生も兵庫県でよく御存じですから。全国は七百三十二あるわけなんですけれども、この財政状況の悪化とか限界集落のことがやはり話題にはなってきました。合併してなお全域が過疎となるような地域については、新たな要件で指定から外れることのないようにといったような話もいろいろ出てきたわけであります。 大臣は知事をされておられましたので、どういう議論がなされたかというのはもう頭の中にしっかり入っておられると思いますので多くを語ることないんですけれども、安全、安心の生活確保とか、これは地方道の整備であるとか、コミュニティーバスの運営費の助成とか、へき地医療対策とか。それと、交流の促進が二つ目のテーマとして上がりましたです。多自然の居住の推進であると。 三つ目は、情報通信の基盤の整備ということで、これはCATVの整備あるいは携帯電話の不感地区の早期の解消とか地上波デジタル放送の送受信の環境整備への支援といったようなこと。 そして四つ目は、市町村合併を踏まえた過疎対策ということで補助率のかさ上げというのを書いておられるんですけれども、実際はこの過疎法の中で補助率のかさ上げというのは小中学校の統廃合のときとか公立以外の保育所の整備というように限られていますので、実際はほとんど起債で賄っているということは分かっているわけなんですけれども、今後、こういったことについて対応を求めておられるわけなんですが、全国過疎地域自立促進連盟の兵庫県支部長さんは新温泉町長の馬場雅人さんという方が町長さんなんですけれども、せんだって兵庫県議会に請願書を送られてきました。多分、これ全国で統一なんだと思うんですけれども、そこにはこう書いています。 過疎対策は国家的課題であり、過疎地域が今なお解決すべき多くの課題を抱えていることを認識し、過疎地域自立促進特別措置法の失効後も都市との交流、共生などにより地域の活性化を図るなどの新たな課題への対応を含め総合的な対策を充実強化し、過疎地域の振興が図られるよう新たな過疎対策を制定することとなっているわけなんです。 それで、いろいろと新聞等にも今検討作業に入られていると思うんです。議員立法でやるかもしれませんし政治家が考えるべきだというお話も出てくるかもしれませんけれども、どうもハードから確かにソフトへというところで、求めておられるものが少し従前と変わってきたと思うんですけれども、今後方針としてどういうところに光を当てていくそういう新過疎法をお考えなのかどうかということ、この点につきまして大臣の御所見を伺います。 ○国務大臣(増田寛也君) 確かに、この過疎法、これまで四次にわたって議員立法で法律が作られてきた、こういうことがあるわけですが、これは政府としても過疎の問題、特に限界集落という言葉もございますが、そういったことが抱えている国家的なやはり大きな課題というものが私どもとしても必ず解決していかなければならない問題でありますので、これまで過疎法が、特に上下水道とか道路といった公共施設の整備で効果を上げてきたわけですけれども、今後そういう過疎地域のみならず都市部でも相当な人口減少が起きてくるという中で、やはり、しかし都市との交流ですとか今先生がお話にございましたとおりのそういう新たな、都市との共生とか交流とか、そういう視点も加えながら中身のある過疎法を作っていかなければならないと、こういうことで今研究会も作っていろいろ中で私どもも議論をしております。 特に、私ども随分、そういった集落なり過疎の地域歩いてまいりましたけれども、高齢者が本当に多い中でそういう人たち、弱者と言われる皆さん方の足の確保をどうしていくのかといったような問題から始めまして、実に多様な問題がございます。そういう地域でこそ情報通信基盤がしっかり整備されていると、ある部分は解決できる問題もございますから、そういう最先端の技術を駆使してそういう地域を一方で維持をし、そしてそこに活力を吹き込んでいくといったようなことも必要になると思います。 ハードからソフトというようなことも一つ重要な要素でありますが、それだけで単純に解決できるような問題でも決してございませんので、実に多様な観点ということでしかこの段階ではなかなか申し上げられませんが、とにかくそこに暮らしておられる生活者の皆さん方、それを対流というか大きく交流をしていって多様な人たちがそこを訪れるということも前提にしてその地域をどう形成していくのかということをこれから議論していきたいと。 先般の議論の様子等も私も報告を受けておりますが、できるだけ多くの皆さん方の御意見をお聞きしながら、この過疎法の次の問題に対応していきたいというふうに思っております。 ○末松信介君 ありがとうございます。 非常に、過疎においては交流人口とかそういったことを大切にしておりますので、これからいろいろと検討に入られますので、また議論を重ねていきたいと思うんです。 先ほど答弁をお聞きしているときに二之湯政務官が、過疎法という名前を過疎というからずっと過疎が残るんだということで、名前を変えなきゃならぬというふうな、いろいろな意見もあると。これも大事なことかなということを思っております。よろしくまた御対応いただきますことをお願い申し上げます。 それと次は、実は都市部において何か再開発をするとか住宅を建てるといったときにもう必ず起きてくる問題というのは、まあ長く議員をやりましたら官民境界なりその境界の確定、権利の確定ということについては物すごい頭を痛めると。もう陳情の電話を受けた瞬間から気が重くなるほど大変なことだ、相談を受けたなということを思ってしまうわけなんです。 法務省の方にお話を聞いていまして、六本木ヒルズを建てるのにも十七、八年掛かったけれども、実にその権利の確定に時間が掛かったことに対して、小泉元総理がこれは何とかせなきゃならぬというところで実はこの都市再生につきまして一つの方針を打ち出されたわけであります。総理はこの中で、都市の再生の円滑推進には土地の境界、面積等の地籍を整備することが不可欠であるとかんがみ、国において全国の都市部における登記所備付け地図の整備事業を強力に推進して、五年間で都市部の約五割を実施すると、十年で概成することを予定するものであるというように述べられておられます。 この具体的には都市部における地籍調査の進捗率は一八%、面積にしまして二千百九十六平方キロメートルであったことから、残る八二%が一万五十九平方キロメートルについて、平成十六年度から向こう五年間でその五割を整備し、十年で全域の整備を完了することを目指すということになっているんですけれどもね。 この平成地籍整備の推進に当たっては、表示登記の専門家である土地家屋調査士の協力が不可欠であるとともに、土地家屋調査士に対する社会的要請と期待が高まっている、そういった契機になると考えることからというような、そういうこともいろいろと書かれているわけなんですけれども、この地籍の調査、もう明治の時代からさかのぼって考えなきゃならぬ問題なんですけれども、この小泉総理が打ち出した方針に沿って進捗率はどうかということと見通しにつきましてお話をしていただきたいと思います。 ○政府参考人(宮崎正義君) 先生御指摘のとおり、地籍調査、町づくりの推進や不動産の流通促進に資する重要な施策であると認識しておりますが、現在までのその進捗率でございます。平成十九年度末で全体で全国で四八%、土地が細分化され、筆数が多い等の原因で遅れております都市部につきましては残念ながら二〇%と低い状況にございます。 地籍調査の推進につきましては、先ほどお話もございましたように、緊急の課題であるということで、国としましても実施主体である市町村が取り組みやすい体制をつくるということで、平成十六年度から国が直轄事業といたしまして、全国のDID地区全地域を対象に、街区四隅の座標などの基礎的データを整備する、こういった事業を実施しているところでございます。そういった成果を調べますと大分、例えば一メーター以上のずれがあるところが過半、五割を超すと、そういった状況もございますので、さらに十九年度からは、特に密集市街地などを対象に更に補完調査、促進調査を行っているところでございます。 いずれにしましても、このような事業を活用しながら、特にまた法務省を始めとする関係省庁、それから事業実施主体である市町村、あるいは関係の業界の方々とも十分連携しながら、今後とも推進に努力していきたいというふうに考えてございます。 ○末松信介君 内需の拡大であるとか土地の流動化の促進等々を考えた場合に、地味な仕事でもこれはやっていかなきゃならない大事な重要な仕事であると。だからこそ、小泉元総理もそのことに気が付かれたと思います。関西の方は特にその進捗率が悪いんですよね。大阪は〇・二%、京都市は二之湯先生がおられても〇・六%と極めて低いという状況ですよね。いろいろと、昔大阪なんかは商人の町で結構、店舗と面積を少しでも広げようとかつて道路や他人の土地にはみ出すような店が多かったということ、いろんな歴史があるそうなんですよ、聞いてみたら。 それはそれとして、確定しなきゃこれは、絶対に一つの契約というのは成り立ちませんし建物を建てることできませんので、ですから、これはもう是非、地道でも努力を続けていっていただきたいと。今のままでは小泉さんの公約は果たせないということを思っておりますので、どうかよろしく御対応いただきますことをお願いを申し上げます。 最後になりましたけれども、住民基本台帳カードについてお尋ねをいたします。 住民基本台帳カードがあるんですけれども、しかし、これを所持している方というのは少ないと思います。私、家内に電話をして、住民基本台帳カードを持っているかと言ったら持ってないと言ったので、何があるかといったらA4判の紙があると言ったんですよ。区役所へ行って取ってこいと言って取ってきましたところ、その区役所の方が、何でこんなものにせなきゃならぬのですかと言うんですよ、これは二之湯先生のカードですけれども、五百円要るだけですよと。じゃ、いつ要るんですかと言ったら、年金申請のときぐらいですわということで、その必要性を窓口は認めていないわけなんです。 住民基本台帳カードの必要性というのはどこにあるのか教えていただきたいと思います。 ○政府参考人(岡本保君) 住民基本台帳カードについてでございます。 この三月末で全国で約二百三十四万枚程度交付をされております。非常に今御指摘ございましたように地域によってばらつきございまして、平均的には約二%ございますが、宮崎市では例えば三五%でございますとか、地域の市によってこの住基カード、言わば住民票の写しのための、自動交付での利用をできるようにするとか、あるいは各種の行政サービスのカードとして一体的に使うような工夫をされているというようなところもございまして、住民基本台帳カードが言わばその地域におきます行政サービスの一つのカードという、共通的なカードというようにお使いいただいていることもございまして、私どもとしましては、この住民基本台帳カードの普及といったものが進みますように、この四月から交付手数料を無料化するといった市町村に対しまして特別の財政支援も行うというようなことをさせていただいております。 ○末松信介君 岡本局長はお持ちですか。ああ、持っておられる。 それで、この前一部の新聞報道を拝見したんですけれども、この社会保障と住基を一体カードにするという記事が出たわけなんですよね。それで、二〇一一年に厚生労働省がこの発行を目指して準備を進めていると。これ、社会保障カードと総務省が既に発行している住民基本台帳のこのカードを一枚に統合するということになっているわけなんですけれども、でも、いろいろと検討会を設けているということにつきましては担当の方から御説明をちょうだいをしました。私は大変有意義なことだなということを思っているわけなんです。 住基ネットのこのシステムというのは構築費が三百九十億円ほど掛かっておられるんですね。で、運営費が百五十億円程度掛かると。だから、新たに社会保障カードという形で別のものを構築したら同じぐらいのお金が要ってしまうということでは、これはカードだらけになるし、第一もったいないと、税金を無駄に使う必要もないということなんですけれども。 そこで、この社会保障カードというのは、安倍政権のときに公約として我々もこういうものだということを見せられましたですよ。当然、現政権にも引き継がれているから検討を続けておられますし、我々もその推進方を強く望むわけなんですけれども、問題はプライバシーの保護であるとか、情報管理の徹底の問題もありますし、それとともに、住民票コードと基礎年金番号とか、健康保険証番号とか、介護保険番号とか、一体どこまでそういったものを盛り込んでいくのか、このICチップの容量の中にですね。そういうことがはっきりとはまだ書かれていないわけなんですよね。しかし、是非これは実現をしていただきたいということを思うんです。将来的には自分の病歴も分かるようになれば、いつ、一体、血液検査行ったか、持病のある方は、それが分かります。今だったら、医療機関からの領収書を見て、ああ、もう何か月たったなということを気付かなきゃならないと。 そういう点で、どの情報まで盛り込むのかということも合わせてこのことについてのお考え、今の状況につきましてのお話を伺います。 ○政府参考人(薄井康紀君) 社会保障カード、今御指摘ございましたようにまだ仮称でございますけれども、議論を進めているところでございます。昨年の九月に厚生労働省に社会保障カードの在り方に関する検討会というものを設けまして、内閣官房、それから総務省の御協力もいただきながら有識者の方々に御議論をいただいているところでございます。 今年の一月でございますけれども、これまでの議論の整理ということで、社会保障カードの基本的な構想に関する報告書ということで取りまとめていただいたところでございます。 この基本構想にも示されておりますが、社会保障カードにつきましては、利用者の利便性の向上あるいは事務の効率化、こういうふうなこと、それから、御指摘ございましたようにプライバシー侵害に対する不安が極力解消されるような仕組みにするということと併せまして、既存の仕組みを最大限に活用しながら費用対効果に優れた仕組みとすると、こういうことが重要であると考えております。 新聞報道にございましたように、社会保障カードと住基カードを一体となったカードとするということについてまだ結論が得られているわけではございませんけれども、住民基本台帳カードとの共用を可能とするということは、こういった費用対効果に優れた仕組みという観点から一つの有効な手法ではなかろうかと考えているところでございまして、現在は、こういった点あるいは先ほど先生がおっしゃられたような様々な点も含めまして、社会保障カードの具体的な仕組みについて検討会におきまして更に議論を深めていただいているところでございます。 この検討に当たりましては、最終的には国民に便利でできるだけ効率的なサービスを提供していくという観点から、住民基本台帳カードとの関係も含めまして、これからも内閣官房なり総務省とよく連携をしながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。 ○末松信介君 ありがとうございます。是非、推進方を御要望申し上げます。 社会保険庁職員によって年金記録の盗み見等は記憶に新しいところでありまして、ここにも書いてあるのは、ファイアウオール、隔壁を設けなきゃならぬということで、いろいろと工夫もしなきゃならぬ点あろうかと思いますけれども、大きな期待を申し上げまして質問を終えます。 どうも御答弁ありがとうございました。
活動報告

2008-06-05
第169回国会 参議院総務委員会 第19号