162-参-本会議-19号 2005年04月27日 ○末松信介君 おはようございます。自由民主党の末松信介でございます。 扇議長を始め先輩、同僚の先生方のお許しをいただき、自由民主党を代表いたしまして、このたびのJR福知山線で起こりました列車脱線転覆事故につきまして質問をいたします。 事故後、自由民主党本部の連絡を受け、直ちに現地に赴きました。現地の惨状は言葉に言い表しにくいものであり、先頭車両がマンションの一階ガレージに一つの塊となって潜り込んでしまい、二両目は車両の上下が完全に分かれて、上部は一枚のステンレスのようになってしまっておりました。そのわずかのすき間からレスキュー隊員による懸命の救出作業が続けられておりました。しかし、救出作業ができる場所は極めて限定されており、各地から派遣された消防当局の皆様方も、ただ祈るように見守るしかなかったわけであります。 何時間かたつうちに数人の方々が救出をされましたが、一人を除けば残りの方々は全く意識もないようで、血の気のないだらりとした白い腕が見えた瞬間、毛布がかぶせられ、病院へ搬送されていかれました。全く心が痛むのみであります。 改めてお亡くなりになられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、けがをされた乗客の皆様方の一日も早い御回復をお祈りいたしております。 さて、なぜこのような最悪の事態が生じたのでありましょうか。 小泉総理は、事故直後に緊急対応と再発防止を指示され、事故発生から約三十分後に政府に対策本部が設置されました。 総理直轄指揮下の下、国土交通省、消防庁、警察当局はもちろんのこと、JR西日本は、事故原因の徹底した究明を行い、安全対策の確立と国民の信頼回復に努めなければなりません。 JRは、国鉄時代から世界一と言われたダイヤどおりの運行を受け継ぎ、駅舎の新築や快速電車の増発などサービスの向上に努めてきたことは国民の高い評価を得ているところでございます。しかしながら、それにより採算性を重視して、ダイヤ編成や定時の運行等に無理が生じ、安全運行のための運転士の育成、安全確保のための技術を軽視することが常態化してしまったのではないかという声が上がっております。 事故の直前、運転士は手前の停止駅でオーバーランしており、以前にも同様のミスを犯しております。経験十一か月とのことでありますが、運転適性検査や社員教育の在り方に問題があったと言わざるを得ません。また、ステンレス製の車両は軽くてコスト削減の効果があります。しかし、強度に疑問があることは何よりも事故現場の状況が物語っております。乗客の安全性は確保されているのでしょうか。 安全設備の不備も発覚いたしました。現場は速度オーバーに対応しない旧式のATSであり、現在新型に切替え中で、不運が重なりました。五年前の営団地下鉄日比谷線の脱線死亡事故後、国土交通省は急カーブ区間の脱線防止ガードレールの設置を指導されました。しかし、今回の事故現場は、時速七十キロ制限の半径三百メートルの急カーブにかかわらず、脱線防止ガードレールが設置されておりませんでした。 言い過ぎかもしれませんが、採算重視、安全軽視の経営感覚が存在していることを危惧いたします。目に見えるところだけサービスを向上させ、目に見えない安全へのコストを抑え利益を生むならば、これは利用者への裏切りであります。信楽高原鉄道の大事故の反省と教訓はどこに行ったのでありましょうか。 事故の調査には、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会が合わせて十人体制という鉄道事故としては過去最大規模の調査体制で臨まれております。徹底した事故原因の究明を求めます。 折から、国土交通省では、鉄道事業会社すべてに対して緊急総点検を実施中であり、四月末までの報告を求めることになっていると伺っております。昨日の国土交通委員会で北側大臣が、総点検というのは一体どういうことを指すのか、どういうように事業者が実施しているのか、直接現場を見たいというお気持ちを述べられました。 この際、すべての鉄道事業会社があらゆる問題点を共有して、安全対策が図られるよう国土交通大臣の指導力発揮を強く期待するものであります。 以上、私の思うところを述べさせていただきましたが、国土交通大臣としての所感と事故究明に対する取組、今後の安全対策等についてお伺いをいたします。 最後に、亡くなられた方々の御遺族、けがをされた多くの乗客の皆さんの救済について、また今は元気でも今後PTSDや体調を壊す方々も予想されますが、万全の体制をお約束していただくことを要請をいたしまして、私の質問を終わります。
活動報告

2005-04-27
本会議にて代表質問に立つ