活動報告

2007-06-19
第166回国会 参議院内閣委員会 第20号

166-参-内閣委員会-20号 2007年06月19日 平成十九年六月十九日(火曜日)    午後一時三十分開会     ─────────────    委員の異動  六月十八日     辞任         補欠選任         神本美恵子君     水岡 俊一君      黒岩 宇洋君     高嶋 良充君  六月十九日     辞任         補欠選任         松井 孝治君     小川 敏夫君      松下 新平君     木俣 佳丈君      水岡 俊一君     神本美恵子君      白浜 一良君     澤  雄二君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 正司君     理 事                 秋元  司君                 鴻池 祥肇君                 朝日 俊弘君                 工藤堅太郎君     委 員                 小池 正勝君                 佐藤 泰三君                 末松 信介君                 田村耕太郎君                 竹山  裕君                 林  芳正君                 山谷えり子君                 小川 敏夫君                 神本美恵子君                 木俣 佳丈君                 主濱  了君                 高嶋 良充君                 風間  昶君                 澤  雄二君                 亀井 郁夫君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 塩崎 恭久君        国務大臣     渡辺 喜美君    内閣官房副長官        内閣官房副長官  鈴木 政二君    副大臣        内閣府副大臣   林  芳正君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官        兼行政改革推進        本部事務局次長  株丹 達也君        人事院事務総局        職員福祉局長   吉田 耕三君        人事院事務総局        人材局長     鈴木 明裕君        人事院事務総局        給与局長     出合  均君        警察庁長官官房        長        安藤 隆春君        総務省人事・恩        給局長      戸谷 好秀君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人の出席要求に関する件 ○国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     ───────────── ○委員長(藤原正司君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨十八日、黒岩宇洋君が委員を辞任され、その補欠として高嶋良充君が選任されました。  また、本日、松下新平君、松井孝治君及び白浜一良君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君、小川敏夫君及び澤雄二君が選任されました。     ───────────── ○委員長(藤原正司君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国家公務員法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官兼行政改革推進本部事務局次長株丹達也君外五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○委員長(藤原正司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ───────────── ○委員長(藤原正司君) 国家公務員法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。 ○末松信介君 自民党の末松信介でございます。  昨日の参考人質疑に続きまして、今日も質問させていただくことになりました。今日、警察官房長の方お越しいただいております。ありがとうございます。  まず最初にお尋ね申し上げますのは、望まれる公務員像についてということをお尋ね申し上げたいと思います。  実は、何年か前にこういう話を聞いたことがございます。十年間日本で生活をしたことがありますあるアメリカ人のジャーナリストが本国に帰って大変困ったそうであります。何に困ったかといいましたら、実はある言葉を英語に訳せということで困ったそうなんです。その言葉というのは、私たちが日常よく使いますおかげさまでという言葉であります。この訳し方に大変困ってしまったと。困り果てた末、英語でどう訳したかといいましたら、こう訳したそうなんです。ビコーズ ウイ アー リビング アンダー ザ シャドー オブ ジャパニーズ ガバメントと。林副大臣はさすがに、渡辺大臣も英語が堪能だからすぐにお分かりになったと思うんですけれども、つまり日本政府の庇護のおかげでというように訳したそうなんです。私たちでしたら、普通、御先祖様とか、あるいは信心深い方だったら神様とか、あるいは御近所の皆様のおかげでと訳すと思うんですけれども、その方がそう訳されたそうなんです。  しかし、これが絶対おかしいかといったら、あながちそうも言い切れないと。なぜかと聞きましたら、欧米というのは必ずヒーローになるのはロビン・フッド、ウィリアム・テル、中国では孫悟空、これは当時の権力者に立ち向かった民間人がヒーローになるということが特徴なんです。ところが、日本人でヒーローになるというのは、大岡越前の守、遠山金四郎、大石内蔵助、また暴れん坊将軍、こうした方々がヒーローになるというのは、常に公務員若しくは公務員に準ずる方がヒーローになるということが、これが国民性の大きな違いであると。  ですから、私たち、厳格な権利認証制度であるとかあるいはいろんな個別の法律があります、建築基準法もそうですし、こういったことが実際は憲法の下で、制約の中で本当にこれは有効なのかどうかということについて、違反じゃないかという裁判というのはそんなに起こされないわけなんです。だから、こういったお上、公務員というものに対しての尊重、信用、信頼というのは大変強いものがございます。しかし、そのお上、公務員というのが随分おかしくなってきたわけであります。それが今回、天下り問題、官製談合の問題もありますし、時々いろいろなほかの不祥事もあるわけでございます。  この十年、よく制度疲労ということを耳にするわけなんですけれども、公務員制度そのものも疲労してきたということは一つの原因だと思うんですけれども、今回、国家公務員法等の一部を改正する法律案提案理由説明を何度となく読みました。こう書いています。公務員は、戦後レジームの中で、国家運営の担い手として、国民と国家の繁栄のために積極的な役割を果たしてきた。しかしながら、今日、本来優秀な人材が集まっているにもかかわらず、その能力が十分になされていない状況にあると。文章は続きまして、一方で、予算や権限を背景とした押し付け的なあっせんや官製談合に対して国民の強い批判があります。冒頭、このように書かれているわけであります。  かつて、私が在籍をしました議会でも、問題があるたびに積極的に、期待される議員像というものをみんなで考えてみんなでつくったことがあります。私、いろいろと思い出があるんですけれども、非常に特徴的な思い出の話をもう一つだけさせていただきたいんですけれども。これは公務員のある省のトップまで行った方が、退職後、こういう話をされたんですよ、もう十年以上前なんですけれども。  バブルで地価が高騰しました。狭い日本なのに、これは日本の地価全体の価格がアメリカの全土よりも高くなってしまったという時代があったんですよ。最初に、監視区域をあの当時設定をしました、土地取引の届出制度なんですけれども、価格の指導が行われたわけなんです。それでも地価は簡単に下がらなかったと。何をしたかといったら、総量規制を実は行ったわけです。徐々に徐々に土地が下がり始めてきたわけなんです。下がり始めてしまって、今度は不良債権の心配が出てきたというときになったんです。みんな監視区域を外してほしいと思ったんですけれども、都道府県は、もしか自分のところが先に外して上がり出した場合に大きな責任を問われるということで、国交省もにらむ、他府県もにらむという状況が続いていたわけです。そのある役所のトップの方が来られて、この問題についてお話をなさったと。実は、参議院の比例代表にかつてお出になった方なんですけれども、この方がどういうことを演説したかといったら、監視区域の問題、役人は始めるのも遅い代わりに役人はやめるのも遅いんだと言ったんですよ。私は、最初拍手を送ったんですけれども、数秒後、何だおかしいなと、それだったらなぜ在職中にそのことを言わないんだというのが私の実は思いだったわけでございます。  そのことを県のトップの会議で申し上げまして、知事にこういう話があったんですということを言いました。要は、私は、役人というのは、官僚というのは個人の発想と集団の発想というものが異なるというところ、やはり省益、局益というものが常に頭にあるんだなということを思うんですけれども。そのときに、知事にどう思いますかと言ったら、今は参議院議員で当時総務部長でありました森元恒雄さんが横におられて、森元君どう思うということを言ったんですけれども、森元恒雄さんがどう答えたかということは選挙前なのでお話し申し上げませんけれども。知事はそのときに腕組みをして言ったことは、やっぱり保身かなというそういう言葉を使われたわけでございます。  私は、期待される公務員像ということ、国民に明確なメッセージを送る意味で、改めて期待される、あるいは理想の公務員像というものを大臣から是非お答えをいただきたいなと。昨日も参考人の方から、これからの公務員というのはやっぱり幅広い知識と同時に、国際競争力で勝っていく、こういうセンスというのは大事であるということを言われていましたので、その理想の望まれる公務員像についてお尋ね申し上げます。 ○国務大臣(渡辺喜美君) この委員会で何度か申し上げてまいりました期待される公務員像というのは、ありきたりのように聞こえるかもしれませんが、やはり国家と国民の繁栄のために高い気概を持っていること、そして使命感と倫理観を持っていることが大切であります。何といっても、公務員というのは国家と国民に奉仕をする存在でありますから、国民から信頼をかち得なければなりません。幅広い知識、経験に裏打ちされた高い企画立案能力、管理能力を保有している必要がございます。また、時には専門的な知識、教養に裏打ちされた経験をスペシャリストとして生かしていくことも大事な資質でございます。  いずれにしても、今日のように世界が一体化をしてしまった、かつてのような二十世紀型の、特に日本においては右肩上がり時代という大変幸せな時代があったわけでございますが、上がったり下がったりの時代に既に突入をしてしまったわけでありますから、まさしく未来を洞察をし、その未来に向かって積極果敢にチャレンジしながら、情熱を持ってきちんと責任の取れる、そういう資質が大事であろうかと思います。  我々、選挙選抜公務員の方は選挙の洗礼を受けるわけであります。一方、試験選抜公務員の方は何年かに一回の通過儀礼がないわけでございますから、これはもうまさしくふだんの研さんが必要になるわけでございます。右肩上がりの幸せな時代が終わって久しいわけでありまして、我々は新しい公務員像の確立に積極果敢に取り組むのが正に今回の公務員改革の第一歩であると考えます。 ○末松信介君 力強い御答弁をいただきましてありがとうございます。  私は、公務員の方が自分たちの公務員像と聞かれたときにどう表現されるかということがやっぱり気にはなっていました。確かに一つの言葉で理解するということは大事だと思うんですよね。今のお話でしたら、洞察力、行動力、失敗を恐れない勇気という言葉になるのかなということだと思います。過去、有馬元文部大臣が生きる力って何だと、我々も困ったんですけれども、きれいに表現していただきまして、自分で問題点を見付けて自分で問題を解決する力と、そういうものになっていきますので、是非それを実践していただきたいと思います。  質問項目が、あした、あさって、また質問が当たるかもしれませんので、やり切れになってはいけませんので、警察関係の質問を先にさせていただきたいと実は思います。  私が住んでいます兵庫県、五百五十万県民がおりまして、警察官の数が一万一千人強いるわけなんです。変則的な勤務であるとか、夫婦二人で駐在所に勤務されて非常に御苦労いただいている姿も見ますし、テロとかいろんな犯罪があったときに出動する特殊部隊の存在とか、いろいろとあろうかと思うんです。そういった第一線で活躍される方々の姿を見るわけです。  とりわけ、警察官一人で国民を何人守るかといったら、数字上、今日本では五百三十四人という数字になっています。これは大変な数字なんですよね。アメリカは警察官一人で三百五十三人、フランスは警察官一人で二百七十五人、ドイツは三百十二人ということですから、日本の警察官の負担数というんでしょうか、国民を守る数というのは大変多いなということを驚いたわけなんですけれども、それで厳しい物件費等々もあるんですけれども、精一杯頑張っていただいておるということはよく分かるんですけれども。  今日お尋ねしたいのは、実は府県警察の人事、主要ポストのことについてちょっとお伺いしたいんですけれども。  警察機構というのは警察庁を頂点にしましてあるというのは体制上当然のことなんですけれども、問題はその採用の、地元採用、地方採用の警察官が、階級上は警視長が最高で、なかなか本部長にはなれないと考えられています。実際、兵庫県警でも生え抜きがなったということはないわけで、仕組み上なれませんわね、これ。過去、例外的に大阪府警の地元幹部の方が東北地方の県警本部長に就任したことはあったようなんです。  私は、能力的に優れた人物というのは、本人のためにも、また多くの地方採用の警察官のためにも、この士気の高揚のために積極的に登用していくべきじゃないかということを思っておるわけなんです。幾人かおられるということを聞いておりますんですけれども、この点についてどうお考えなのかということをお尋ね申し上げます。 ○政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。  今、現行の制度について若干御説明いたしますと、御案内のとおり、警察行政事務というのは国家的性格と地方的性格を併せ持つという特殊性がございます。それをどう切り分けるかというのはなかなか難しいわけでございますので、戦後の警察制度の中では、都道府県警察官のうち本部長を含む警視正以上の者については国家公務員である地方警務官として国家公安委員会が任免を行うと、こういう制度設計をしておるわけであります。  その理由というのは、先ほど申し上げましたように、警察事務がそういう二重性を持っているということでございます。その上で、やはり一面において国家的性格を有する警察事務というものが、特に都道府県警察の最高幹部クラスにつきましては、単に都道府県の利益のみにとらわれることなく、国家的視野に立って公正かつ円滑に遂行される必要があるとか、あるいは都道府県警察の最高幹部クラスは、全国的見地からやはり広く人材を求めて、人事管理の適正とか警察の機能水準の保持向上を図る必要があると、こういうような幾つかの観点から地方警務官制度、すなわち警視正以上につきましては国家公務員として国家公安委員会が任免すると、こういう制度設計がされているということをまず御理解いただきたいと思います。  その上で、地方採用の警察官につきまして本部長にどれぐらい任命されているかということでありますが、都道府県で採用された人が最後に警察本部長になるというのは、これは別の意味でいろいろ問題があるということであります。すなわち、都道府県警察の最高責任者である警察本部長というのは、警察行政の中立性とか人事の公平性をやはり担保するために、地縁、血縁等のつながりのない当該都道府県警察採用者以外の者を任用することが適当であるということで、これまで中央人事といいますか、警察庁採用を中心に人事を行っているということであるわけであります。  そういうことを踏まえまして、それでは都道府県警察採用の人がどのくらい本部長になるかということで、今委員御指摘のように、かつて神奈川とか大阪で、ずっと最後まで、退職間際まで勤務されて他県の本部長になられると、こういうケースがございましたのと、それからもう一つは、地方採用で途中から警察庁の採用になるという推薦制度というのがございまして、現在八十数名ぐらいのグループを形成しておりますが、警察庁の中にそうした推薦者のカテゴリーというのがございまして、大体それは各都道府県で警部補で採用されて、その後警察庁勤務ということで、その後各県の勤務とか警察庁の勤務、そういう推薦者の中でどれぐらいかということでありますが、現在、岩手、富山、鳥取、島根県の県警の本部長と、それから北海道につきましては北海道方面本部長、北見でございます、五名を登用しているところでございます。  引き続き、意欲と能力のある推薦者、つまり地方採用者の警察官の警察本部長への積極的な登用を図ってまいりたいと思います。 ○末松信介君 そうしたら、途中からいわゆるキャリアになるというんでしょうか、こういった方々でもって本部長になられる方が五人おられるということなんですね。分かりました。  それで、警察庁の幹部の方とか地元の県警の幹部の方にお話を聞きましたら、意外と地元で採用された警察官が自らの希望でもって他府県の県警本部長になっていきたいなとか、そういうことを積極的に希望される方は少ないと。他府県で働くということを希望される方は割合少ないということは聞いたんです。しかし、地元のいろんな部長にはなっていってトップまで上がりたいという希望を持たれる方は大変多いわけなんですけれども。  兵庫県警の場合だったら、刑事部長、警備部長、警務部長、この三部長は、それと本部長もそうですけれども、確実にこれは東京のキャリア組の方が来られるということになっているわけなんですね。過去採用していた府県警からの推薦組の代わりに出てきた本庁採用職の二級職の採用人員が増えつつあると。将来、府県警の部長等の主要ポストに就くことも十分、拡大していくことが考えられると思うんですけれども、そうなると、必然的に地元採用者のポストは減少してくるんじゃないかということも考えられるわけです。  今、国家公務員制度改革の中で、Ⅰ種、Ⅱ種、キャリア、ノンキャリアの採用、人事評価についていろんな議論がなされているわけなんですけれども、府県警察本部の部長のポストに警察庁からの出向が就く場合と地元出身者が就く場合があるわけですけれども、このバランスについてどう考えているのかということ。地元出身者にチャンスを与えるためにポストを固定化させるべきではないと思うんですよ。過去ずっとポストは固定化されているんですよ。このことについて我々はどう受け止めたらいいんですか。 ○政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。  全国的に見ますと、都道府県警察本部の部長ポストというのは合計しますと二百六十三あるわけでありますが、そのうち、地元の都道府県警察出身の部長というのは百八十六名でございまして、約七割を占めております。  先ほども申し上げましたように、都道府県警察本部の部長ポストについては、全国的視野に立った高度な調整能力とか捜査指揮能力が要求される重要なポストであるというふうに考えておりまして、それにふさわしい人を地方警務官にいたしまして採用するといいますか、配置をするということでございます。  今申し上げましたような実態的な比率でありますが、これは、警察庁からの中央人事の出向ポストとそれから地元の占めるポストというのは必ずしも固定しているわけではございません。端的に言いますと、それぞれのカテゴリーについて得意な分野というのがありまして、各県の幹部というのは、恐らく指揮能力とか専門分野における能力で非常に専門性が高いと。あるいは警察庁からの出向者というのは、企画調整力とか組織管理、もちろん指揮能力を各県で経験しています。そういうことで、一言で言うと、それぞれの能力等に応じて長所を発揮して県警全体が総合力を発揮する、こういう形でバランスを取っているんじゃないかと思います。ただ、今委員御指摘のように、ポストを固定すべきではないということは全く御指摘のとおりであります。  我々としても、当該都道府県出身者にその部長ポスト、つまり中央人事が占めているそのポストについて、適任者がいる場合は固定することなく、その地元の警察官を部長に就けるということも現在やっておりまして、例えば昨年、十八年中でございますが、全国で五ポストにつきまして、そういうように地元の人を中央人事の者が占めておりましたポストに就け替えをする、こういうようなことをやっております。  委員御指摘の兵庫県につきましては、これは最近はございません。昔、随分昔といいますか、平成七年当時は、警備部長、あるいはその前でございます地域部長につきまして、それぞれ中央から地方、地方から中央と、こういうような、それぞれ人材がいる場合はそういうことをやってきております。  いずれにしましても、そういうバランス感覚を持ってこれからも配意していきたいと思っております。 ○末松信介君 分かりました。  二年、三年来られると、中央から。望んでいるのは、現場に強い警察官というのをやっぱり望んでいますから、現場に溶け込んでいただかなきゃならぬということでありますので、そういう点で、別に兵庫県警の方がどうこうしたというわけじゃなくて、我々はずっと長い間横から見ていて、どうなのかなということで思いを伝えたわけなんです。  それで、ここの項目で最後の質問なんですけれども、警察官も、巡査さんになって、巡査部長さんになって、警部補になって、警部になって、警視になって、警視正になるということなんですけれども、結局、警視正になった場合は、これ警視から警視正になったら国家公務員になるんですよね。  そこで何が起きるかといったら、結局、家に帰って、お母さん、僕、警視正になったよと言ったところが、奥さんは喜んでくれますけれども、後で給料袋を見たら給料が四万円下がっているということになっているんですね、これ。階級が上がって、下がるという、これは国家公務員と地方公務員の問題なんですけれども。しかし、少なくとも、そういった推薦組でキャリアの路線に乗っていくとかいう制度がない限りは何も変わることはないんですよね。法律はそれだけの身分が変わるだけであって、中身は何も変わらないと。  こういうことについて、警視正のまま、警視正でもって地方公務員であってもいいんじゃないかと私は思うんですけれども、この点についての御見解をお伺いします。 ○政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。  確かに、今御指摘のように、地方警察官から地方警務官、警視正に任命されるときに、ある県では給料が下がる、もちろんそのままというのもありますし、多少県によっては上がるというところもありますが、そういう点はかねて御指摘されておりまして、我々としても、それは給与、格付の問題でございますので、担当当局に対して、より処遇の改善についてこれまでもいろいろ申し上げてきたところでありますが、そういう事実はございます。  地方公務員のままでよろしいんではないかという御指摘でありますけれども、先ほど申し上げましたように、なぜ地方警務官が導入されているかという制度、趣旨とほぼ同じことでございますけれども、やはり警察業務というものが国家的性格というものも帯びているということで、そういうことを踏まえますと、都道府県警察の最高幹部クラスにつきまして、つまり各県警の部長あるいは大規模警察署の署長、そこにつきましては、やはり警察事務を全国的な観点から統合調整したり、そういう視点が必要ではないかということ、あるいは人材を広く全国的に求めるとか、そういう理由などによりましてこの制度を導入しているわけであります。  昭和二十九年警察法改正以来、今日まで、そういうことで運用してまいりましたけれども、もちろん完璧という制度はございませんけれども、これにつきまして、実態的にも制度的にも合理的な運用がなされているものと思って我々は考えております。  以上です。 ○末松信介君 いろいろと御答弁をいただきまして、考え方は分かりました。キャリア、ノンキャリアとか、あるいは推薦組で途中からキャリアの線に乗っていくとか、いろいろな形が警察人事にあるわけなんですけれども、いずれにしましても、やる気のある人間が、そして目指したら何でもやっぱりなれるという、目指せば努力が報われるという、可能性一〇〇%ないということのないような仕組みをつくっておいてほしいと、私はそう思うんです。現にそうなっていますけれども。ですから、広くやっぱり人材をよく見てもらいたいと思います。  今回、東京事務所長をされていた方とよく話をします、このことについて。公務員の人事評価という点について、地方公務員の場合はやる気を、どっちかといえばやる気を見る、国家公務員の場合はスキルを見ると。この視点が最初のまずスタートからちょっと違いますねという話を聞きました。その点はよく、どちらも大事なことですから見ていっていただきたいというふうに思います。  警察関係の質問は終わりましたので、どうぞお帰りいただいて結構でございます。 ○委員長(藤原正司君) 安藤官房長、どうぞ。 ○末松信介君 続きまして、また質問、大臣の方に戻ってまいります。  実は私、今回、小池先生と一緒にこちらの方へ、内閣委員会の方へ出稼ぎに参ったわけなんですけれども、実は国土交通委員会でも、国際競争力という問題がよく議論されます。同時に、大臣も御存じのとおり、党内においても戦略的社会資本検討委員会というのができていると、国際競争力とか安全、安心とかあるんですけれども。  私は、自分が神戸の港というのを過去ずっと見てきまして、私が小学生のころというのは、貨物の取扱量というのは、コンテナ取扱量というのは世界二位から四位だったんですよ。今三十二位から三十六位ぐらいを来ていると。いろいろと調べてみましたんですけれども、今全国の貨物の取扱量というのは千五百万トンなんですよね。上海は一つの港で二千二百万トンですよ。日本は千五百万トンの貨物を六十二のコンテナ港で、これ合計してですから、割ってですからね、これ。ですから、当然人件費とかコストの問題というのはもう比較にならないぐらい、これは勝負にならないという状況が続いているわけなんです。  二年前の例を取り上げましたら、例えば、広島の港で四十フィートのコンテナを一個載せて、釜山に持っていって釜山で積み替えて北米へ持っていったら、これ六万五千円と聞いています。ところが、広島で載せて、そして神戸へ持っていって載せ替えて北米へ持っていったら一個九万円と。二万五千円の差があるということなんです。これは具体的な数字として教えられたんですけれどもね。  これは港湾荷役の問題もあります。岸壁の使用料の問題もあります。しかしながら、平成八年のときぐらいに、東アジアの荷物が日本を経由せずして、ほかの港で日本を抜港して出ていくという状況がずっと出ていたんです。シンガポールでもトレードネットとかあるいはポートネットといういろんなシステムで手続の簡素化をしていたわけなんですけれども、あのころにしっかりとこの時代を見据えればよかったと。ただ、国土交通省がその努力ができていなかったかといったら、そうではなくて、やっぱり非常に元々の今言ったように人件費の問題がありますし、土地の高い問題もありますから、そうは思うようにいかなかったことは確かなんですけれども、しかし、民間の視点という点においては、私は少し目線を下げておくべきではなかったかなということを、そういうことを実は考えてしまうわけなんです。  これまで、官民の人材交流ということが行われてはきているわけなんですけれども、これまでの公務員の制度では十分対応できていないという一面も見受けられると思うんですけれども、現在までの人事交流制度及びその具体的な評価につきまして、特に省庁の中で行政がどのような変化をしたのかということを、これをお伺いいたします。 ○政府参考人(戸谷好秀君) 官民人事交流でございます。過去に、ここ近年いろいろ制度を整備させていただいておりますが、最初ございましたのは中途採用という形のものでございます。それに加えまして、平成十一年に官民人事交流法というのを次に作っていただきまして、来ていただいてまた民間に戻る、あるいは官から出て戻るという形のものが一つできています。それから、この翌年の十二年に、任期付き職員を雇うということで、任期をもって職員になっていただいて、任期が終わればまた元に戻っていただくというような制度を整備しているなど、順次制度の整備をお願いしております。昨年には、民間企業の身分を持ったままでも交流採用を可能とできるというような官民人事交流法の一部を改正させていただきました。  この結果でございます。平成十八年八月十五日現在で切りまして、国の行政機関で働く民間から受け入れている方ということでございます。非常勤で来られておられる方が四百名ございます。これを含めまして、約二千四百名という方が国の行政機関で民間から民間経験を持って働いていただいているということでございます。  省庁別でございますが、厚生労働省が五百名余ということで、これはお医者さんとか研究の方という方が多いというふうに思っています。それから経済産業省が四百名弱でございます。特許の審査、この辺のところでやはり相当に規模を早急に広げるということで来ていただいています。それから金融庁でございますが、金融証券検査ということで経験を、あるいは知識を持たれた方ということで二百五十名来ていただいています。それから国土交通省が四番目でございまして、約二百名余ということで、海難審判等というような業務に従事していただいています。  いろいろ私どもとしてアンケート等で各省から伺いますと、やはりまず上がってまいりますのは、専門知識を業務に生かして、ひいては公務能率が向上したと。特許の審査、あるいは金融証券検査、それから衛生情報みたいに、いわゆる衛生情報センターのようにかなりその道でやっていただいた方が来ていただいて動かしておるというようなものもございます。それから、受け入れた社員を通じて職員の視野が広がった、あるいは民間企業の仕事のやり方や効率性が公務に取り入れたことで公務能率が向上したということで前向きな評価をいただいているところでございます。 ○末松信介君 今国際競争力の話を申し上げたんですよね。だから、諸外国と比べて、今おっしゃっているのは評価いただいているということなんですけれども、ダイナミックな形でダイナミズムのようなものが働いておるのかどうか。我々その評価というのは、もう端的にお答えいただいて結構です。どうなんですかね。 ○政府参考人(戸谷好秀君) 雇用情勢、いろいろ国によって違いますので一概にお答えできないと思いますが、まだまだ、一定程度進んでいるということで、官からもっと行ってもらうということも必要だと思いますし、私どもとしてはもうちょっと広げていきたいというふうに考えております。 ○末松信介君 それでは、今回の法案におきまして、内閣総理大臣は官民の人材交流の円滑な実施のための支援を行うとありますが、ここに示される円滑な実施のための支援というのは具体的にどういうことを想定されておられるのか、お伺いをいたします。 ○政府参考人(株丹達也君) 官民人材交流センターの事務についてのお尋ねでございます。センターの事務につきまして非常に簡単に申し上げますと、幅広い人事交流について現行制度を前提とした上で各省庁が行います人事交流、人材交流の円滑化のための支援を行うと、こういうのが法律案の規定でございます。  具体的な制度設計につきましては、今後、官房長官の下に設置をされます有識者懇談会の意見を踏まえ検討するということではございますけれども、今のお尋ねが法律の言葉としての支援の内容ということでございますので、現時点で私どもが想定をしておりますことを申し上げますと、例えば、民間あるいは各省庁、両方からでございますけれども、人事交流の希望を募りまして、それぞれの相手方に対しての情報提供なり、あるいは必要なあっせんを行うことですとか、人材交流の仕組みなり意義なりにつきまして広報あるいは啓発活動を行うという、幅広い官民の人材交流の窓口的な役割を果たしていくというようなことを想定をさせていただいておるということでございます。 ○末松信介君 分かりました。  有識者懇談会、ここでも議論されるのは有識者懇談会での結果を待ってと、設置をして結果を待ってということで、非常に有識者懇談会ということを昨日も参考人質疑の中で盛んにその点ではっきりしないんだということでありましたけれども。  今お聞きをしたいのは、国と民間企業との間の人事交流に関する法律というのが既にあるわけなんですよね。いわゆる官民人事交流法が存在しているわけなんですよね。ここにも法律書いています、これ。それで、今回の法律案と規定と官民交流法との関係というのはどのように解すればいいのか。二つ存在してくるんじゃないかということも考えられるわけなんですよね。整理ができているのかどうかということは、これちょっと、株丹さんでも結構ですし大臣でも結構ですので。 ○政府参考人(株丹達也君) お尋ねがございましたのが官民人事交流法と今回の官民人材交流センターの事務との関係でございます。  一般的に、官と民の間の交流というのは、先ほど総務省の方から御説明がありましたようにいろんな形がございますけれども、官民人事交流法につきましては、公務とそれから民間の組織、簡単に言ってしまえば民間企業との間の人事交流と、これを双方向で行おうとするものでございます。ポイントとして、要は、民間企業、極端に言いますと、だけを対象とした法律というところがございます。  他方で、今回の法律案で人材交流センターとして事務を行おうとしておりますのは、官民人事交流法に基づきます人事交流だけではなくて、つまり、民間企業との組織対組織の交流だけではなくて、それ以外の例えば非営利法人なんかも交流対象という考え方を持ってございますし、また、任期付職員法ですとか任期付研究員法ですとか、最近になりまして法律ができたわけでございますが、そういうものに基づきましての職員を選考採用する、そういういろいろな制度によります人事交流全般を指して対象としようと。言葉として人事交流ではなくて人材交流というふうに規定をしましたものも、今の官民人事交流法だけではないよというようなことも明確にしたいという趣旨もございます。非常に広い範囲での交流というのを推進していこうという考え方でございます。 ○末松信介君 ということは、この官民人事交流法も、当然、任期付職員法も任期付研究員法も、これらは残っていくというように判断していいわけですね。分かりました。いろいろと法律があるんだなということを思ったわけなんですけれども。  それでは次、ちょっと大分時間が経過してきましたので、進みたいと思うんですけれども。  官と民との関係と併せて入口について質問をしたいと思うんですけれども、昨日の参考人の方にちょっとお尋ねを申し上げたわけなんですが、最近、若い人の官僚離れが甚だしくなってきておりまして、本年度の志願者数は昨年度よりも一五%減っていると。特に顕著なのは東大卒の官僚離れであると。しかし、この話をしたら、いいことじゃないかということを言われる方もおられたんですよね。そのことはともかくとしまして、九〇年度三百十六人だったものが〇五年度には百六十二人に減っております。このことについては、先週、小池先生も副大臣に御質問されたそうなんですが、現在、特に農水省の東大卒の入省者は〇五年度がゼロ人、昨年は二人と極端に回避されているという感じを受けるわけなんです。志願者だけではなくて、キャリアの退職者も過去五年間で二百九十二人、年平均六十人の方々が自己都合で退職をしているということなんです。  かつて究極のエリートとして国家の中枢で国の基盤をつくると、やりがいがあると思っていたそういうキャリアの方がどんどんどんどん官庁を離れていくということなんですけれども、確かに、一般的な近ごろの若い人の動向かもしれないんですが、最初の就職先に長くいないという点もあるんですけれども、内部的な要因としてこれをどのように考えておられるのかということにつきましてお伺いをいたします。 ○副大臣(林芳正君) 今先生からお話しになったことは、前回か前々回、今御指摘ありましたように小池先生からもお話があった大事なところでございまして、一般的にいろんな不祥事があって、公務員バッシング、こういうこともいろいろ言われておるわけでございますし、そういったことが、一度入った方がお辞めになっていってしまう、また今から志望する人が減ってくる、全体的に影響が出ているんではないかと思いますが、正にいったん入った方が省庁を離れていく内部的要因ということになりますと、その大きな要因としては、この間も申し上げましたように、年功序列人事の存在があるんではないかというふうに考えておるところでございます。  同じ年に入った者がずっと横並びで昇進していって、一年下の人には追い越されないし、一年上の人は必ず追い越せないと。こういうことであれば、特に最近はほかの民間の企業ではもう能力・実績主義というのがある程度浸透してきておりまして、若いうちから能力を発揮すれば抜てきをされるということが民間の世界で見えてくるということもあって、長い間ずっと横並びでやるということが、非常に公務に入ってきた特に若い人のやる気というものに悪影響を及ぼしているんではないかというふうに考えておるところでございまして、これは実は平成十三年でちょっと昔なんでございますけれども、二月にやはりこの検討を、公務員制度のしておったときに、若手官僚の実はヒアリングというのをやっておりまして、ここにかなり赤裸々に、匿名だったということもあっていろんな意見が出ておりますが、そこで多く見られたのは、年次一律主義は時代遅れと、公務員にも信賞必罰を徹底すべきと、評価結果を任用、給与等に反映させて職場に競争原理を導入すべきというのが多数実は出ておったわけでございまして、もうかれこれ四、五年ぐらい前からそういうことがアンケートでもヒアリングでも表れていたということでございまして、正に今回の法案ではそういうことも踏まえて、採用年次や試験区分にとらわれずに能力・実績主義を貫徹するということを盛り込ませていただいたと、こういうことでございます。 ○末松信介君 いろいろとアンケートもお取りになったというお話を今聞きまして、確かに能力、そして実績主義を取っていくということが今回の一番大きなウエートでありまして、昨日も参考人の方にお話し申し上げたんですけれども、過去、そういうことを運用すればできていたんですけれども、長い間できていなかったということでありまして、今回これの改正によって具体的にそれが運用されることを望むわけなんですけれども、確かに若い人、実際は、これはこのエコノミストに書いていますけれども、ある方は、積極的に民間企業を選ぶというよりも、官僚スキャンダルの続発で官僚の世界は私利私欲の原理で動いているということを言っている方もいますし、企業弁護士や国際弁護士など華やかで稼ぎがいい仕事を目指す学生が増えているということも出ていますし、いろいろな形があるわけなんですけれども、いずれにしても、きちっと評価をされるということ、このことがやっぱり一番大事だなということであります。  何度も言うように、民間の企業の場合は生産性というのがありますから評価されるんですけれども、公務員の場合はなかなか数字で表れにくいと。事業をやっているところは分かりますよ、道路造ったら車の台数が何台走るかとか分かるんですけれども、政策系とか、十年後や二十年後にやっぱり評価が出されるということについては分かりませんし、こういった方々の能力というのはなかなか本当に正しいものかどうかって分かりづらいものもあります。  ただ、人間性ということについては、やはりそれは協調性も大事だと思うんですよね。こういった、例えば宴会の幹事だってこれも一つの能力になってくると。いつか林副大臣お話しになったように、正にこの能力というのは、ある面では潜在的経済成長の部分と実質経済成長の部分というそういう見方もできるんだというお話があって、なるほど、うまい説明の仕方だなということを私も感じたわけなんですけれども。  それで、次、お尋ね申し上げたいんですけれども、ちょっと質問を、少し時間が来ましたので飛ばしたいと思うんですけれども、入れ替えます。  人事評価のことにつきましてちょっとお伺いしたいんですけれども、民間の実態から見ると明らかなんですけれども、人事評価というのは、今申し上げたように大変難しいわけなんですね。私思うんですけれども、民間の実態から見ると、一度人事当局で勤務すると、長期にわたってその社員に対して影響力を行使するということがあると思うんですよ。これは会社でも一緒ですよね。一人ににらまれたら、もう十年、二十年、こいつはこういう者だということが残ってしまって、なかなか改めてその人間を評価してくれないと。これは公務員の世界にもあるし、民間の企業にもあるわけです。  私は、この人事評価ということについて、複数合議制でやった方がいいと思うんですよ。是非こういう考え方というのに立てないかどうか。同僚からの意見も聞く、もちろん上司がそれを見るということで、質問をちょっと三つほどすっ飛んでいますので、ジャンプしていますので、こういうことについてどうお考えかということにつきまして、お伺いをいたします。 ○政府参考人(株丹達也君) 現在やっておりますのが、現行の勤務評定の制度に基づいてということではあるんですけれども、新たな人事評価の方向性に資するために試行をやってございます。  いずれにしましても、今後、こういった試行の状況を踏まえながら、どういうふうな人事評価制度というのが実効性あるものかというのを検証しつつ構築をしていくという考え方でございますけれども、これまでのところの試行なりの状況を申し上げますと、今やっております試行でいきますと、評価される者の上司が評価をする、さらにその評価をする者の上司に当たります者が調整を行うと、こういう仕掛けを取ってございます。直接の言わば職場の上司が人事評価を行うというのがこれまで考えておりますものの流れでございますけれども、この考え方は、人事評価というものは職員の執務の状況について行うということであるために、状況を最も適切に把握をし得る立場にある者ということで職場における直接の上司が人事評価を行うというのが適当だという考え方でございます。  ただ、単純にそれだけでよろしいかどうかということを考えていきますと、上司が、直接の上司が評価をする者ということになるんですけれども、評価をいたしました後に、さらにその上に立つ者が評価の公正性を確保すると、こういう観点から、言わば見落とし等がないか、評価者が直接見ているつもりなんだけれども、見落としをしてないか、あるいは評価に偏りがないのか。それから、評価をする者が複数おれば、まあ甘い辛いといいましょうか、大変厳しく見る者もいれば比較的寛大という者もいると、こういうことがあると思いますから、そういう甘辛の差がないかどうかというような視点で調整をすべきかどうかという判断をさせていただくと。必要に応じて調整を行って、最終的な評価はこうですよということを確定をすると、こういう流れというのがこれまでの考え方というふうに思ってございます。  今の勤務成績の評定制度というのは、基準の方が必ずしも明確でない、あるいは使われるということについてきちんとした法的な位置付けがしっかりしてなかったというようなことでいろいろ問題があるわけでございますが、今の成績の評定制度におきましても、その評定というのは職員を監督する立場の者の中から評定をする者を指定をすると、評定者が職員の言わば上司に当たる者、監督をする者の中から指名されてこれを行うと、それから、さらにその上の立場に立つ者が調整を行うと、こういう流れがございます。勤務成績の評定自体にはいろいろ欠点もあるわけでございますが、調整の仕組み自体についてはそれなりに評価もできるんではないかというふうに思ってございます。  ただ、いずれにしましても、今やっております試行、これの中で得られます知見も踏まえて、その上で、評価が単独でいいのかどうかという御指摘、今あったわけでございますけれども、評価結果などを調整する仕組みというのをどう整備していくかということも検討をさせていただこうと、こういうふうに思ってございます。 ○末松信介君 いろいろと工夫はされているのは分かりましたです。上司がこれを評価していって、その上司がまた監視をされながら、いろんな意見を聞きながらやっていくということで。ただ、もう屋上屋を重ねていくようなシステムになってくるわけですけれども、端的に私は、その上司の方がきちっと友人から聞くということもいいんですけれども、何よりもそういったよく知っている方で同じぐらいのレベルの方でもって、客観的に冷静に見れる方という方で、きちっと透明感を僕は持たせる意味で合議制ということを明記した方がいいんじゃないかということを常々思ったわけなんですよ。  会社も、会社の場合はさっき言ったように、これは例えば偏向人事があってもまずは生産性なんですよね。きちっとやっぱり売上げが上がっていくということで、それさえきちっと成り立っていれば、制度としていろんな偏向人事があったとしてもこれは許されざるを得ない部分が出てくるわけなんですけれども、公務員の場合はそれはないわけなんですよね。ある面で出世をしていくために派閥人事をつくってしまうということも僕はないことはないかもしれない。それは、株丹さん、そういうことは全然、そんな人事でもって派閥をつくるようなことないんですか、こういうことは、官僚の世界においては、一般的に。 ○副大臣(林芳正君) 人が三人集まると派閥が二つできると、こういうふうにある方が言われたということでありますが、客観的なこういう今システムの説明を、今試行段階でございますけれども、株丹さんから説明をしてもらいましたけれども、正に今委員がおっしゃったように、人事の上下になりますと、どうしてもそういうものができると。私も、短い経験でございましたけれども、民間で働いたときも、やっぱり一緒に同じ仕事をする人の数というのは限定をされるものですから、同じように緊密に仕事をしたことがない人の方が、実は会社の中で偉くなっていって部下がたくさんできますと、どうしても出てくると。そういう場合にきちっと、自分から意図してそういう派閥をつくろうということは論外でございますが、いろいろ客観的にやっているつもりでも、どうしてもそういうふうになってしまうというようなことを、こういう制度設計としてどうやってなくすようにしていくのかと、そこが大きな我々問題だと、こう思っておりまして、正に今申し上げましたように、やっぱりその評価をする人をまた上で評価をしていくという仕組みをつくることによって、そのときの評価の客観的な調整というのもできますし、仕組みとして、余りそういう傾向が強く出る人は、今度はその人がその組織の中での評価というものがちょっと落ちてくると、こういうことにもなってくるわけでございまして、そういう多層段階的な仕組みを入れることによってそういうことが起きないようにしていく必要があるというふうに我々も考えているところでございます。 ○末松信介君 林副大臣のお言葉を率直にお受けをいたしたいと思います。  時間があともう五分を切りましたので、この項目で十一番になろうかと思うんですけれども、お尋ね申し上げたいんですけれども、もう読み上げます。  今回の官民人材交流センターの創設ということにつきましてですけれども、素人目に見ましても、官民人材交流センター、官から民への動きというものにおいて、これは非常に良くなかった慣習ではありますが、お土産がない民間への公務員の再就職に対して企業ニーズが果たしてあるのかどうかという疑問があるわけなんですね。多くの皆さんがお持ちだと思うんですけれども、そしてまたそこに業務の透明性の確保を明確になさなければ、国民の目からもただの隠れみのにすぎないんじゃないかと。これはもうトンネル機関であるとかいろいろとここで、ずっともう衆議院の議事録見ても出てきましたので、こういった疑問を多くの方々が持っておられます。実際の需要があるのかどうかということを、その新人材バンクにあるのかどうかということも昨日の参考人質疑でも出たわけなんですけれども、いま一度大臣に答弁をいただきたいと思います。 ○国務大臣(渡辺喜美君) 今現在、再就職を受け入れていないところでも、恐らく相当隠れたニーズがあるのではないかと思います。  と申しますのは、先ほど来委員が国際競争力という言葉を使って御説明されておられるとおり、世界経済が一体化してもう十年以上たつわけであります。そういう中で、世界経済とつながっている企業や地域は非常に繁栄を遂げている、景気がいい、一方、そうでないところは余り良くないという厳然たる事実がございます。今は中小企業、零細企業であっても、これから世界経済とつながって大きく飛躍をしていこうと考えるところは少なくございません。今現在、全くそういう人材はいない、しかし官民人材交流センターができればそういった世界的な視野を持った人を応募してみようじゃないかと、こういうことが起こり得るのではないでしょうか。私は、そういう観点から、今の国家公務員の再就職先だけがこれから先も再就職先であり続けるなどということは全く筋違いだろうと考えております。  元々、国家公務員になってくる人たちは、本来能力の高い人たちがなってくるはずであります。かなり厳しい試験に合格をし、公務の中でいろいろな経験をし今日あるわけでございますから、そういう人材をむしろ死蔵しかねないのが今の天下りシステムなのであって、逆にこの有能な、優秀な人材を広く世に活用していただくと、そういう観点から我々は官民人材交流センターを考えたわけでございます。  いずれにいたしましても、現役の時代も能力・実績主義、再就職をするときも能力、実績がきちんと評価されて、市場価格で再就職をしていくというのが我々の考えでございます。 ○末松信介君 市場価格で再就職していくという大変印象的なお言葉、よく頭に入れておきます。ありがとうございました。  それで、官民人材交流センターを創設するに当たりましては人員や予算というのが多く必要になってくるとは思うんですけれども、小規模にせいという御意見もあるんです。特に、このセンターに属する人員というのは職業紹介等に携わった経験者であったり、そのノウハウを取得している人が大変望ましいと思うんです。官房人事課の方に、以前務めていた官房人事課長に聞いたんですけれども、あの方々の仕事というのは、八割がOBの方のお世話をするというんでしょうか、情報を取ったりする仕事で、二割が現役の方に対する人事のウエート