169-参-予算委員会-10号 平成20年03月18日 ○委員長(鴻池祥肇君) 次に、末松信介君の質疑を行います。末松信介君。 ○末松信介君 自民党の末松信介でございます。 四年前の夏の参議院選挙で兵庫全県区から当選をさせていただきました。今日、こうして福田総理の前で道路問題の集中審議で質問で立たせていただきますこと、大変光栄に存じております。 私、自民党の広報局の次長をやっておりまして、総理が新総理になられましたときに、どういう表情が一番ポスターにいいだろうかということで、いろんな意見がありまして、厳しい表情、真剣な表情、笑顔いっぱいの表情、いろいろありましたんですけれども、私は自然な笑顔というのを指示をいたしまして、あのポスターがそのようになっておるところであります。笑って答弁してほしいというわけではありませんで、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 昨晩、鈴木国対委員長、我が党でありますけれども、そして脇雅史筆頭、そして今日おられます椎名副委員長、正副委員長でいろんな話をいたしました。その中でみんなが言うのはどういうことかといいましたら、是非、民主党がこのたび暫定税率廃止の法案を出されたのだから、委員会に付託がまだなされていない状況にありましては、是非参考人としてこの場所にお越しをいただきたいということ、重ねて重ねて話合いをし、要望を出したわけでありますけれども、拒絶をされました。(発言する者あり)出席をしていないということであります。私は、まあとにかく前へ行きますので。 それで、その話の中で、国直轄事業がわずかに四千億円になってしまうということ、また、現在事業中の工事がストップしてどういう対応をするのかということ、過年度の支払を一体どうするのかということ、国直轄事業の負担金をなくすというけれども、負担金は、道路だけではなくて、河川もありましたら、また港湾もありますし、空港もあります。いろいろなものがあります。地方負担は、さっきお話がありましたように、これは起債によって賄えるものがあります。それと同時に、建設労働者の方が一万人やっぱり雇用の問題等々がありますんで、そういう点でこの問題については一体どのように解決していくか、こういうことをきちっと、きちっと話し合っていこうではないかと。そのためには、是非……(発言する者あり) ○委員長(鴻池祥肇君) 御静粛に願います。 ○末松信介君 民主党の皆さん方がもう提案をされているその話を質問をして、お聞きをしようということでお願いしたわけなんですけれども……(発言する者あり) ○委員長(鴻池祥肇君) 速記止めて。 〔速記中止〕 ○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。 ○末松信介君 昨日御依頼をしたけれども、時間等々が調整が付かないということで今日は対応できなかったということでございまして、今理解をしました。(発言する者あり)合意、今理解しました。今理解をしましたので、おわびを申し上げます、この点については。 ○委員長(鴻池祥肇君) 引き続き、末松君、質問を続けてください。 ○末松信介君 はい。 それで、私、早速質問に入りたいわけなんですけれども、総理は、先月の、二月の八日ですね、憲政記念館におきまして地方六団体主催の道路財源の確保に関する緊急大会というものが実は開催をされたわけであります。福岡県の麻生知事が主催者の責任者であったように記憶をいたしております。 当日、各党の代表者の皆様方が来賓としてお見えになりました。我が党は伊吹幹事長、公明党は北側幹事長だったと思います。国民新党は自見庄三郎さんであったというふうに記憶をいたしております。我が党の伊吹幹事長、来賓のあいさつをしまして、実は憲政記念館に私入っていきましたとき、菅代表代行が前の方を歩いておられたわけなんです。まさかと思ったんですけれども、やっぱり御本人でありました。菅代表代行が入場されたときにはどよめきと大変大きな拍手があったと私は記憶をいたしております。 当日、いよいよこの緊急大会が始まったわけなんですけれども、我が党の伊吹幹事長がこのようにおっしゃいました。菅代表代行がお越しになったんだから、是非私の質問に答えていただきたいと言われたんです。それは、民主党の皆さん方が提案されようとしている、されていたこの主張、四つの主張がどうしても分からないと。一つはガソリンを二十五円下げるということ、そして道路特定財源は一般財源化すること、そして国直轄事業に対する地方負担は求めない、地方には迷惑を掛けないということ、そして四つ目は必要な道路は造りますということでありました。どうしても伊吹幹事長はこの連立方程式が解けないんで、是非是非これを今日、菅代表代行がお見えだったら解いてほしい、解いて聞かせてほしいという話をされたわけなんです。(発言する者あり) 私は、菅代表代行は良い…… ○委員長(鴻池祥肇君) 質問を続けてください。 ○末松信介君 はい。 菅代表代行は良いごあいさつをされたと思うんですけれども、我が党幹事長の質問を真正面から受けていたとは思えなかったわけであります。 ○委員長(鴻池祥肇君) 速記止めてください。 〔速記中止〕 ○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。 末松君、質問を続けてください。 ○末松信介君 そのとき、菅代表代行のお言葉というのは大変さわやかでありましたんですけれども、教育や医療は特定財源がないのにどうして道路だけが特定財源なんだということを話をされました。もう一つは、道路はやっぱり利権の温床になりやすいというお話をなさったと思うんですけれども、財源問題についてはやっぱり擦れ違ってしまったと思うんです。伊吹幹事長が二週間前、神戸にお見えになったときも、どうも、あのときその質問をしたけれども、今でも分からないと、そういう話をなさっておられました。 実は、そのときの菅代表代行のお話がございます。このように述べておられます。 麻生知事会会長の方から、是非民主党からも自由に物を言っていいからこの会に出てきてほしいと要請をいただきました。こちらからも麻生知事と東国原知事に公開討論会を申し入れて受けていただきましたので、私はどうしようかと考えたのですが、勇気を奮って出席をさせていただきました。どうかよろしくお願いいたしますと。大変堂々たるあいさつだったんです。 唯一、財源というところで見てみますと、この部分になってくると思うんです。 暫定税率を廃止するということについて、大変皆様方に御心配をいただいております。確かに、二兆六千億の暫定税率がなくなれば、どこか二兆六千億減ることになるのはもちろんでありますと。そこで、我が党は、その減る分が地方の負担にならないようにすべて措置をしているということを御承知おきをいただきたいと思います。一つは、公共事業の道路だけでないものについての直轄負担金が九千億から一兆円ありますけれども、それは直轄負担金はなくします。それから、臨時交付金についても、国が受け取るべき揮発油税二分の一を地方に回すことによって合わせて一兆六千億から七千億は地方に還元するという考え方を取っておりますので、直接的に地方の財源に穴が空くことはありません。ただ、国の事業費が大きく下がることはそのとおりでありまして、その問題は確かにあります。しかし、私は、先ほど申し上げたように、国は一回顔を洗って出直してくればいいと思っているんですというように切られております。 そこでお尋ねを申し上げたいんですけれども、総理は、まず伊吹幹事長が解けないというこの四つの方程式、連立方程式、これ、お解きになることできますか。 ○内閣総理大臣(福田康夫君) ガソリン価格を値下げして一般財源化して、それにもかかわらず地方には負担を掛けない、必要な道路は造るというこの四点ですか、この四点は、これは私どもの考え、今の考え方からすると解けるものではない。何かよっぽど大きなことをして、例えば教育費を削るとか社会保障費を削るとかいったようなことが伴うということ、若しくは道路を造らないといった、何かやっぱり減るものが当然あるんだろうと思いますよ。 ですから、そういうようなことも踏まえて、何かより良い方法はないかということを模索していかなければいけないと思います。 ○末松信介君 財務大臣はずっとこちらにお座りになられまして議論を重ねてこられておられますんですけれども、先ほど総理からお話伺ったんですけれども、財務の責任者として財務大臣はどのように思われます。 ○国務大臣(額賀福志郎君) これは、おっしゃるように、一般財源化をし、暫定税率を排除すると、中止をするということになると、文字どおりこれは、民主党の各先生方もお認めになっているように、二・六兆円の税収減になるわけでございます。 それで、これは例えば直轄事業だとか補助金だとか、そういうものを全部なくしてしまうと、一・六兆円のうち、国の一・六兆円のうち四千億円しか残らなくなって、これはもう道路の維持管理費ぐらいしか充てることができないと。新しい道路事業というのはまさに展開できないと。だから、その財源をどこから持ってくるのかということを明確にしてもらわなければならない。そうでなければ道路建設水準を維持することは不可能であると。 どうしても道路水準を維持していくためには、今総理もおっしゃったように、ほかで一般財源として使われている教育だとか福祉だとか、ほかの分野の予算を削減して道路に充てなければならないということでございますから、予算をつくる側からすれば、計画と財源手当てを一体的に全体像を示すことが責任ある態度であると思っておりますので、きっと民主党も、そういう歳出歳入の全体像を示して国民の前に明らかにしてくれなければ、国民の皆さん方も理解をしてくれる環境が整わないのではないか、説得力を失うのではないかというふうに感じております。 ○末松信介君 資料をお配りをさせていただいております。非常に分かりやすい資料でございまして、一枚目、二枚目、三枚目でありますけれども。パネルがありましたら、こちらの大きい方、そうですね、まずは、それで結構です。(資料提示)国の道路特定財源というのは三・三兆円でございまして、暫定上乗せ分と言われる、これ一・七兆円、本則税率分が一・六兆円でございます。パネルはないんです、これは。紙だけでございます。今、ここに今話している。この上の一・七兆円がなくなってしまうということです。この一・七兆円、この上乗せ分がなくなってしまうということです。 じゃ一体どういうことが起きるかということ。これは、国の直轄事業への影響ということでありますけれども、この資料はよく配られておりますけれども、こちらでございます。(資料提示)あっ、違います、こっちです。 三・三兆円、これから暫定税率の一・七兆円上乗せした分が引かれましたら一・六兆円しか残らないと。この列がこっちになるわけなんですね。済みません。慣れてないですね。 それで、どうなるかといいましたら、結局この補助金は一・二兆円、同額を補助しなきゃいけないということでありますから一・二兆円。一・六兆円から一・二兆円を引きましたら、実際残りますのは四千億円になってしまうと。極めて分かりやすい話なんです。 どういうことが起きるかといったら、先ほど議論がありましたけれども、使途の拡大等が六千億使えないじゃないかと。料金引下げとか地方への貸付けとかまちづくり交付金が使えないとか、そういった話が出てくる。直轄事業も大幅に減って、結局、国直轄事業で使えるお金というのは四千億円になってしまうと。 それで、四千億円でじゃ何ができるかといったら、国道の除雪や維持管理等、これで四千億円行ってしまうと。たしか北海道の除雪だけでも百億円要るというふうに伺っております。新規事業の凍結はもちろん、継続事業もすべてストップと。過去に契約した工事の支払もできないという、そういう事態を想定をいたしております。 次の資料。(資料提示)また裏向いちゃった、今度逆に。これでございますけれども、まず山口県の道路予算という、これ兵庫県の例を取りたかったんですが、兵庫県は三百四十億暫定税率を廃止したら減ってしまうんですけど、実際の事業量は一千億減ってしまう。別に林芳正さんから依頼を受けて山口県取ったわけじゃないんですけれども、山口県の例が一番分かりやすいということで取りましたんです。 支出の額は、これ道路予算ですけれども、九百二十五億円です。この中で借入金の返済費というのが二百三十一億円あります。維持管理というのは四十四億円です。道路の建設費が五百五十七億円と。そして、九十二億円が国直轄事業負担金と。 これはなかなか聞き慣れない言葉なんですけれども、先ほど総務大臣から話がありましたけれども、地方に負担を求めるというのは、国による直轄事業の恩恵を受ける地域が、これが恩恵を受けているということでありまして、国直轄の道路であれ県直轄の道路でありましても、結局道路には変わりがないわけでありますから、公平性を図るという観点から直轄事業の負担金というのを求めているということなんですけれども、これは九十二億円あります。 じゃ、この下段のところですけれども、収入、財源の内訳ですけれども、これは普通税収が住民税等で七十八億円、そして道路特定財源の本則分が百四十一億円、暫定税率分が百十六億円。ここが問題なんですよね。結局、失うお金というのは百十六億円と、そして国はもう直轄事業で四千億しかありませんから、国は補助ができないということでありますから、八十四億円はもう出すことができませんから、二百億円を失ってしまうと。国からの補助金ももちろん出ません。借入金というのは、基本的には事業に付随することによって地方債を発行できますので、これも起こすことができないということになってしまいます。 じゃ、どうなるかといいましたら、七十八億円と、三段目でありますけれども、七十八億円と百四十一億円、二百十九億円しか残らないと。じゃ、二百十九億円で何ができるかといったら、二百三十一億円の山口県の借金の、借入金の返済もできないという、こういう事態を招いてしまうわけなんです。 だから、この三つ目に書いています、三段に書いていますけれども、道路を造ることもできなくなります、道路を維持管理することもできません、過去の借入金の全額返済さえもできませんという、これを持ってこられている。知事が党本部に来られて持ってこられたわけです。もし間違いだったら山口県へ、県庁へ電話されたら結構です、これは。 これを御覧をいただきまして、国交大臣あるいは総務大臣にどのようにお考えかちょっと御所見を伺いたいと思います。民主党案を念頭に置かれてちょっとお話しいただきたいと思います。 ○国務大臣(冬柴鐵三君) 暫定税率廃止された場合に二兆六千億が失われるということは、なぜそうなるかということはもうやめます。その中から補助金一・二兆円を確保いたしますと、国に残るのは四千億でございまして、先ほど言われたように、道路の管理それから除雪、維持管理費で四千億がもう消えますので、全くなくなります。そうしますと、四月一日以降の我が方、直轄事業をやっているのは百十七路線ありまして、七百区間の工事をほとんど都道府県、どこもかしこも全部やっています。兵庫県も山口県も皆やっています。そういうものはじゃ引き続いてできるかといったら、国は全くないわけですから、できません。 それで、それが止まってしまうというのは大変なことでございまして、その上まだ今やっていただいているものに六千六百億円の借金があるんです、やっていただいているものについて。したがいまして、とてもできないということで、都市、地方を問わずすべての直轄事業が止まってしまうという、それによって地方経済、国民生活に多大な影響を与えるということが予想されるわけでございます。しかも、今、長い間待ってようやく工事が始まったところ、東国原知事さんの地元なんかもそうですけれども、それが止まるということは大変な失望と落胆だろうと思いますし、これを再起するためには相当長年月を要することになってしまうと思うわけです。 私は、この二兆六千億を今失うということは、このような厳しい財政の中で、もう国も地方も対応し切れないという、そういう私は瀬戸際にあるように思うわけでございます。何としてもこれは避けなきゃならない、そのような思いでいっぱいでございます。 ○国務大臣(増田寛也君) 先ほど先生の方からお示しになった山口県の例でございますが、これは私も、ほかの県の知事さん、それからあと市長さんからも、我が県あるいは我が市の道路関係の予算がこうなっているということで同じような例を、数字はもちろん違いますけれども、お聞きをしたことがございます。 要は、道路特定財源の暫定税率の部分だけがなくなるということではなくて、そこはもちろんなくなるわけですが、それに伴って、それはまさに自己資金になっているわけですから、その補助金を受け入れるその分の自己資金もなくなって、そして補助金、それからすなわち事業全体の借入金全体がなくなってしまうと、そういうことで大変大きな影響があるということだと思います。 そういうことですので、地方分についてもそうした事業を確保するのが大変で、県によっては他の分野の予算を削減してこちらの方に回すという大変苦しい予算編成になるということでありますが、なおかつ、今国交大臣からもお話ございましたように、直轄が止まってしまうものですから、例の新直轄ですね、新しい事業整備手法で生み出した新直轄もストップして、それが一段と地域の格差を広げることにならないか、その点が大変心配であると。 それから、民主党さんの方の御提案ですね、先般出てきましたのを私の方も拝見をいたしました。特に直轄負担金、あれは一兆一千億になっておりますけれども、道路分ということであると六千億ということではないかと思いますが、その分を負担をなくすということですが、そうすると、いろんな逆に疑問も出てまいりまして、他の河川事業等の事業をどう確保するか等の問題ありますが、それは少し置いて道路に限って言いましても、町村は基本的には直轄負担金というのは負担していないような場合が多うございますし、直轄の事業というのは年度によって非常に振れる、事業箇所が変わっていくものですから、うまく全国どこの市町村も含めて道路の事業をやっているときに、その全体のマクロの数字をある程度確保したとしても、毎年毎年きちんとそういったところにお金をうまく配分できるのかどうかという、どういうやり方をされるのかということと、それから、なおかつ、直轄負担金一兆一千億、仮に公共事業全体であるとしても、そのうちの六千億は起債で手当てをしていると。 ですから、暫定税率、これ各地方団体すべてキャッシュでそれぞれ入ってくるんですが、それを直轄負担金の廃止で振り替えたとしても、それは要はそれぞれの団体に借金をその部分新たにしなさいということにつながっていくので、公債費比率も引き上げることにつながっていきます。 そういったこともございまして、こういった問題、やはり地方団体の財政ということでは多くの首長さん方は大変心配をしているのではないかと、このように考えているところでございます。 ○末松信介君 よく総務大臣のお話、分かったんですけれども、民主党さんが出している案、やっぱり無理があるというように考えた方がよろしいんでしょうかね。ちょっと端的にその辺のところをちょっとお答えいただけますか。非常に知事をやっておられたからいろいろお気遣いされているのは分かるんですけれども、これから一緒に民主党さんと勉強していかなきゃいけませんから。 ○国務大臣(増田寛也君) 今の民主党さんから出ている提案ではやっぱり欠けている部分がある、不十分なところがある。要は、じゃ一体、地方でいろいろ事業をやられているんですが、それをどこまで造るんですかという、そこの部分が欠けているわけでありまして、それはもう造らないということをはっきりおっしゃるのであれば、それはそれで一つのやり方だと思いますけれども、そこの部分が欠けている。 財源の問題について言いましても、そういう提案が出てきたときに多くの首長さん方が、じゃそっちでいこうと言って声を上げた人は、少なくとも私のところに声は届いておりませんので、やはり大変心配しておられる、率直に申し上げましてそういうことではないかと思います。 ○末松信介君 総務大臣と考え、全く一緒なんですよ。私もこれ、菅さんのお話とか民主党の案をずっと見ていたら、何か手品のような、マジックのような感じが実は受けているわけなんです、またおしかりを受けるかもしれませんけれどもね。 実は、国が取るべきはもうこの本則税率部分だけでありますから、道路特定財源というのは本当にもう四千億以外はまず地方に回しますけれども、国はほとんど事業なくなってしまうと。そうなれば、国の直轄事業はもちろんなくなるわけです。地方はまあまあ維持はできると、でも新しい事業は地方もしんどくなってくると。 となれば、結局分かりやすく言えばどういうことかと言ったら、私たちは国民であると同時に県民であると、だから国民という視点に立てば全くマイナスであると、事業だけとらえたら。県民という単位でとらえたらまあまあかといったら、プラスマイナス考えたら結局ゼロになってしまうという。要は、民主党案というのは、一つ考えていきましたら、これはある面で事業者を視点にして見ていると、受益者というものを視点には見ていないという面が言える。むしろ私は、国と地方の役割分担ということ、地方分権の方が先なのかなという、そういう感じを実は抱いているわけであります。 これから委員会でいろいろと議論をしていって明らかになってこようと思います。今だけの財源ではしんどいということはよく大臣のお話も分かりました。しっかりとこれから議論を闘わせたいと思うんですけれども、随分時間がなくなってきまして、ほとんどもう三月三十一日ぎりぎりという状況でございます。 それで、ガソリンの二十五円を引き下げた場合のことですけれども、これによって軽油とガソリンとを、これはまた庫出税の違い等々があるんですけれども、市民生活に与える影響というのはどうなるのかということ、民主党さんは新たな案を提示されていますけれども、お答えをいただきたいと思います。 ○国務大臣(額賀福志郎君) 私はそういうことを頭の中で想定はしていないんです。だから、余り考えたくもないし考えたこともないんでありますけれども、二十五円下がれば、下がるということのような事態にたとえなれば、それは消費者の皆さん方がスタンドで買い控えたり、あるいはまた実際に下がってくれば買いが殺到したりとか、様々な混乱が起こることが予想されます。 私は、そういうことだけではなくて、やっぱり今から、これまでも議論をしてきたように、今度の我々のこの特定財源の問題に対する対応の仕方は、一つは引き続いて国民のニーズに合った道路をきちっと造っていくということ、それから暫定水準を維持するということは環境問題にも資するということ、それから国の財政事情にも配慮されているということ、そういうことを中長期的によく考えていただいて、国の在り方それから自らの地域の地域づくりにも役立っていくということ、そういうことを総合的に判断をして正しい結論を国民の皆さん方には出していただきたいと。丁寧に我々も説明をして、自動車ユーザーの皆さん方にも御理解を得るように努力をしているということでございます。 ○末松信介君 私、今回、民主党の皆さん方が今国会をガソリン国会と命名した。これはマスコミの方が命名したのかもしれません。 それで、今ようやく分かってきましたのは、どうも今の状況では、話合いが付かなければ、妥協点が見出さなければ厳しい局面を迎えると。しかし、我々は、地方はもう予算組んでいます、今大臣がおっしゃったように、いろんな事業というものを継続中、七百ありますからね、こういった事業、やっていく上では。まあ考えたくないということを財務大臣はおっしゃったんですけれども、下がってしまっても、やはり国民の皆さん方に一生懸命理解を求めて、こうですよという事情を話をしてあげなきゃならぬという。下げて、上げて、結局自民党というのが非常な悪役を買ってしまうというのか、そういうものがあろうかと思うんです。ある面で私は、そんなことはないかもしれませんけれども、ガソリン政局的な感じというのもちょっと思ってしまうと。マッチ一つで爆発するような爆発国会とも言えないことはないなという。そうであってはならぬということを自民党の国会対策委員会でもずっと話をしています。それで、(発言する者あり)ありがとうございます、羽田さんがいいこと言ってくれますので。 それで、先ほど平野委員からもお話がありましたけれども、総理は修正案を検討しろということ、話なさっているんですけど、これは中期計画をもっと弾力的にとか、しっかり見直せとか、あるいは、よくみんな、自民党の議員でもかなり多くの議員が、一般財源化の話ということは結構出ているんですよ。(発言する者あり)まあまあ。 それで、総理にお聞きをしたいのは、小沢代表は暫定税率の廃止ということは絶対譲らないということをおっしゃっておられる。いろいろ我々考えるんですね。じゃ、暫定税率を維持して恒久化して一般財源化するということも一つの案かなとか、いろんなことを思ってしまうんですよ。 どうか、今国民の皆さん方が御覧になっていますんで、総理としてリーダーシップを取る上でどういうメッセージを、一番今の時点で正しいかということを、どうか福田総理にこの点、こういうやり方が自分としてはいいと、この点を是非お話をしていただきたいと、こういう結論がいいんだということを。 ○内閣総理大臣(福田康夫君) 末松委員おっしゃったように、あと審議日数だって十日ほどしかないんでしょう、三月末までに。そういう短い期間でありますけれども、ここで与野党、賢明な議論をするということによって年度末までに一定の結論を出さなければいけないと、こういうことであります。 それは、議長のあっせんと申しますか、若しくは裁定と申しますか、一月の、二月の末にございました、三月末までには修正をして、そして結論を得ると、こういうことでありました。我々は、それがとても大事なことだというふうに思いますよ。それをしないでどうなるか。それは、しなくたって野党の方々が大変御理解を示してくださって、そして与党の方も必要なところは手直しをするとかいうようなことをした上で与野党合意を得るということができて、そして国民生活にも四月一日以降何ら影響を与えないといったようなことになれば、なおかつ、今大変経済情勢もいろいろなことが起こりまして、これは国内だけでない、特に海外の要因というものは非常に大きいわけでございまして、金融情勢も、また世界の経済情勢も急に変わってきているようなそういう状況の中で、我が国の経済が影響を受けないわけないんですね。こういうときこそ与野党が一致して結束してこの難局に当たるというのがやはり国民に対する我々の義務じゃないかと思いますよ。 ですから、そういう合意を得るための最善の努力をするというのが我々に求められた使命だと、こう思っておりますので、私ども、先般来、この二十年度予算に関係するいろいろな問題について謙虚に修正すべきは修正をしたいと、こういうことも申し上げておるわけでありますので、その点は野党の皆様にもよく御理解をいただいて、そして我々の意を少しでも酌んでいただきたいなと、こういうふうに思っておるところでございます。 ○末松信介君 ありがとうございます。 この項で最後の質問なんですけれども、この前の日曜日、二階総務会長が衆参両院議長にもう少し汗をかいてほしいという、そういう訴えをなさっておられたニュースを拝見したんですけれども、河野議長がどういう努力をされているか私分からないんですけれども、参議院議長の江田議長はこうおっしゃっているんですね。これ三月十二日、徹底審議とか修正にも言及しているから受け取り方はいろいろあるだろう、あとは与野党で努力していただくことがあっせんした両院議長の願いだと。まあここはいいんですけれども、一方こういうようにおっしゃっているんです。当事者が仲たがいしたからといってお見合いをさせた人に責任を取れと言われてもどうにもならないと。これだったら仲人頼まないですよ、はっきり申し上げたら。 やはりこの点につきまして、衆参両院議長に対して総理としてどういう働きかけをしてほしいかということ、その思いを述べていただきたいと思うんです。総理、できましたら。 ○内閣総理大臣(福田康夫君) 私は、今この衆参で状況が違うというそういう国会、極めて難しい、運営の難しい国会の中において、時として両院議長があっせんをしてくださるというような現状、これはある意味においてやむを得ない部分があるかもしれません。しかし、誠心誠意議会が円満にいくようにという、そういう思いを持って両議長があっせんをしてくださるということ、これは大変有り難いことだというように思います。 しかし、両議長の手を煩わさないで、与野党が話合いでこの場で解決をしていくということが、これが一番大事なことじゃないでしょうかね。そのために我々は努力しなければいけないというように思っておりますので、両院議長の今後の必要に応じての対応はこれは私どももお願いしなければいけないけれども、しかしその前に我々としてやるべきことはあるんだということを常に考えているわけであります。 ○末松信介君 次の項に移ります、もう時間もなくなってまいりましたので。 本四関連、この道路の問題についてお話を伺いたいんですけれども、その前に、実はイージス艦の事故がありまして、このことが大きな話題になっております。 実は、その後、三月の五日に、午後二時五十五分に明石海峡大橋から東約二・五キロメートル、神戸市垂水区沖合の海上で船三隻が衝突をしまして実は沈没をするという、貨物船が沈没するという痛ましい事故がありました。二人の方がまだ行方不明であります。冬柴大臣は現地の調査にも行かれましたし、何よりも兵庫県も、そして海上保安庁も自衛隊法に基づいて災害派遣要請をしまして、今掃海艇が行っています。調査をしているわけなんですけれども。 実は、そこで一番の問題というのは、まずは、ドラム缶で、これ三百七十本のドラム缶があるわけなんですけれども、じょろじょろ漏れているということに問題があります。結局それを止めなきゃならぬか、あるいは船を引き揚げるか、どっちかなんですけれども、このことはとにかく今対応を一生懸命いただいておりますので感謝を申し上げたいと思うんですけれども、漁業被害の問題ですよ。 あそこはノリの生産、ノリの養殖をしています。イカナゴというのを作っているんですね。(資料提示)ノリもこういったように大変いいノリなんです、これは。また総理、終わったらお渡ししますけれどもね、これ。イカナゴというのは、これが垂水区で捕れたイカナゴで、これ山田組合長からもらったやつ、こうして。このノリは明石の小松さんだと思うんですけれども。 それで、四月の二十日までこのノリの生産というのをやるのを、結局、油がずっと東西に五十キロ、南北に十キロ広がってしまいまして、結局ノリがもう取れなくなって、四月二十日まで書き入れ時だったんですけれども、生産を中止してしまったと。約四十億の被害が出ているということなんです。イカナゴ漁もストップしている漁協もあるわけなんですよ。 この点につきまして、タンカーだったら大きな保険に入ってある一定の補償をもらえるんですけれども、こういった一般の貨物船だったらそうはいかないと。漁業共済である程度面倒は見てくれるかもしれません。海洋国日本として、これは何とか考えないといけない問題なんですよ。どういうスキームでやっていくか。単に民間の船が沈んで油が流れてきて、そして漁業者が困ってしまったと、もうそれで終わりと。これでは、これから漁業、第一次産業を営んでいる方々にとってはやりきれない問題があると思うんです。 新しいスキームをやっぱり作っていく必要もあろうかと思うんですけれども、このことにつきまして総理か大臣かの御答弁をいただきたいと思います。できましたら、総理からいただけたら有り難いんですけれどもね。 ○国務大臣(冬柴鐵三君) 私も沈没現場へ直ちに参りました。保険は最大で七億、五億から七億、七億がアッパーのようでございます。それで、ノリだけで四十億、それからイカナゴも入れますと本当に大変なことになるわけでございます。しかも、八十三メートル下に沈んでおりまして、そこは瀬戸内海ですから、六ノットのスピードで潮が流れているんですね。したがいまして、普通の潜水夫とか、それはもうできません。それで、防衛省にお願いしまして、掃海艇に出ていただいて下を写真撮ってもらいましたけれども、なるほど沈んでいる状態、それは分かりましたけれども、どこから油が漏れているのかはつかむことができなかったということです。これを揚げるというのは物すごい費用が掛かるようでございます。 私もそこを見ましたけれども、そんなにぼこぼこぼこぼこ出ているわけじゃありません。恐らくどこかからぽっぽっと上がってくるんですね、油が。そのような状態でした。我々の方としては、それに散水をしまして、それでそれを拡散をして蒸発と。それから海底の微生物が食ってくれるんですね。ですから、固まりじゃなしに広げるという、そういう作業を今一生懸命やらしていただいているというのが現状でございます。 漁業被害がどうなるのかということについては、私は本当に所管じゃありませんし、縦割りじゃありませんよ、本当にこれは気の毒だけれども、私のあれでは、原因を究明したりすることは我々は一生懸命やらしていただいたけれども、それ以上のことができないので、非常にもどかしく思っているのが現状でございます。 ○末松信介君 総理、何か一言ありませんか。 ○内閣総理大臣(福田康夫君) 今回の貨物漁船事故、これ、重油流出で漁業被害に遭われたわけですね、先ほどの御説明で。漁業者の方々、大変お気の毒だと思います。お見舞いを申し上げるとともに、また、漁を中止して油の除去を行わざるを得ないという漁業者の方々の心情、これは察するに余りあるものがあります。 被害の補償でございますけれども、これは、加害者が明らかであるということから、当事者間で解決されることが基本であります。しかしながら、政府としても、できる限り速やかに漁業共済が支払われるように、水産庁から全国漁業共済組合連合会に対して要請をいたしております。 それからまた、被害を受けた漁業者が低利の運転資金の融通を受けられるように、農林漁業金融公庫に対して漁業者からの相談に的確かつ迅速に対応するように依頼をしたところであります。 さらに、兵庫県においては出先機関などに金融相談窓口を設置しているところでございまして、国としても、引き続き関係地方公共団体と密接な連携を取りつつ、本件について適切に対処してまいりたいと思っております。 ○末松信介君 いろいろと質問を通告いたしておりました。本四の関係についても示唆しておりましたけれども、時間がなくなりましたのでこれで終わりたいと思いますけれども。 道路特定財源というのは無駄遣いという例がよく挙げられています。民主党の議員の先生方のお話というのも大いに私は評価しなきゃならないということを思うんですけれども、ただ、多くの所管する部署の役人が、制度が長期間にわたりましたら、財源がやっぱり自分の裁量で何でも使えるという、そういう思いを持ってしまう方が多いと思うんですよ、確かに。私はその辺のところはやっぱりしっかり考えていかなきゃいけないということは思います。しかし、だからといってそれは、制度をきちっと守って、是正はすぐできるはずなんですよ。これはできるんですよ。(発言する者あり)尾立さん、そうは言いますけれども、できるんですよ、これは。だけども、それをもって今までやってきたことがすべてが間違っているということを言ってしまうのは私は言い過ぎであると思うんです。これから、ただ、五十四年も続いてきた制度ですから、一端の大きな役目を果たしつつあります。この点はしっかりと考えていきたいということを思います。 三月三十一日にどうか法案が通過できますよう、どうかその辺の御協力もだれかれ向いてお願いを申し上げて、質問を終えます。 ありがとうございました。
活動報告

2008-03-18
第169回国会 参議院予算委員会 第10号