162-参-国際問題に関する…-2号 2005年02月16日 ○末松信介君 じゃ、時間がまだ少しあるようですので。兵庫県の末松信介と申します。 先生の御質問に少し重複をいたしてしまいます。私は二つか三つという御質問になろうかと思うんですけれども、非常に、中国肥大化論とか中国経済脅威論というのが非常に新聞をにぎわせて、しかし、そこには随分痛みを伴いながら中国が発展してきたということは余り述べられていないと。先ほどからずっと環境の問題あり失業者の問題あり貧富の差の問題あり、階級的なまた格差の増大とか、いろんな問題があろうかと思うんですよね。 ある方の話、中国というのは十三億人も住んでおられますから小国ではないと、だからといって大国とは認めたくないと、だから中国だと言うんですよね。なぜだと。その大国でないというのを認めたくないというのはやっぱりコネ社会であり、やることが稚拙なところがあるということなんですよね。もちろん、中華というのは当然、自己中心、自分が中心であるというところから来ているわけなんですけれども。そういう点で、構造的にまだやっぱり日本としては中国のとらえ方というのはきちっと定まったものじゃないと思うんですけれども。 それで、経済的な発展を遂げてきた大きな理由というのは、私、神戸市の垂水区ですけれども、長田区っていう隣にケミカルシューズ工業組合ってあるんですよね。七百億円の靴を作っていたんですよ、四百社で。震災の影響もあって、今何ぼかと言ったら、百三十社で四百億円しか、切ってしまっておると。一番大きな理由というのは、これ、中国でやっぱり人件費の問題だったんですよ。ミシン工さんが日本は大体一日一万円から一万二千円なんですよ、人件費が。向こうは月七千円か八千円なんですよ。ですから、結局、向こうで、現地で靴底を作って、半製品として日本へ持ち込んできて、アッパー部分を日本で製品化して売るということをやっています。ところが、どんどん前へ話が進んできて、原材料も向こうで調達できるということで、向こうに注文したと。それできちっとしたものがやっぱりできてきたわけですよ。とうとうほとんどすべてが向こうでできて、結局メーカーが商社化するということになってしまったのが現実であると。 で、何が言いたいか、一番問題はというのは、結論から言ったら、一番打撃を受けたのは、技術を盗まれたんですよ。だから、この二十年間は物すごく中国は発展遂げたんですけれども、中国という国を非常に甘く見ていたという。あそこでもやっぱり、あの靴でもなだらかな技術がやっぱりあるんですよね、ああいう。ですから、ほかの業種に至っては相当なものがあるんじゃないかなということ。ですから、物作りで、金型なんかはまだまだ大丈夫だといういろんな意見があるんですけれども、今後中国の付き合い方というのはやっぱりきちっと考えていかにゃいかぬしということで、物作りはやっぱり比重を置かなきゃならぬと思うんですけれども。 相当大きな投資が行っています。もう弱電気なんかも向こうで生産しているところ一杯ありますんでね、東芝やあれの下請になっていきましたら、三洋電機の下請なんかでも。ですから、先ほどの話にあったように、もう不動産投資はどんとこれもうやってしまっていますから、いろんな投資やっていますから、人民元切上げするいうたって、ほんまやったら困ってしまうのは投資している側でありまして、結局ソフトランディングできるかどうかということに、まあ気になってしまうわけなんですけれども。 私は、この西暦二〇〇〇年には一兆七十一億ドルですね、二〇〇〇年が、これがGDPが。二〇一〇年にはGDPをその二倍にするとなっています。二〇二〇年には四倍にするということになっていると。さっき先生のお話がありましたけれども、できるかどうかということなんですけれども、一つ心配なのは、各地方の都市に開発権なりを与えているケースが多いと思うんですよ。だから、どんどんどんどんアモイ行ってもどこ行っても変わっている状況を見ているんですけれどもね。その中国政府の発表とやっぱり地方政府との発表というものに随分食い違いがあるということは如実に出てきていると思うんですけれども、この点、きちっとして政府のコントロール下で、一国二制度の下ですけれども、これ、きちっと信頼できる国として中国は経済発展を遂げていけるかどうか、日本はそのときどうすべきかどうかということをお尋ねしたいということが一つございます。 それと、これ二〇〇二年の秋の十六回の共産党大会で共産党は労働者階級の前衛ということの建前は語っておられます。しかし、そこで新たに盛り込まれたのがこの三つの代表であり、かつ中華の民族の前衛を位置付けをしたということでありまして、先生はもう詳しいと思うんですけれども、この三つの代表というのは、先進的生産力の代表と先進的文化の代表と広範な人民の代表ということでありますから、要は経済発展に貢献してきた私経済の、私有経済の企業家とか外資系企業のリーダーをもってやはり共産党に入党してもらったらいいじゃないかという、ある面では非常に民主化を認めていることは確かなんですよね。いずれ、これは高まってくる民主化の声というのをどう受け止めてどこまで反映できるか、ただ、全面的に民主化を認めるなんということになった場合に中国どうなるかということは前回の国際問題調査会でもお話があったことで、こんなことはできないだろうという話だったんですけれども、しかし、民主化の声は絶対高まるはずなんですよ、資本主義入った以上は。これをどう受け止めるかということで先生にちょっと御意見をいただきたいということを思います。 それと、最後になりましたけれども、これは付き合い方の問題なんですけれども、十五歳から十八歳の青年期の中国人には、悩み事をだれとも相談したことがないということについて多いんですよね。これ、十一か国の主要国に聞いても一番多いんですよ。 それともう一つは、中国という国は、先生最初に、言葉では余り一つ一つきちっと整理して考えない方がええぞということをおっしゃられたと思うんですけれども、とらわれない方がいいということで言われましたんですけれども、共存とかいう言葉、余り中国人は使いませんよね。兵庫県も広東省と付き合いあるんですけれども、彼らは必ず協力とか協調という言葉でもってくるんですよ。共存なんということについては、やっぱりこれは中華思想の原点があるのかもしれないんですけれども、こういうところで、そういったなかなか人を信じてくれないというんでしょうか、生きることがストラッグルであるというような中国人にとって今後どういう形で向き合っていくべきか、歴史問題を聞く先生が今日お休みなので聞いておいてくれと言われていますんですけれども、靖国参拝の問題とも併せてどう向き合っていくべきかということをお聞きをしたいと思います。もう時間なくなってきたので簡潔で結構です。 それと、若林先生には一つ追加でお聞きしたいのは、台中県と、台中県議会と我々交流があったんですけれども、地震が台湾で何年か前ございまして、二億一千五百万円のお金を持って、小学校建設のための義援金を持っていったんですよ。でき上がって喜んでくれたんですけれどもね。あのとき、九八年でしたか、台湾危機、海峡危機がありましたけれども、おおよそ台湾国内はそんな危機なんかいうことを感じるようなそぶりではなかったということ。あの先生方から、台中県議会の議員から、今は自分たちが中国との間で非常に争っているというんでしょうかね、危機的な状態にあるというような認識は全くないんですよね。本当にないんですよね。 結局、アメリカは今でも台湾との間には台湾関係法という法律をもって実質的に軍事協力の強化は行っていると思うんですけれども、中国はもちろん武力行使もできないということで、しかも民進党とか台湾団結連盟が二〇〇一年の十二月にこれ選挙勝ちましたんで、陳水扁政権は強化をされたわけなんですけれども、これはもうこうして考えていった場合、ある点では非統一、非独立、依存共栄ということがこれもう当たり前で、これからもこの将来延長線上にはそういうものがあってしかるべきじゃないかという意識が強いんじゃないかということを思うわけなんですよね。つまり、対立軸がかえってなくなってきつつあるんじゃないかという、台湾国民の中で。余りにも、そういう中国が何かしてくるんじゃないかという危機意識なんというのはどこにも聞けないんですよね。だから、その辺のところ、自分たちの正統性は宴会の、懇親会の場所では言われます。やはり、民主主義の大切さ言われるんですけれども、聞かれない中で、これもう対立の価値は薄れつつあるのかどうかなということをちょっと僕は自治体外交の中でちょっと感じたわけなんですけれども、お教えいただきたいと思います。 以上です。
活動報告

2005-02-16
国際問題に関する調査会