164-参-国際問題に関する調査会-6号 2006年04月19日 ○末松信介君 失礼いたします。 私は、対アジア外交の中で中国のことについて触れておきたいと思うんですけれども、今、澤先生からも話がありましたし、大門先生も、共産党でなければ、いい、大変いい話でなかったかなと思うんですけれど。 いや、実はその東アジア共同体はこの調査会でも随分取り上げてきたんですけれども、私は、一番問題はやはり、中国の今の経済成長、年率九%とか言われていますけれども、これがずっとこのまま続いていくのかどうかということについて、非常に冷静な目、冷徹な目で日本は見ておかなきゃいけないと思うんですよ。中国は続くということで予算を組み立てておるんですけれども、あの国、どうも出てくる数字というのがやっぱり二重の数字が多いという。 例えば開発についても、一度申し上げましたけれども、首長にその開発権をゆだねて、そしてこれだけの数字を上げていきますと、業績を上げますという数字を述べさして、党中央にいい顔をできるようなチャンスを与えておると。で、積み上げた数字と北京政府の発表とでは数字がやっぱり合っていないと。二重予算のような一部側面があると思うんですよ。そういう点を私たちはどのように考えるのかということは、今なしておかなきゃならない問題だと思うんですよ。 税体系についても改革途上でありまして、例えば外資の導入によって取れるところから取ればいいということでありますから、地方ごとに極めてあいまいな徴収の仕方をしているという実態もあろうかと思います。 二つ目は、不良債権問題で一三%ぐらいまでこれどうも下がってきたというんですけれども、その実、内情は分からないと。二〇〇三年のこの国有商業銀行の不良債権比率は一七%というのが公式の数字でありますけれども、これもはっきりしないということであります。 三つ目は、中国が輸出しているIT関連の八割がこれ外資系企業が実はかかわっておる。外資系企業によるものでありますから、外資を導入して合弁企業を設立して、結局、技術がある面盗まれていくと、また別会社をつくっていく、合弁会社もつぶしていくという、そういった流れができていると。それを支えてきたのが安い労働賃金であるということがあります。 四つ目は、加藤先生から話ありましたけれども、環境の問題も出てきておると。アムール川の汚染の問題もあります。同時に、最近はノリの輸入というのをIQで我々日本は受けなきゃならなくなってきたんですけれども、重金属がやっぱり相当含まれておるということでありますから、これもやはり沿海州、いろんな問題抱えてきております。 そうして五つ目は、三農問題と言われる農業、農村、農民問題、都市と農村との格差の問題というのがよく言われますけれども、実際農村から都市への人口流入というのは相当な数になっています。都市と農村との格差は三倍に広がったということが言われるわけでありまして、これ一九七九年農村の非農業労働力人口が二千八百二十七万人が二〇〇〇年には一億七千七十八万人に膨らんでいるということでありますから、こうしたいろんな大きな矛盾を抱えてきているわけなんですね。 私は、経済がこのままずっと伸びていくという前提で我々ちょっと考えがちなんですけれども、この前、我が党の外交調査会で大変著名な先生と話をしておりまして、一つだけ断言できることは社会主義市場経済は崩壊するということを前提に考えなさいということを明確におっしゃっておられるんですよ。ソビエトがペレストロイカにゴルバチョフが失敗したと。あのときは企業独立採算制と自己資金調達制というのを、これ機能していないのに結局その中で計画経済に引導を渡してしまったということもございます。こういった中で、我々、この社会主義市場経済が崩壊する、そうした場合、そのときに共産党というのが一体どういうような形に性格が変わっていくのかということ、このことに非常に冷静な目を向けておかなきゃならないということ、このことを、まず東アジア共同体ということを考えていくならば大切な問題になってこようかと思います。 私、大門先生が以前APECでいいじゃないかと言ったんですけれども、まあいろいろと考えていって、東アジア共同体というのはやはり経済の問題ある、環境の問題ある、安全保障の問題ある、もちろん食料の問題とかいろんな問題もありますので、それぞれ分野別でやっぱり語っていく上ではこれはいいことかもしれないと。ただ、APECとの違いというのが、アメリカを入れるか入れないかというところにやっぱり一番の違いが出てくると。だから、アメリカを入れない東アジア共同体というものが好ましいと、私はそう思います。その点でどうかというところから今後検討を重ねていきたいと思います。 最後になりましたけれども、靖国の問題なんですけれども、いろいろと先生方御意見ありますけれども、靖国問題は今のところはやっぱり僕は中国問題であり、中国国内向けのこれは一つの言動だなということを思うんですけれども、ただ、そうこう言っていてもこれ切りがない話であります。 東京裁判というのはやっぱり軍事裁判でありますから、あそこで裁かれた方というのは結局、処刑、裁かれて死刑宣告を受けて処刑された方は戦死された方と同じという、そういう考え方は私にあるんですけれども、しかしながら一度、韓国とか中国という批判というものをもう全部一遍除いて、日本独自で靖国神社というのは一体どうなのかということはきちっと考えなきゃいけないと思うんです。 で、敗戦、戦争の責任は一体どこにあったのかということをどこかの場所でやっぱりきちっと話をしなきゃいけないと。できれば中国とは歴史のことについては共同認識を持つべく、その作業を行うべきじゃないかなと思うんです。そうでないと、せっかくあれだけの留学生が来られて帰って、何のために来られたかということで、残念で、無駄な投資に終わってしまうし、無駄な親切に終わってしまうような気がします。 その上で、あの南京の虐殺記念館というのは、昨日も調査室の方と話していたんですけれども、あれはどう考えても、やはり平和の大切さを訴えてというよりも、抗日分子をつくっていく、排日分子をつくる製造機関、記念館になっちゃってしまっていると。日本の広島の原爆記念館というのは反米じゃないですよ、やっぱり。反核兵器、反原爆という、そういうもので造られていますので、その大きな違いというものをきちっと中国に説明して、あれをなくしていってもらうように活動すべきであると。 そういうことで、これからこういった調査会でいろいろ学びたいと思います。
活動報告

2006-04-19
国際問題に関する調査会