165-参-国際問題に関する調査会-4号 2006年11月22日 ○会長(田中直紀君) それでは、これより各委員から質疑を行っていただきます。末松信介君。 ○末松信介君 自民党の末松です。 今日は、いろいろと三人の局長からお話を聞かせていただきましてありがとうございます。 六か国協議の再開で中国が大きく動いたということは、もう世界周知のことでございます。それで、いろいろとお話聞かせていただいたんですけれども、アメリカは北朝鮮のこの核の廃棄を絶対的ということを主張はされておりますし、そう思っていますけれども、実際のところは、核技術の輸出であるとか核の輸出という核の拡散をしなければ、現実的にはもう是とせざるを得ないんじゃないかというふうな考え方も一方であるんじゃないかという、そういう実は不安を抱いているわけなんですね。だからこそ、もしこの核を拡散した場合には、北朝鮮が一体どういう目に遭うかということは、もうイラクとかいろんな諸外国にアメリカがやってきたこと見たら、彼らはある種の恐怖心持っていますし、よく分かっていると思うんです。 私、六か国というのはそれぞれ問題を抱えていると思うんです。まあいろいろと新聞書いていますから、もう皆さんもよくお分かりだと思うんですけれども、北朝鮮は食糧難であり、これはもう矛盾した内部の圧制をしいているし、内部の崩壊をしつつあると。気が付きゃもう金正日と一部側近と軍部だけになっていたというようなこともあるかもしれません。 韓国は、日本の主張するような制裁にはなかなか乗ってこないと、乗れないと。なぜかといったら、せっかくここまで統一を進めてきたのに、もう一度原点へ戻すということだけはしたくないということがよく分かると思うんですよね。 中国はどうかといったら、中国は北朝鮮へのこれ支援国家でありますので、ソビエトが北朝鮮という国を生んで、育てたのは中国であると。地下資源なんかでやはり北朝鮮に対して中国も求めるものがあろうかと思うわけなんですね。同時に、もう東アジアの共同体という話が出ていますけれども、その中でもやはりリーダーシップを取って、アメリカの影響力を一層低下させたいという思いを持っていると。それと、北朝鮮の突然の崩壊というのは難民問題もあるから困るというのは中国であると。中国はやっぱりいろいろと考えていると思うんですね。 アメリカは、もう長引くイラクの戦争であるということで、イラク戦争で、紛争というのはもう懲り懲りだというところで対話路線に進み出したということで、いささか日韓の協調については、日韓協調については、それは歓迎したいと思うんですね。 日本はアメリカと同盟があって、安全保障上はこれは問題はないというように考えているかもしれませんけれども、しかし絶対ということは私はないと思うんですよね。 現に、マクナマラ元国防長官がキューバ危機から三十年後にカストロに会ったときいろいろと質問をしておりますね。核の存在を知っていたかということと、実際に核の使用を進言したか、カストロに対してということと、そのときどうなったかというこの三つについて聞いているんですけれども、知っていたということと、そしてもう一つは、実際、カストロに対して核の使用を進言したということ、それと、核を所有していたら恐らくはもう破滅していたであろうということを言っているわけなんです。ですから、絶対ということは私はないと思うんですよね、いろんなことを言いましても。 そういう点をいろいろと考えていきました場合、今核実験、核弾頭化という問題の前に、日本というのは拉致問題を抱えていますから、この拉致の問題が一歩も二歩も下がってきているんですけれども、ある韓国の外交通は、核の廃絶のイニシアティブは核を持っていない韓国と日本がやはり主張できる大きな権利があるという話をされているんですけれども、ただ、韓国のその外交筋の方は、日本は拉致問題と同列にこの問題を論じたらインパクトを弱めてしまうという話がございます。つらい指摘なんですよね。我々としては、核とこの拉致の問題というのは同時並行で解決しなきゃならないという安倍政権の公約でもありますので大変つらい課題を背負っているんですけれども、ここに来て、先ほど田中会長から話がありましたように、アメリカが北朝鮮対応に大きく何か譲歩をし始めたというのがここ二、三日じゃないかと思うんです。マカオの口座の一部凍結の解除の話とか、あるいは朝鮮戦争の停戦というのも、実際、戦争状態にありますけれども、停戦を、終結という形に考えてもいいということをハノイの会議で話をなさっておられるということなんですね。 私は、アメリカという国は大変、穀物とそれと石油と核というものを触ったら非常に敏感に反応する国なんだということを思っておりまして、そういった中で日本の主張というのは、核廃絶と拉致問題ということになって、この二点なんですけれども、アメリカ中心として、また中国を中心として、日本以外の五か国、この難しい今の朝鮮半島の情勢でこの方程式を解いていかなきゃいけないんですけれども、日本としてどういうような形でこの方程式を解くのかと。譲歩しなければならないとしたら一体どういうところなのかということ、この見通しというものを外交官として是非お考えをお聞きしたいと思います。 それと併せて、二年後にまず、もしアメリカで民主党政権が誕生した場合、北朝鮮政策というのは一体どのように変わるのか。北朝鮮とのパイプについて、民主党とのパイプについて、北朝鮮の政策に関して十分なパイプがあるのかどうかということについてもお聞きしたいと思います。 以上です。ちょっと長くなって済みません。 ○会長(田中直紀君) じゃ、佐々江アジア大洋州局長。 ○政府参考人(佐々江賢一郎君) 今の先生の非常にいろんな要素を含んでいると思うわけでございますが、まずアメリカが核の廃棄より拡散の方により重点があるんではないかというようなちょっとお話であったと思いますけれども、確かにアメリカのいろんな公のステートメントとかあれを聞きますと、場合によってはそういう印象も重点の置き方で受け取られる面もあるんですけれども、我々が日常的に協議したりあるいは米国等も含めて話し合っているときに、あくまでもこれは核の廃棄が目標だということは極めて明確にしております。 とりわけ、この問題が日本のみならずアジア、北東アジア全体に対する脅威だということの認識は一致していると思いますし、ですから、国連決議でああいう形で認定をされているというふうにも思うわけでございます。このところにつきましては、私は日米で見解の不一致があるというふうには思っておらないわけでございます。 しかしながら、当面グローバルな話からいうと、この核不拡散のものに対する影響というのは当然あるわけでございまして、我々でも例えばイランに対する影響とかグローバルなことを考えなきゃいけないことは当然でございまして、したがって私どもは不拡散及びやはり核の廃絶というものは両方重要であるという基本的な立場で臨むべきだというふうに思っているわけでございます。 それから、先生がおっしゃられたうち、アメリカは最近BDAについて何か譲歩するようなことを考えているんじゃないかというようなお話でございましたけれども、新聞報道でも何か一部解除を考えているんじゃないかというようなお話もちょっと出ておりましたけれども、これは私、直接アメリカにも確認しておりますし、それから中国政府もこういうことはないというふうに言っておりますし、私ども現時点でBDAの問題について何か譲歩するようなことを考えていることはないというふうに思っております。これは事実関係の問題でございますし、特にアメリカは現時点で六者協議まだ再開もされてないような段階でそういうことを考えているということはないというふうに思います。 それから、戦争終結の点についても先ほど田中会長よりちょっとお話ありましたけれども、これも私、新しい話じゃないというふうに思っております。あくまでも我々としては、当面、北朝鮮が核廃棄に向けて具体的な動き、ステップを取らせることに交渉の主要目標があるんであって、そういうことに至ってないような段階でアメリカが何かかじを切っているということはないというふうに思っております。 それから、幾つか日朝関係との関係で拉致問題とそれからこの核の問題、あるいはミサイルも入るかもしれませんけれども、同列に置いているんではないかということで、韓国の話を例に引いておっしゃられましたけれども、私はそもそも優劣を論ずることはおかしいというふうに思っております。つまり、これは質の違う問題である、核の問題と。核は、御承知のように、日本を含む国全体、安全保障の問題としてこれは何としても廃棄の方向に持っていかなければならない外交努力であって、他方、この拉致問題というのは本当に国民の生命と財産にかかわる問題で、こういうものをやや、ちょっと比較して何かどちらが先だ後だということ自身が私は間違ったアプローチだというふうに思っておりまして、拉致問題は拉致問題として日本の国益にかかわる重要な重大問題だということで、やはり北朝鮮と正面から向き合って交渉していかなければいけない問題だというふうに思います。 往々にして韓国あるいは中国は、当面、核の問題に頭が行くということは、拉致問題自身が彼らの中で我々ほど大きな比重を占めてないのは事実だと思いますけれども、しかし、だからといってこの問題をおろそかにするということは、究極のところ安全保障の最後に来るのは国家と国家の信頼関係という問題でございますから、拉致問題が解決できないような関係というのはしょせんもろいものであるというふうに思っております。 そういう意味で、我々としては、日朝交渉あるいはこの六者協議の中で行われるであろう日朝の諸懸案の解決について拉致を最重要課題として引き続き取り上げていくつもりでございます。 ○政府参考人(河相周夫君) 今先生から御指摘がありました、特にアメリカの防衛義務、これが一体どういう形で果たされるか。おっしゃるとおり、絶対ということがあるかという点についてはいろんな議論があると思います。そして、基本的に日米安保条約の下で日本が武力攻撃を受けた場合、アメリカは共同、ともに対処をするということを書いてあるわけですけれども、実際、じゃ条約に書いてあればそれですべて果たされるかというと、理屈からいえばそうでございますけれども、やはり全体としての日米関係が確固としたものとして存在をするということ、アメリカとしてやはり日本を守るということがアメリカの国益にもつながるという、そういう実態をつくっていくことがやはり大切なのかなと。 それにつきましては、もちろん政治、安保の分野での関係の強化もございますけれども、経済の分野での関係の強化、それから文化面での強化、そして最後はやはり人と人とのつながり、これは政府もございますし、国会、議会の関係、それからもう本当に個々人の草の根も含めたいろいろな人的関係というものを全体としてきちっとした日米関係をつくっていかないと、この安保条約五条があればそれですべて何とかなるということではないというふうに私どもも思っておるわけでございます。 ただ、一つ御紹介させていただきますと、ライス国務長官が十月中旬に日本に来られて安倍総理に会われたときに言われた言葉で、なぜアメリカが日本の防衛コミットメントをはっきり言うかと。これは、一つは共通の価値観を持っている、共通の利益を持っているということがあるけれども、同時に、やはり日本の安全というのはアメリカの安全に直結しているというふうにアメリカは認識していますということは言っておられましたし、やはり我々は安保の分野のみならずいろんな分野で日米関係を強化をしていく、これがやはり日米安保条約が確たるものとして機能をし、日本の安全がより確実にされる道であると、こういうふうに思っておるわけでございます。 ○末松信介君 いいです。ちょっと長くなりますから、いいです。もういいです。
活動報告

2006-11-22
国際問題に関する調査会