162-参-国土交通委員会-12号 2005年04月19日 ○末松信介君 おはようございます。自由民主党の末松信介でございます。 四月の五日、航空法の改正のこの法案の審議に先立ちまして、北側大臣から一連の日本航空のトラブルにつきましての報告がございまして、数点お尋ねをいたしたわけでございます。 今日は、四月十四日にこの改善命令に沿いまして改善措置についての報告書が提出をされましたということで、今日わざわざ新町会長、社長にお越しをいただいております。 まず、新町社長にお尋ねを申し上げたいんですけれども、千歳空港での管制義務違反のパイロット、またドアモードの切替えのミスを行ったCA、こうしたトラブルを起こされた社員の方々とお会いになられましたですか。 ○参考人(新町敏行君) 今先生からの御紹介もございましたけれども、私は、四月一日からグループの最高経営責任者かつ事業会社であります日本航空のインターナショナル、日本航空ジャパンの両方の社長に就任いたしました。そして、就任いたしましたと同時に、私は、まず生産部門の現場であります羽田と成田の運航本部、そして客室本部、整備本部に直接私自ら出掛けまして、現場を預かる社員の方々と安全運航に関して極めて緊密なる話合いをいたしました。 そして、その中におきまして、先生も先ほど申されましたように、とにかくこの安全運航を支えている現場、現業部門と経営との距離が離れてはいけない、今回一連の安全上のトラブルを起こしました背景には、経営と現場との距離感というもの、それから部門間の意思の疎通が十分ではなかったということを、判明いたしまして、経営である、トップである私も本当に心から反省いたしておりまして、直接現場に既に何回か行きまして話合いをいたしております。 その中で、現場の方々の、現場の人たちの、信頼を回復するには安全運航の再構築が何よりであるという熱き思いに接した次第であります。そして、その熱き思いに接して、私、トップである社長として、社会に対する責任と、そして会社に、社員に対する責任をひしひしと感じて、安全の再構築をまず何よりも図っていかなければならない、安全が最大のサービスであるということを再認識した次第でございます。 ○末松信介君 御決意のほどをお伺いをいたしました。 大事なことは、やっぱりトップが現場を知るということが一番大事であります。恐らくその社員の方々、多くは深い反省とすごい落ち込みだと思うんです。やっぱり人間、機械じゃありませんので、大臣もこれはヒューマンエラーということをたくさん使われたんですけれども、やはりミスも犯す。そういう面では、社長が直接現場に出向いて現場の状況を体感するということ、事故の状況がどうであったかということを知るということが大切だと思うんです。そういう点では御評価申し上げたいということを思うわけなんですけれども、御巣鷹山のあの事故から二十年、当時の事故を知らない社員の方々もかなり増えたと思いますので、これからそういった点を十二分に留意をいただきたいということを思っております。 実は、これだけ多くのトラブルが発生したわけなんですけれども、三月十七日に事業改善命令が発せられました。その後に八回トラブルが続いたと。最近また二つトラブルがあったということなんですよね。これは本当に偶然の積み重ねなのか、あるいはまた北側大臣がおっしゃるように日航の組織に問題がある、もっと風通しの良い組織にしないといけない。三月十一日に、新町社長の本意ではなかったかもしれませんけれども、安全体制は万全であったと。この主張に対して岩村次官が、万全であればあのようなことは起こらない、万全というのはそういうことではないという反論をなさったということを新聞で拝見をしたわけであります。 偶然の積み重ね以外に別の理由が存在しているんじゃないかということなんですけれども、事故につながる原因因子が存在しているのかということを航空局長、大臣にお聞きをしましたところ、とにかく今は回答待ちであるという、局長なりには誠意ある御答弁を実はちょうだいしまして、そしてこの改善書、分厚い冊子、要約版等をちょうだいしたわけなんです。 共通する要因、日航で分析された内容は、安全性に対するこれは認識不足、情報の迅速かつ的確な共有の不足、定時性の確保、時間的制約からのプレッシャーと。確かに、昔は大阪—東京一時間だったのが、今タイムテーブル一時間五分ですね。それだけRNAVとかRVSMといったシステムを使って航空の混雑を緩和しようということですから、まあ確かに定時性にとらわれるということはよく分かるんですよ。しかし、想像も付かないようなことがやっぱり起きておると。 ボーイング747型貨物機主脚部品の誤使用についてですけれども、この原因分析。昨年十二月中旬にJA8171、ランディングの部品に誤使用の可能性があるという事実を把握し、生産技術部のチーフに、担当者はチーフに報告を行った。担当者及びチーフは、部品の適合性のみに関心を奪われ、運航中の航空機に対して迅速に対応する必要があったことに対する認識が不足したと書かれているんですよ。安全のためにやっているということを忘れて、部品の適合性のみに関心が奪われたと書かれているんですよ。何のためにやっているかという目的を忘れてしまうということ、こういうことが本当に起きるんだろうかということを我々は思うんです。素人の我々でも疑念を感じてしまうんですね。 元々この貨物機の主脚部品の誤使用には、これ五機あったそうですけれども、他機材の部品を装着したまま飛行して、一機は八年間に七千五百回飛んでいたということであります。長く担当課長さんがこの部品でもいいと思っていたということでありますし、問題は会社が把握してから一か月使用を続けたと。貨物機は予備機も少ないわけでありまして、若干これ運航をやめて、そしてこれ飛行機を寝かさなきゃならないということもありますから、ある面では営利を優先されたんじゃないかという、そういった指摘もあるわけなんですけれども、その点はなかったのかどうかということをお聞きをしたいと思うんです。 ○参考人(新町敏行君) 先生が今おっしゃったことに関しましては私も心から反省し、経営としても反省しているところでありますけれども、安全が何よりも最優先されるという背景には、安全が何よりも最優先であるという強い意識の浸透が必ずしも十分ではなかったということに関して、経営は深く深く反省しているところであります。決して先生がおっしゃったように、安全をないがしろにしてまず定時性、まず飛ばすんだということではなくて、何よりもまず安全が大事であるということを社員みんなが思っていることではありますけれども、それがややもすれば薄れてしまった。弱くなってしまったんではないかというふうに分析しておるところであります。 このようなことが絶対にあってはならないという固い信念の下に、安全の意識を再認識させて、これからも安全が第一であるということでもって安全運航の再構築を図っていかなければいけないということであります。 ほとんどの、一連の事象が起きたことに関しましては改めまして深く深く反省し、申し訳なく思っておるところでございますが、ほとんどが、その多くがヒューマンファクター、ヒューマンエラーによるところであります。そのヒューマンエラー、ヒューマンファクターを発生させる要因、背景というものは、私どもはまず安全が先ほど申し上げましたように大前提であるというこの強い意識の浸透が、経営としてしなければいけないことが努力不足であったということの反省と、それと、社員の間でそのような安全が大前提であるという意識が薄らいでいたんではないかということを思っております。 そのようなことが今後ないように、経営トップ自ら、先ほども申し上げましたように現場と経営とが双方の密接なるコミュニケーションを図りながらこの問題を一日も早く改善し、安全運航の再構築を図ってまいりたいというふうに思っております。 ○末松信介君 ドアモードのこの切替えミスも、だれかが実施してくれると思い込んだ、失念したということなんですけれども、通常やっぱりクロスチェックしますよね。こっちのドアを見て反対側を見るということで、あり得ないんですよ、こういうこと。マニュアルを変えられたということで確かにもうドアをきちっとセットしましたと、ドアモード、これを機長に報告するということ、声出しあるいはまた指さしということですから、もう二度と起こらないと思うんですけれども、今の御決意を絶対忘れないように、これお願い申し上げたいと思います。 次の質問なんですけれどもね、一番懸念している問題なんですけれども、旧JASとの統合についてなんですよ。いろいろと世間が今論評を繰り返し行っております。旧日本航空と旧エアシステムの出身によって、賃金、マニュアル、機材、福利厚生面、例えば年金もそうですね、人事体系、すべてが違うと。対等合併ということを言われながら、実際は吸収合併ではないかというようなそういうことを言われる方もおられるわけなんですよ。現在のところ運航については混乗されていないと。今は分かりません、私は現在は分かりませんけれども。今のところ、この社内がいまだ未融和な状況が続いているんじゃないかということを心配をいたしております。ハンドリング会社だって別々に今存在しているわけなんです。これについて社内の空気はどうかということを差し支えなければ、お答えをいただきたいと思います。 そして、もう一つ。サラリーマン、企業人というのはこれは社員の顔と組合員の顔、二つの顔を持っていると私は思っています。組合は当然職場の改善であるとかあるいはまた福利厚生のこの前進を目指していって、社の発展を願っていくものであります。それにしても十の組合があるというのは大変多いと思うんですよ。組合活動は自由でありますし、これは認められたものでありますからとやかく申し上げることないんですけれども、今年二月にもオールJALジャパン労組二百三十名で新たな組合が結成されたということを伺いました。この十組合できたという歴史的な背景とか、労使関係はうまいこといっているのかどうか、いろいろとインターネットからもいろんな組合の情報ももらえるわけなんですけれども、これをどう思っておられるか。それと、経営者から見た労労関係、これについてどうかということを、もしお差し支えがなければお答えをいただきたいということを思います。 組合が十あるというのはそれぞれの人生観、それぞれの会社に対する思いや評価、そしてまたそれぞれの職種の在り方ということにやっぱり十通りあるということですから、風通しが良くなかったらいかぬと思うんですよね。これは公共輸送機関ということで公共性が高いということゆえに、安全性が強く求められての質問であるということ、このことを理解いただきたいと思います。御答弁をお願いします。 ○参考人(新町敏行君) まず、経営統合の後の社員の融和、その他はどうなんだろうかという、率直な雰囲気はどうなんだろうかということでございますけれども、経営統合の過程で、現在そのような形になっておりますけれども、持ち株会社の下に二つの事業会社という枠組みの中で、経営と現場との距離感、部門間の意思の疎通が不足していたということに関しては、率直に経営の努力が足りなかったというふうに思っているところであります。一日も早く、本当の意味で、一体となった経営統合、一社化になった経営統合に目指すべく、経営及び社員との間、すべての全社員との間でコミュニケーションを密にしながら進めてまいりたいというふうに思っているところであります。とりわけ、安全に直接かかわる部門、例えば運航部門、それから整備部門、客室部門の統合に関しては、これは安全に直接かかわるところでございますので、拙速を避け、慎重を期して、きちっとした形で統合をしていきたいというふうに思っております。 したがって、現時点では、先生がおっしゃるように、完全な意味で、それでは社員間の融合が完全な意味でもう実現されているかといいますと、まだまだ足りないところがあるということは素直に経営としても反省しておりまして、一日も早くそれを実現していきたいというふうに、経営と社員とが一体となって実現していきたいというふうに思っております。 それと、あと組合の問題でございますが、確かに今申し上げましたように、持ち株会社の下に事業会社が二つございまして、その旧JASの部分は、雇用契約における部分は日本航空ジャパンが継承しておりまして、そして旧日本航空の雇用契約の部分は日本航空インターナショナルが継承していると、こういう形になっております。したがいまして、今二つの事業会社の下に全部で十の、最近、先生がおっしゃったように、二つができましたけれども、トータルで、全部で十の組合がございます。組合間のコミュニケーション、そしてまた経営と組合のコミュニケーションも密にしながら、健全な労使関係を更に築いていきたいというふうに思っております。十の組合があるから組合間または経営と組合との意思の疎通が不足しているということはあってはならないことでありまして、経営である、トップである私も、十分にそこの辺を認識しながら、より良い労使の関係を築いていきたいというふうに思っております。 ○委員長(田名部匡省君) 時間です。 ○末松信介君 はい。 とにかく、安全を一番大切にして業務に当たっていただきたいと思います。 終わります。
活動報告

2005-04-19
国土交通委員会