162-参-国土交通委員会-20号 2005年06月07日 ○末松信介君 自由民主党の末松信介でございます。 今日は、新町社長、そして山元社長に参考人としてお越しをいただきました。限られた時間でございますけれども、よろしくお願い申し上げます。 まず最初に、全日空の山元社長にお尋ねをしたいと思うんですけれども、四月の十九日に日本航空三社が改善措置ができた、提出できたということで、それを受けまして、四月の十九日、新町社長お越しをいただきまして、参考人質疑がなされたわけなんです。そのとき、私もひっくるめて多くの委員の先生方は、全日空はきっちりやっているのに日本航空はトラブル続きだと、その観念がずっと頭にあったと思うんです。したがって、非常に厳しい質問が新町社長に向けられた。今日も向けられているわけなんですけれども。 それだけに、この四月の二十二日、全日空の小松発仙台行き三六一便、無許可で離陸開始したというトラブル、管制指示違反であります。厳重注意を受けておられます。そのほかにも、全日空機長の社内規定違反の飲酒、さらにはまた、これ伊丹発羽田行き、これはまあ安全上問題ないと言われているんですけれども、貨物を、コンテナをきちっと固定していなかったという問題等々トラブルが出てきたということなんです。 非常にこう、全日空がこうしたトラブルを引き起こしたということにつきまして、結局業界全体の信頼が損なわれたという大きな責任があると我々認識をいたしているわけなんですね。普通JALがこうしたトラブルを起こしておりましたら、全日空こそ社員として気概を持ってしっかりやっていこうという、そういうような志の社員が増えてきて当たり前だと思うんですけれども、JALに業務改善命令が下されている間、全日空の社内というのはどういう雰囲気であったのか。そして、社内としてどういう対策を取っておられたのかということを率直にお伺いしたいと思っております。 ○参考人(山元峯生君) 今、末松先生より御指摘がございましたように、四月二十二日のエアーニッポン便の管制指示を待たずに離陸したというケース、これはむしろ、一番最初のJALさんの千歳における管制違反、これがあった中で、かつJALさんに対する、あるいは我々も含めての、四月三十日までのエアラインに対する緊急輸送安全総点検のその真っただ中での事故であったということで、これはもうかえって筋が悪いといいますか、今御指摘いただいたようになぜだということで、本当に強く反省しております。 もう当然のことながら、この四月三十日までの業務改善命令、業務改善命令ではございません、エアラインに対する緊急輸送安全総点検でございますから、安全の一番の責任者である総合安全推進委員長から各本部長あて指示が出て、基本作業の確認、こういうのの徹底を図った中で起こってしまいました。 それから、先ほど言いましたように、ダイレクトトークとか、毎週一回のオペレーションの報告会、こういうのをやりながら、こういうトラブルを、御指摘のようなトラブルを起こしてしまいまして、決して人ごとではない。やはり同じような航空法の下で同じような機材を使って同じように人間、整備士、パイロットがやっておりますので、このヒューマンエラーというのはなくそうと思って地道に努力をしているわけですけれども、完全になくすというのはなかなか難しい。これはもう地道に、起こったやつは二度と再発が起こらないように一個一個原因をつぶしてやっていくしかないというふうに思っております。 どういうことをやったんだという御質問でございましたけれども、これはやはりヒューマンファクターによるうっかりとか、まあ言ってみればたるみもあるでしょうし、こういうものを改めて総点検をしながら、もうこれは本当に人ごとではなくて、もう一個一個基本作業の確認行為、この周知と、それからやはり風土で何か問題があるんだったらその問題の摘出と解決と、これに一歩一歩努力していくしかないというふうに思っております。反省しております。 ○末松信介君 今、山元社長からまあヒューマンエラー、ヒューマンファクター、この言葉は北側大臣もよく使われておりますし、このたびのトラブルで頻繁に委員の我々も使ったんですけれども、人間だからこそやっぱりどうしてもミスを犯さないということはあり得ないということなんですけれども、問題はそのミスを隠すということが一番良くないと、トラブルを隠すということが。 私は、やっぱりトラブルというのは、これは生きた教材であると。生きた教材になってくるということでありますから、そのある面でトラブルをきちっと報告した人間というのは、ペナルティーも受けるけれども評価も受けなきゃならないと思うんですよ。むしろ現場でトラブルを隠すことによってそういった不安の連鎖ですね、ずっとつながっていきますよね、事故の誘因をつくっていくという。それこそ重罪を科すべきであるということなんですけれども、こういう点で、ミスを隠さないという社風というのはどういうように社内規定のシステム上構築されておるのか、この点について社長のお考えを伺いたいと思います。 ○参考人(山元峯生君) トラブルが生じてから隠すという問題と、それから自分がヒヤリ・ハットしたというような、特にパイロットの経験を完全に匿名で免責という下でレポートを上げさせております。これを一九九一年からやっておりまして、現在二百十八件起こっておる。月に一、二回ですけれども、これは免責という原則の下で自分が冷やっとしたことを、体験をみんなに共有してもらうと、これが一つの制度かなというふうに思います。 それと、御質問の、何か起こったのを隠すと、こういう風土というのはもう決してあってはならないことでありまして、これについては社員教育、あるいはずっと言っておりますけれども、安全が一番、新町参考人も言われましたけれども、我々エアラインにとっても安全が経営の基盤であると、これを社員一人一人が本当にこう身に染みて毎日の業務に精進するしかない、こういうふうに思っております。抽象的で誠に申し訳ないんですが、日々、要は上からと下からの、ずっと渕上先生も言っておられたコミュニケーションを良くして、決して、隠したことで不利益な状況が出てくると、こういうことがないように日々努力してまいろうと思います。 ○末松信介君 とにかくトラブルというのは、ささいなトラブルでも明らかにすることによってこれが生きたやっぱり教材になると。やっぱり正直な社員が正しい会社をつくるということが、このことが一番基本だと思っておりますので、風通しのいいところという社風をつくりたいということは新町社長おっしゃっておられますので、これを特に大事にしていただきたいと、そのように思います。 そこで、今、日本航空、事業改善命令が出て、そして改善措置が行われて、発表になって、更にトラブルが続いたと。社内の今の雰囲気、週刊誌や、週刊朝日でもいろんなこと書いていますけれども、今の状況、どういう雰囲気かちょっとお伝えいただきたいんです。 ○参考人(新町敏行君) 改善命令が出て、改善策、対策を正に一つ一つ実行しているさなかにそのようなことが起きてしまったということに関しては、先ほども私申し上げましたように大変残念に思うし、深く反省し、おわびしているところであります。 そして、この改善策の一つであります現場と経営との一体感という意味で、先ほどから私も御説明しておりますけれども、二百回以上にわたって現場に赴いていろいろ意見交換した中で、私が本当に心強く思って感じていることは、経営のもちろん安全に対する意識の、それから安全の重要性、安全が最大のサービスであるという経営の意思の伝達ができたし、また現場からの安全に対する意識が、非常に強く持っているということを感じ取った、非常に大きな収穫だと思っています。そのさなかにまたこのようなことが起こったということに関し、経営も含めて現場も本当に残念で、これをもう全く解消しなければいけない、改善していかなければいけないという強い強い意識に燃えているというふうに私は申し上げたいというふうに思っております。 ○末松信介君 社長のお話伺いまして、反省の言葉の本当に反省をまたしなきゃならぬという、尾辻大臣の社会保険庁の言葉を思い出すんですけれども。 これは本当にある面で、事業改善命令というのは非常に痛い処分でありますけれども、処分にはやっぱり痛みを伴う処分と痛みを伴わない処分と二つあると思うんですよ。 私、実は今日、本当に自分で質問しようと思ったのは、一日運航停止をしたらどうかと、こういう処分をしたらどうかと思ったんですよ。しかし、公共性が非常に高いということもありますね。(発言する者あり)はい、ありますね。ただ、一日仮に休まれた場合、社員は、どうして飛べないんだろう、なぜこういう一日を与えられたんだろうかということを真剣に考えると思うんですよ。鳥はやっぱり必要なときには翼を止めて休むということを知っていますので、私はこれからの日本航空のことを考えた場合に、一日ぐらいの運航停止はあったっていいんじゃないかと、しっかり考える余裕があったっていいんじゃないかということを思うんですけれども、そういう点について、この事業改善命令の処分を下した監督官庁の航空局長はどう考えておられるか、きちっと答弁をいただきたいと思います。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 今先生御指摘のとおり、トラブルの発生というのはやっぱりこれから抑えていかなきゃいけないと思っております。そのためには日本航空にきっちり事業改善命令に対する改善措置を実施していただくということが重要だと思っております。私どもの方もそうしたことのないように緊張感を持って日本航空をちゃんと監視をしていきたいと、このように思っておるところでございます。抜き打ちの立入検査もやらせていただいておるところでございます。引き続ききっちりそうしたトラブルが続かないようにまずやっていくことが重要だろうと思っております。 先生御指摘の、仮に万一大きな事故、あるいは今後トラブルの続発ということになりましたら、その状況に応じまして、私ども国土交通省としては利用者の安全の確保を最優先とした適切な対応を考えていきたいと、このように思っておるところでございます。 ○末松信介君 この一か月半の間にどうして、今日こうして参考人質疑を行っているんですけれども、委員はみんな複雑な思いなんですよ。なぜかといったら、五月の十七日に山元社長の隣にJR西日本の垣内社長がお座りになったんですよ。それはもう深い反省と同時に、ある面で、どうしてこの不運が重なってその連鎖を一つでも改善して切り離すことができなかったんだという無念さをにじみ出したんです。だから、みんなこの安全については真剣に討議をしておる。 これJR西日本社長の訓示の中、これを社長からいただいたんですけれども、御遺族やおけがをされた方からの強い怒り、苦痛の声をお聞きしました。特に御遺族からは家族を生き返らせてほしい、JRは人殺しだといったお声を受け、お返しする言葉もありませんでした。さらに、私たちの、遺族のぽかんと穴の空いたような喪失感、悲しさ、むなしさが本当に分かるのか、JRは物を運んでいるのではないのだ、命ある人を運んでいるんだぞと、こうした気持ちを社長から全社員に必ず伝えてもらいたいと強い言葉をいただきました。やっぱり運輸事業に携わる方のトップというのは本当にこの言葉の意味を深く知っておかなきゃならないと思います。 最後に質問を申し上げたいのは、定期航空協会、前、そちらの先生が定期航空協会の会長を辞めたらどうかというお話があったんですけれども、この定期航空協会、一九九一年にできていますけれども、これはまず民間航空会社がつくってくれといってつくったのか、国交省主導でつくったのかどうかということをお聞きをしたいということ。 それともう一つ、この主な事業活動項目五つありますけれども、安全ということにつきましての取組は一切書いてないんですよ。航空運送事業に関する調査、研究。二、政府、国会、政党に対する陳情、要望。三、航空利用者への広報活動。四と、ずっと並んでいるんですよ。 理事長は天下りです。これね、天下りは私は絶対悪いと言った覚えはないんです。しかし、なれ合いの場所になっちゃいけない。業界と行政とはきちっとやっぱり緊張感を保たなきゃならないと思うんです。理事長は民間そして行政と交互に替わってくるぐらいの、それぐらいの考え方でないと、私はきちっとしたそういった航空の安全行政は確立できないと思っています。そういうことにつきましてお考えのほどをお聞きをしたいんですけれども、できればこういう時期だからこそ、定期航空協会に安全に関する専門家、第三者、学識者を入れるぐらいの決意を持ってお答えいただきたいと思います。 ○委員長(田名部匡省君) だれ、だれ、だれに質問。 ○末松信介君 航空局長。 ○政府参考人(岩崎貞二君) 定期航空協会でございますけれども、これは民間の団体でございまして、いわゆるまだ公益法人でもございません、任意法人ということでございますので、民間の発議でつくられたものと、このように理解をしております。 定期航空協会、安全というのが先生おっしゃったとおり主な事業活動の中に入っておりません。全航連という、全国航空事業者連合会という組織が別途、これは定期航空だけではなくて、小型の飛行機なんかを扱っておられる方も入った組織がございますし、それから航空輸送技術センターという安全を専ら取り扱うような団体もございますので、こうした定期航空協会は、どちらかというと安全よりも事業経営、運営面のことについて議論をされていることで今成り立っているのかと、このように認識しております。 ただ、先生のおっしゃるとおり、この経営と安全というのは非常に密接不可分なものですから、私どもも、これから定期航空協会の御意見を伺いながら安全に関する取組をどうやっていただくのか考えてまいりたいと、このように思っているところでございます。 ○末松信介君 この協会の設立はどちらが主導してつくられたのかということと、できましたら、これは有意義な団体であるのかどうかということを両社長から端的にお答えください。 ○参考人(新町敏行君) 定期航空協会は極めて有意義だと私は思っております。もちろん、安全運航に関しましては各会社、各企業の経営の絶対的な基盤でもあるし、経営の絶対的な責任として各社が今対応をしておるところでありますが、保安その他に関しましては、業界としても、業界の団体であります定期航空協会としても、積極的に取り上げてやっているところであります。 ただ、先生がおっしゃったように、それじゃ安全運航に関してこれから何もしなくてもいいのかという問題に関しましては、私は前向きに会員との意見も聞きながら前向きに対応していきたいというふうに思っておりますし、おっしゃっているとおりだというふうに思っております。 ○参考人(山元峯生君) 定期航空協会での安全に関する活動を二つほど御紹介いたしますと、二〇〇三年七月に成立いたしまして二〇〇四年一月十五日から施行されております機内迷惑行為防止についての法律をつくっていただいたわけですけれども、これをお願いしてきたこと、それからあるいは、米国線に限ってでございますけれども、スカイマーシャル制度を現在導入していること、こういうことについては業界の協会として活動してまいったと思いますけれども、今、末松先生おっしゃいましたように、もう一度航空会社の安全についてきちっと議論をしたり、あるいは制度を整えたりする活動を今から取り組んでまいろう、会長と相談しながらやっていこうと思います。 ○参考人(新町敏行君) 委員長。 ○委員長(田名部匡省君) 簡単にお願いします。 ○参考人(新町敏行君) 今先生がおっしゃった定期航空協会の設立はどこだったのかということは、私の理解でありますけれども、いやこれは事実でございますが、業界で話し合って設立したというふうに理解をしております。 ○末松信介君 ありがとうございました。
活動報告

2005-06-07
国土交通委員会